IS―インフィニット・ストラトス 最強に魅せられた少女
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第6話 私、チャンバラやります。
悔しさに顔を歪める織斑。まあ少し大人気なかったかな?殴り合いじゃあリーチが長い俺が有利!とか考えてたかな?甘いんだよ。
私の本職は、剣を用いての近接戦闘ではなく、剣+格闘を使用した変幻自在の近接戦闘なのだ!なんてね?
「ねぇ織斑。あなたにはいい勝負だったっていう慰めは無意味だろうからはっきり言うわ。あなたは弱い。どんなに優秀な才能を持っていても、日頃使っていないと錆びていく。刀と同じでね。」
「くそっ………。」
「だから磨きなさい。あなたは弱かったけど、つまらなくはなかったわ。」
そう言うと私はBピットに戻った。セシリアは客席に行かず、ここで見ていたようだ。
「どうだった?」
「全く……趣味が悪いとしか言えませんね。刀の落下点に追い込むなんて。」
「あー、そっちじゃなくて織斑の方。どう見る?」
「あの方は……そうですね、素質は十分に有るでしょう。意思も固く、強い。ですが、腕の方はまだ………。」
うーん、セシリアでも似たような評価だね。筋は悪くない。むしろいい。でも技術が伴わない。
「んー、これからに期待かなー。」
「楓さんは戦うのが大好きですのね。なら、自分で鍛えるのはどうです?」
「自分で?」
「ええ、強敵を自ら鍛える。それはそれで一興ではないですの?」
なるほど……それなら…………
翌日
「そういう事で、一年一組のクラス代表は織斑一夏君に決まりました。あ、一繋がりで良いですね♪」
山田先生の上機嫌な声に、疑問を呈する男が一人。
「はい、先生。」
「なんでしょう?織斑君。」
「俺、負けた筈なのに何でクラス代表になってるんですか?」
「それはですね……」
「私が辞退したのよ。」
「へ?神宮寺さんが!?何で!?」
「いやぁ、あなたがちょっと弱すぎるからさぁ?クラス代表にして強敵と戦う機会を増やしてあげようという……まぁ、私の粋な心遣いってヤツよ。」
「粋な、て自分で言うのかよ……じゃなくて、」
「諦めろ、織斑。敗者に選択権はない。黙って受け入れろ。」
織斑先生の一言が止めになったようだ。それ以上なにも言えずに引き下がった。
「………で、ついでに私がビシバシ鍛えてやろうっていう魂胆よ。」
「え?そりゃ……ありがたいけど……。」
「無用だ。一夏には私が教える。」
と、篠ノ之さんがムスッとした顔で割り込んで来た。成る程……織斑を盗られるとでも思ったのかな?うーん、別に二人の中に割って入るつもりはないんだけどな。
「でも、講師は多くても損はないんじゃない?」
「っ……それは、そうだが……。」
「それにわたくし達の方が上手く教えられますわよ?ISランクCの篠ノ之さん?」
あらら、セシリアが出てきた。ちょっとは言い方あるでしょうに。因みに私はランクA+だ。セシリアもそうだったっけ?………ん?“わたくし達”?
「……ってセシリア、あなたもやるの?」
「ええ、面白そうですし。」
「くっ、ランクなど関係ない!」
「ああ、その通りだ。」
おお、織斑先生参戦。
「お前達のランクなどゴミだ。これからの三年間でいくらでも変わる。」
うんうん、やっぱりISは才能よりも努力………この場合は稼働時間よね。ISの自己進化という物は中々馬鹿に出来ない……と、いうより自己進化こそISの一番の特性だと言ってもいい。そして、進化するのに一番手っ取り早いのは稼働時間を長く、濃くすることだ。上手くいけば、三年間で二次移行まで持っていけるかも知れない。
放課後
「本当に良いんだな?神宮寺!」
「だって……こうでもしないと篠ノ之さん、納得しないでしょう?」
場所は剣道場。私と篠ノ之さんが、それぞれ竹刀を持って、向かい合っている。織斑のコーチを納得させるため、篠ノ之さんと剣で勝負することになった。
「では………ゆくぞ!」
上段に構えた篠ノ之さんが、早速打ち掛かってくる。一見大振りに見えて実は隙のない、いい一撃だ。けど……
「ちょっと……素直過ぎない?っと」
振り下ろされる竹刀の、ギリギリ先端を見切ってかわし、カウンターの突きを繰り出す。僅かばかりの動揺が見られたが、想定内だったのか簡単に避けられる。
「ム、少しはやるな?」
「さて、次はこっちからっ!」
間合いを一歩詰め、隙の少ない連撃で手堅く攻める。恐らく篠ノ之さんは一撃必殺タイプ。こういう戦い方をすれば必ず………
「この……一気にけりをつける!!」
こんな感じに焦れる。距離をとり、再び大振りで仕掛けてくる。さっきのようにカウンターを叩き込んでもいいけど、それで仕留められないと、折角焦れた相手がまた冷静になる。だから……
「ハアァァァァ!!」
「セッ!」
今度は真正面から受け止め、受け流しつつ退がる。怯んだと思った篠ノ之さんは、ガンガン攻めて来るけど……気付いてる?動きが単調になってるよ?
「ま、私がそう誘導したんだけどね?」
小さく呟いた独り言は、幸いにも聞かれなかった様で、たちまち私は隅に追い込まれた。
「これで止めだ!!」
再び竹刀を振りかぶる篠ノ之さん。彼女の剣技は確かに凄いけど……短時間にこれだけ見れば、アホでも避けれる。
やっぱり素直過ぎるんだろうな。『試合』じゃなくて『実戦』を積めばもっと駆け引きとか出来るんだろうけど。
「よっ、と。」
篠ノ之さん渾身の一撃を、半身に成りつつ前に出てかわす。そのまま横を抜けつつ胴に一振り、これで終わりだ。
「な…………!?」
「さてと、勝負アリだね。」
「…………ああ、そうだな。私の負けだ。」
思ったよりあっさり負けを認めた篠ノ之さん。ちょっと意外だな。
「?何か変なこと言ったか?」
「あ、ううん。ちょっと意外だなって。もっと食い下がると思ってたのに。」
「………剣で、正面から挑んで負けたんだ。認めるしかないだろう?」
おお、潔いな。武士か。
「しかし……最後の一撃をどうやって見切ったんだ?最初から分かってた様な動きだったが……。」
「ああ、アレは私がそういう風に誘導したからね。」
「誘導!?」
「うん、えーっとねぇ……………」
それから暫く話し込んだ末、なんと篠ノ之さんのコーチまで引き受けることになった。まあ、彼女の未来も楽しみだからいいけどね。
後書き
基本的に楓は一年生最強クラスってことで書いていきます。
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