英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
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第117話
その後、街道に降りたロイド達がまず警察学校方面に向かうと驚くべき光景があった。
~西クロスベル街道~
「なっ……!?」
「オイオイ……なんでメンフィル兵がこんな所にいやがるんだ?」
警察学校へと続く道の周辺で立っているメンフィル兵達を見たロイドは驚き、ランディは目を細め
「い、いえ……それよりも……メンフィル兵がここにいるという事は……」
「………ベルガード門もメンフィル帝国の手に落ちたという事だな……」
ティオは不安そうな表情をし、ツァイトは厳しい表情で呟き
「一体どういう状況になっているのかしら?」
「それよりメンフィル兵なら私達も襲われないのでは?第一こちらにはカーリアンさんもいる事ですし。」
エオリアは真剣な表情で呟き、リタは不思議そうな表情で言った後、カーリアンに視線を向け
「……カーリアンさん。事情を聞いて貰っても構いませんか?」
ロイドは真剣な表情でカーリアンに尋ね
「仕方ないわね~。」
尋ねられたカーリアンは溜息を吐いた後、メンフィル兵達に近づいた。
「何者だ………!―――!?貴女は………カーリアン様!?」
「一体何故こちらに……」
近づいてきたロイド達を見たメンフィル兵達は身構えたが、カーリアンを見て驚いた。
「ちょっと事情があってこの子達と行動を共にしているのよ。この子達は敵じゃないから、武器を収めなさい。」
「ハッ!」
そしてカーリアンの言葉を聞いたメンフィル兵達は敬礼をして武器を収めた。
「で、一体どういう状況かしら?鎧を見た所貴方達、正規軍よね?」
「ハッ!現在我々はファーミシルス様の指示によりこちらの守護を任されております!」
「げっ…………もしかしてこの先にはファーミ―――ファーミシルスがいるのかしら?」
兵士の話を聞いたカーリアンは嫌そうな表情をして尋ね
「はい。」
「そう。リウイ達は?」
「陛下達はベルガード門に現在駐屯しています。」
「ベルガード門にリウイ陛下達――――メンフィル軍が!?」
「「………………………」」
「どうやらベルガード門は完全にメンフィルに占領されたみたいね……」
兵士の話を聞いたロイドは驚き、ランディは厳しい表情で辛そうな表情をしているキーアと共に黙り込み、エオリアは真剣な表情で言った。
「確かベルガード門には”神機”だったかしら?その人形兵器が守っていたけど、それらも破壊したのかしら?」
「ハッ!我等メンフィルの新兵器とリウイ陛下達の御力により2機の破壊に成功しました!」
「……まさか”至宝”の力を受けたあの人形兵器を破壊するなんて………メンフィルや”英雄王”達がここまで”規格外”だったなんてね……」
「多分ペテレーネちゃんやシルフィエッタさんが”神”を召喚したのではないですか?いくら”至宝”といえど、所詮は”創られた存在”。どう考えても本物の”神”の力には敵いません。」
カーリアンの質問に答えた兵士の話を聞いたワジは真剣な表情で呟き、リタは自分の推測を言い
「あ、あの……ノエルさんやソーニャ司令……いえ、国防軍の兵士の方達はどうしたのですか?」
「まさか殺しちまったのか?」
ティオは不安そうな表情で尋ね、ランディは目を細めて尋ねた。
「いえ。国防軍の者達は全員生きて捕えるようにとの厳命が下されておりましたので、全員怪我は追っていますが生存して捕縛してあります。」
「そうですか………」
「ノエル達、生きていて本当に良かったよ~。」
兵士の話を聞いたロイドとキーアは安堵の溜息を吐き
「しかしなんでまた敵兵全員捕縛なんて、めんどくさい事が厳命されているんだ?」
「初任演説の時、あれだけメンフィルの事を罵倒していたのですから、殺してもおかしくないと思うのですが………」
ランディは不思議そうな表情をし、ティオは考え込み
「………多分、イリーナ様がリウイに頼んだんじゃないかしら?イリーナ様は優しい方だから、故郷に自分の事を罵倒されても気にしないどころか、敵国の民の身も案ずるほどの方だし。」
カーリアンは考え込んだ後言った。
「なるほど………」
「さすがは”聖皇妃”だね。」
「うむ。ひょっとすればウルスラ並みの心優しき娘かもしれぬな。」
カーリアンの話を聞いたロイドは明るい表情をし、ワジは口元に笑みを浮かべ、ツァイトは頷きながら言った。
「しかし国防軍……でしたか?連中、あまりにも弱すぎて拍子抜けしましたね。そのお蔭で捕縛も容易でしたし。あれならまだ、本国で魔物や賊の討伐をしていた方が歯ごたえがありますよ。」
「ええ。あんな殺す価値もなく、実戦経験もロクにないように見える雑兵共を集めただけで我等メンフィルに逆らうとは……まさかあれほどの身の程知らずがこの世に存在していたとは想像もできませんでしたね。あんな連中を討ち取っても、誇りどころか恥になりますよ。」
「「「……………………………」」」
そして嘲笑しながら言ったメンフィル兵達の話を聞いたロイドやティオは複雑そうな表情で黙り込み、ランディは目を伏せて黙り込んだ。
「ま、”神機”の力を頼りに今まで強気でいたようなものだしね。それでもう一度だけ確認するけどリウイやイリーナ様達はベルガード門にいるのね?」
「ハッ!現在はギュランドロス殿率いるクロスベル警備隊と共に今後の方針を模索中との事です!」
カーリアンの疑問に兵士は答え
「ギュランドロスのオッサン達もベルガード門にいるだと!?」
「そういえばヴァイスさん達の話でギュランドロス司令達はリウイ陛下達―――メンフィル軍と共にいるとの話でしたね……」
兵士の話を聞いたランディは驚き、ティオは考え込みながら言った。
「そう………話してくれてありがとう。ロイド、もうここはいいでしょう?」
「そうですね………これ以上ここにいても警備の邪魔なだけですし、失礼しましょう。」
カーリアンに尋ねられたロイドは頷き
「じゃ、私達はもう行くわ。」
「ハッ!」
「お疲れ様です!」
カーリアンに言われた兵士達はそれぞれ敬礼をし、ロイド達は兵士達から離れた
「それで……次はリウイ達と話をするつもりかしら?」
兵士達から離れたカーリアンはロイド達に尋ね
「はい。――――リーシャにどうしても接触したいですし。その……ベルガード門でもリウイ陛下達との面会を頼んでもいいでしょうか……?」
尋ねられたロイドは頷いた後申し訳なさそうな表情で尋ね
「ええ、別にいいわよ。それじゃあさっさと行きましょう。」
ロイドに尋ねられたカーリアンは頷いた後ロイド達を促し、ベルガード門に向かって行った。その後ベルガード門に到着したロイド達はカーリアンが見張りのメンフィル兵達に接触してリウイとの面会を可能にしたので、リウイ達がいる会議室に向かった。
~ベルガード門・会議室~
「―――失礼します。」
リウイ達が会議室で話し合っているとロイド達が部屋に入って来た。
「みなさん………国防軍から逃げ回っていたとお聞きしましたが、ご無事で何よりです。」
ロイド達を見たイリーナは微笑み
「おう、ようやく来たか。」
「ヴァイスさんやエルちゃん達と接触したからそろそろ来る頃だと思っていたわ。」
ギュランドロスとルイーネは口元に笑みを浮かべ
「久しぶりね、お兄さん達♪」
「というかカーリアン婆は何故その者達と共にしているのじゃ?」
レンは小悪魔な笑みを浮かべ、リフィアは呆れた表情でカーリアンを見つめ
「なんですって~!?」
「痛い、痛い!痛いのじゃ~!」
そして顔に青筋を立てたカーリアンに頭を締め付けられて呻き始めた。
「え、えっと………」
「アハハ!カルバードの狸大統領とエレボニアの”鉄血宰相”の相手をした”聖魔皇女”も肉親には弱いようだねえ?」
その様子を見ていたロイドは戸惑い、ワジは笑い
「……リフィア殿下とカーリアンさんにとっては日常茶飯事なので気にする必要はないかと。」
ティオは静かな表情で言い
「ハア……………――――既にお前達の状況はヴァイス達から聞いているし、ギュランドロス達がクロスベル市の解放に力を貸すのはお前達もわかっているはず。その上で一体何の用でここに来た?」
リウイは呆れた表情で溜息を吐いた後真剣な表情でロイド達に尋ね
「―――――”銀”……いえ、リーシャ・マオにアルカンシェルに戻って頂く為にこちらを訪ねさせてもらいました。」
尋ねられたロイドは真剣な表情で答えた。
「まあ………」
「あら………」
ロイドの言葉を聞いたイリーナとルイーネは目を丸くし
「…………………………………銀は自らの望みで俺達に協力している。それを理解した上で連れ戻そうとしているのか?」
リウイは少しの間黙り込んだ後真剣な表情で尋ね
「はい。」
尋ねられたロイドは決意の表情で頷いた。
「――――いいだろう。説得できるかどうかはお前達次第だ。」
ロイドの表情を見たリウイは答え
「あ、ありがとうございます……!」
リウイの答えにロイドは明るい表情をし
「フム。セティ達にもロイド達が来た事を知らせてやらねばな。――――エリゼ。リィンもこの場に連れて来い。恐らく奴も内心ロイド達の力になりたいと思っているはずじゃ。」
「別にいいけど……貴女の親衛隊の一員となった兄様まで彼らに同行させてもいいのかしら?」
リフィアは頷いた後傍に控えているエリゼに指示をし、指示をされたエリゼは目を丸くして尋ね
「うむ。……ついでにエリゼ。お前も特務支援課に力を貸してやれ。」
尋ねられたリフィアは頷いた後エリゼに指示をした。
「へっ!?」
リフィアの指示を聞いたロイドは驚き
「……一体何を考えているのよ?」
エリゼはジト目でリフィアを見つめて尋ねた。
「聞けば特務支援課はキーアを取り返す為に至難の道を行くと言う……そこに我が下僕であるお前やリィンも加えさせ、そして全てが終わった後余の元に帰って来たお前達は見違えている事間違いなしじゃ!要は『優秀な下僕には旅をさせよ』という事じゃ!」
「それを言うなら『可愛い子には旅をさせよ』でしょうが………ちなみにそれは貴女の……リフィア皇女としての私への”命令”?」
胸を張って言うリフィアの言葉に呆れた表情で溜息を吐いたエリゼは気を取り直して真剣な表情で尋ね
「うむ。―――エリゼ・シュバルツァー。これより特務支援課がキーアを取り戻すまでの間、助力せよ。」
「――――承知しました、リフィア殿下。………そう言う訳ですから皆様。今後は私も兄様共々皆様にご協力させて頂きます。」
重々しい様子を纏って指示をしたリフィアの言葉に会釈をしたエリゼはロイド達に振り向いて微笑み
「殿下……ありがとうございます。そしてエリゼさん。これからよろしくお願いします。」
「エリゼちゃんなら大歓迎だぜ♪」
「一杯仲間が増えて良かったね♪」
微笑まれたロイドは明るい表情をし、ランディとキーアは嬉しそうな表情をした。その後少しの時間が経つとセティ達やセシル、さらに親衛隊の服装を身に纏ったリィンが部屋に入って来た。
「ロイド……!」
部屋に入って来たセシルは明るい表情をし
「セシル姉……!それにセティ達も!」
セシル達を見たロイドは明るい表情をしたその時、セシルはロイドを抱きしめた!
「ちょっ、セシル姉!?」
セシルに抱きしめられたロイドは慌て
「あらあらまぁまぁ♪」
「あら♪結構大胆な所があるじゃない♪」
ルイーネとカーリアンは微笑み
「へえ?これが噂のハグか。」
「アツアツだね~。」
「クッソ~……何でロイドばっかり……!」
「……………」
ワジは興味深そうな表情をし、キーアは嬉しそうな表情をし、ランディは悔しそうな表情をし、ティオはジト目でロイドを見つめ
「妬いてはダメですよ、あなた?」
「………別に嫉妬等していない。それに”家族”の再会に水を差すほうが無粋だ。」
「フフ………」
イリーナは微笑みながらリウイに視線を向け、視線を向けられたリウイはわずかに口元を引き攣らせながら冷静な表情で答え、その様子をエクリアは微笑ましそうに見ていた。
「本当に無事でよかった……貴方達が捕まったと聞いてずっと心配していたのよ?」
「セシル姉……ゴメン、心配かけさせて。でも、ルファ姉達のおかげでこうして無事脱出できたから安心してくれ。」
安堵の表情で言ったセシルの言葉を聞いたロイドはセシルから離れた後、申し訳なさそうな表情で答えた後口元に笑みを浮かべて言い
「セティ達も久しぶりだな。こんなにも早くまた会えて嬉しいよ。」
さらにセティ達に微笑み
「ウィルさん達を説得してリウイ陛下達についてきたのですか?」
ティオはセティ達に尋ねた。
「ええ。私達も短い間でしたが特務支援課の一員……同じ仲間だった者として協力したかったですから。」
「ちなみにあたし達全員”匠貴”になったんだよ♪」
「キーアさんを取り戻すまでの間しか力を貸せませんが……………全力で皆さんを手伝わさせて頂きます。」
「3人共……ありがとう!」
セティ達の言葉を聞いたロイドは明るい表情をし
「リィンもまたよろしくな。」
さらにリィンに視線を向けた。
「………お前達は怒っていないのか?俺自身が知らなかったとはいえ、俺はクロスベルで諜報活動をしていたんだぞ?」
「兄様………」
視線を向けられたリィンは驚いた後複雑そうな表情で尋ね、エリゼは心配そうな表情でリィンを見つめた。
「別に気にしていないさ。リィン自身は知らなかったんだろう?それに………俺達はリィンを信じているからな。」
「……!そうか………俺もキーアを取り返す為に全力で力を貸す。……またよろしくな。(………俺が隠していた”力”に気付き、知ったカシウス准将に教えてもらったリウイ陛下達が直々に”力”を解放した状態の俺を鍛えてくれ…………陛下達に鍛えて頂いたおかげで、コントロールできるようになった俺の中に眠るこの”力”………仲間達の為に使うぞ……!)」
口元に笑みを浮かべて言ったロイドの言葉を聞いたリィンは目を見開いた後、笑顔で答えた後胸に片手を抑えて決意の表情になり
「ああ……!」
リィンの言葉にロイドは頷き
(兄様………)
胸を抑えたリィンをエリゼは真剣な表情で見つめていた。
「フフ、早速見れたね♪」
「ええ………」
「さすがはロイドさんですね……」
その様子を見ていたシャマーラやセティ、エリナは微笑み
「………兄様の周りにロイドさんみたいに女性がいなくて本当に安心しました……下手したらロイドさんみたいな人になっている所です………」
エリゼは安堵の溜息を吐いた。
「どういう意味だ、エリゼ?」
エリゼの言葉を聞いたリィンは不思議そうな表情で尋ね
(な、何気に俺が酷い言われ方をしているような………)
ロイドは冷や汗をかいて苦笑しながらエリゼを見つめ
「知りません。ご自分の胸にお聞きになってください。」
見つめられたエリゼはわずかに怒気を纏いながら目を伏せて静かな口調で答え
「??」
エリゼの反応を見たリィンは首を傾げ
(やれやれ…………妹を大切にしている癖に妹の想いに気づいていないとは…………まさかここまで鈍感とはな……)
(まさかリィンさんもロイドさんと同じ危険人物かつ鈍感とは……)
(なんとなくそんな感じはしていたがやっぱりそうだったか………しかも将来はあのエリゼちゃんと結婚できる事といい、マジでロイドと同じリア充野郎じゃねえか!)
(キーアの時代だと、リィンの奥さんはエリゼとアリサだけだけど………もしかして後にもっと増えるのかな??)
その様子を見たリフィアは呆れ、ティオはジト目で悔しそうな表情をしているランディと共にリィンを睨み、キーアは首を傾げていた。
「フフ………さてと。それじゃあ私もロイド達と一緒について行くからよろしくね?」
ロイド達の様子を微笑みながら見ていたセシルはロイド達を見回して言い
「へっ!?」
(あら……)
「セ、セシルさん……!?」
「マジッスか!?」
セシルの言葉を聞いたロイドは驚き、ルファディエルは目を丸くし、ティオとランディは信じられない表情をした。
「ええ。私だってルファディエルと同じロイドの”お姉ちゃん”なんだからずっと力になりたいと思っていたし…………それに……私も知りたいの。ガイさんの死の真相を。貴方達についていけば、きっとわかると思うの。」
驚いているロイド達に微笑みながら答えたセシルは決意の表情になり
「セシル姉……………」
(…………………)
セシルの表情を見たロイドは複雑そうな表情をし、ルファディエルは目を伏せて黙り込んでいた。
「王様達はセシルさんがロイドさん達について行く事は反対しないんですか?」
その時リタはリウイを見つめて尋ねた。
「………これでもセシルの性格はそれなりに把握しているつもりだ。だからセシルが一度決めた事は絶対に曲げない事もわかっている。――――そこの所はティナと一緒だな。」
リタに尋ねられたリウイは答えた後苦笑しながらセシルを見つめた。
「リウイ陛下…………………ありがとうございます。セシル姉、これからよろしくな。」
リウイの言葉を聞いたロイドは驚いた後会釈をし、セシルを見つめ
「ええ。……そういえばツァイト君ともあの大統領演説の日以来だったわね。アリオスさんに連れられたキーアちゃんを追っていって、そのまま行方がわからなかったけど……」
見つめられたセシルは微笑んだ後、ツァイトに話しかけた。
「うむ、追跡していたが……あの”剣聖”が湖に出たことで、完全に振り切られてしまってな。ロイド達には悪いと思ったが、一度態勢を整える為に部下たちの元へと戻っていたのだ。思えば、あの場にいたおぬしにはいらぬ心配をかけてしまったな。」
「くすっ、大丈夫よ。それよりツァイト君が無事でよかったわ。それに、今もロイド達を一生懸命助けてくれてるのよね。これからは一緒に頑張りましょうね。」
目を伏せて言ったツァイトの言葉を聞いたセシルは優しげな微笑みを浮かべた後ツァイトの頭を優しく撫でた。
「!……………………………」
頭を撫でられたツァイトは驚いた後黙り込み
「ふふ、ツァイト君と一緒にいると、何故だかとても落ち着くのよね。あっ………ごめんなさい。こんな気安く撫でてしまって、気を悪くさせたかしら?」
セシルは静かな笑みを浮かべた後目を丸くしてツァイトを見つめ
「……フフ、いや。悪い心地はしなかった。――――キーア。ウルスラ間道でお前に教えられた通りだったな。」
見つめられたツァイトは静かな笑みを浮かべた後キーアに視線を向け
「えへへ………」
視線を向けられたキーアは微笑んだ。
「ええっ!?じゃ、じゃあもしかしてセシル姉が………!?」
(セシルが”ウルスラの聖女”………フフ、まさかセシルがウルスラの末裔とはね……)
「なるほど……やっぱりセシルさんだったんだ。」
「まさかセシルさんがそうだったなんて……………」
「フフ、不思議な運命ですね。」
ツァイトの言葉を聞いたロイドは驚き、ルファディエルは驚いた後微笑み、ワジは静かな笑みを浮かべ、エオリアは驚き、リタは微笑んだ。
「?一体何の話なんでしょうか?」
「後で教えてもらおうぜ。あいつらだけ知っているってのはズルイだろ。」
ロイド達の反応を見たティオは首を傾げ、ランディは真剣な表情でロイド達を見つめて言った。
「………”彼女”の末裔であるセシルは私が責任を持って守ろう。だから安心しておけ。」
「あ、ああ。頼んだ。」
(フフ、『聖女と白い狼』の再現だね。)
そしてツァイトの申し出を聞いたロイドは頷き、ワジは口元に笑みを浮かべた。するとその時
「―――失礼します。」
リーシャが部屋に入って来た……………
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