FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
日焼け止めって大切なんだね
前書き
突然野球小説を書いてみたくなったが、こっちの更新を遅らせたくないというジレンマでなかなか踏み切れないでいる・・・
そもそもすぐに飽きそうな気もするし・・・悩みどころだ。
猫のコスプレをさせられ一日の接客をやらされた次の日、俺たちは今日も人魚の踵のギルドにやって来ているのだが・・・
「海だぁ!!」
「ビーチだ!!」
「「お休みだぁ!!」」
今日はレストランのお手伝いではなく、一昨日の約束通り人魚の踵のビーチを借りている。目の前に広がるのは青い海!!白い砂浜!!そして二日間の地獄のような扱いから解放されたことにより、俺たちは大盛り上がりだ。
「そんなに休んでなかったのか?」
「ここに来る前日はオフだったはずだけど・・・」
「何かしてたのかな?」
カグラさんが俺たちの喜びようを不思議に思いシェリアとウェンディに質問をしている。本当はあの日はお休みだったはずなんだ。だけど、レオンをからかってみたらあっちもムキになっちゃって、一昨日から人魚の踵でお手伝いをするはめになっちゃったんだ・・・精神的に疲れたよ、マジで。
「というわけで!!」
「今日は遊びまくってリフレッシュしようぜ!!」
人のことは言えないが、こんなにテンションが高いレオンは初めて見た気がする。いつもがテンションが低いだけに、印象がガラリと変わるな。
「レオン!!沖まで行ったらダメだからね!!」
「わかった!!」
一昨日着ていたピンク色のビキニに身を包んでいるシェリアにサンダルを脱ぎながら答えたレオンは、Tシャツを脱ぎ捨てオレンジ色の海パンだけになると、海に向かって駆けていく。
「よーし!!」
先を行く彼を見て、上に着ているラッシュガードを脱ぎ捨てて青い海パンだけで身を軽くしようとした。その時・・・
「待て!!」
後ろから大人びた声の女性に頭を掴まれる。
「姉さ・・・エルザが言っていた。お前には露出癖があるから気を付けろと」
「そんな癖ありませんよ!!」
勘違いを招くようなデマ情報を流した緋色の女性を頭に思い浮かべ、フルフルと拳を震わせる。グレイさんじゃないんだから、そんな癖あるわけないだろ。
「ウソをつくなよ。現にたった今服を脱ごうとしたじゃないか」
「いやいや、何言ってるんですか?」
どうやら彼女は、俺がレオンに続いて海に向かう時、ラッシュガードを脱ごうとしたことを問題視しているらしい。なんで俺の周りにはこんな人たちが多いんだろうか・・・
「日焼けしたかったのに・・・」
最近ラッシュガードを脱がせてもらえないから海で日焼けする機会がない。街で脱ぐわけにもいかないから、こういう時しかチャンスがないのに・・・
「だったらギルドで水着を貸s――――」
「さぁ!!泳いでこよっと!!」
ラッシュガードのファスナーを限界まで上げて海へと駆けていく。冗談じゃない、人魚の踵にある水着なんか着たらせっかくのお休みの意味がなくなっちゃうじゃないか。だったらまだラッシュガードを着ていた方がマシだ。
「ほら、昨日俺が言ったことわかったろ?」
「そ・・・そうだね・・・」
水があるところまで行くと、先に海に向かっていた少年が砂浜と海の境界線で俺のことを待ち構えていた。昨日の更衣室でこいつが言っていたことがよくわかるから、なんか悔しいな・・・
「それで・・・」
「ん?」
気を取り直して俺が海に入ろうとしたところ、待っていてくれたはずのレオンが立ち止まったまま動かない。どうしたんだろう?
「大丈夫なんだよな?」
「何が?」
足首だけ水に浸かっている状態で彼の方を向く。何が大丈夫と聞いているのだろうか?さっぱり検討もつかない。
「プールと同じ感じでいいんだよな?」
「ハァ?」
「遊び方だよ、遊び方」
周りに聞こえないようにとボリュームを抑えつつ、顔を近付けてくる少年に思わず後ずさりする。
「もしかして・・・」
そのあまりの剣幕に誤魔化されそうになったが、俺はある結論に至っていた。
「レオンって海初めて?」
「・・・っ!!」
なぜか悔しそうにしている氷の神を見て、何がそんなに気にしているのかわからない。こいつは今までさんざん苦労したんだ。海に遊びに来る暇さえなかったのだろう。そう考えると、これが初めての海だというのもうなずける。
「海に一緒に行く友達・・・いなかったから・・・」
「・・・」
しかし、返ってきたのは予想を遥かに上回るものだった。リオンさんとの修行とかが忙しかったのかと思っていたら、実はそうじゃなかったらしい。それを聞くと、いたたまれない気持ちになって、思わず彼の手を握る。
「今日はいっぱい遊ぼう!!ウェンディもシェリアもいるし!!」
「え?あ・・・うん」
俺のテンションが急に上がったので戸惑っているようだったが、取り敢えずうなずいておくといった感じのレオン。大丈夫、今日はちゃんと思い出が作れるようにしてやろう。最高の初海にしてやる!!
「ウェンディとシェリアも早く来なよ!!」
当初はレオンと競泳でもしようかと思っていたが、ここは楽しく遊ぶために大人数で何かをした方がいい。そのためにと思い二人の少女に声をかけるが・・・
「あ!!うん!!」
「ちょっと待ってて!!」
なぜか彼女たちはいまだに砂浜に立てられたパラソルの下で何かをしているようで、こちらに来ない。
「何やってんのかな?」
「呼び行こ!!」
記念すべきレオンの初めての海なのに、二人は何をやってるのかな?元々ウェンディとシェリアがビーチを借りたいと言って昨日も働いたのに、俺たちだけはしゃいでるのはもったいない。
「ウェンディ、シェリア、早く来なy・・・」
二人が休んでいるパラソルのところまでやって来て、思わず硬直してしまう。その理由は、彼女たちがやっているある行動を見てのことだった。
「わっ!!待っててって言ったじゃん!!」
そう言ったシェリアはうつ伏せになったまま、見えていないだろうが、念のためにといった感じに胸を隠している。え?水着してるだろって?それが上だけ外してたんだよ、ウェンディにサンオイル塗ってもらうために。
「ご・・・ごめん!!」
「そういうことか」
天神の姿を見ないようにと海の方に向き直る俺とレオン。何やってるのかと思ったら、日焼け止めを塗ってたのか。確かに肌を守る上では重要だよね。
「シリルとレオンだけで海であs・・・」
瓶を片手に彼女の背中にオイルを塗ろうとしていたウェンディが俺たちを追い払おうとしたが、少女は何かを思い付くと、含みのある笑みを浮かべる。
「レオン!!シェリアがサンオイル塗ってほしいんだって!!」
「えぇ!?」
まさかの発言にもっとも動揺したのは寝転んでいるビッグテールの女の子だった。無論、彼女はそんなことは言っていない。そもそも言ってたらあんなに恥ずかしがる必要はないだろうしね。
「え?いや・・・」
「ほら!!これ塗ってあげて!!」
断ろうとしているレオンに液体の入った瓶を無理矢理に押し付けるウェンディ。彼女は少年の背中を押すと、無理矢理にシェリアの前に座らせる。
「じゃ!!私たちは向こうに行ってるから!!」
「あ!!待ってよウェンディ!!」
俺の手を握り、海の方に行こうとしたウェンディをシェリアが呼び止めようとする。しかし、水着を外している彼女は起き上がることができず、叫ぶことしかできない。
「そっちがそんなことするなら・・・」
だが、少女は自分だけを辱しめようとする彼女に仕返しをしようと考えた。
「ウェンディもシリルにオイル塗ってほしいんだって!!」
「「えぇ!?」」
なんと、自分がやられたことと同じことをやろうとするシェリアに立ち止まって振り返る。なんてこと言い出すんだあいつは!!
「あ!!でももうサンオイルないし・・・」
「それならギルドにたくさんあるが?」
恥ずかしくなったウェンディが顔を赤らめそう言うが、空気が読めていないカグラさんが持っていた瓶を俺に手渡してくる。色恋沙汰に関心のない彼女は、たぶん悪意もなくこれを渡してきたんだろう。でも、受け取ったからにはやらなくちゃいけなくなるんだけど・・・
「シリル、ここ空いてるぞ」
「一緒にやってもらおうよ!!ウェンディ」
寝転んでいる少女の隣のシートを指さすレオンと開き直っているシェリアがいつもの様子でそう言う。
「ジャジャーン!!」
「ほら!!やってもらいなさいよ!!」
「シリルも早く早く~!!」
顔を見合わせている俺とウェンディの目の前に突然現れたラウル。彼に驚いていると、後ろから一昨日と同様の水着に着替えていたシャルルとセシリーに背中を押される。
「しゃ・・・シャルルたちは?」
「日焼け止め塗らなくていいの?」
白髪の少女にうつ伏せに倒された少女と茶髪の少女に彼女の前に座らされた俺が問いかける。できることならこいつらも巻き込んでやりたい。みんなでやれば怖くないって奴だ。
「あらごめんなさい。私たちは向こうで済ませてきたわ」
「リズリーさんたちに塗ってもらったよ~」
「だからもう大丈夫!!」
しかし、彼女たちはこの状況を読んでいたらしく、そう返すと海に向かって走り出す。残された俺たちは、このどうしようもない状況に顔を赤らめていた。
「カグラさんカグラさん」
「どうした?ソフィア」
俺がやらないといけないのかと心の準備をしていると、ギルドから水着に着替えてきたソフィアが同じような瓶を持ってカグラさんの背後にピッタリとくっついている。
「ソフィアが日焼け止め塗ってあげるよ?背中とかお尻とかお胸とか」
明らかに狙いが丸見えの少女の言葉に苦笑い。彼女はスタイル抜群のカグラさんの体を触りたくて触りたくて仕方ないのだろう。
「いや、気にすることはないぞ。むしろ・・・」
何をされるかわかっていた黒髪の女性はやんわりと断ると、ソフィアの持っていた瓶を奪い取る。
「私が塗ってやろう。胸とか尻とか内股とかな」
「へっ?」
その瞬間、全員の表情が強張った。カグラさんの目が笑っていなかったからだ。日頃の恨みを晴らす気満々な彼女の姿に、銀髪の少女は思わず後ずさりする。
「い・・・いや・・・遠慮し――――」
「ほら!!早く寝ろ!!」
逃げようとしたソフィアの頭を鷲掴みにし、余っていたシートに押し付けるカグラさん。彼女は抵抗させないためにと、寝かせた少女のトップスの紐をすぐさま緩める。
「まずは胸からだな」
「キャアアアアアア!!揉まないでぇ!!」
本来背中や肩の後ろなどの本人が届かない部位を塗ってあげるものなのだが、完全にセクハラに走っているカグラさんを見て、どんな表情をすればいいのかわからない。目が甘いから喜ぶべきなのか、はたまた何も見ていないフリをするべきなのか。
「シリルはあそこまでやらなくていいからね」
「わかってるから、安心して」
念のためといった感じなのか、顔だけこちらに向けるウェンディがそう言う。もちろんあんなことしない。できるわけないじゃん。後で大変なことになるのが目に見えてるから。
「これってどこ塗ればいいの?」
そんな中、手にオイルを垂らしている金色の少年が周囲の者に質問する。天然の感じがある彼も、カグラさんのは違うとわかっているようで、皆に確認しているのだった。
「背中とか」
「肩の後ろとか」
「お・・・お尻とか」
「「「「!?」」」」
ウェンディと俺が一般的な部位をあげると、一人からおかしい言葉が放たれる。それを聞いた俺たち全員は、一斉にその少女の方に視線を向けた。
「なるほど、了解了解」
そしてその言葉を鵜呑みにした少年が冷静にうなずくと、瓶を近くにおき、オイルを両手に広げていく。
「え?シェリアマジ?」
「せ・・・攻めるね、シェリア」
隣でオイルを塗ろうとしている俺とウェンディは、最後の部位をあげた少女に驚きの声をあげている。 そりゃそうだ。だってこれからオイルを塗られる本人がそんなことを言うのだから、驚かない方がおかしいというものだ。
「聞いたかソフィア。ちゃんと体の隅々まで塗ってやるからな」
「いいです!!お願いもうやめて!!」
シェリアの言葉を聞いたカグラさんは、今がチャンスと言わんばかりにソフィアの体をまさぐっている。カグラさんか大人びているだけに、百合にしか見えなくてなんか目を奪われる。
「ほい」
「冷たっ!!」
一方隣では、レオンがシェリアの背中に手を押し当てているが、少女はそれが冷たかったようで、体をビクッとさせていた。
「レオン、両手で温めてから付けて」
「ほうほう」
どうやら日焼け止めの塗り方にも決まりがあるらしい。確かにこんなのいきなりつけられたら冷たくて仕方ないな。納得したレオンと同じように俺も両手を合わせて手を温めておく。
「行くよ、ウェンディ」
「うん・・・」
大きく深呼吸をして気持ちを落ち着けた後、目の前の少女の背中にそれを塗っていく。なんだろ、すげぇドキドキする。
「ほれほれほれ」
「ちょっとぉ!!中はやめてよぉ!!」
変な気持ちにならないように気を付けながらウェンディの背中を触っていると、目の前ではまだ幼さが残る少女を成長し切った女性が体を乗せ、身動きを封じつつパンツの中に手をいれ、揉みしだいている。
「これくらい?」
「うん!!ありがとね」
隣のペアはちょうどいい温度までなった日焼け止めをシェリアの背中に塗り始めていたところだった。ただ、レオンがさっきのシェリアの言葉を信じており、お尻にもオイルを塗っていて、見てて恥ずかしくなってきた。
「し・・・シリル」
「ん?何?」
他のペアの危険な匂いがする日焼け止め塗りに顔を赤くしていると、俺のペアの少女から声をかけられる。
「その・・・もし塗りたかったら・・・お尻やってもいいよ?」
「!!」
可愛らしい少女の大胆なお誘い。何?まさかウェンディも周りに毒されてきた!?
「どうする?」
「いただきます!!」
顔をあげずに伏せている少女のお尻に手を伸ばす。最近積極的になりつつある少女が勇気を振り絞って放った言葉なのだから、受けないと男じゃないよね。
「んん・・・」
緊張で体に力が入っている。だけど、触っているそれは女性らしく丸みを帯びており、柔らかくてこちらまで緊張してくる。
「ふぅ、飽きたな」
「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
ウェンディのお尻の感触を堪能していると、ソフィアの体を弄ぶのに飽きたカグラさんが立ち上がり、その場を離れていく。残された少女は体に力が入らないらしく、呼吸を繰り返すだけで起き上がれずにいた。
「ほい、終わったよ」
「え?もう?」
それを見て、レオンも立ち上がる。眠っているかのように静かになりつつあった少女は、お楽しみの時間が終わってしまったと残念そうにしていた。
「こっちも終わったよ、ウェンディ」
「うん!!ありがと」
俺もウェンディの背中やお尻にオイルを塗り終えたため、彼女にそう告げて立ち上がる。
「シリルも塗ってあげようか?」
「え?」
水着をつけ直すであろう彼女たちを見ないようにするために離れようとすると、ビキニの紐を結び直している天竜がそう言う。
「シリルちゃんも塗るの?」
「手伝ってあげよっか?」
「楽しそうだな」
ウェンディの言葉を聞いたソフィアとシェリア、カグラさんが乱入してくる。なんでこの人たちこんなにノリノリなんだ?嫌な予感しかしないぞ?
「い・・・いや・・・やめておきます!!」
「逃げた!!」
「待てシリル!!」
「観念しなさい!!」
いい予感がしなかったため大急ぎで逃げていく。しかし、なんて執念深いんだろうか、彼女たちも砂浜の上を走って追いかけていく。
「日焼け止めは塗った方がいいと思うけどなぁ」
「ラウもそう思うよ」
「いいんじゃない?別に」
「後で困るのはシリルだし~」
その様子を見ていたレオンとエクシードトリオは海に足を入れながらそんな話をしていた。
しばらくして、五分ほど立つとウェンディたちは追いかけるのを諦め、仕方なく日焼け止めのことは勘弁してくれることになった。
その後、ビーチボールや水浴びなどをして日が暮れるまで遊び、あと一日部屋を借りているホテルへと戻っていったのだった。
「っ!!いったぁ!!」
その日の夜、人魚の踵が保有している温泉があるとのことで入らせてもらうことになったんだが、昼間に露出していた肌が赤くなっており、お湯に浸かると痛むこと痛むこと。あまりの痛みに足を入れては悲鳴をあげてを繰り返していた。
「そうなると思ったよ」
「シェリアたちに塗ってもらうべきだったね」
対して日焼け止めを塗っていないはずのレオンと最初に塗り終わっていたというラウルが俺を見ながらそう言う。ラウルはともかく、なぜレオンは大丈夫なんだ?おかしいだろ。
「俺、リオンくんに街で脱がされることあったから、日焼けには耐性あるんだ」
「う・・・羨ましい・・・」
言われてみると、いい感じに焼けている彼の体を見て、自分の赤くなっている体と比べてしまう。言われてみると日焼けなんて気にしたことなかったから、耐性なんかほとんどなかったのかも・・・
「カグラさん!!昼間の仕返し受けてくれるよね!?」
「待て!?言う前から揉んでるじゃないか!!」
「問答無用!!」
「や・・・やめ・・・あぁ・・・」
その頃隣・・・女湯の方からはソフィアが日中のことでカグラさんにリベンジをしているらしく、彼女たちのそんなやり取りが聞こえてきて、俺もレオンもラウルも、言葉を発する気がなくなり、静かに温泉を楽しんだのだった。
後書き
いかがだったでしょうか。
日焼け慣れしてない人って肌赤くなっちゃいますよね?昔は私もそうだったけど、いつしか普通に肌が黒くなるようになりました。
次はオリジナル長編をやろうと思います。完全に遊びです。以前言っていたゲーム大会みたいな感じです。
大魔闘演武を思い出すかもですけど、その辺は目を瞑っていただく方向で・・・
ページ上へ戻る