転生とらぶる
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機動戦艦ナデシコ
1416話
「きゃああああああああっ!」
「ユキナ!」
影のゲートから俺達が姿を現した時、白鳥とユキナの2人はそんな悲鳴を上げながら影から抜け出る。
……まぁ、白鳥はともかく、ユキナは影槍が触手かロープの如く胴体に巻き付いて強制的に引っ張ってこられたからな。
こんな風に騒いでもおかしくはない。
だが、それは騒いでいる理由を知っている俺だからこそな訳で……影のゲートの転移先、コンテナの中では当然その悲鳴に反応する者も多い。
「何奴!」
そう告げ、素早く桜咲が持っていた野太刀を引き抜き、その刃を俺の方へと向け……
「え?」
刃の先にいたのが俺だと知ると、慌てて構えを解く。
「ちょっとアクセル! あんた、いきなり転移してくるのは止めなさいよ!」
桜咲に続いてそう言ったのは、こちらも反射的な動きでアーティファクトのハリセンを取り出していた神楽坂。
エリナの方は何が起きたのか理解出来ずに固まっており、最後の1人のヤマダは俺達に気が付いた様子もなくコンテナの中に設置されているTVでゲキガンガーを見ていた。
「アクセル代表これは……うん? なっ!? あ、あれはもしかして幻の!」
白鳥が俺に何かを言おうとしたのだが、その前にヤマダが見ていたゲキガンガーに視線を向けると、慌てたようにその隣に座る。
……幻? 映像データの類はクリムゾングループとかから提供されているものだとばかり思ってたんだが、この様子を見る限りだと違うのか?
聖典とか呼ばれているくらいなんだから、当然その聖典の欠けている部分は最優先で入手するものだとばかり思ってたんだが……
「くーっ! やっぱりこのシーンはいい! なぁ、お前もそう思わないか!?」
「ああ。幻と言われたこの回を見る事が出来るとは……」
そしてゲキガン好き同士と言うべきか、ヤマダと白鳥は殆ど言葉も交わさぬ状態で仲良くなっていた。
いやまぁ、それは悪い事じゃない。寧ろヤマダと会わせようとしていた俺としては、何もせずに仲良くなってくれたのだから大歓迎だ。だが……
「ガーン! え? え? あれ? ちょっと、ここどこ? 私さっきまで家にいたのに……えええええええ! 何よこれ、何なのよ!」
うん。ユキナを置いてけぼりにしてさえなければ、だが。
エリナと神楽坂からはどうにかしろといった視線を向けられ、桜咲は困惑しつつもここが敵地だというのを忘れていないのか近衛の側から離れず、そして近衛は何かを少し考えると、立ち上がってそのままユキナへと近づいていく。
「ちょっ、お嬢様!?」
「あはは。大丈夫やて。えっと、お嬢ちゃんは何て名前なのかなー?」
「……ユキナ。白鳥ユキナ」
「そっかー、白鳥ユキナちゃんかー。うん。私は近衛木乃香言うんや。よろしくなー」
完全に子供扱いされたユキナが不満を口にしようとするが、近衛から笑みを向けられるとそれ以上は言葉に出来ないらしく黙り込む。
俺と知り合った時からのんびりものというか、千鶴とは違った意味で母性が強かった近衛だが、20代になってその母性はより増している。
俺が知ってる限りだと、技術班の中からも何人か近衛の事を狙っている奴がいるらしい。……まぁ、鉄壁のガードを誇る桜咲の壁を突破は出来ないようだが。
技術班の面子なら色々な意味で桜咲を攻略しそうな気もするんだが……どうやら全て撃退されているらしい。
中にはメギロートを囮にして……と考えていた者もいたようだったが、雷鳴剣とかの雷系の攻撃が直撃してそのメギロートも破壊されたとか。
ともあれ、そんな桜咲がユキナを警戒している中で近衛はユキナの頭を撫でる。
「ちょっと驚いてしまったみたいやなー。でも、ここは別に危ない場所やないから、安心してや」
「え? あ、うん。……分かった」
おお、近衛がユキナを落ち着かせた。さすが。
そんな風に思っていると、その近衛が俺の方へとジト目を向けてくる。
「アクセル君、また何も言わずに影のゲートを使ったんやろ」
「そう言ってもな。ナデシコ世界の人間に影のゲートを説明しても、信じられると思うか?」
「それはそうやけど。それでももうちょっとやりようがあるやろ」
「そうね。私もこのかの言葉に賛成するわ」
神楽坂が頷きながらそう呟く。
「え? 何を言ってるの? ナデシコ世界? ここってどこなの?」
置いてけぼりのユキナが、周囲を見回しながら呟き……ヤマダと熱く語り合っている白鳥を見て何か言おうとして諦め、溜息を吐く。
寧ろ、それで落ち着いたのだろう。
「えっと、アクセル。それでここはどこなのよ? そっちにいるお兄ちゃんの同類は誰?」
「エリナ、頼む。ここは俺が説明するより、ナデシコ世界の住人が説明した方がいい」
「分かったわよ。……はぁ」
溜息を吐きながら、エリナはユキナへと近づいていく。
「初めまして。私はネルガルの会長秘書をしているエリナ・キンジョウ・ウォンよ」
「ネルガル? ……っ!? 地球人!?」
ネルガルという言葉は木連の中でも広がっていたのか、数歩後退る。
まぁ、月の件にも火星の件にも関わっていたんだし、それは木連の中でも名前が知られているか。
クリムゾングループの件がどうなってるのかは、少し気になるが。
「ああ、言っておくけど地球人……この世界の地球人はそこのエリナと、お前の兄貴と一緒にゲキガンガーを見てる奴だけだぞ」
「え? その、どういう事?」
「シャドウミラー……って言葉に聞き覚えはないか?」
「それって、地球の……」
うん? 地球? 何がどうなってそうなってるんだ?
ああ、いや。なるほど。木連の人間の中にはヤマダモドキが多いんだから、異世界からやって来たってのを大々的に公表すれば、当然シャドウミラーと戦えという話になる。
だが現在木連を動かしている草壁は、俺達シャドウミラーの実力をこれ以上ない程によく知っており……まぁ、火星や地球での戦いの情報があれば、とてもではないが俺達シャドウミラーと戦おうとは思わないだろう。
特にシステムXNがある以上、木連に直接転移してきて攻撃するのすら可能なのだ。
実際に木連へと転移してきた実績がある以上、草壁としてはその脅威を十分過ぎる程に理解している。
その結果が、こうして俺達の事を一般には広めていないって選択なのだろう。
俺達シャドウミラーの存在をどこまでの人間が知ってるのかは分からないが、それでも白鳥の妹であるユキナが知らないというのは、白鳥も妹に話していないという事であり、それがかなり厳しい情報統制が行われている証だ。
「まぁ、そうだな……俺達は地球とは違う第3勢力だと思ってくれ」
「……第3勢力? 何よそれ、私達の敵なの、味方なの?」
「その辺は……これからの白鳥の選択次第だろうな」
もし白鳥が、絶対にこっちの要求を呑めないと言うのであれば、こちらとしても強硬手段に出ざるを得ない。
そして強硬手段に出た時点で、木連は大きな……それこそ、下手をすれば全滅に近いだけの被害を受けるのは確定と言える。
そうなれば当然多くの人の命が消えるだろうし、俺達が欲しているヤンマやカトンボの生産プラントが損傷を受ける可能性もある。
そう考えると、やはりこちらとしては白鳥がこちらの説得に応じてくれる方が……
「そうか、やはり君もそう思うか! 私もこのままでは木連が間違った方向へ進むのだとばかり思っていたのだ! それを正す為には、やはりアクセル代表の提案に乗るが一番いいのかもしれないと」
「かーっ! 男だねぇ、あんた。……白鳥っつったよな。お前は俺の親友……いや、心の友と書いて、心友だ!」
うん、何かいつの間にか初対面から知り合い、友人を通り越して心友にまで超進化してるな。
いや、勿論こちらとしてはそうなるように狙っていたんだし、それが目的ですらあった。
だが……それでも、まさかこんな簡単にこちらの予想通りになるとは思わなかった。
「アクセル、何だか自然と解決したみたいよ?」
エリナの言葉に、俺が出来るのはただ頷くだけだった。
「ふーん、じゃあ地球だとゲキガンガーはそんなに有名じゃないのね」
「そうね。何しろ100年近く前のアニメだもの」
ユキナの言葉にエリナが頷く。
そんなユキナの表情には、どこかほっとした色があった。
「だよね。あー、羨ましい。こっちだとゲキガン馬鹿が多すぎて困ってるのよ」
「ありゃ、ユキナちゃんはそのゲキガンガーいうアニメ嫌いなんか?」
「そうよ。お兄ちゃんもなんであんなアニメに一生懸命になっているのかしら」
心友事件から30分程。
現在コンテナの中は奇妙な程に友好的な雰囲気が漂っている。
ここにいるのが、木連と地球の討伐軍から派遣された人員、そしてシャドウミラーという面子が揃っているとは思えない程に。
普通なら、エリナや俺達はともかく木連は賊軍側なのだから、戦いになってもおかしくないんだが。
いや、そうならないように色々と手を打ってきたんだから、敵対されたら困るんだが。
そんな訳で、白鳥の相手はヤマダに任せて俺達は少し離れた場所で情報交換……という名のお茶会を開いていた。
まぁ、情報ってのは何気ない会話からでも結構得られるものだ。
神楽坂や桜咲、近衛には無理でもネルガルの会長秘書という立場にあるエリナなら、そのくらいは容易にやってのけるだろう。
俺も勿論駄目な方なので、特に情報を集めようとかは気にしないで少し離れた場所で本を読んでいる。
ゲキガン組に入る気にはなれないし、かといって女同士の話に割り込む程に命知らずでもない。
……まぁ、でも聞こえてくる話の内容で、多少の情報は得られたけどな。
木連にいる全員がゲキガン好きって訳じゃないのは、ユキナを見れば明らかだろう。
つまり、前に予想したように一定数はゲキガンガーを好まない奴がいる訳だ。
それが具体的にどれくらいの人数かは分からないが……これは重要な情報になるだろう。
ともあれ、そんな風にそれぞれ話が続いていき……やがて1時間程が経ち、エリナが口を開く。
「今日のところはそろそろお開きにした方がいいんじゃない? ユキナや白鳥さんは明日も忙しいんでしょうし」
その言葉に、ユキナは我に返ったように時計を探すが……そもそも白鳥の部屋にやって来た時に強引にこっちに連れてこられたのだから、時計を持っている筈もなかった。
腕時計の類をしていれば話は別だが、そういうのもしてないみたいだし。
PDAの類も持ってきていないらしく、全く時間が分からない状態になっている。
まぁ、コンテナの中に木連の時間に合わせた時計を置いてあるので、その辺は問題ないが。
その時計を見ると既に午後10時を過ぎており、確かにそろそろ帰った方がいい時間にはなっていた。
「む、それもそうですね。ユキナもそろそろ寝させないといけませんし」
「ちょっ、お兄ちゃん!? 私はまだ寝るような時間じゃないわよ!」
「そうか? 子供はもう寝てもいいだろ? それにゆっくりと眠らないと大きくなれないぞ」
「ムカムカ! そんなのお兄ちゃんに関係ないでしょ! 私はもう夜遅くまで起きていても大丈夫な大人なんだから!」
あー……これはあれだな。子供が大人ぶりたくて夜遅くまで起きているって奴。
で、次の日に何時まで起きてたんだけどって友達に自慢するような。
「けどだな、ユキナ」
「はいはい、そこまでだ。兄妹喧嘩は家に戻ってからしてくれ。……それと、白鳥。今この場で聞くのもなんだが、お前は俺達に協力してくれると考えていいのか?」
ヤマダとのやり取りでは随分と意気投合してたが、だからと言ってこちらの提案を受けるのかと言われれば、それもまた微妙な訳で……
だが、そんな俺の思いは白鳥が頷いた事によってすぐに解決する。
「はい、アクセル代表。木連が間違った方向に進もうとしているのであれば、私は木連の軍人としてそれを止めねばなりません。それに、地球にも私達と同じく……いえ、私達以上にゲキガンガーを愛する人がいると知りました。正義と熱血の心を持つ人が相手であれば、私も信じる事が出来ます」
「そうか」
……どうやら、予想以上にヤマダとのやり取りは効果的だったらしい。
白鳥の側では、ヤマダが何故か涙を流しながら喜んでいる。
これは、ゲキガン好き同士で戦わなくても良くなったから、その涙か?
まぁ、それはともかく……
「分かった。なら、俺達もそれに協力しよう。幸い一人はこっちに引き込む算段は付けてるしな」
「……え? 誰です?」
そう尋ねてくる白鳥に、俺は神楽坂へと視線を向ける。
女で釣るようで悪いが、取りあえず高杉はこっちに引っ張り込めるだろうな。
ただ、その為には当然神楽坂と高杉を会わせる必要があるんだが……言うまでもなく神楽坂の外見は美人だと言ってもいい。
そんな神楽坂だけに、女が少ない木連の中を堂々と歩ける筈もなく。
白鳥の家に高杉を呼んで貰って、影のゲートで連れてくるってのがベストだろうな。
「ああ、それと……」
空間倉庫から、映像データの入っている手の平大の再生機器を白鳥へと渡す。
最初はそれが何なのか分からなかった白鳥だったが、誰からの映像データなのかを説明すると、目を輝かせて喜ぶ。
……ユキナの視線が妙に鋭かったのは気になったが。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:505
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1208
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