英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
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外伝~古戦場の調査~後篇
~古戦場~
「………あの白い狼…………………」
リーシャに近づいてきたネネカは真剣な表情でロイド達やツァイト去った方向を見つめていた。
「?ツァイトがどうしたのかしら?」
ネネカの様子を見たエルファティシアは不思議そうな表情で尋ね
「なんか……あの狼だけこの辺にいる獣達とは違う感じがした。」
「まあ、確かにそれは私も前々から感じていたけど……………」
ネネカの答えを聞いたエルファティシアは不思議そうな表情で呟き
「………何にせよ……ロイド様達のおかげで……手間が一つ省けました……………」
チキは静かな表情で言った。
「……………………………」
一方リーシャは何も語らず黙り込んでいた。
「どうしたのかしら?リーシャ――――いえ、”銀”。その様子だとやはりチキ達―――”ラギール商会”と契約したことに後悔しているのかしら?」
リーシャの様子を見たエルファティシアは静かな表情で尋ね
「………なんでもありません。今は機を窺う時……行きましょう。」
リーシャは静かな表情で答えた後チキ達を促し
「………一つだけ聞いていいかしら?」
「……何ですか。」
そしてエルファティシアに尋ねられたリーシャはエルファティシアに視線を向け
「貴女はルファディエルにまんまと騙された上、掌で踊らされたようだけど………その事については何とも思っていないのかしら?」
「……………別に。………あれはルファディエルさんの言葉の意味をちゃんと理解していなかった私が迂闊だっただけの話ですし、その結果”ラギール商会”――――いえ、メンフィル帝国の力を存分に借りられる事になりましたから、むしろ感謝しているぐらいですよ。そのおかげで私は”黒月”とは比べものにならないくらいの……このゼムリアでは”最強”と言っても過言ではない勢力に入って”私の目的”を達することが出来るのですから。」
エルファティシアの疑問に複雑そうな表情で答えた後一瞬不敵な笑みを浮かべ、そして真剣な表情でチキに視線を向けて言った。
「………………私達にとって貴女も貴重な戦力の一人です………改めてよろしくお願いします………」
一方リーシャの言葉にチキは静かな表情で会釈をし
「―――こちらこそ。それよりチキさん………再度確認させてもらいますが、契約の一つとして私が提示した”あの件”は必ず守っていただけるのですよね?」
リーシャは目を伏せて答えた後真剣な表情で尋ね
「……既にご主人様―――リウイ様に事情を話して了解していただき………現在は…………ペテレーネ様とティア様のスケジュールを…………調整中との事です……………遅くとも………1年以内には御二人が揃って………銀様が指定した………”あの方”の治療に行けるそうです……………」
「―――ならば構いません。私にとっても貴女―――いえ、メンフィル帝国と”六銃士”やその仲間の方達に加え……”嵐の剣神”達も加わっている”貴女達の勢力”は私の目的の…………”血染めの(ブラッディ)シャーリィ”……いえ、あの襲撃に関わった武装集団全てへの復讐の為に…………そして今後の為に必要ですので”黒月”のように裏切るつもりはありませんので、ご安心ください。」
チキの返事を聞いて頷いた後全身に膨大な憎しみを纏わせて不敵な笑みを浮かべて言い
「………………………」
「お前…………………」
「――――貴女の諜報能力や戦闘能力………期待させていただきます………銀様……………」
リーシャの表情やリーシャが纏っている空気を見たエルファティシアは重々しい様子を纏って目を伏せて黙り込み、ネネカは真剣な表情でリーシャを見つめ、チキは静かな表情で言った後会釈をし
「お任せ下さい。ですが”赤い星座”………いえ、”血染めの(ブラッディ)シャーリィ”だけは必ず私がこの手で殺さないと気がすみませんので、そこの所も他の方達に伝えておくのを忘れないで下さい。」
「………了解しました……………ただ………仇を見つけたからと言って……………周囲を確認せず……………単独で挑むような事はできるだけ………避けて下さい……………勿論貴女を心配している事もそうですが……………現在の私達には………貴女のように諜報能力に……特化した方はいらっしゃいませんので…………」
「…………その程度の感情のコントロールはできますので、心配無用です……………―――行きましょう。」
そしてリーシャはエルファティシア達と共にその場を去り、ロイド達はタングラム門に戻ってダグラスに報告をしていた。
~タングラム門~
「―――以上が今回の依頼の顛末です。おそらく、これ以上軍用犬による被害がでることはないと思います。」
「………なるほどな………」
報告を聞いたダグラスは考え込み
「え、えっと……」
「なんだ、ダグラスの兄さん。すっかり黙っちまってよ。」
「軍用犬を退治しなかったのはやっぱマズかったでしょうか?」
ダグラスの様子を見たロイドは戸惑い、ランディとノエルは尋ねた。
「……いや、上出来だろうぜ。予想を超えた結果なんでちょっとおどろいちまってな。」
「まあ、軍用犬を説得したなんて、普通に考えてありえないしな……」
「た、確かに信じられないかもしれないわね。」
ダグラスの言葉を聞いたリィンは苦笑し、エリィは疲れた表情で言い
「でも、事実ですから問題ないかと。」
二人の言葉にティオが指摘した。
「……いや、結構だ。穏便な解決ができるならそれに越したことはない。ご苦労だったな、支援課諸君。おかげで懸案していた事が一つ片付いたぞ。」
「それはよかったです。また何かあったらいるでも呼んでください。」
「ああ、そうさせてもらおう。―――では、引き続き俺達は厳戒態勢を続ける。そちらも気を付けろよ。」
「……はい!」
その後ロイド達はタングラム門を出て、車に乗り込もうとした所、ロイドのエニグマが鳴りはじめ、ロイドは通信を始めた。
「はい、特務支援課、ロイド・バニングスです。」
「あー、いたいた。今、どこにいんのさ。」
「あのな………こういう時はちゃんと名乗るのが礼儀だろ?タングラム門だけど……どうしたんだ、ヨナ?」
「アンタら、確か今日から支援業務に戻ってんだろ?ちょっとボクの頼みを聞いてくんないかな~って。」
「いや、だから勝手に警察のデータベースを覗くなって………それにこっちだって忙しいのは忙しいんだから――――」
「フフン、この前、行方不明の遊撃士の捜索を手伝ってやったのは誰だよ?借り、返すって言ってたよな~?」
「ぐっ………仕方ない。何でも引き受けられないけど話だけは聞いておこうか。どこまで行けばいいんだ?」
「だったら港湾区にある灯台の前まで来てくれよ。そこで待ってるからさ♪」
「灯台?何だってそんな場所で………」
「フフン、来てのお楽しみだって。それじゃあ、待ってるぜー。」
「あっ……まったく。」
通信を終えたロイドは呆れ
「またヨナが勝手な事を言いだしたんですか?」
ロイドの様子を見たティオはジト目で尋ねた。
「いや、まあ………」
ロイドは仲間達に港湾区の波止場にある灯台前に呼ばれた事を話した。
「ハア?何だってそんな場所に……」
「港湾区の灯台というと、元黒月の拠点だった場所の近くだったよな……」
話を聞いたランディやリィンは不思議そうな表情をし
「確かに、リンさんたちの調査を手伝ってもらったし……話を聞いてあげるくらいはいいんじゃないかしら?」
「一区切りついたらさっそく行ってみましょうか?」
エリィとノエルは提案した。
「ああ、そうしよう。」
「まあ、こちらの都合を聞かずに勝手に言ってきたことですから。多少待たせても問題ないかと。」
「ハハ、それもそうだな。」
その後他の支援要請を片付けたロイド達は港湾区の灯台前に向かった……………
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