リリカルなのは~優しき狂王~
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第七話~勝利と思惑~
前書き
更新遅れてごめんなさいm(_ _)m
リアルの方が忙しくなかなか執筆が進みません。
でも週2ぐらいで進めていけたらと思います。
それとこれからは週末に更新するようになると思います。
それでは本編どうぞ
山岳リニアレール・走行中
ライがシャマルからFW陣と今回同伴していたリーンフォース・ツヴァイのデータを確認している頃、FWの新人四人は各々で戦闘を開始していた。
始めは先の任務が上手くいった為自信満々に対応していた四人だったが、今は月下一機と無頼二機を相手に車両の屋根で全員厳しい顔をしている。そんな中FWメンバーの一人、ティアナ・ランスターは懸命に残りのFWの三人スバル・ナカジマ、エリオ・モンディアル、キャロ・ル・ルシエに指示を出していた。
ティアナ「エリオ、キャロ!二人はフリードを使って敵を分断、引き離して!」
エリオ・キャロ「「はい!」」
ティアナからの指示で、キャロは自身の使い魔でありパートナーであるフリードに牽制の攻撃をしてもらい無頼二機を引き離そうとする。フリードは無頼に付かず離れずの距離を保ちながらエリオとキャロを背中に載せ後部車両の方に移動する。その陽動に乗ったのか無頼二機はフリードの後を追って行く。
それを確認したティアナは残る蒼の月下に目を向ける。
ティアナ「スバル!二人でコイツを抑えるわよ!」
スバル「応!」
ティアナからの言葉に大きな声で答えるスバルであったが、その表情に余裕は余り無かった。
リニアレール後部車両・屋根
キャロ「フリード!ブラストレイ!」
咆哮をあげ、火炎を吐き出すフリード。
無頼二機を引き離し、遠距離から魔法を使うキャロたちであったがその効果は余り見られなかった。
エリオ「まただ!」
二機の内、前衛にいる一機が両腕のトンファーを展開させ腕を振り火炎を振り払う。そして、後衛の無頼が反撃として手に持ったライフルを発砲してくるのをフリードは匠に飛行し躱す。先程からそれを繰り返していた。
キャロ「エリオ君、あの腕に付いてるのって…」
エリオ「うん。AMFが展開されてる。しかも全身を纏っていない分出力が高いみたいだ。」
FWの四人がKMFの対応に一番ネックになっている原因がそこであった。無頼の本来スタントンファである部分をAMFを展開している。しかもガジェットと違い、トンファーの部分のみに収束することで高出力のものになっている。本人たちは知らないことではあるが、その出力はなのはのディバインバスターを弾くほどになっている。その為、FW陣は魔法での攻撃を全てキャンセルされ防戦一方であった。
リニアレール前部車両・屋根
その頃、スバルとティアナも月下相手に苦戦を強いられていた。
スバル「はぁぁーーー!」
気合の掛け声と共に月下に拳を叩き込む。しかし、月下は右腕に持つ刀を使いそれを正面から受け止める。スバルは攻撃を受け止められた瞬間その場を離れる。そして、自分が今までいた場所を見ると、そこには飛燕爪牙が打ち込まれていた。
スバル「ティア、どうする?このままじゃ…」
ティア「私だってこのままじゃマズイって分かってるわよ!」
スバルからの問いかけに苛立ち混じりに返答をしてしまうティアナ。彼女は焦っていた。無頼と月下を引き離すことに成功し、これで各個撃破できると考えていたのだがAMFを持っていたのは無頼だけでは無かったのだ。無頼のトンファーに装備されていたように月下には回転刃刀にAMFが装備されていた。その代わり、刃にチェーンを装備はされておらず、もともとの切れ味を出せてはいないのだが、対人戦闘に使われているため切れ味はあまり関係していなかった。
ティアナ(敵の武器は胸のアンカーと手の剣……あの形は刀だっけ?しかも足についてるローラーで小回りはスバル以上だし…)
そこまで考えてティアナは月下の左腕に目を向ける。
ティアナ(どう見ても何か仕込んで有りそうな左腕。切り札はまだあるってことか…)
ティアナがこれからどうするかを考えているときに一本の通信回線が繋がった。
ライ『聞こえるか?』
それは彼女にとって聞き覚えの無い男性の声であった。
機動六課・医務室
ライ通信を入れる少し前。彼は月下と無頼の戦闘を観察していた。
ライ(なるほど、スタントンファと回転刃刀に魔法を無効化する力場…AMFだっけ、それを展開させているのか。これなら単純に魔導師とKMFの力比べに持ち込める。後はKMFの重量とパワーで押し込める。)
ライは観察し終えるとシャマルに頼む。
ライ「彼らとの通信を。」
そう言われすぐにシャマルは自分のデバイス、クラールヴィントを起動させる。
シャマル「これで繋がった。いつでもあの四人と話せるわ。」
シャマルの言葉を聞き首肯しライは口を開く。
ライ「聞こえるか?」
ティアナ『誰!なぜこの通信を!?』
ライ「僕はこの部隊の協力者だ。その人型の対応を任されている。」
ティアナ『この新型を知ってるっていうの!?』
ライ「少なくとも君たちよりは。八神部隊長からも許可をもらっている。僕の指示に従ってもらえないか?」
ティアナ『いきなり出てきた人の言葉を信じるなんて…』
はやて『彼の言ってることは本当やで。』
ティアナ『八神部隊長!』
はやて『今は彼の指示に従って欲しい。』
ライからの指示を拒絶しようとした瞬間にはやてからの通信が入ったことでライの言葉が真実であるとわかったティアナ。そこに今まで口を挟まなかった残りの三人が口を開く。
スバル『ティア、このままじゃ打つ手無いよ。』
エリオ『こちらもそうです。ここはこの人の指示に従いましょう。』
キャロ『八神部隊長も彼を信じていますし……』
ティアナ『……分かりました。でも任務が終わったら貴方のことをちゃんと教えてもらいますよ。』
ティアナの言葉を聞きライはこれからの作戦を話始めた。まずエリオとキャロの二人には直接指示を出すと説明し、次にスバルとティアナに作戦を話始める。そして作戦の説明を終えて最後にライが四人に言葉をかける。
ライ「死ぬなよ。」
FW『『『『了解!』』』』
作戦が始まった。
リニアレール後部車両・屋根
ライ『ライトニングF、僕が指示を出してリーンフォース曹長が列車を急停止させる。その時に瞬間的に敵は姿勢制御をするはずだ。その隙をついて後衛側の機体を潰せ。』
キャロ「でも…こちらの魔法は全部効きませんよ?」
キャロが遠慮がちにそう切り出す。エリオも同意見だったのか頷いて同意していた。しかしライは冷静に言葉を続けた。
ライ『ライトニング3、君は敵が姿勢制御をしている間にあの二機の間に飛び込め。』
エリオ・キャロ「「え?!」」
ライの指示に驚愕する二人。なぜならライは敵の中心に飛び込めと言っているのだ。普通ならば自殺行為になる。しかしライの考えは違った。
ライ『正確には前衛の脚部の間の少し後ろぐらいだ。敵の前衛と違い、後衛側は近接武装を展開していない。そうなれば敵が使えるのはアサルトライフルか、胸に付いているスラッシュハーケンのみだ。それを利用する。』
エリオ・キャロ「「?」」
ライの言葉に二人は首を傾げるが作戦開始の時刻を気にしてライは指示を出す。
ライ『ライトニング3、あと三十秒でリニアが止まる、準備をしてくれ。』
エリオ「了解です!」
ライ『ライトニング4、彼に先ほどの補助魔法を。』
キャロ「は、はい!」
ライからの指示でキャロはエリオにブーストをかけ、エリオは何時でも二機の間に移動できるように構える。
ライ『…カウント5・4・3・2・1・0!!』
ライのカウントがゼロになった瞬間、リニアは甲高い金属音を発しながら急停止する。その影響で無頼二機はバランスが崩れ体をふらつかせる。すぐに姿勢制御を行おうとするがその隙を見逃すエリオでは無かった。
エリオ「ストラーダ!!」
ストラーダ『ソニック・ムーブ』
自らの愛機に掛け声をかけ、フリードの背中からライの指示した前衛の無頼の脚部の真後ろに移動する。ライはそれを確認した瞬間新たな指示を出す。
ライ『胸のスラッシュハーケンが来る!それを屈んで避けろ!』
ライの指示した瞬間、二機の無頼が同時に動き出す。先に動いたのは後衛の無頼でエリオに向けてスラッシュハーケンを打ち込む。それをエリオは屈んで避ける。そして避けると同時に前衛の無頼がエリオのいる後方に向くためにランドスピナーを使い中心地旋回しようとする。しかしそこで後衛の無頼のスラッシュハーケンが絡まりさらにバランスを崩す二機。後衛の無頼は前につんのめる形に、前衛の無頼は横に倒れる形になる。
ライ『ライトニング3、後衛の背部コンテナを破壊しろ!』
ライの指示を聞き、すぐに構えるエリオ。前のめりになっている後衛の無頼の背部コンテナ、元々はコクピットの部分はエリオの目の前であった。残っていた二発のカートリッジを消費し突撃する。
エリオ「一閃必中!」
掛け声と共にコクピットを貫き真っ二つにする。そしてその無頼は沈黙した。
キャロ「エリオくん!後ろ!!」
敵を一機破壊したことで安堵していたエリオは反応が遅れてしまう。エリオが振り返ってみるとそこには立ち上がり右腕を振り下ろそうとする無頼の姿があった。
エリオ「……あっ…」
自分の今の状況を理解できたエリオは口から呆然とした言葉をこぼす。しかしそんな中よく通る声がエリオの耳に届いた。
ライ『ライトニング1』
それはただコールサインを読んだだけであった。しかしそれは絶対的な自信をふくむ声。それを聞くだけでエリオは理解した。自分は助かるのだと。
そして目の前の無頼は転んだ時のように再び横に倒れる。しかし前回と違うのは背部コンテナが横に切られていることと、その後ろにハーケンフォームの愛機・バルディッシュを握るフェイトの姿があったことであった。
なのはとフェイトは始め、敵の増援の足止めに苦労していた。しかしライからの通信で指示をもらい短時間でガジェットを殲滅できていたのだ。
こうして、ライトニング分隊の初出動は幕を閉じた。
リニアレール前部車両・屋根
車両が止まる数分前にティアナとスバルは月下と再び向き合っていた。そんな中、ライからのカウントが始まる。
ライ『…カウント5・4・3・2・1・0!!』
カウントがゼロになった瞬間スバルは月下に向けて突っ込み、ティアナは月下とスバルの乗る車両と隣り合わせの車両の屋根に乗り移る。
スバルは愛機・マッハキャリバーの加速を利用しかなりのスピードで月下の左側から近づこうとする。それを迎撃しようとするために月下は異形の左腕、輻射波動機構を構える。
これは掌から高周波を短いサイクルで対象物に直接照射することで、膨大な熱量を発生させて爆発・膨張等を引き起こし破壊するというものである。その為例え防御魔法を使っても人体に影響を与える可能性が高かった。
しかしスバルはそのまま左腕にめがけて突進していく。月下が輻射波動を放ちながら左腕を振り下ろす。スバルに直撃する瞬間、スバルの姿が消える。月下に突撃したのはティアナの魔法で作り出した幻影だったのだ。
そのまま月下は足元の車両に輻射波動を放つ。普通なら放たれた屋根の部分が損壊するだけで終わるのだが、月下の足場である車両一両が内側から大きく弾けた。
ライは作戦の説明の前に車内でリニアの操作をしていたリインフォースにある頼み事をしていた。それは指定した車両を氷結魔法を使い氷で満たすこと。車両が大きく弾けた原因はそこにあった。輻射波動を当てることによって中の氷が一瞬で気体になったため、その膨張に耐えられず弾けたのだ。
車両から落とされる月下。胸に装備されている飛燕爪牙を使い車両に取り付こうとするが、それはティアナの魔力弾で撃ち落とされる。
そのまま落下していく月下。しかし落下していく月下に回り込むようにウイングロードが展開される。
スバル「行くよ!マッハキャリバー!!」
マッハキャリバー『ロードカートリッジ』
ウイングロードの上にはカートリッジを消費し構えをとるスバルがいた。
スバル「一撃必倒!!!」
マッハキャリバー『ディバインバスター』
掛け声と共に拳を突き出すスバル。そしてその一撃は月下のコクピット部分を破壊した。
こうしてスターズ分隊の戦闘も終了し、ライのこの世界で初めての戦闘は終了した。
ゆりかご内
リニアレールでの戦闘が終わる頃、ジェイル・スカリエッティのラボにルーテシアが訪れていた。
ルーテシア「ドクター、お願いがある。」
ドクター「どうしたんだい?ルーテシア。」
ルーテシア「あの人を助けたい。」
ドクター「あの人?ああっ、ライのことかい?」
ルーテシアからの頼みごとに納得をしてスカリエッティは問いかける。その言葉を聞き、ルーテシアは頷く。
ドクター「大丈夫だよ。彼は今回の事では罪を問われないようになっている。君が心配せずとも彼は無事だよ。」
ルーテシア「……」
彼からの言葉を聞いても納得のいかない彼女は彼を見つめ続ける。
ドクター「……分かった。彼がどうなったかの確認はこれから生まれてくる彼の妹たちにさせよう。できるようなら彼をここに連れてくるようにも言っておこう。それでいいかい?」
ルーテシア「…うん。」
スカリエッティの言葉に満足しその部屋からルーテシアは退室した。
ウーノ「…よろしいのですか?」
ドクター「何がだい?」
ウーノ「先ほどの戦闘、恐らく最後に指示を出していたのは…」
ドクター「ああっ、きっと彼だろうね。本当に彼には感謝しないと。」
ウーノ「彼はこれからも私たちの障害になると思われますが?」
ドクター「真実を知ったならそうだろうね。だとすれば彼はきっと私を追ってくるさ。」
ウーノ「では?」
ドクター「ああっ、彼には私がこれから始める祭りに参加してもらおうじゃないか!!」
後書き
今回は難産でした。
ルルーシュやライがとる戦法は状況をひっくり返す型破りなものが多いと思うのですが、それがなかなか思いつきません。
今回はツッコミどころの多い戦闘になったと思いますが、広い心で読んで頂ければと思います。
ご意見・ご感想をお待ちしております。
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