英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
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外伝~”力”を求めし者~
~東通り~
東通りでは多くの猟兵や黒月の構成員達、そして魔獣によって遊撃士達は苦戦していた。
「クッ……まさか黒月まで同時に仕掛けてくるとは……!」
「エオリア!お前はいざとなれば撤退しろ!」
遊撃士協会の支部の前で猟兵や構成員達をヴェンツェルは唇を噛みしめ、スコットはエオリアに警告し
「必要ないわ!私だってB級正遊撃士の端くれ!」
警告されたエオリアは攻撃し、ヴェンツル達も迎撃を始めたが、敵の数はあまりにも多く、スコット達は苦戦していた。
「クソ………数が多すぎる……!」
「このままではクロスベルが……!」
敵に囲まれたヴェンツェルやスコットが表情を歪めたその時!
「きゃあっ!?」
エオリアが悲鳴を上げ、悲鳴を上げた方向を見るとそこには両手を猟兵達に拘束され、エオリアの身体にまたがった猟兵がいた!
「クク………まさか遊撃士の中にこんな上玉がいるとはな……?」
「仕事が終わるまで楽しませてもらうぜ……?」
猟兵達は凶悪な笑みを浮かべてエオリアを見つめ
「エオリアッ!!」
「この外道共がッ!!」
エオリアの様子を見たスコットとヴェンツェルは声を上げたり猟兵達を睨んでかけよろうとしたが、猟兵や構成員達が道を阻み
「クッ……離しなさい!」
エオリアは暴れたが猟兵達の力は強く、リンのような格闘家でもなく、エステルやアネラスのような前衛の戦士でもない普通の女性より少し力がある程度の身では無駄な行為となった。
「オラアッ!!」
「いやあっ!?」
そして猟兵はエオリアの上半身の服を破った後下着も無理矢理取って、エオリアの肌や胸をあらわにさせ
「おっ!?華奢な身体のわりに胸はそれなりにあるじゃねえか!」
「しかも遊撃士の癖に傷一つついてない綺麗な肌をしてやがるぜ!」
「クク……俺は口で奉仕してもらうぜ……!」
「さあて……お楽しみの始まりだ……!」
それぞれ下卑た笑みを浮かべてエオリアを強姦しようとし
「クッ…………………!」
強姦されようとしたエオリアは悔しそうな表情をした。しかしその時!
「――――下種共がッ!―――――枢孔!身妖舞!!」
建物の屋根からセリカが魔力によって発生した旋風を纏いながら電光石火の如く強襲してエオリアにまたがった猟兵の上半身を肉片の欠片も残さず滅して、絶命させた!
「な―――――」
「ハァァァァァァァッ!!」
それを見た周囲の猟兵達が驚いたその時、セリカは魔力や神気を込めた『ラクスハイシェラ』で周囲を薙ぎ払うと共に衝撃波を発生させて、周囲の猟兵達を塵も残さず消し飛ばして絶命させた!セリカの電光石火にして圧倒的な攻撃により、周囲の建物の壁はセリカによって消し飛ばされた猟兵達が飛び散らせた大量の血によって真っ赤に染まっていた!
「骨も残さず焼き尽くしてくれるわ!グランドトリガー!!」
「ギャアアアアアアアアアアア―――――――――――ッ!?」
猟兵や構成員達の背後に現れたレシェンテが業火を発生させる魔術を放って多くの猟兵達を一瞬にして灰にして絶命させ
「……………何の力もない人達を傷つけ、女性に乱暴する貴方達みたいな人達が一番大嫌いです。…………”外法狩り”の魔槍を扱う者として、”外法狩り”の代わりに一人も残さず”狩って”あげます。―――――祈りも悔悟も果たせぬまま!千の棘をもってその身に絶望を刻み!”グリモア”となり、永遠に煉獄をさ迷い続けなさい!――――砕け、時の魔槍!!」
「ガアアアアアアアアアアア――――――――――ッ!?」
さらにリタが放った無数の魔槍によって残りの猟兵達は身体の全身を貫かれて肉片となって絶命した後、貫いた魔槍が起こした爆発によって塵も残さず消滅した!
「………無事か?」
エオリアの周囲に猟兵達を殺害したセリカは剣に付着した大量の血を一振りで散らせて鞘に収めた後、エオリアにまたがっている猟兵の下半身をどけて、片手に発生させた魔力弾を解き放って下半身も消し飛ばした後尋ね
「………ええ………ギリギリでしたけど何とか凌辱されずにすみました……………危ない所を助けて頂き、本当にありがとうございます……………」
セリカに尋ねられ、セリカが殺害した猟兵の血によって上半身が真っ赤に染まっているエオリアは起き上がって両手を組んで胸を隠してセリカを見つめた後、安堵の表情になり
「――着替えるまで、これを羽織っていろ。」
セリカは普段身につけている外套を外してエオリアの両肩にかけ
「……はい。」
外套をかけられたエオリアは服や下着が破れた事により、肌や胸が顕わになった上半身を外套にくるまって隠した。
「エオリアッ!!」
「無事かっ!?」
その時スコットとヴェンツェルがリタ達とともにエオリアとセリカに近づいた。
「ええ……セリカさんのおかげで何とか……ね……ううっ……リタちゃん、レシェンテちゃん。今すぐ抱きしめさせて!?お願い!穢されそうになった傷心の私を二人の可愛さで癒して!」
スコット達に尋ねられたエオリアは答えた後嘘泣きをして、リタとレシェンテを抱き寄せ
「こんな非常事態に何をやっているのじゃ……というか既に抱きついているじゃろうが。」
「フフ、十分元気じゃないですか。」
エオリアに抱きしめられたレシェンテは呆れ、リタは微笑んだ。
「……セリカさん。それにリタ達も。エオリアや俺達を助けにきてくれて本当にありがとうございます……!」
「……セリカさん達をクロスベルに滞在するよう説得したエステル達にも後でお礼を言っておかないとな……」
スコットはセリカ達を見回して頭を下げ、ヴェンツェルは静かに呟き
「……こちらこそ連絡を受け、助けに来るのが遅くなってすまない。―――ここからは俺達も参戦する。行くぞ。」
「はい……!」
そしてセリカの言葉にスコットは頷き
「………エオリア。お前は支部の中に避難して休んでいろ。」
ヴェンツェルはエオリアに視線を向けて言った。
「なっ………!こんな非常事態に一人だけ休むなんてできないわ!着替えたらすぐに私も戦うわ!」
ヴェンツェルの言葉を聞いたエオリアは反論したが
「……その震えた身体で本当に戦えるのか?」
「あ………………」
レシェンテに言われ、無意識に身体を震わせている自分に気付いて声を上げ
「……強姦されかけたのですから、当然の状態ですよ。むしろ今も正気を保っている方が不思議なくらいです。………後は私達に任せて、エオリアさんは休んでいてください。エオリアさんに酷い目を会わせた人達の仲間は私達が全員滅しておきますから。」
リタはエオリアに微笑み
「――――ハイシェラ!………人手が足りない分はお前で補ってもらうぞ。」
セリカはハイシェラを召喚して指示をし
「うむ!クク、これほどの血肉がわき踊る”戦争”は久しぶりだの!こんな”戦争”に参加できるきっかけを作ったエステル嬢ちゃんには感謝しないとな……!」
「……下らない事を言っていないで、とっとと行くぞ。」
指示をされたハイシェラは頷いた後好戦的な笑みを浮かべ、ハイシェラの言葉は聞いたセリカは呆れた後スコット達と共にその場を去って行った。
「………また………足手纏いになってしまった……………私に………もっと……”力”が………セリカさんやフェミリンスさん………そして……………リタちゃん達みたいな………全てを圧倒できる”力”が……あれば……リンもあんな事には……………………」
セリカ達が去るとエオリアは顔を俯かせて涙を流して呟き
「うう……ああ………うあああああああああああああっ!!」
空に向かって悔しそうな表情で涙を流しながら声を上げた!
今回の戦いにより、自分の力に無力を感じて圧倒的な”力”を求めるようになったB級正遊撃士であり”戦場の癒し手”の異名で呼ばれているエオリア・フォーリア。今回の出来事が彼女の人生を大きく変えるきっかけになるとは誰も予想していなかった…………………
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