Killer
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第一章
第1話
帰ろうよ
『これが戦場か。』
「俺から離れるなよ変人。」
ぜってー離れてやる。
「やぁ三成。」
「!!吉継!」
あ、話し出した。
よし、どっか行くか。
ズダダダダッ!!(こんなに大きな音は出てないけどな)
「あ、おい!貴様!」
『じゃーね、ミツナリさーん!』
よくわからないところへ走る。
ドンッ
『んっ!』
誰かにぶつかった。
「危ないだろうが。ってお前は…」
『先ほど助けていただきましたね。高虎さん。』
ぶつかったのは高虎だった。
『どいて。俺は1人でも敵の大将と戦える。』
高虎の横を抜けようとしたその時
「…行かせるわけないだろう?」
高虎が俺の肩をつかんだ。
「敵の力をあなどるな。お前はまだ戦の怖さを知らない。」
『は?意味わかんねぇ。どけよ。』
肩を回すと腕が離れる。
そして走り出した。
どれくらい走ったのだろう。
周りも敵だらけになってきた。
「…誰ですか?1人で敵の陣地にのこのこと。」
『!?』
あれ、ここって敵の陣地なの?
「明智十兵衛光秀、参る。」
何かこっちに迫ってくる。
…と思ったらもう目の前にいて…
剣が俺の首にあてがわれる。
『ッ!?』
「貴方は誰ですか?見慣れぬ衣装を着て、鉄刀だ。」
『…明智光秀…。という事は、これは山崎の戦いだな?』
「何をおっしゃっているのかわかりませんが、覚悟を。」
首に刀がくいこむ。
『ッ…!?』
血が出てくる。
周りは敵だらけ。味方など呼んでもこない。
『あっ…』
パタタ…
と血が滴る。
腰に手を回される。
「静かに眠りなさい。」
『光…秀ぇ』
ふと頭に異常な考えがよぎる。
『俺に…仕えればいい…』
「…!?」
なんとも、人はこうも異常になれるのだろうか。
『俺に仕えろ。』
「何を言って…?」
『このままだと…お前は殺されるか、秀吉に下ることになる。…嫌だろ。』
「死んだほうが」
『巫山戯るなよ。…本当は怖いくせに。』
「…?」
『ガラシャだっている。娘を置いて死ねねぇだろうがよ!』
「なぜ娘のことを…?」
『難しいことを言ってるんじゃねぇ。俺に仕えねぇかって話だ。』
「…私に、なんの利益が…」
光秀が戸惑い始める。
『考えなくたってわかるだろ?利益は生きていけることだ。』
「…私を、こんな私を…生かすのですか?」
『…無論だ。だから剣を首に刺すのはやめろ。痛い。』
「本当に…私を家臣にする気ですか?あなたまで反感を買ってしまう。」
首を抑えながら言う。
『他人の評価など俺に関係ない。』
ちらりと光秀を見ると、光秀の目が輝いている。
『戦は止めだ!光秀は俺を手当てしろ!』
「っは!かしこまりました。」
なんだか俺が大名みたいだな。…まんざらでもないが。
光秀は俺の腰を掴み自分の方へ引き寄せた。
そして座る。
腰に手を回し首に濡れた布をあてがう。
『っ!』
ピクリとはねる。
「少し我慢してください。…すみませんでした。」
『別にいいよ。痛いのは俺だけで充分だ。』
「おい貴様!どこをほっつき歩い…て?」
『あ、三成だ。』
「お前は明智光秀ってどうして明智光秀の上に貴様が乗っているのだ!?」
『手当て中。患者に怒鳴るとは何事だ。』
三成が一瞬ひるむ。
「なぁ貴様、まさかとは思うが、光秀は…?」
『あぁ、俺の家臣。』
「貴様!勝手にそのような」
「仕方がないんさー!」
「秀吉様!」
後ろからぬっと出てきたのは秀吉。怖い。
「光秀、そいつに危害を加えちゃあならんでー?」
ニコニコしながら話し出す。
これだから皆から好かれる人は…。
『大丈夫です。もしも俺を殺そうとするのならブッ殺しますから!』
こっちも笑顔で答えた。
「怖いんさ。」
グサリ。
「まァとにかく、一旦城に帰ろうか。」
「あの…私は…?」
『?何いってんの?あんたもだよ。帰ろ?家に。』
「い…え?」
立ち上がり光秀に手を伸ばす。
「かえろう。」
光秀は微笑んで手を取った。
後書き
主人公の名前は相変わらず決まっておりません!
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