デュエル・マスターズ~龍を使役する少年の物語~
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第9話:ドラゴン対決!勝vsモルトっ!(前編)
前書き
たまに思う。前書きと後書きって書くことがない。
まぁ、それはさておき、今回から勝とモルトの対決です!
前編にした理由は前々回の龍牙と拓真の対決が異常に長かったので、その反省も兼ねて前編にしてます。
それでは第9話どうぞ!
「モ~ル~ト~!」
拓斗に勝利したアイラはデュエマテーブルからモルトの下まで走り、途中ジャンプしてモルトの体に抱きついた。
「どわっ!?」
抱きつかれたモルトはバランスを崩し、倒れそうになるもすぐに立て直した。
「勝ったよ、モルト!」
「あぁ!よくやった、アイラ!」
「えへへ。勝ったご褒美にきs「龍牙、後頼む」」
アイラが言い終わる前にモルトはアイラを下ろして龍牙に渡し、デュエマテーブルに向かった。
「ちょっと、モルトー!」
放置されたアイラはモルトに叫ぶのであった。
一方勝達は、と言うと……。
「すみません。負けてしまいました」
何故か勝と拓真に向かって拓斗が土下座して謝っていた。
ことの発端は約数秒前に遡り、拓斗は自身が負けたことに申し訳なく感じ、デュエマテーブルから勢いよく走り、勝と拓真の下に向かい、そのまま土下座していた。
と言う訳である(どう言う訳?)。
「別に、謝らなくて良いよ」
「えっ!?」
勝の意外な言葉に拓斗は驚いてしまった。
「そうだぜ、拓斗!誰だって負ける時位あるんだからよ!」
「あ、兄貴ぃ~!」
それに続いて拓真は拓斗の肩に手を置きながらそう言い、それを聞いた拓斗は少し涙を流しながら笑顔になり、兄である拓真に声を掛ける。
「ま、負けたことに関しては話は別だがな」
「うっ!?そ、それはないっすよ、兄貴ぃ~!」
だが、拓真のその言葉に拓斗は少し涙ぐみながらそう言った。
「………」
そんな中、いつも間にか勝は右手に《ボルシャック・NEX》を持ちながら先にデュエマテーブルに立っているモルトを見ていた。
「漸くだな、勝」
「……あぁ…」
それを横で見ていた拓真は勝に声を掛け、それを聞いた勝は小さく拓真に返事を返し、デッキを取り出して《ボルシャック・NEX》をデッキに入れて静かに歩き出した。
「勝、楽しんでこいよ!」
それを見た拓真は勝に向けてそう叫んだ。
先にデュエマテーブルに着いていたモルトはデッキをシャッフルしながら勝がデュエマテーブルに来るのを待っていた。
『気をつけた方が良いぞ、モルト』
「っ、ドギラゴン…?」
そんな中、突然、モルトに声を掛ける“謎の声”―――《燃える革命 ドギラゴン》がモルトに声を掛けた。
声を掛けられたモルトは驚き、ドギラゴンのその言葉に疑問に思い小声でドギラゴンに問い掛ける。
「どう言うことだ?ドギラゴン」
『あの少年……勝と言ったか?何処と無くだが、お前と同じ“臭い”がする?』
「何っ!?」
ドギラゴンのその言葉にモルトは驚き、いつも間にかデュエマテーブルに着いていた勝を見る。
見た感じ、変わったところは何もなく至って普通にデッキをシャッフルしていた。
『兎に角。気をつけろよ…』
そこまで言うと、ドギラゴンはモルトの返事を聞かず、それ以上何も言わなかった。
(何をブツブツ話してるんだろ?)
先程からモルトが独り言のように話しているのを見て不思議に思った勝はある程度シャッフルしたデッキをモルトに手渡し、それに応対してモルトも自身のデッキを勝に手渡した。
デッキを交換した二人は数回デッキをシャッフルし、持ち主に返してシールド、手札の順にそれぞれ5枚ずつ準備をし、ジャンケンを開始した。
「「ジャンケン…ポン!」」
モルトはグー、勝はパーを出した。
結果、先攻は勝から始まる。
「それじゃ、行くぜ!」
「「デュエマ・スタートッ!!」」
1ターン目、お互いにマナを1枚貯めてターンを終え、2ターン目、勝は再びマナを1枚貯めてターンを終え、モルトはマナを貯めつつ、ファイヤー・バードの数だけ進化革命軍のコストを1軽減してくるファイヤー・バード《ラブ・ドラッチ》をバトルゾーンに召喚した。
そして、先攻勝の3ターン目。
「僕のターン!マナをチャージして、《コッコ・ルピア》を召喚っ!」
マナを貯めつつ、ドラゴンのコストを2軽減してくれる火のファイヤー・バード《コッコ・ルピア》をバトルゾーンに召喚した。
「…やはり、《コッコ・ルピア》を出してきたか」
観客席で見ていた龍牙はまるでわかっているのか、小さくそう呟いた。
「マナゾーンにドラゴンがあったからドラゴンデッキってのはすぐにわかったけど、まさか《コッコ・ルピア》を出してくるなんて…」
その隣でアイラは勝が《コッコ・ルピア》を出すことに意外性を感じつつ、少し驚いていた。
理由はドラゴンデッキに《コッコ・ルピア》を入れるのは一昔前の環境なら有り得たが、今の環境では《コッコ・ルピア》より《エコ・アイニー》や《メンデルス・ゾーン》と言った自然のマナ加速を加えたドラゴンデッキが多い。
それに比べて勝は2ターン続けてマナを貯めて終わり、3ターン目に《コッコ・ルピア》を召喚したのだ。
仮に自分達が火文明単色のドラゴンデッキを作るなら普通に考えて《コッコ・ルピア》を入れない。
にも関わらず、勝のデッキは《コッコ・ルピア》を入れた火文明単色のドラゴンデッキ。
と言っても、まだ単色デッキとははっきりしないが、勝のマナゾーンを見る限り、勝のデッキはほぼ火文明単色で間違いない。
「確かに。今時《コッコ・ルピア》など、流行らないもの…だが…この状況は少し不味いな…」
「どう言うこと?」
龍牙のその言葉にアイラは疑問に思い、龍牙に問い掛けた。
「モルトのデッキは火文明単色の革命デッキなんだ」
「えっ!?それって…」
「そう、“除去カード”が少ない」
龍牙のその言葉にアイラはまた驚いてしまった。理由は龍牙の言う通り火文明には除去カードが少ない。
正確にはモルトのデッキは除去カードが少ないだけであり、それ自体には除去カードは多い。
だが、
「にも関わらず、アイツは“あのデッキ”を〝選んだ〟んだ」
モルトはあえて除去カードが少ない火文明単色の革命デッキを選んだのだ。
「僕はこれでターンエンド…」
(……《コッコ・ルピア》か、何だか懐かしいな)
話は少し戻り勝は《コッコ・ルピア》を出してターンを終え、モルトは山札からカードを1枚引きながら、勝が《コッコ・ルピア》を出したことに昔の自分を思い出していた。
「マナをチャージして、もう1体《ラブ・ドラッチ》を召喚!」
マナを貯めつつ、モルトは2体目の《ラブ・ドラッチ》をバトルゾーンに召喚した。
これで進化革命軍のコストは4少なくなった。
(来る!)
それを見た勝はモルトはこのターン何か仕掛けてくるのだと感じ、体を見構えた。
「2体の《ラブ・ドラッチ》の効果で進化革命軍のコストを4下げて、1マナで《革命龍 アサルト》をさっき召喚した《ラブ・ドラッチ》の上に重ねて進化っ!」
現れたのは二つのガトリング砲を背中につけた火の進化メガ・コマンド・ドラゴン/革命軍《革命龍 アサルト》。
「《アサルト》の登場時効果発動!山札から火の革命軍の進化クリーチャーを1体、手札に加えれる!
来い!《革命龍 ドラッケン》」
モルトは山札から《革命龍 ドラッケン》を勝に見てながら手札に加えた。
「これでモルトは勝のシールドを一気に3枚ブレイクできるが…」
「逆に言えば、勝に逆転のチャンスを与えてしまう」
上から龍牙、拓真の順に観客席からそれぞれこのターン、モルトがどう行動するか、考えていた。
(ここは下手にシールドを殴っても相手に逆転のチャンスを与えてしまう。それでも…)
「ここは一か八か《アサルト》でW・ブレイク!」
「うっ…!?」
モルトは《アサルト》を勢いよくタップし、勝のシールドに攻撃した。
攻撃された勝はシールドの中を確認するもトリガーはなかった。
「《ラブ・ドラッチ》でシールドをブレイク!」
それを見たモルトは続けて《ラブ・ドラッチ》をタップし、勝のシールドを攻撃した。
「っ!S・トリガー!《ジャジャーン・カイザー》をバトルゾーンに!」
攻撃された勝はシールドの中を確認すると、それがS・トリガークリーチャー《ジャジャーン・カイザー》だった為、その《ジャジャーン・カイザー》をバトルゾーンに出した。
「っ、ターンエンド!」
それを聞いたモルトは驚き、ターンを終える。
(《ジャジャーン・カイザー》!?何で、そんなカードを入れてるんだ!?)
シールドから現れた《ジャジャーン・カイザー》を見てモルトはフッと疑問に思った。
何故なら《ジャジャーン・カイザー》はバトルゾーンに出た時、相手のコスト6以下の「ブロッカー」を持つクリーチャーを1体破壊できるパワー4000のレッド・コマンド・ドラゴン/ハンターだが、見ての通り相手のバトルゾーンに「ブロッカー」がいなければ、ただの準バニラクリーチャーだ。
今の環境、《ジャジャーン・カイザー》より優秀なS・トリガードラゴンは一杯いる。
その中で同じ火のS・トリガーで汎用性の高いドラゴンは3つ存在する。
1つ目は相手の「ブロッカー」を全て破壊する《メガ・ブレード・ドラゴン》。
2つ目は相手のクリーチャーを1体選んで強制バトルさせる《熱血龍 バトクロス・バトル》。
3つ目は相手のコスト5以下の進化ではないカードを1枚選んで破壊できる《熱血龍 メッタギルス》。
但し、これらにも幾つかデメリットがあり、《メガ・ブレード・ドラゴン》は相手の「ブロッカー」を破壊する以外は《ジャジャーン・カイザー》と同じ準バニラであり、《熱血龍 バトクロス・バトル》は相手のターンにS・トリガーで出た場合、ターンの終わりに山札の一番下に行き、《熱血龍 メッタギルス》はマナゾーンに火のカードが5枚以上ないと「S・トリガー」を持たない点、等が挙げられる。
この中で主にデッキに採用されるのが《熱血龍 バトクロス・バトル》であり、《メガ・ブレード・ドラゴン》は相手があまり「ブロッカー」を採用しないデッキならば1枚あれば、どうにかできる、《熱血龍 メッタギルス》はドラゴンと火のカードを多く採用するデッキには入れられる。
にも関わらず、勝のデッキには《ジャジャーン・カイザー》が入れられている。
どう言うことなのか、モルトはてんでわからないでいた。
「僕のターン!ドロー!」
そんな事を知らず、勝は山札からカードを1枚引いた。
「っ!?」
引いたカードを見て勝は一瞬眉を潜め、手札から1枚、マナに貯めた。
これで、勝のマナゾーンは4枚。《コッコ・ルピア》の能力でコストを2下げて、6マナのドラゴンが4マナでバトルゾーンに出せる。
だが、勝は迷っていた。
今の勝の手札は5枚。そして、バトルゾーンには《コッコ・ルピア》と《ジャジャーン・カイザー》の2体、マナは4枚。
はっきり言って今の勝の手札にコスト6のドラゴンは2枚存在するが、その2枚のドラゴンをどちらを出すか、勝は悩んでいた。
『我を出せっ!』
「っ!?」
そんな中、1枚のカードが勝に語り出した。それを聞いた勝は驚き、自分に語り出したカード―――《ボルシャック・NEX》を見た。
(NEX、けど…)
『良いから我を出すのだっ!』
「っ、わかった…」
NEXの叫びに勝は小さく返事を返し、4枚のマナをタップした。
「『コッコ・ルピア』の能力でドラゴンのコストを2下げて、4マナで《ボルシャック・NEX》を召喚!」
『ウガァァァァァッ!』
バトルゾーンに現れた《ボルシャック・NEX》は雄叫びを上げた。
「っ、《ボルシャック・NEX》!?」
(この感じ…まさか!?)
上からモルト、龍牙の順に二人は《ボルシャック・NEX》が現れたことにそれぞれ驚いていた。
「《NEX》の登場時効果で山札から《ルピア》と名の付くカードを1枚、コストを支払わずにバトルゾーンに出せる!
来い!《ボルシャック・ルピア》っ!」
勝は《ボルシャック・NEX》の能力を使いながら山札から《ボルシャック・ルピア》をバトルゾーンに出した。
「っ、《ボルシャック・ルピア》!?」
それを見たモルトは驚いてしまった。何故なら《ボルシャック・ルピア》はバトルゾーンに出た時、山札から《ボルシャック》と名の付くクリーチャーを1枚、手札に加えれる能力を持っている。
―――つまり、
「コイツの能力で山札からボルシャックの王を手札に加えられる!」
「っ、まさか!?」
「来い!《超竜 キング・ボルシャック》ッ!」
ボルシャックの王、《超竜 キング・ボルシャック》を手札に加えられるのだ。
後書き
はい。今回はここまで。
次回は切り札対決!
果たして勝とモルト、勝つのはどっちだ!?
毎度誤字脱字、ご意見、ご感想、表現のミス等よろしくお願いします!
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