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おぢばにおかえり

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第三十三話 明治の中でその四

「将来教会を継がないといけないから」
「天理大学に行ってですか」
「天理教の勉強をもっとして」
「それで将来はなんですね」
「教会の奥さんになるの」
「会長さんじゃないんですか?」
「いえ、確かに女の人でも会長さんになれるけれど」
 天理教ではそうです、女の人が会長さんの教会も結構あります。この辺りはそれぞれの教会の事情です。
「普通は男の人よ」
「じゃあお婿さんを迎えて」
「来てもらってね」
「それじゃあ僕なんかは」 
 急にです、阿波野君は笑ってこんなことを言ってきました。
「お婿さんになりますのね」
「そうね、阿波野君はね」 
 私は急に阿波野君がこんなことを言ったことに不思議に思いながら応えました。
「そうなるわね」
「そうですよね、わかりました」
 何故かです、阿波野君は私を見てにこにことしています。どうしてかわからないです。
「そういうことで」
「?そういうことって?」
「何でもないです、とにかくお化け屋敷が苦手なら」
「他の場所行きましょう」
「ここを歩くだけでもいいですね」
 私に笑って言ってきました。
「それでも」
「そうね、ここを歩くだけでもね」
「じゃあそうしましょう」
「ええ、それじゃあね」
「こうしたのもいいですね」
 阿波野君はにこにことしたまま言います。
「映画村のこの中を歩くだけでも」
「明治とか大正の中をね」
「一緒に歩くことも」
「それじゃあ歩きましょう」
「二人で」 
 こうしたことをお話してでした、二人で実際に明治や大正をイメージしたセッティングの中を歩いていきました。
 何か歩いているとそれだけで私は阿波野君と一緒に明治や大正の世界に入ったみたいに思えてでした。
 ふとです、こんなことを言いました。
「この時代の感覚っていいわよね」
「明治や大正のですね」
「着物でパラソルとかね」
「あのセンスいいですよね」
「街も日本と西洋が一緒になっていてね」
 どっちも同じ街にある感じです。
「洋館とかあっても」
「そこに和服の人がいたりするんですよね」
「さっき阿波野君が言ったサクラ大戦、よね」 
 ゲームの名前はうろ覚えです。
「あのゲームのキャラクターみたいな格好ね」
「袴に靴ですね」
「そうした格好にしてもね」
 袴は日本のもので靴は西洋のものだからです。
「普通考えないし」
「あれなんか女の子が変態に目をつけられない為の格好だったみたいですよ」
 阿波野君は私にこう言ってきました。
「何でも」
「あれっ、そうなの」
「その頃は凄い男っぽい格好で」
 あの袴に振袖、靴のお嬢様そのもののファッションがというのです。 
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