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とある科学の裏側世界(リバースワールド)

作者:偏食者X
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remember memory
  ep.0001 remember memory 池野&箱部 前編

 
前書き
ちょっとした息抜き程度で、
前から考えていたキャラたちの過去編を書くことに
しました。
ちょこっとキャラのことについて裏が取れるかも知れませんよ。 

 
とある日の夜のことだった。
student基地で、池野は地上の本屋で買ってきた本を読んでいた。
その時、不意に池野を呼ぶ声が聞こえた。

「あの......操作様.....。」

池野が声の方向を向くと、箱部がモジモジしながら視線の先に立っていた。

「箱部さん.....どうしたのかな?」

本を読む手を止め、箱部さんの方を体ごと向けた。
箱部は池野にそっと寄り添い、優しく抱きついてきた。
その瞬間、池野は箱部の何かを察知して、優しく抱き返した。

「すいません。昔のことを思い出してしまって、少し怖くなってしまったんです。」

そんな箱部の体はうっすらとだが震えていた。
池野は何も言わず、ただ優しく箱部を抱きしめていた。

「ありがとうございます。操作様.....貴方様はいつも私に優しいんですね。」

そのまま箱部は目を閉じ、しばらくしないうちに眠りについていた。

「優しい....か......。」

池野は思い出していた。
自分と箱部がstudentに入る前にあったこと。
箱部さんが恐怖を感じた原因。
その元凶が自分であるという事実を。

「僕は優しくなんてない。君が僕に教えてくれたことでしかないんだよ、箱部さん。」

ー数年前
第0学区にはとある暗殺組織が存在していた。
名前は"アナコンダ"。
組織に入っていた者たちは皆、体の何処かに"ドクロに巻き付く蛇"のタトゥーを入れられていて、それが組織に対する絶対的な忠誠を示していた。
数百人にも及ぶ巨大な殺し屋組織は、ほぼ毎日のように命令された通りターゲットを抹殺し、報酬を得ていた。
また、暗殺が必ずしも成功するとも限らないので、毎日のように知り合いや、顔すら知らない組織のメンバーが死んでいった。
池野は昔、アナコンダのNo.1として多くの功績を残していた。
それはつまり、誰よりも暗殺に長けていたということだった。

「よくやったなIS(イズ)。」

「はい、ボス。」

当時の池野はIS(イズ)と呼ばれていた。
というのも"死ぬ"という言葉は英語で"death(デス)"このデスという言葉を英語で調べた時に、"is(イズ)"という英語を見つけたのがきっかけだった。

その日も池野は任務に就いていた。
ターゲットはとある豪邸に住む、家主だった。
池野は足音と気配を消して、豪邸にあっさり侵入した。
少しばかり進んでいくと、前方にお世話人らしき人物を見つけた。
池野は息を潜ませてゆっくりと背後に立つと、鮮やかな手つきで首筋にナイフを当て、首の動脈をかすめた。
相手は動揺し、出血の止まらない首を手で抑え、池野の方を向いたが、次の瞬間床に倒れ動かなくなった。
手で塞がれなくなった血がじんわりと辺りの床を染め上げていく。
池野はそれを確認すると、豪邸の奥に進んでいく。
進んでいくと、明らかに他の部屋とは違う扉があった。
ドアノブの音に気を付けながらゆっくりと扉を開けると、家主はもうすでにベットで眠りについていた。
池野は装備していた細く、頑丈なワイヤーをとりだし、起こさないように全身をベットにくくりつけると、部屋を出た。
建物の中を捜索して油を発見すると、建物のありとあらゆる場所にかけ始めた。
建物全体に油をかけるとマッチに火をつけ放り投げた。
たちまち豪邸は炎に包まれた。
家主もこれほどの炎の中では万に一つも生きてはいないだろう。
池野はその場を立ち去った。
時刻はすでに深夜に達しているにも関わらず、豪邸から吹き出す炎で空がやけに明るく感じたのを池野は覚えていた。 
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