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ヘレロ族の服

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第二章

「誰が行くんだって却下されました」
「あそこはまた違うそうですね」
「治安が凄いので」
「だからですね」
「却下されてそれでボツワナとか提案しましたが」
「それも却下されて」
「ナミビアで通してもらってです」
 そしてというのだ。
「今回のツアーとなりました」
「そうですか」
「いや、幸いにです」
 運がいいことにというのだ。
「これだけ来てもらいました」
「期待していただけの参加者が集まったんですね」
「そうでした、よかったですよ」
「じゃあ今から」
「はい、行きましょう」 
 ナミビアにとだ、こう話してだった。
 英治はガイド、そして他のツアー客達と共にナミビアに行った。日本からナミビアまでは流石に多かった。その行く途中の長旅ではだ。
 英治は飛行機の中で食べて飲んでばかりだった、座ることに疲れながらも食べることも飲むことも楽しんだ。そのうえで。
 ナミビアに着くとだ、ガイドにこう言われた。
「ここは服がいいんですよ」
「女の子のですね」
「はい、それがツアーの目玉宣伝の一つでしたし」
「というかです」
 英治はガイドに笑って返した。
「それがお目当てで、です」
「参加されたんですね」
「そうでしたし」
「では」
「はい、女の子の服楽しみにしています」
「では、宿泊先のホテルはイギリス人が経営していまして」
 所謂宗主国だ、植民地統治の名残であることは言うまでもない。
「イギリス風のホテルとディナー等を楽しみつつです」
「そうした女の子達とですか」
「お話をされて下さいね、ただ」
「このツアーはですね」
「健全なツアーなので」
 にこりと笑いつつも釘を刺してきたガイドだった。
「このことはご了承下さい」
「はい、わかっています」
 英治もこう返す。
「そうした遊びはですね」
「されないで下さいね」
「というとやっぱり」
「アフリカの南ですから」 
 どうしてもとだ、ガイドもあえて言う。
「エイズが問題ですから」
「このことはですね」
「お気をつけ下さい」
「やっぱり深刻な問題なんですね」
「何しろこの辺りから出て来ましたから」
 エイズ、この厄介な性病はというのだ。
「蔓延と言っていいです」
「そこまでの問題なんですね」
「それだけにです」
「健全に、ですね」
「お願いします」
「わかりました、少なくとも僕はです」
 英治個人はと言うのだった。
「気をつけていきます」
「病気になったら大変ですからね」
「エイズは特に」
「他にも風土病はありますし」
 エイズ以外にもというのだ、とかく様々な病気が存在しているのがアフリカ南部なのだ。この国にしても南アフリカにしても。
「ですから」
「気をつけます」
「くれぐれも」
 こうした話をしてだった、英治はそのイギリス風のホテルに入った。そのホテルは白く十九世紀のイギリス貴族の邸宅の外観で内部は冷房が効いていて実に清潔だった。
 ディナーもだ、英治は食べてみて同席しているガイドに言った。
「いや、これは」
「美味しいですね」
「はい、とても」
 こうガイドに答えた。 
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