機動戦士ガンダムSEED 終わらない戦争
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第二話 対面と襲撃
明らかに高級車と分かる黒塗りの車。そこから出てきたのは、あまりにも見覚えがあり過ぎる人物だった。
ピンクの長髪をした超絶美人の歌姫。間違いない。現プラント最高評議会議長で世界最強のコーディネーターの妻。ラクス・ヤマトだ。
「ラクス・ヤマト最高評議会議長ですね?お待ちしておりました。D.I.V.A.セキュリティ社第01中隊の中隊長、カムイ・クロセといいます。」
「ご苦労様です。今回、内密にオーブへ行く必要性があり、皆さんにお願いする事になりました。」
………実を言うと俺は事前に聞いていたりする。何処から漏れるか分からないから部下達にも話していなかった。こいつらを信用していない訳ではないが、うっかり口を滑らす可能性は、残念ながら否定出来なかった。
「おー、画面越しより美人だー。」
「な………ラクス様…だと………!?」
「う~ん、私の好みじゃ無いわねぇ。」
「ムムムムム………人妻もアリか……イタッ!!?」
うん、平常運転。どうして俺の部下達はこうもキワモノばかりなのか。不穏な発言をするサキの頭頂部に拳骨を落としつつ溜め息をつく。
「……スミマセンね、こんな変な部下で。」
「いえいえ、ところで………皆さん若い様ですがこのお仕事は長いんですの?」
「いえ、自分以外は全員この2年間で入った社員です。自分は4年前の戦争を実際に戦っているので、ザフト・アカデミーも含めれば6年間、軍人として生きています。」
「4年前………。」
「ええ、メサイア攻防戦にもいました。貴女の旦那さんとも直接戦っています。どうします?」
止めるか?と言外に訊いた。護衛任務は相手に命を預けて貰うことが前提になる。信用して貰えないようなら引き受ける事は出来ない。たとえ今からでもだ。
「いえ、信じさせてもらいます。それは昔の貴方であって今の貴方ではないでしょう?」
「……分かりました。それでは……」
最後まで言い切る事は無かった。突然、銃声が轟いた。反射的に脇の拳銃を引き抜き、議長を庇う。周囲を見ると、既に全員が戦闘体勢に入っている。こんな時ばかりは頼りになる部下だ。
「敵がスナイパーなら此処は危ない。屋内入るぞ。」
円陣を組んで全周囲を警戒しつつ宇宙港に入る。VIP専用の直通通路なので、人は誰もいない。
「こちらクロセ。ラヴクラフト、状況報せ。」
『こちらラヴクラフト。クロセ大尉、無事でしたか。』
「ユリか。何があった。」
『……襲撃です。宇宙港は既に占拠。最低でも50人規模です。』
「小隊クラスか……ラヴクラフトはどうだ?」
『現在陸戦隊が応戦中。発進準備は出来てます。』
「じゃあ俺達が戻り次第……」
『いえ、宇宙港の管制室を押さえられてるのでゲートが開かないんです。』
「管制室を!?やけに準備がいいな。」
『陸戦隊は本艦を守るので手一杯です。そちらでどうにか出来ませんか?』
「分かった、やってみる。オーヴァー。」
通信を切る。部下達の視線がこっちに向いている。どうするのか。そう問い掛けているのだろう。
「……よし、ジャック、シリル、サキ。お前らは議長の護衛だ。ラヴクラフトに戻れ。」
「はっ!」
「了解♪」
「頑張ります!」
「エディ。お前は俺と管制室の制圧だ。来い。」
「ええー、私じゃなきゃ駄目ですかー?」
「駄目だ。お前の射撃が必要だ。」
文句を言いつつも準備するエディ。他の三人も既に何時でも撃てるようになっている。
「いいな?迷わず撃て。一人も欠けるなよ。」
「「「「了解!!」」」」
宇宙港内部は不気味な程に静まり返っている。巻き込まれた民間人達は、まるでそれが禁忌だとでも言うように、極度に音を立てない。
管制室の前の廊下には二人の男が完全武装で見回っていた。そこら辺のテロリストの装備じゃない。どっかの特殊部隊だ。
数歩後を付いてきているエディに、ハンドサインで作戦を伝える。了解のサインを返してきたのを確認し、一気に動く。
一人目が廊下の角まで来たところで襲い、頸を極めて絞め落とした。異変に気付いたもう一人が駆け寄ってくると、そいつに一人目を盾にして向かい合う。一瞬躊躇ったその隙に気絶した男を押しやり、二人目にぶつける。
慌てて後ろに退いた男の下半身にタックルし、床に押し倒す。位置関係を逆転して立ち上がるや否や、男がサブマシンガンをこちらに指向する。次の瞬間、男の頭に真紅の華が咲いた。
「……ナイス、エディ。」
エディの拳銃には減音器が取り付けられ、その筒先からは硝煙がたっている。
「いえいえ、たいちょーが上手く引き付けたお陰ですー。」
エディはこと射撃においては凄まじく謙虚だ。何でもエディの狙撃の師匠曰く『スナイパーは何時如何なるときも臆病たれ。』ということで、誉められても調子に乗りたくないのだとか。
実際にエディは拳銃で50m離れた的に対して3cm直径内に集弾させられる。
「よし、突入するか。」
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