英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
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第64話
~深夜・ミシュラム~
眠りはじめたロイドはエステルやレン達がいない状況で暴走化した魔人ヨアヒムの手に捕えられ、ヨアヒムに握り潰されようとし、苦しんでいる夢を見た。
ミツケテ
「……ロイド……起きなよ……ロイド……」
「ハッ……!」
自分を起こす声を聞いたロイドは夢から覚めて起き上がった。
「あれ……今、何時だ?」
起き上がったロイドは自分を起こした人物―――ワジを見つめて尋ねた。
「夜中の2時くらいかな。随分うなされてたけどどうしたんだい?」
「ああ、何だか変な夢を見ていたみたいだ……あれ………え………?」
ワジの疑問にロイドは答えた後違和感を感じて布団をめくると、そこには隣で眠っていたはずのキーアがいなかった。
「なんだ、どうした……?」
するとその時ランディが起き上がって来た。
「ランディ……起こしちゃったか。ま、気にすんな。それより……キー坊がいないのか?」
「さっき2人で戻って来て一緒に寝てたみたいだけど。」
「2人とも気付いていたのか。……そうなんだ。一緒に寝てたはずだけど……」
「ふぅん……?部屋にはいないみたいだね。」
ロイドの話を聞いたワジは部屋の中を見回して呟いた。
「ま、ちょっと探してみようぜ。」
「ああ、悪いけど頼む。」
ロイド達は3Fの一帯を探したがキーアの姿はどこにも見つからなかった。そのうち、気配を察したティオやセリカ、ヴァイスやギュランドロスが現れ、女性陣や他の男性陣にも協力を頼む事になり……さらにはホテルの人間も呼んで2Fも探してもらうこととなった。
「そうですか、やっぱり2Fにも……」
ホテルの支配人から報告を聞いたロイドは残念そうな表情をした。
「も、申し訳ありません。全ての客室をくまなく調べたわけではありませんが……」
「いえ、十分です。こんな真夜中ですし。」
「さすがに他の客にまでは迷惑をかけられないしな。」
申し訳なさそうな表情で謝罪する支配人にエリィは微笑み、ヴァイスは頷いて言った。
「まったくあのチビッコ、なに寝ぼけてるんだよ……」
「さすがにちょっと心配ね……」
「ど、どこに行っちゃったんでしょう?」
シュリとセシル、フランは不安そうな表情をし
「……………………………」
リーシャは複雑そうな表情で黙り込み
「「…………………」」
エルファティシアとアルは目を細めて考え込んでいた。
「……わたしのサーチでも見つかりませんでしたし……いったいキーアはどこに……」
そしてティオが呟いたその時
「ウォン。」
ツァイトが階段を昇ってロイド達に近づいてきた。
「あら……」
「おお、お前がいたか!」
ツァイトを見たイリアは驚き、ランディは明るい表情をし
「……狼の鼻でしたら、どこに行ったかわかりそうですね。」
エルミナは静かな表情で言った。
「グルル……ウォン。」
厳しい表情をして吠えたツァイトは再び階段を降りて行き
「お、おい……?」
ツァイトの行動を見たロイドは戸惑った。
「『付いて来い、こっちだ』と言っています。」
「とにかく追いかけましょう!」
そしてロイド達はツァイトを追って、テーマパークへ行く出入り口付近まで来た。
「……グルルル………グルル……ウォン。」
「『―――そちらだ。ただし気を付けろ。』」
「は~……しかし良くわかるわねぇ。闇夜の眷属ってのは皆そうなのかしら?」
ツァイトの言葉を訳したイリアは感心した声を出した後シャマーラに視線を向け
「アハハ……種族の差によって違うと思うよ?あたしには何を言っているのかわかんないし。」
視線を向けられたシャマーラは苦笑しながら言った。
「で、でも気を付けろって……」
一方エリィは不安そうな表情をし
「……時間がない。とにかく行ってみよう。フラン、セシル姉、それとイリアさん達………皆さんはここで待っていてください。」
ロイドは真剣な表情でイリア達を見つめて提案した。
「で、でも……っ!」
ロイドの提案を聞いたシュリは反論しようとしたが
「……ま、仕方ないわね。足手まといかもしれないし。」
イリアは納得した表情で言った。
「でも、何かあったらすぐに呼んでちょうだい。一応救急箱も持ってきているし、いざとなったら私が治癒魔術を使うわ。」
「ああ、わかった。」
「……皆さん、どうかお気をつけて。」
「いざとなったらエニグマで連絡してくださいね~!」
そしてフランが呟いたその時!
「グルル………ウォン!」
ツァイトはイリア達の背後を睨んで吠え
「ツァイト……?」
ツァイトの行動を見たロイドは不思議そうな表情をし
「!!」
何かの気配を察したリーシャは真剣な表情になって振り向いて自分達の背後を見つめ
「―――構えろ。来るぞ。」
何かの気配を感じ取ったセリカは剣を構えて言った。するとオルキスタワーで現れた人形兵器達が現れた!
「なっ!?」
「こいつらはオルキスタワーで現れた奴等!」
「何故ここに放たれているの……!?」
「まさか――――”結社”か!?」
人形兵器達を見たロイドは驚き、ランディは目を細め、エリィは厳しい表情をし、リィンは真剣な表情で叫んだ。
「―――――それは後で考えるぞ!ギガブラッシュ!!」
するとその時ヴァイスはクラフトを放って人形兵器達を怯ませ
「そこですっ!!」
アルはクラフト――――フェア・バティスで追撃し
「オラアッ!!」
ギュランドロスはクラフト―――気合い斬りで一体の人形兵器を真っ二つにすると共に滅し
「そこっ!!」
ルイーネはクラフト―――シューティングスターで人形兵器の目の部分らしき場所を貫いて滅し
「ハアッ!もう一つ!!」
「隙だらけだよっ!!」
「雷光!地烈斬!!」
エルミナはクラフト―――ダブルサーキュラーで、パティルナはクラフト―――飛来刃・強襲で、セリカは魔法剣技―――雷光地烈斬で止めを刺した!
「す、すっげー……一瞬じゃねえか。」
「わお♪凄いじゃない♪さすがは噂の”六銃士”と”嵐の剣神”ね♪」
「ふふ………最強の護衛ですよね。(”六銃士”に加えて”嵐の剣神”や”戦妃”達がいるなら大丈夫ね………)」
ヴァイス達の戦闘を見たシュリは驚き、イリアは興味深そうな表情をし、リーシャは内心ヴァイス達がいる事に安心しながら、微笑んでいた。
「一体どうしてこんな所に人形兵器が……」
そしてセティが考え込んでいたその時、先程現れた人形兵器の倍はある人形兵器が数体歩いて近づいて来た。
「!?気を付けなさい!そいつらはリベールの”異変”時に現れた結社の人形兵器で、止めを刺したら自爆するわよっ!!」
「なっ!?」
「”結社”だとっ!?」
見覚えのある人形兵器を見て目を見開いた後警告したカーリアンの言葉を聞いたロイドは驚き、ランディは目を細めて唇を噛みしめ
「ど、どうしましょう!?これじゃあキーアちゃんの身が……!」
ノエルは不安そうな表情で叫んだ。
「――――ロイド。お前達特務支援課がキーアを探しに行け。ここは俺とエルファティシアやギュランドロス達が抑える!」
「貴方達はキーアを一刻も早く保護しなさい!」
「ガッハハハハッ!一眠りする前の運動にちょうどいいぜっ!」
するとその時ヴァイスとエルファティシアがロイドに指示をし、ギュランドロスは豪快に笑い
「セシル達は私達が守っているから、安心しなさい!」
カーリアンは双剣を構えてロイド達に言い
「――――わかりました。ここはお願いします!みんな、行くぞっ!!」
ヴァイス達の言葉を聞いたロイドは頷いた後エリィ達と共にテーマパークに向かった。
「―――イーリュンの信徒である私は戦う事はできないですけど、傷ついた方達の傷の治療や援護は任せて下さい!」
ロイド達がテーマパークに向かうとセシルは異空間から杖――――『イーリュンの神杖』を出して構え
「ええっ!?つ、杖が何もない所から……!?」
「セ、セシル!?あんた、そんな事ができたの!?」
「アハハ~……セシルさんが戦うのに、警察官のあたしが戦えないなんて、ちょっと情けない話です……」
セシルの行動を見たシュリとイリアは驚き、フランは苦笑していた。
「――――セリカ!お前達はセシルと非戦闘員達の護衛を頼む!こいつらは俺達が片付ける!」
そしてヴァイスはセリカに指示をし
「―――わかった。リタ、レシェンテ。いいな?」
「はい!」
「うむ!」
ヴァイスの指示に頷いたセリカはリタとレシェンテに促し、促された2人は頷いた後迎撃の構えをし
「さーて。いっちょやりますかー!」
カーリアンの言葉を合図にヴァイス達は再び戦闘を開始した!一方ロイド達がテーマパークに到着するとテーマパークは昼間と違い、あまりにも変わり果てていた。
~深夜・ミシュラム・ワンダーランド~
「こ、これって……!?」
「垂れ幕が変わってる!?」
テーマパークの入口に来たエリィとロイドは変わり果てた垂れ幕を見て厳しい表情をし
「おいおい、コイツは……」
「一体どうやってこんな短時間でここまで……」
ランディは目を細め、リィンは真剣な表情で考え込んだ後歩き出した。
「い、いつのまにこんな……?」
「ふむ、夜限定の趣向とも思えないけど……」
周囲の街頭に垂れ下っている垂れ幕を見たノエルは戸惑い、ワジは考え込み
「……そんな話は聞いたことがありません。それに……みっしぃを他のキャラに変えるなんてあり得ないです。」
「……だろうな。」
怒りの表情で呟いたティオの言葉にロイドは頷き
「しかもこんな可愛くないキャラをマスコットにしても絶対に誰も来ないよ。」
「………同感です。可愛いどころか、むしろ不気味と言った方がいいですね。」
「一体誰がこんな事を………」
不愉快そうな表情で呟いたシャマーラの言葉にエリナは頷き、セティは考え込んだ後ロイド達と共にゲートに近づいた。
「あれは――――」
ゲートに近づいたロイドが視線を向けると、そこにはテーマパークの名前がかかれ、さらにキャラクターがみっしぃではなく、垂れ幕に書かれてあるピエロのような顔があった。
「『道化師のワンダーランド』……」
「完全に名前が書きかわってんじゃねーか……」
「ゆ、夢でも見てるんでしょうか……?」
「……夢は夢でも悪夢の類いみたいだけどね。」
「………………………――――どうやらキーアはこの先にいるみたいだ。だったら……とにかく中に入るしかない!」
「ええ……!」
「行くしかねえな……!」
そしてロイド達はテーマパークの中に入って、進んで行った。
「やれやれ……良い趣味してるねぇ。」
ある程度進んで、中央広場にある花で作ったピエロの顔を見たワジは口元に笑みを浮かべ
「ここまで凝ってると溜息しか出てこねぇな………」
ランディは溜息を吐いた。
「そ、それにしても……不気味なキャラですよね。」
「……みっしぃの代わりにこんなものを……絶対に許せないです……!」
ノエルは不安そうな表情で呟き、ティオは怒りで身体を震わせ
「ティ、ティオちゃん。落ち着いて……」
「みっしぃの事となると、本当に我を忘れますね……」
ティオの様子を見たエリィとセティは苦笑していた。
「それにしてもキーアは一体どこに――――」
そしてロイドが呟いたその時
「正面と左右前方……何か来ます!」
「なに……!」
何かの気配に気付いたティオが叫んだ!するとロイド達の正面、左右前方に巨大な霧でできた異形の魔獣が現れた!
「きゃああああっ……!」
それを見たエリィは悲鳴を上げ
「こ、これって……!?」
「ホラーコースターの化物にしちゃガチすぎんだろ……!?」
「完全に本物だよ~、これは~!」
「一体ミシュラムに何が起こっているんですか……!?」
ノエルは驚き、ランディは目を細め、シャマーラとエリナは信じられない表情をした。
「くっ……とにかく迎撃するぞ!」
「―――来る!」
そしてロイド達は戦闘を開始した………………!
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