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英雄伝説~菫の軌跡~(閃篇)

作者:sorano
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第13話

人形兵器を追跡していたリィン達が人形兵器が降り立った場所に急行すると、そこには少女と銀色の人形兵器がいた。



~ノルド高原~



「……!」

「いた……!」

「ほ、本当に子供みたいね……」

「あの銀色のはいったい何かしら?」

「とにかく逃げられる前に押さえるぞ……!」

リィン達が少女に近づく少し前、少女は銀色の人形兵器を前に考え込んでいた。

「んー、これで大体の状況は掴めたかなー。どうしよっかな……制圧するだけならカンタンだけど逃がしちゃう可能性もあるし。かといってミナゴロシにするのもさすがにカワイソウだしなぁ。」

そして少女が今後の詳細な行動を考えようとしたその時

「―――動くな!」

男子の声が聞こえ、声を聞いた方向に振り返るとそこにはリィン達が少女を睨んでいた。



「あ、シカンガクインの人達だ。」

「俺達のことを……!?」

「ど、どうしてしってるの……!?」

少女が自分達が士官学院の学生である事を知っている事にリィンとアリサは仲間達と共に驚き

「貴様……いったい何者だ?」

「うふふ、その銀色の人形は一体なにかしら?」

「―――――」

ユーシスとレンの問いかけに対し、人形兵器は謎の機械音を出して答えた。そしてリィンとガイウスが前に出て少女に問いかけた。



「君は―――いったい何者だ?軍の監視塔と、共和国軍の基地が攻撃されたことに関係しているのか?」

「……無用な疑いはかけたくない。だが、この地にいる理由と名前くらいは教えてもらえないか?」

「むう、なんかロコツに疑われちゃったみたいだし……ちょっと段取りが狂ったかなぁ。」

警戒の表情をしているリィンとガイウスに問いかけられた少女は頬を膨らませた後溜息を吐いたが

「そっかぁ、その手があったか。キミたちが手伝ってくれれば万事解決、オールオッケーだよね?」

ある事を思いついて笑顔になった。



「へ。」

「な、なにを……」

「でも、どれだけ出来るか―――ちょっとだけ試させてね?」

少女の言葉にリィンとアリサが戸惑ったその時、少女は人形兵器の前で何かの構えをした。

「―――ふふっ。」

「―――――」

「くっ……」

「やる気か……!」

「うふふ、貴女とその人形はどれ程”できる”のか調べるのにちょうどいい機会ね。」

少女と人形兵器の様子から戦いを仕掛けてくると判断したリィンとユーシスは少女と人形兵器を警戒し、レンは意味ありげな笑みを浮かべて少女を見つめていた。

「ボクはミリアム。ミリアム・オライオンだよ。こっちは”ガーちゃん”……正式名称は”アガートラム”。それじゃあヨロシクねっ♪」

そしてリィン達は少女―――ミリアムが操る人形兵器―――アガートラムとの戦闘を開始した!



「みんな、行くぞっ!」

「機を逃すなっ!一気にかかれっ!」

ミリアム達との戦闘を開始したリィンとユーシスは仲間達の攻撃力を高める為にクラフト―――激励と、クラフト―――ノーブルオーダーで仲間達の闘志を高めた。

「ガーちゃん、先制攻撃だよっ!」

「――――」

そこにミリアムの指示によってアガートラムが片腕を大きく振りかぶって強烈な一撃――――バスターアームをリィン達に放ち

「散開して!」

レンの警告を合図にリィン達はそれぞれ散開してアガートラムの強烈な一撃を回避した。



「ハァァァァ……せいやっ!!」

「セイッ!!」

散開してミリアムから距離を取ったリィンは抜刀による衝撃波を放つ剣技―――狐影斬を放ち、ガイウスは十字槍に纏わせた突風を解き放つクラフト―――ゲイルスティングを反撃にミリアムへと放った。

「ガーちゃん、バリアっ!!」

「――――」

自分に襲い掛かってきた2種類の遠距離攻撃に対してミリアムはアガートラムに操縦者を絶対防壁の結界で守護するクラフト―――アルティウムバリアを展開させて自分に襲い掛かってくる攻撃を防いだ。

「うふふ、確かにその人形は厄介だけど貴女自身はユウナのような戦闘能力があるのかしら?」

「わわっ!?ガーちゃん、迎撃して!」

その時レンが一瞬でミリアムの目の前に現れ、突然目の前に現れたレンに驚いたミリアムはアガートラムに迎撃を指示しようとしたが

「遅いわ――――ハッ!!」

「かはっ!?」

クラフト―――零頸を叩き込み、零距離で寸勁を受けたミリアムは呻き声をあげてふっ飛ばされ

「人形と操縦者を離したわ!今の内に操縦者の追撃をお願い、ユーシスお兄さん!」

「任せるがいい!」

レンと戦術リンクを結んでいるユーシスはふっ飛ばされたミリアムに追撃する為にミリアムに向かって走り

「セイッ!」

ミリアムとの距離が近くなると突撃しながら騎士剣を振るった。

「――――――」

「チィッ……!」

しかしミリアムに騎士剣が届く寸前でアガートラムが転移でミリアムの前に現れてユーシスの騎士剣を受け止め、追撃を防御されたユーシスは舌打ちをして一旦後ろに跳躍して距離を取った。



「逃がさない――――メルトレイン!!」

「いたっ!?」

「―――!?」

ユーシスがミリアムから距離を取るとアリサが炎の矢を上空から降り注がせて広範囲を攻撃するクラフト――――メルトレインで攻撃してミリアムとアガートラムにダメージを与え

「ミスティアーク!!」

「ハァァァァ……せいやっ!!」

「セイッ!!」

「わっ!?」

「――――!?」

レンもアリサに続くように武器を双銃に変更してミリアムとアガートラムに広範囲の怒涛の銃撃を放って追撃し、リィンとガイウスはミリアムの左右からそれぞれ遠距離攻撃のクラフト―――狐影斬とゲイルスティングを放って追撃した。

「いったいな~、もう~!お返しだ~!ガーちゃん、ビーム!!」

「―――――」

そしてミリアムは反撃する為にアガートラムに指示をし、指示をされたアガートラムは高熱のレーザー――――ライアットビームを自分の目の前の直線上にいるアリサとレンに放ち

「左右に散って回避するわよ、アリサお姉さん!」

「ええ!」

襲い掛かる高熱のレーザーに対して二人は左右に散って回避した。



「アークス駆動―――ダークマター!!」

「わ……っ!?」

「!?」

その時アークスの駆動を終えたユーシスがアーツを発動し、ユーシスのアーツによってダメージを受けると共に吸引と重力でミリアムとアガートラムは動きを封じ込められ

「ガイウス!」

「ああ!」

リィンとガイウスは互いに視線を交わしてそれぞれSクラフトを放った。

「風よ―――俺に力を貸してくれ!うおおおおお……っ!」

「焔よ……!ハァァァァ……斬!!」

「わっ!?」

「!?」

ガイウスが跳躍した瞬間太刀に闘気による炎を宿したリィンはそのまま突撃してミリアムとアガートラムに炎の斬撃を叩き込み

「カラミティ―――ホーク!!」

「うわっ!?」

「!!??」

リィンがSクラフト―――焔ノ太刀をミリアムとアガートラムに叩き込んだ瞬間ガイウスは空から強襲してミリアムとアガートラムを中心に竜巻を発生させ、竜巻によってミリアムとアガートラムはそれぞれふっ飛ばされて石柱に叩きつけられた。そこにリィンとユーシス、ガイウスが一気にミリアムに詰め寄り

「勝負ありだ。」

「これ以上何か怪しげな事をすれば命の保証はできんぞ。」

「…………降参して、オレ達が聞きたい事を答えてくれ。」

「!!」

ミリアムを包囲してそれぞれの武器の切っ先をミリアムに向けた。

「降参!降参だから、武器を収めて~!!」

そして自分の敗北を悟ったミリアムは慌てた様子で両手を挙げて自分の敗北を宣言した!



「わわっ……キミたち、結構すごいなぁ。うんうん。これなら大丈夫そうかな?」

自分の降伏宣言を聞いたリィン達が武器を収めて自分から離れるとミリアムは驚いた様子でリィン達を見つめ、何度も頷いて独り言を呟いた。

「くっ……小娘……いい加減にしてもらおうか!」

「二つの軍事施設への攻撃……やっぱり貴女の仕業なの!?」

ミリアムの言葉を聞いたユーシスは敗北したにも関わらずふざけた態度を取っているミリアムに怒りを感じたのかアリサと共にミリアムを睨んだ。

「だ、だから違うってば~!ああもう、何て説明すればわかってくれるんだろ……」

自分を警戒するリィン達の様子を見たミリアムは慌てた様子で答えた後疲れた表情で肩を落とした。

「―――だったら話せる範囲まででも構わない。君が知っている情報を教えてくれ。」

「俺達の力が必要と言ったな?この地の平穏を取り戻せるのならいくらでも力を貸そう。だから―――どうか話して欲しい。」

そしてガイウスはリィンと共にミリアムに近づいて真剣な表情でミリアムを見つめた。



「…………………………」

ガイウスの言葉を聞いたミリアムは考え込み

「リィン、ガイウス……」

「フン……甘いとは思うが。」

先程まで戦った相手の力になると口にしたガイウスにアリサは驚き、ユーシスは呆れていた。

「―――ミリアム、だったかしら。時間もないから、レン達にどんな事を手伝って欲しいのか単刀直入に答えてちょうだい。」

「ふふっ……―――手伝って欲しいのは監視塔と共和国軍の基地を砲撃した連中……数名くらいの武装集団の拘束だよ。」

「…………っ!?」

「な、なんですって!?」

レンの指示に口元に笑みを浮かべて答えたミリアムの話を聞いたガイウスとアリサは驚いた。



「あの迫撃砲を見たでしょ?同じ物が、共和国軍の基地から少し離れた場所に隠してあったんだ。ま、同じ連中が仕掛けたんだろうね。」

「ちょ、ちょっと待て……」

「その武装集団というのは一体どういう組織かしら?」

予想外の犯人の正体にユーシスは戸惑い、レンはミリアムに答えを促した。

「詳しくは知らないけど……猟兵崩れっぽいから、高額なミラで雇われただけなんじゃないかな~?ま、これからそのあたりを確かめに行こうと思ったんだけど。」

「待ってくれ……!……という事は……」

「そいつらがどこに居るのか君は知っているのか……!?」

ミリアムの話の様子からミリアムが犯人の居場所を知っているように感じたリィンとガイウスは驚きの表情でミリアムを見つめた。



「うん、高原の北の方だよ。どう、手伝ってくれるなら案内してあげるんだけど?」

「……………………」

ミリアムに尋ねられたリィン達は少しの間黙り込み、そして事件解決の為にミリアムと協力する事が近道と悟って自己紹介をした。

「―――わかった。とりあえず協力させてもらう。トールズ士官学院・Ⅶ組、リィン・シュバルツァーだ。」

「ガイウス・ウォーゼル。」

「アリサ・ラインフォルトよ。一応よろしくね。」

「レン・ブライトよ。まあ、元からレンの事を知っている貴女に自己紹介をする必要はないでしょうけどね。」

「ユーシス・アルバレアだ。オーロックス砦の侵入についても色々と話してもらいたいものだが?」

「あ、あはは……ボクたちに気付いてたんだ。それはそれ、これはこれでいったんオネガイシマス。」

最後に自己紹介をした後のユーシスの問いかけに驚いたミリアムは苦笑しながら答えを誤魔化した。



「フン……調子のいい。」

「うふふ、細かい事は今は気にしなくていいじゃない。」

「えへへ、とにかくよろしく!それじゃあ早速だけど高原の北に向かっちゃおうか?」

「ああ、だがその前にいったん集落に寄らせてくれ。」

「そうね……通信器で門にも状況を説明したいし。」

「よし、とにかく出発しよう。って、君の方は”彼”に乗って行くのか?」

ミリアムと共に出発しようとしたリィンだったがミリアムの移動手段が気になり、アガートラムに視線を向けて尋ねた。

「んー、そうだねぇ。とりあえず、せっかくだしキミの後ろに乗せてもらおっかな?」

「え。」

「ガーちゃん。」

「―――――」

ミリアムの指示によってアガートラムはその場から消えた。

「えっ!?」

「あら………」

「……しかも今の消え方は……」

「ほらほら、出発するんでしょ?それじゃあ武装集団を捕えるためにレッツ・ゴー!」

その後ミリアムを加えたリィン達は急いで集落に向かい、長老の住居にある通信器でゼクス中将に調査の結果を説明した。



同日、12:00――――



~ノルドの集落~



「―――では、その武装集団は高原北側に潜伏しているのだな?」

「ええ、間違いないそうです。」

「これから自分達が出向いて押さえるつもりだ。」

「くっ……この状況では仕方ないか。――了解した。15:00までの行動を許可する!くれぐれも気を付けるのだぞ!」

通信器からは学生のリィン達に監視塔を砲撃した犯人である武装集団の拘束を任せる自分達の不甲斐なさを悔しがるゼクス中将の声が聞こえた後、リィン達の行動の許可と心配する言葉が聞こえた。

「はい……!」

「そっちの方はよろしくお願いするわね……!」

そしてリィン達はゼクス中将との通信を終えた。



「猟兵崩れの武装集団か……」

「猟兵……噂には聞いた事があるが。」

ゼクス中将へのリィン達の報告を聞いていたラカンと長老は重々しい様子を纏って呟き

「ふむ、厄介な連中が入り込んでいたようじゃな。」

グエンは真剣な表情で考え込んでいた。

「―――ですがどうかオレたちに任せてください。」

「この地での戦争……必ずや食い止めてみせます!」

「……決意は固そうじゃな。」

「ふむ……ワシの方はこの通信器でARCUSの導力波を拾えるようにしておこう。何かあったら連絡してくるといい。」

「お祖父様……助かります!」

「風と女神の導きを。くれぐれも気を付けるがいい。」

その後リィン達はミリアムが推測している武装集団が潜伏している場所――――”石切り場”へ馬を急がせた―――――




 
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