英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
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第59話
~湖水浴場~
「フフ……たまにはこういうのもいいわね。」
セシル達がロイド達と他の遊びをする為に離れ、リーシャと2人っきりになったルファディエルは微笑みながら言い
「ええ………………………あの、ルファディエルさん。一つ尋ねたいことがあるのですけど。」
ルファディエルの言葉にリーシャは口元に笑みを浮かべて頷いた後複雑そうな表情で考え込んだ後ルファディエルに視線を向けた。
「?何かしら。」
「……”あの後”……ツァオとラウはどうなったのですか?”黒月”がクロスベル警察、警備隊の連合部隊に拘束され、追放されたのは知っていますけど、その中にツァオとラウの姿はなかったという話ですし。」
「?どうしてそんな事を気にするのかしら?もう、貴女は”黒月”と手を切ったのでしょう?」
「その……………情けない話になりますが………肝心な時に裏切った私をツァオがどうするのか、警戒しているので……行方を知っているとしたらツァオ達と対峙し、恐らく戦ったルファディエルさん達だけですし。」
ルファディエルの疑問を聞いたリーシャは不安そうな表情で言った。
「別に答えてあげてもいいけど………条件があるわ。」
「な、なんですか。」
ルファディエルの言葉を聞いたリーシャは表情を引き攣らせてルファディエルを見つめ
「フフ、”裏の貴女”が今雇ってもらっている組織を教えてもらうだけでいいわ。貴女ほどの腕なら、もう他の裏組織から勧誘が来て、雇ってもらっているのではないかしら?」
「ハ、ハア………本当に”それだけ”でいいのですか?」
微笑みながら言ったルファディエルの言葉を聞いたリーシャは戸惑った後不安そうな表情でルファディエルを見つめ
「あら……私が一度でも貴女との”契約”を裏切った事があるかしら?」
見つめられたルファディエルは意外そうな表情で尋ねた。
「い、いえ。……………今は”ラギール商会”に雇われています。」
「へえ………少し意外ね。カルバードとは何の関係もない裏組織が貴女に接触できるなんて。」
「……私の方からチキさんに接触し、雇ってもらったんです。今、クロスベルに存在する裏組織は”ラギール商会”だけですし………」
「そう。じゃあ、私の方からも教えないとね。ツァオとラウだけど…………―――――もうこの世には存在しないわよ。」
「……………………え。」
静かな表情で言ったルファディエルの答えを聞いたリーシャは固まった後呆けた声を出し
「……”赤の戦鬼”と違ってツァオは頭が切れて、いずれ”赤い星座”よりも厄介な存在になったでしょうしね。力で攻めて来るタイプより頭が切れ、搦め手で攻め、時にはこちらの思惑するも読み取ろうとするタイプの方が厄介だわ。だから消したの。私達との戦いで唯一気絶していなかった目撃者のラウ共々跡形もなく。」
「……………………………」
ルファディエルの説明を聞いたリーシャは固まったまま何も言わず
「フフ、私の”協力者”になっていてよかったわね?でなければ、貴女も危険分子としてその時にツァオ達と共に滅したでしょうし。ああ、それと。もし本当にロイドの事が好きなったら愛人になっても別に構わないわよ?………あの子の性格に問題があるのはわかっているけど、人を好きになるのはその人の自由だし。」
リーシャの様子を見たルファディエルは微笑んだ後リーシャから離れてロイド達の輪の中に入って行った。そしてルファディエルがリーシャから離れるとリーシャは自然と砂浜に座り込み
「な、なんて恐ろしい人…………………ううっ……ルファディエルさんには一生逆らえないかも……………」
大量の冷や汗をかいて身体を震わせて呟いた後、疲れた表情で溜息を吐いた。
――――こうしてビーチでの楽しい一時は過ぎて行った。その後、ロイド達はお約束のスイカ割りなどを全員で楽しんでから―――ホテルが届けてくれたランチボックスに舌鼓を打ちながら大いに盛り上がるのだった。その後ロイド達は更衣室に普段着に着替える為に向かい、セリカやヴァイス達は先に着替えて更衣室を出て行った。
「いや~、疲れたけど存分に堪能させてもらったぜ。うーん、欲を言えばセシルさんやリーシャちゃん、ルファディエル姐さんやルイーネ姐さん、後はエルファティシアちゃんやセティちゃんにもビーチバレーに参加して欲しかったが!」
「へ、なんで………こ、こらランディ!」
真剣な表情で言ったランディの言葉を聞いたロイドは呆けたがある事に気付いてランディを睨んだ。
「んー、ロイドきゅんは何を想像したのかなぁ~?ったく、お前ときたらちゃっかりお嬢やセシルさん達の日焼け止めなんか塗ってるしよ~。オラオラ、どんなだった?」
「い、いや~………なんか凄かったとしか言いようがないんだけど……」
「んだと~!?この~、一人だけ美味しい目にあいやがって!」
苦笑しながら言ったロイドの言葉を聞いたランディはロイドを睨んだ後、ロイドに近づいて関節をしめていた。
「うわっ、ギブギブ!」
「―――で、ロイド?誰の水着姿に一番グッときたんだ?」
「ええっ!?(うーん……誰かって言われても…………)」
ランディに尋ねられたロイドは呆けた後、水着姿のルファディエルを思い浮かべた。
(ルファ姉………スタイルもよかったし、足もスラッとしていて綺麗だったな…………あの足が魔術で見せている幻影の足だなんてとても思えないし、気の遠くなるような長い年月を生きている風にはとても思えない身体つきだったよな……―――って、何考えているんだよ!?)
水着姿のルファディエルを思い浮かべたロイドはすぐに我に返って慌てた。するとその時
「やれやれ、男2人してなにジャレあってるんだい?」
「っ!」
ワジの声が聞こえてきた。
「ワジ……」
「おいおい。お前ももう着替えたのかよ。」
「ま、若いんだから妄想を膨らませるのは仕方ないと思うけど。もうちょっと余裕があった方が女の子のウケはいいんじゃない?その上で、相手に興味があると思わせればバッチリかな。」
「い、いや!そんな話をしてたんじゃ!」
笑顔で言ったワジの言葉を聞いたロイドは慌て
「おおむね同意だが……随分、上から目線じゃねーか。」
ランディは目を細めてワジを睨んだ。
「うん、だって僕局長と一緒でモテるし。」
そして余裕の笑みを浮かべて言ったワジの言葉を聞いた2人は表情を引き攣らせた。
「フフ、一足先にホテルの部屋に戻ってるよ。テーマパークに行く前に一休みしておきたいからね。アデュー(それじゃあ)」
ロイド達の様子を口元に笑みを浮かべて見つめたワジは更衣室から出て行き
「おおっ、納得いかねー!着替えも確認し損ねたしなんだよこの敗北感は!?」
ワジが更衣室を出るとランディは悔しそうな表情で声を上げ
「まあ、相手が悪いかもな。いまだに気が向いたら夜、ホストのバイトをしに外出してるみたいだし。」
ロイドは疲れた表情で溜息を吐いた後言った。
「なんて羨ましい――――じゃなくてケシカラン!こりゃ一度、尾行でもして素行をチェックしないとな!」
(全然説得力がないなぁ………)
その後ロイド達はホテルに戻った後、それぞれショッピングを楽しみ、さらにその後テーマパークを堪能した後ホテルの部屋で晩餐会が始まるまでそれぞれ休憩していた。なお、ロイドは夕暮れのテーマパークの観覧車でエリィと乗った際、観覧車が頂上に着いた時、口付を交わして、二人にとって心残る思い出を作った………………
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