英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
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外伝~”白蘭竜”の最後~
~ジオフロントC区画~
「グウ………!?まさかこれほどまでの差があるとは………!」
戦闘が終了し、地面に倒れているラウは呻き
「クク……ハハ……ハハハハハッ!もはや恐れや呆れを通り越して笑うしかないほどの戦力差と行動ですよ!フフ……貴女達は決して逆らってはいけない相手に逆らってしまったのですよ!この私に……黒月にここまでの仕打ちをしたら、貴女達どころかクロスベルはただでは済まないでしょうね!今度は”国”を―――カルバードをも相手にするおつもりですか!?」
ツァオは不敵な笑みを浮かべた後大声で笑い、醜悪な笑みを浮かべてルファディエルに視線を向けて言った。すると
「フフ……それ以前にカルバードがクロスベルに目を向ける余裕があるといいのだけどね?」
ルファディエルは微笑みながら言った。
「………?――――!!ま、まさか!あ、貴女は大統領閣下の失脚を狙い、カルバード中を混乱させ、クロスベルへの目を逸らせるという狙いですか!?」
「あら……さすがね。――――けど、私の狙いはそれだけではないわ。それだと大統領が任期中の間はクロスベルが完全に敵対視されるからね。―――当然、既に手は打ってあるわ。カルバードがクロスベルに手を出したくても、出せない状況にできるように。それはエレボニアも同じ事。」
「馬鹿なっ!?」
「なっ……!?大統領閣下どころか”鉄血宰相”の失脚まで狙い、エレボニアまで混乱させた挙句、両国がクロスベルに手を出せない状況に追い込むつもりなのですか……!?一体、どんな手が……!?―――――そうか!メンフィルに今回の件でカルバードとエレボニアにリフィア皇女達を暗殺させようと計画したという冤罪を押し付けて、戦争の勃発を狙い、メンフィルを恐れる二大国の交換条件として二大国のクロスベルの介入及び侵略を防ぐ交換条件を出すつもりですか!!なんて方だ………!あの”鉄血宰相”やロックスミス大統領どころか二大国すら自分の思うがままに操ろうとするとは……!」
微笑みながら言ったルファディエルの言葉を聞いたラウは声を上げ、ツァオは驚いた後ある事に気付いて信じられない表情で叫び
「フフ……そこまで気づくとはね。――――やはり、貴方達をこの場で消しておく事を決めてよかったわ。赤い星座と違って頭がキレる分、後々赤い星座より厄介な存在になるでしょうしね。本音を言えば”鉄血宰相”やロックスミス大統領、赤い星座―――特に”赤の戦鬼”や”血染め”も消しておきたい所だけど、赤い星座は今回の件の”証拠”として貴方達の代わりに残しておく必要があるし、鉄血宰相を消すのはさすがに難しいでしょうし、彼を消すのは私の役割ではないわ。私ができるのは彼に向けられる民衆達の支持率の圧倒的な低下や彼の味方を減らす事ぐらいね。そこからどうやって彼を抹殺できるかはオリヴァルト皇子の腕次第ね。それにロックスミス大統領は今回の策が全て成功したら、勝手に自滅する上2度と大統領に就任できないわ。」
ツァオの言葉を聞いたルファディエルは口元に笑みを浮かべてとんでもない事を言った!
「なっ……!?」
「ま、まさか……!」
ルファディエルの言葉を聞いたラウが驚き、ツァオが表情を歪めたその時!
「フフ、やはり持っていたわね。」
「!!それをどうするつもりですか……!?」
ルファディエルはツァオに近づいてツァオの懐を探って共和国公認の逮捕委任状を見つけて口元に笑みを浮かべ、それを見たツァオが驚くと
「―――レシェンテ、もういいわよ。事前に話した通り、証拠も残さず全て消し飛ばして頂戴。」
「うむ、任せておけ!これで貴様らは用済みじゃ!我が魔力によって消え去るがよい!愚か者達よ!」
ルファディエルが呟き、いつの間にか膨大な魔力エネルギーの球体を頭上に作ったレシェンテが口元に笑みを浮かべて言い
「――――ああ、そうそう。”冥き途”への土産に教えてあげるわ。カルバードは今回の件でメンフィルにアルタイル市もしくはリベールのヴォルフ砦に隣接している領地を差し出す事になり、さらに黒月と全面戦争する事になり、国中は大混乱するでしょうね。………フフ、怨霊となって化けて出ない事ね。その時は転生もさせないよう、魂ごと浄化してあげるわ。」
「フフ、ナベリウスに近い内に一端中間報告をする為に戻ると伝えておいてください。……あ、もし”冥き途”への道がわからなかったら遠慮なく私の所に来てください。その時は貴方達へのせめてもの手向けに”冥き途”への道案内をさせてもらいますから。後、”冥き途”ではちゃんと順番を守って門の中へと入って下さいね?でないと新たな生を受けられませんよ?」
ツァオから離れたルファディエルは不敵な笑みを浮かべ、リタは可愛らしい微笑みを浮かべながらツァオ達を見つめながら言い
「ツァオ様!お逃げ下さい!」
ラウは悲痛な表情で声を上げ
「おのれ―――――――――!数々の知略で今の地位へと這い上がり、黒月の長老たちから恐れられるこの”白蘭竜”が!こんな異郷な地で他人の手のひらでまんまと踊り、利用された挙句、果てるというのですかっ!!」
ツァオが怒りの表情で叫んだその時!
「全て塵となるがいい!エーテルストライク!!」
レシェンテが膨大な魔力エネルギーの球体をツァオとラウが倒れている場所に向かって放ち、球体に呑みこまれた2人はすざましい爆発の連鎖に呑みこまれ、爆発が収まると2人がいた場所には塵すら残っていなかった!
こうして”白蘭竜”と呼ばれた黒月の幹部にしてクロスベル支社長、ツァオ・リーは側近のラウと共に悲惨な最期を遂げた……………!
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