英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
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第32話
その後ロイド達はさまざまな支援要請を片付けて一端ビルで休憩した後再び支援要請を片付ける為にビルを出た。
~中央広場~
「ピューイ!」
「あれ……?」
「鳥の鳴き声?」
ビルを出た時、鳥の鳴き声を聞いたロイドとエリィは不思議そうな表情をし
「この鳴き声は……まさか……」
ヴァイスは意外そうな表情をした。すると白ハヤブサが飛んできてロイド達の頭上を旋回した。
「な、なんだ!?」
「し、白いタカ……?」
飛んでいる白ハヤブサを見たロイドとノエルは戸惑い
「……いや、ハヤブサみたいだね。」
「白ハヤブサか……初めてみるな……」
ワジは意外そうな表情で呟き、リィンは興味深そうな表情で白ハヤブサを見つめ
「おいおい、何だってこんな街のど真ん中に……」
ランディは目を細めて呟いた。すると白ハヤブサは近くの手すりに止まった。
「ピューイ。ピュイ、ピュイ、ピューイ。」
「も、もしかして……俺達に何か用があるのか?」
自分達を見つめて鳴く白ハヤブサをロイドは戸惑いながら尋ね
「ツァイトが話しかける時と同じような感じだけど……」
エリィは考え込み
「うーん、ティオすけやセティちゃんがいたら何喋ってんのかわかりそうだが……って、そうだ!セティちゃんと同じエルフのエルファティシアちゃんとアル警視がいるじゃねえか!」
「私達は純粋のルーンエルフだから、微妙に違うんだけどね……」
ランディは溜息を吐いた後ある事に気付いて声を上げ、ランディの言葉を聞いたエルファティシアは苦笑していた。するとビルからキーアが出てきた。
「あれー、どうしたのー?わぁ、白いトリだぁ!クチバシも尖っててカッコイイー!」
ビルから出てきたキーアは白ハヤブサに気付いた後嬉しそうな表情で走って近づいて白ハヤブサを見つめ
「ピューイ♪ピュイイ、ピュイ、ピュイ♪」
白ハヤブサは嬉しそうに鳴いた後再び鳴きはじめた。
「ふむ、ふむ。なるほど、そうなんだー。」
(キーア……やっぱりわかるのかな?)
(ス、スゴイですね……)
白ハヤブサと会話している様子のキーアを視たロイドとノエルは苦笑し
((………………))」
エルファティシアとアルは目を細めてキーアを見つめていた。
「えっとね、この子、『ジーク』っていうんだってー。ロイド達に伝言があるから受け取ってって言ってるよー?」
(……やはりジークか……という事は……)
キーアの話を聞いたヴァイスは静かな笑みを浮かべ
「そ、そうなのか。」
ロイドは戸惑いながら頷き
「お、確かに脚のところにメモが括り付けてあるな。」
ランディは白ハヤブサ―――ジークの脚についたメモを見つけ、ロイドは白ハヤブサの脚に括り付けてあったメモを取った。
拝啓 クロスベル警察、特務支援課様
皆様の評判を耳にして不躾ですが連絡させていただきました。もしお時間があれば内密に相談に乗っていただけないでしょうか。本日夕刻、クロスベル空港、待ち合いテラスにしてお待ちしております。
追伸 もしご都合がつかない場合もご返答は頂かなくて結構です。
「……………………」
メモを見つめたロイドは呆け
「こ、これって……」
「内容といい、差出人不明といい怪しすぎますけど……」
エリィは真剣な表情で呟き、ノエルは疲れた表情で呟き
「でも、綺麗な筆跡だし、文章も丁寧な感じだね。」
ワジは口元に笑みを浮かべて呟き
「何よりも、メモに押されてるその白ハヤブサの紋章は……」
「…………………」
ランディは目を細めて呟き、リィンは黙ってメモを見つめ
「ピューイ。ピュイ、ピュイ、ピューイ。」
ジークは鳴いた後飛び去って行った。
「えっと……キーア、彼はなんて?」
「んー、行くか行かないかはロイド達次第だってー。」
「そうか…………」
キーアの言葉を聞いたロイドは考え込み
「ど、どうするの?まさかそんな訳は無いとは思うんだけど……」
「ああ、さすがになぁ。」
「でも、白ハヤブサの紋章って……今の子もそうだったみたいですし。」
「あはは、いやが上に期待しちゃうよねぇ。」
「ヴァイスハイトは知っているでしょ?さっきの白ハヤブサ―――ジークがヴァイスに『久しぶり』って言ってたし。」
仲間達が話し合っている中エルファティシアはヴァイスを見つめて尋ね
「ああ。ジークはクローディア姫と共にいる白ハヤブサだ。」
「ええっ!?ク、クローディア姫……!?」
「……これで誰が呼んだか決まりましたね。」
ヴァイスの答えを聞いたリィンは驚き、アルは静かな表情で頷いた。
「――――せっかくのお誘いだ。ここはお受けしておこう。まだ夕方まで時間はあるから用事を済ませてからでもいい。」
そして考え込んでいたロイドは仲間達に提案し
「わ、わかったわ。」
「き、緊張してきました……」
「まあ、さすがに正装して行く必要はないだろうが……」
ロイドの提案にエリィは緊張した様子で頷き、ノエルとランディは苦笑し
「フフ、それじゃあ用が済んだら南口のクロスベル空港に行こうか。」
ワジは静かな笑みを浮かべて言い
「よくわからないけどみんな、がんばってねー。」
キーアは無邪気な笑顔でロイド達を見つめて言った。その後用事を済ませたロイド達は空港に向かい、待ち合いテラスでアルセイユを見つめながら待っていた。
~夕方・クロスベル国際空港~
「リベール王国の高速巡洋艦、”アルセイユ号”…………はあ……やっぱり凄い船ですよね……」
テラスにあるソファーに座ってアルセイユを見つめていたノエルは嬉しそうな表情で溜息を吐き
「ZCFの名前を轟かせた世界最高速の飛行船ね……いまだに自己記録を更新し続けて他を寄せ付けていないそうだけど。」
エリィが説明をし
「そんで、リベールの王女様が乗って来た旗艦ってわけだ。クローディア姫だったか?やんごとなき方って感じだよな。」
ランディは嬉しそうな表情で言った。
「正確には『王女』じゃなくて『王太女』だけどね。つまりはリベール王国の次期女王陛下ってわけさ。」
「は~、なるほどね……んでさっきの白ハヤブサが本人と一緒にいたっつーことは本人の可能性が高いが……何で俺達を呼び出したんだ?」
「う、う~ん。さすがにわからないわね。」
ロイドの説明を聞いて呟いたランディの疑問を聞いたエリィが考え込んでいたその時
「フフ……どうやらすぐにその答えがわかるようだよ?」
何かに気付いたワジが振り向いてある方向を見つめて言い
「え。」
ワジの言葉を聞いたロイドが呆けたその時
「―――お待たせした。特務支援課の諸君だな?」
なんとユリア准佐がロイド達に近づき
「あ―――」
「!!」
「や、やっぱり……」
ユリア准佐を見たロイドは声を上げ、ノエルは目を見開き、エリィは明るい表情でユリア准佐を見つめ
「おお、さっきお嬢さん方が騒いでいた……」
ランディは興味深そうな表情で呟き
「フッ。久しぶりだな。ユリア大尉……いや、今は准佐と言った方が良いか。」
ヴァイスは静かな笑みを浮かべてユリア准佐を見つめ
「フフ、お久しぶりです、ヴァイス殿。―――申し遅れた。リベール王国軍・王室親衛隊、ユリア・シュバルツ准佐だ。クローディア殿下の命によりこれより諸君を”アルセイユ”へ案内させていただく。どうぞ、付いて来てくれ。」
見つめられたユリア准佐は静かな笑みを浮かべて頷いた後ロイド達に敬礼して名乗った。
その後ロイド達はユリア准佐と共に”アルセイユ”に乗船した。
~夕方・特務支援課~
ロイド達がアルセイユに乗船したその頃、通信機の音に気付いたキーアは通信機の受話器をとって通信を始めた。
「えっと、もしもし?こちらクロスベル警察、特務支援課でーす。」
「あ………キーアですか?」
「あ、ティオだー!またかけてくれたんだー。」
「ふふ、昨日と違って普通の導力通信ですが。……ひょっとして近くに誰もいませんか?」
「うん、かちょーもさっき出かけちゃったし。ツァイトはそこにいるけどー。」
「ウォン。」
「ふむ、そうですか。……実はロイドさん達のエニグマに繋がらなくって。それで支援課に直接、連絡したんですけど……」
「ふーん、そうなんだ。ロイドたちだったら真っ白なハヤブサに呼ばれて出かけたみたいだけどー。」
「真っ白なハヤブサ……?」
「うんっ、ジークって言ってツァイトみたいに喋れるの。」
「ジークという名の白ハヤブサ……?――――!まさかロイドさん達が”あの人”と接触しているなんて……」
キーアの話を聞いた通信相手―――ティオは考え込んだ後驚いた様子で呟いた。すると
「……の皆様。長らくお待たせしました。これより……レマン……を……参ります……」
何かのアナウンスが聞こえてきた。
「???」
「―――時間みたいですね。キーア、また後で。ロイドさん達と課長にもよろしく言っておいてください。」
「うん、またねー。」
「ウォン。」
そしてキーアが通信を終えたその時
「おー、帰ったぞ。」
セルゲイがビル内に入って来た。
「あ、かちょー。もっと早く帰ってきたらティオと話せたのにー!」
「なんだ、通信が入ってたのか。で、何て言っていた?」
「えっと、あのねー。」
そしてキーアはセルゲイにティオとの通信の事を説明し始めた。
一方その頃、ロイド達はユリア准佐と共にアルセイユの会議室の前まで来た…………
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