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英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)

作者:sorano
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外伝~演奏家の捜索~後篇

~裏通り・ジャズバー”ガランテ”~



オリビエとヴァイスを探していたロイド達がジャズバーに入るとなんとオリビエがピアノを弾いていた。

(オ、オリビエさん……?)

(へえ……上手いものじゃないか。)

(ああ……あれ程の上手い曲、なかなか聞けないよ。)

その様子を見たロイドは戸惑い、ワジとリィンはオリビエのピアノの腕に感心していた。そしてピアノを弾き終わったオリビエはピアノから離れ

「フッ……ご清聴、感謝する。」

静かな笑みを浮かべて言った。

「ほう……やるな。俺もピアノは出来るがそこまでは上手くない。」

ヴァイスは感心し

「ブラボ~!お兄さん、すっごく上手いわね!」

ホステスは手を叩いて感心し

「どうです、しばらくここで演奏活動をしてみては……演奏料などは多少、出させていただきますが。」

バーのマスターはオリビエを勧誘した。

「おお、なんというありがたい申し出だろう!もちろん、快く引き受けさせてもらうよ。」

マスターの勧誘にオリビエが嬉しそうな表情で頷きかけたその時

「ちょ、ちょっと待った!!」

ロイドが制止の声を上げ、仲間達と共に近づき

「ほう。もう追いついたか。」

「局長もいい加減にしてくださいッスよ。アル警視、エルファティシアちゃん。」

ロイド達を見たヴァイスは感心し、ランディはヴァイスを睨んで言った後アルとエルファティシアは促し

「はい、わかりました。捕まえましたよ、ヴァイス。」

「はいはい。遊びはここまでよ、ヴァイスハイト♪」

促された2人はそれぞれヴァイスの片腕にそれぞれの胸を押し付けると共に腕を組み

「フッ……捕まってしまったな。」

「畜生……!俺が促したとはいえ、やっぱり悔しい!」

腕を組まれたヴァイスは口元に笑みを浮かべ、それを見たランディは悔しそうな表情でヴァイスを睨んだ。



「あ、あれれ。もう見つかってしまったか……」

一方オリビエは驚きの表情でロイド達を見つめ

「な、なにのんびり仕事にありつこうとしてるんですか!」

ロイドは疲れた表情で突込み

「ったく、とんでもねえ兄さんだな……」

ランディは疲れた表情で溜息を吐いた。

「フッ、よしてくれたまえ。そんなに褒められたら照れてしまうよ。」

「だれも褒めてねえっつの!」

そして静かな笑みを浮かべて言ったオリビエの言葉を聞いたランディはオリビエを睨んで突込み

「今度こそ、ついてきてもらいますよ。」

「さっきのように不意を付く事も無理ですからね。」

ノエルとリィンは真剣な表情でオリビエを睨んで言った。

「やれやれ、キミたちもあきらめが悪いねぇ。人生はもっと楽しく、朗らかに生きないと。そんなキミたちに、今一度贈らせてもらうよ。」

一方睨まれたオリビエは溜息を吐いた後静かな笑みを浮かべて語り

「荒んだ心を解きほぐす、愛と真心の調べを……」

リュートを取り出して酔いしれった様子で言った。するとその時

「ふう……」

エリィは溜息を吐いた。

「おや……どうしたんだいマドモアゼル。憂いを含んだ溜め息は色気あっていいものだが、幸せが逃げてしまうというよ?」

エリィの様子を見たオリビエは口元に笑みを浮かべて言ったが

「……念のために言っておきますけど。私達、ミュラーさんには『どんなことをしてでも連れて来い』と頼まれているんです。多少なら、痛い目にあわせてもいいそうですけど……?」

「わ、わかりました!是非帰らせていただきます!」

威圧がある笑顔のエリィに微笑まれ、慌てた様子でリュートを仕舞い

(エリィ、笑顔なのに目が笑ってない……)

その様子を見たロイドは苦笑していた。

「やれやれ……ここいらが潮時か。それじゃあ、ミュラーのところに案内してくれるかな?」

「うーん、でも………ミュラーさんの方からこちらに来てもらうのがよさそうですね。ちょっとお手数はかけますけど。」

オリビエの言葉を聞いたノエルは考え込みながら呟いた後溜め息を吐き

「まあ、それが無難だろうね。連行中に逃げられてもなんだし。」

ワジは静かな笑みを浮かべて頷いた。

「やれやれ、信用がないねえ。」

2人の言葉を聞いたオリビエは溜息を吐き

「と、とにかく……駅の方に連絡を入れてみるか。」

ロイドは溜息を吐いた後気を取り直した。その後ロイド達は駅に連絡し、少しするとミュラーが店の前にやってき、ロイド達はオリビエをミュラーに引き渡した。



「……諸君、ご苦労だった。おかげで大した騒ぎになる前にこれを回収することができたようだ。」

「はは………こちらもお役に立ててよかったですよ。」

ミュラーの言葉を聞いたロイドは苦笑しながら答え

「フッ………言うに事欠いて”これ”とはね。まるでモノを扱うような言い草じゃないか。……いや、そういう扱いも趣があって悪くないかもしれない。これからもときどき、そういう扱いで頼むよ、ミュラー♪」

オリビエは口元に笑みを浮かべた後酔いしれった様子でミュラーを見つめて言った。

「黙、っ、て、ろ。」

するとミュラーは全身に怒気を纏わせてオリビエを睨み

「……スミマセンデシタ。」

ミュラーの怒気にあてられたオリビエは素直に謝り、その様子を見ていたロイド達は冷や汗をかいた。

「……すまない、この阿保とは昔からの付き合いでな。毎度、調子の乗り方がエスカレートしてきているから、時々は厳しく躾けねばならんのだ。」

「はは、なかなか苦労してるみたいッスね。」

「局長にもそんな人がいてくれればあたし達も助かるんですが……」

ミュラーの話を聞いたランディは笑い、ノエルは疲れた表情で溜息を吐き

「ハッハッハ!残念ながらそう言った人物はいないな。」

「確かにそうよね。リセルも基本、ヴァイスハイトに甘々だったし。」

「リセルのヴァイスに対しての甘さはどんな甘いお菓子よりも甘かったと思います。」

ヴァイスは声を上げて笑い、エルファティシアとアルは苦笑しながら頷いた。

「なに、フォローしてくれる友人がいていつも助かっているさ。フッ、これもボクの人徳の賜物だろうね。」

「ア、アンタに言ったんじゃないんだけどな。」

「フフ、反省なんてしてたまるかって感じだね。」

そして笑顔で言ったオリビエの言葉を聞いたランディは溜息を吐き、ワジは笑顔で言い

「……そのようだな。あとでみっちり説教してやるから覚悟しておけ。」

ミュラーは頷いた後オリビエを睨んで言った。

「や、やだなあ。ほんの冗談だよミュラー。……キミたちも煽らないでくれるかな?」

「あ、あはは……(ある意味、仲がいいのかも……)」

睨まれたオリビエは溜息を吐いてロイド達に言い、それを聞いたノエルは苦笑し

(フフ、君の妹とあのお転婆姫みたいな関係にやっぱり見えるよね……)

(ハハ…………)

ワジは静かな笑みを浮かべてリィンに小声で言い、ワジの言葉にリィンは苦笑していた。

「……では、そろそろ失礼する。忙しい中、世話になった。改めて礼を言わせていただこう。」

「いえ、それが俺達の仕事ですから。なんというか、その……目を離さないように気を付けて下さい。」

「……心得た。」

「ふぅ、やれやれ……楽しい時間もこれでおしまいか。今度こそ、さらばだ諸君。縁があればまた会う事もあるだろう。」

「は、はあ………」

オリビエの言葉にロイドは疲れた表情で溜息を吐いて頷き

「まあ、ボクとしては噂のテーマパークなんかも見物したかったんだがね。ああ、そうだキミたち。今から案内を依頼できないかな?フフ、我ながら名案だ。楽しい気分で過ごせば、きっとミュラーの眉間のシワも……」

オリビエがある事を考え始めたその時ミュラーはオリビエの背後に移動し

「あっ、ミュラー君!?ほ、ほんの冗談ダヨ?」

背後に立たれた事に焦ったオリビエが慌てて言い訳をしたその時、ミュラーはオリビエを引きずり始め

「あーれー……………」

引きずられたオリビエはわざとらしい声を出して、ミュラーに引きずられながら去って行った!



「な、なんだか凄い人達だったな。実際のところ、どういう人達なんだろう……」

2人が去った後ロイドは苦笑し

「ま、それこそまた会えた時にでも聞いてみればいいさ。」

「正直、すっごく疲れそうですけどね……」

ワジは口元に笑みを浮かべて呟き、ノエルは疲れた表情で溜息を吐き

「ったく、あのお転婆姫とエリゼちゃんのコンビの時は華があってよかったが、男共は疲れるだけだっつーの。」

「ハハ……確かに。」

ランディは疲れた表情で溜息を吐いて呟き、ランディの言葉にリィンは苦笑しながら頷き

「ヴァイスは彼らの正体を知っているのではないですか?先程も仲良さげに話していましたし。」

「さあ、どうだろうな?」

「うふっ♪その顔は知っている顔ね♪」

アルに尋ねられ、静かな笑みを浮かべたヴァイスの表情を見たエルファティシアは小悪魔な笑みを浮かべた。

(つい脅かしてしまったけど、あの人はもしかして……さ、さすがにそれは無いわよね。)

一方エリィは黙って考え込んだ後表情を冷や汗をかいて苦笑し

「どうしたんだ、エリィ?さっきから黙ってるみたいだけど……」

「う、ううん、なんでもないのよ。」

「?」

ロイドに尋ねられ、答えを誤魔化した。

「……ま、ひとまず一件落着ってとこだろ。行くとしようぜ、ロイド。」

「ああ、そうだな。」

その後ロイド達は他の支援要請を片付ける為に行動を開始した。



~中央広場~



「まったく、お前という奴は……いつもいつも好き勝手しおって。このクロスベルがどういった場所なのか知らないわけでもあるまい。少しは自分の立場というものを弁えてほしいものだが。」

ロイド達が行動を開始したその頃ミュラーはオリビエを睨んで忠告し

「フッ、心配をかけてしまったかな。ただ、身動きが取れなくなる前にどうしてもこの街を見ておきたくてね。おかげでここが魔都と呼ばれる所以が何となくわかった気がする。……なにやら”彼”も、水面下で動いてるようだし。」

ミュラーの忠告に静かな笑みを浮かべて答えたオリビエは真剣な表情で考え込んだ。

「……ふむ。収穫はあったようだな。」

「フッ、ミュラーのおかげで楽しい出会いと再会もあったしね。……ああ、そういえばそっちの段取りはどうだい?キミのことだから、ボクのいない間に手際よく進めておいてくれたんじゃないかな?」

「ああ、既に連絡は済ませた。お前のせいでスケジュールには若干遅れが出てしまったがな。」

「フッ、だったら急ぐとしよう。麗しのレディ達を待たせるものではないしね。」

その後オリビエとミュラーはどこかに向かって行った……………… 
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