真田十勇士
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巻ノ五十 島津家の領地その十
「てつぽうというな」
「そうでしたな、確かに」
「我等が使う煙玉や鳴玉の様なものですな」
「それも使っていましたな、元は」
「そのうえで武士達を悩ませました」
「ああしたものもじゃ」
まさにというのだ。
「使うべきか」
「そうしてですか」
「そのうえで戦うべきですか」
「我等も」
「鉄砲以外の火薬の武器も」
「うむ、忍の玉なり地雷もな」
幸村は鉄砲だけを見てはいなかった、その他の火薬を使うものも見てそのうえで十勇士達に言っているのである。
「そうしたものもじゃ」
「備え」
「そしていざという時にはですな」
「そうしたものも使い」
「そのうえで勝つべきだと」
「そう思うが」
こう言うのだった。
「どう思うか、御主達は」
「はい、やはりです」
「鉄砲は必要ですし」
「他の武器もです」
「やはり必要ですな」
「あらゆるものを使って戦う」
幸村はさらに言った。
「だからこそな」
「そうしたものもですな」
「備えていき」
「そして、ですな」
「戦う」
「そうすべきですか」
「そう考えておる」
大隅に入っての言葉だ。
「前から鉄砲はよりあるべきと思っていたが」
「島津家の領地に入ってですな」
「さらにですな」
「思われたのですな」
「その様に」
「左様じゃ、ここはな」
まさにというのだ。
「そうあるべきだと思う、だからな」
「上田に帰りましたら」
「大殿、若殿にお話しますか」
「殿のお考えを」
「そうされますか」
「うむ、何かあった時の為にな」
まさにというのだ。
「家を守る為に」
「真田家を」
「我等の家を」
「守る為に備えることを考えておこう」
幸村は十勇士達に言った、そして。
大隅を隈なく見てそうしてだった、今度は薩摩に向かうのだった。その中で民達が豚を食するのを見てだ。
十勇士達は少し驚いてだ、こんなことを言った。
「豚か、あれは」
「確か猪を飼い慣らしたものであったな」
「明ではよくいるそうじゃが」
「本朝にはおらんかったが」
「ここにはおるのか」
「島津の領地には」
「そうじゃな、そういえば豚の肉は」
幸村もだ、彼等が豚を食うのを見て言う。
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