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Three Roses

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第七話 子をもうけぬままその六

「あの御仁もロートリンゲン家の方だからな」
「必ずですね」
「マイラ様と多くの子をもうけられますね」
「少なくともその可能性はある」
「そうなのですね」
「それが問題だ、だからだ」
 それでというのだ。
「我々に子が出来ないのならだ」
「太子、即ちロートリンゲン家がですね」
「お子をもうけられ」
「この国の王となられる」
「そうなってしまいます」
「太子もマイラ様も旧教だ」
 ここでも確かな声でだ、大公は宗教のことを再び話した。
「わかるな、ならばな」
「新教は捨てられますね」
「ロートリンゲン家の狙い通りですね」
「それは」
「このことは何よりもわかる」
 ロートリンゲン家が何も言わずともというのだ。
「他のことよりもな」
「ロートリンゲン家が旧教であるが故に」
「しかも旧教の擁護者であるが故に」
「それ故にですね」
「あの家がそう考えていることはわかる」
「そうですね」
「そうだ、絶対に狙っている」
 まさにというのだ。
「だからだ、ここはだ」
「何としてもだ」
「絶対にですね」
「新教を守る為にも」
「何とかお子をもうけたい」
「必ずですね」
「北の王国も旧教だが」
 しかしというのだ。
「あの国はまだ新教の力がありな」
「そして、ですね」
「そのうえで、ですね」
「王子は新教の方なので」
「幸いにですね」
「そうだ、あの方の父上が新教だった」
 それでというのだ。
「だからだ」
「まさにですね」
「そこはどうにかなりますね」
「まだ」
「そうだ、何とかする」
 男子をもうけるというのだ。
「血縁者でつないでもだ」
「男子の新教の方」
「その方をもうけて」
「何としてもですね」
「王家を守っていきますね」
「北の王国と縁組を結んでいたことは正解だった」
 対立しており過去幾度も干戈を交えていてもというのだ。
「血縁者がいるのだからな」
「そうですね、危うい時に迎えられます」
「王家の血を引く方を」
「そして国を守れます」
「ですから」
「血筋は何があってもだ」
 それこそだ、どういった手段を用いてもというのだ。
「残すべきだからな」
「その通りですね」
「王家の血を引いておられれば」
「その方が男子であり」
「尚且つ新教であられればですね」
「いいのだからな、では半島と島国にも話をしてまとめた」
 両国との縁組、それをだ。
「ならばだ」
「北の王国とも結びました」
「そうして周辺諸国とのいざかいを解消し」
「そして将来の王も確保する」
「そうしていきましょう」
 側近達も言う、大公は自身に子がもうもうけられなくなっていることを内心呪ってはいた、だがその感情を今は隠してだった。 
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