世界をめぐる、銀白の翼
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
なのはA's ~迫る戦いのときなの~
なのはとフェイトが新たなデバイスを入手してから次の日。
学校からまっすぐ帰ってきた蒔風はユーノ、クロノと話しこんでいた。
なのはたちは学校帰りに何処かによってきているらしい。
「なあクロノ。結局「闇の書」ってのはどういったプログラムなんだ?」
「と、言うと?」
「いや、そんだけすごい力を持つ魔導書ならさ、確かに悪いことにも使えそうだけど、良い事にも使えるかもなんだぜ?」
蒔風の言葉に、ユーノが賛同する。
「そうだね。もし持ち主がいい人なら話せばわかってくれるかもしれない」
だが、その言葉にすぐにうなずかないクロノ。
「そうは言い切れない・・・今回の「闇の書」の騎士たちは何かおかしい」
「おかしい?」
「ああ。騎士たちは本来外敵から主を守るために動くのであって、自分から動くことはしない」
「主に命令されたんじゃないの?」
「そうかもしれないけど・・・あともう一点。騎士たちが感情的すぎる」
「どういうことだよ」
「前も言ったけど、彼らはプログラムだ。かつての事件で、彼らが感情的なものを見せたという記録はない」
「でも、なのはとフェイトは彼女たちにはっきりとした個性があるって言ってたよ?」
「そうだな。ヴィータもシグナムもザフィーラも、ハッキリとした感情で俺に向かってきたしね」
「それに最後の一人も蒔風を見て「悲鳴」を上げてたし」
「あんときそんなに怖かった?」
「「怖かったと思う」」
「え~~~?」
「だからこそ今回はハッキリとしたことは何も言えないんだ」
「でも、一体どんな風になるのかな」
「どんなふうに?」
クロノがユーノの言葉に首をかしげる。
「うん。そんな魔道書なら今までだって発動してきたんだろう?その時にどんな風になったのかって・・・」
「ああ・・・記録上、ろくなことになったことは一度もない。毎回破壊にしか使われていない。だから今回も・・・絶対とは言えないが、おそらくは・・・」
そこで少し顔を暗くするクロノ。
そこでユーノだけに蒔風が念話で話しかける。
『ユーノ・・・確かクロノのお父さんは・・・』
『え?・・・・うん・・・うん・・・そうだったんだ・・・』
『謝ると余計に気を遣わせるから、言わない方がいいよ』
『うん・・・ごめん、クロノ』
届かぬ言葉で謝るユーノ。
仕切りなおすかのように蒔風が会話を進める。
「「闇の書」か・・・・情報が少ないな。何かトリガーになる情報があればいくらでも流れ込んでくるんだけど・・・」
「「世界」が与える情報か・・・・ユーノ、君に頼みたいことがある」
「何かな?」
「君には「無限書庫」で「闇の書」の情報を集めてほしい」
「無限書庫?」
蒔風の質問にクロノが答える。
「無限書庫はありとあらゆる情報が、それこそ無限に貯蓄された書庫だよ。そこにならきっと闇の書の情報もあるはずだ」
「でも書庫なら普通に調べればいいんじゃ?わざわざユーノじゃなくても」
「いや、あそこはその貯蔵量の多さから、どこに何があるのかわからない状態でね・・・・」
「おいおいおい・・・・」
「でも、ユーノの持つ検索魔法なら、もしかしたら」
「あ、そっか。確か「スクライア」の部族は探索を生業にする部族だったな」
「そういうことなら任せてよ。絶対に見つける」
「よかった。そのための案内役も用意したかいがあるよ」
「なんだ。もう任せる気満々じゃないかよ」
「実はね。二人とも、入ってきてくれ」
クロノが声をかけると、奥の部屋から二人の女性が入ってきた。
どうやらネコを素体とした使い魔のようで、頭からはネコ耳、後ろにはしっぽが見える。
外見は同じで、双子のみたいだ。
「はぁ~いクロスケ。お久しぶりなのにそっけないぞ~?」
「ロッテ!!いきなり抱きついてこないでくれ!!やめっ、頭をッ!!うわぁ!!」
「はあ・・・ロッテがいきなりごめんね?騒がしいと思うけど気にしないで?」
「アリア、そういうなら助けてくれ!!」
そしてクロノがいきなりやってきた二人に揉みくちゃにされた。
「んん?なんかおいしそうな子がいるね?」
「うーーーーああっ!!もう!!話を聞いてくれないか!!」
そう言ってクロノがキレる。
息を整えてから、クロノが紹介を始めた。
「彼女たちはリーゼロッテ、リーゼアリアだ。今回、無限書庫での案内を務めてもらう」
「どうも~」「よろしく」
「二人はグレアム提督の使い魔なんだ」
「だったら結構やれるんじゃ?」
蒔風が二人に聞くが、手を振ってできないという二人。
「あーだめだめ。こっちはこっちの仕事で忙しいから、案内したらそこまでだよ」
「そういうことです」
「じゃあ、君は早速向かってくれ」
「いまから!?」
「ああ、二人とも、頼む」
「「はいはい」」
「うわ!?ちょ、まっ・・・・」
ガシッ!とユーノの両脇を掴んで連れていく二人。
隣の部屋に入り、そこから転送ポートの明かりがポワ、と浮かんで、三人は行ってしまった。
「なんとも・・・勢いのある二人だな」
「あれでも僕の魔法戦闘の師匠だからね」
「まじで!?」
「ああ」
そう言って蒔風とクロノが会話を止めたところで、玄関のチャイムが鳴る。
フェイトとなのはが帰ってきたのだ。
「「ただいま!!」」
「はい、お帰りなさいな」
蒔風が出迎え、中に入れる。
リビングに入り、クロノがユーノの事をなのはに説明した。
「ユーノくん、調べ物に行ったんだ」
「そう。で、これからどうするかを話し合おう」
「騎士たち・・・ねぇ・・・」
どうしようかと悩む二人に、なのはとフェイトがどうしたいかを言った。
「あ、あの・・・わたし、しっかりあの人たちとお話ししたいです!!」
「私も。そのために必要なら、戦います」
その言葉の裏にどれだけの思考があったのか。
だが、もうこの二人の魔法少女は心に決めたようだ。
「ほほ。騎士たちを救うのかいな。いいねぇ」
「舜君に教わったんだよ」
「救える者は根こそぎ救う、って」
「素晴らしいね。ありがとう」
そう言って計画を立てる蒔風たち。
現状、彼らの足取りを捕らえることはそう難しくない。
だが、対人に特化したその力には、足止めが聞かず、すぐに逃走されてしまうのだ。
さらにあのバックアップの女性の力で、あとを追うこともできない。
「だから今回、あいつらを閉じ込めるために結界を張る」
「誰が?ユーノは調べもんでしょう。アルフだけじゃ・・・」
「いや、武装局員をグレアム提督の口利きで借りることができた」
「なるほど・・・だったらオレも一つ手を打とう」
そこに蒔風も乗っかる。
「・・・というわけなんだが」
「それは・・・イケるかも」
「クロノくん、舜君。あのヴィータって子とは、私が一人で戦う」
「私も、シグナムと一対一で」
「それはいいけど・・・勝てる?」
「「勝つよ」」
「なら問題ないな。結界はこっちに任せろ」
計画は整った。
後は実行するまでのこと。
------------------------------------------------------------
海鳴市から少しだけ離れた都市の空中。
そこに数十人の武装局員と、それに囲まれたヴィータとザフィーラがいた。
「こいつら・・・やはり動きはばれていたようだな」
「関係ぇねえ。こいつらちょろいよ。ぶち抜いちまおう」
と、ヴィータが意気込んでグラーフアイゼンを握りしめる。
そこで、急に局員が離れて行ってしまった。
「なに!?」
「ヴィータ、上だ!!」
ザフィーラの声にヴィータが上方を向く。
そこにはデバイスを構えたクロノと、その周囲に浮く数百の魔力刃があった。
「スティンガーブレイド・エクスキューションシフト!!」
クロノが号令をあげると、その魔力刃一つ一つに環状魔法陣が取り巻き、発射と同時に二人に標準を合わせ、一斉に降り注いだ!!!
「させん!!!」
ザフィーラが一歩前に出る。
そして腕を突き出し、目の前にバリアを張ってそれらを防いでいった。
バキンバキンバキンドドドドドンッ!!!!
魔力刃がバリアに当たり、爆散する。
だが、すべては防げなかったのか、三本がその腕に突き刺さっていた。
「ザフィーラ!!」
「大丈夫だ。この程度では、効かん!」
バキン、と腕の筋肉を絞り、魔力刃を砕くザフィーラ。
それを見つめるクロノ。
そしてクロノが腕を上げると同時に、離れて言った武装局員の準備が整い、すぐさまに結界が展開された。
「これは!?」
「俺たちを閉じ込めるつもりのようだ」
そう言って身構える二人。
クロノがビルの屋上に降りる。
そこには二人の魔法少女と一人の使い魔が。
「二人とも、危なくなったら助けるからね?」
「うん、大丈夫」
「今度は・・・負けない!!」
「さぁって、あたしもあいつに用があるしね!!」
そう言ってなのは、フェイト、アルフが上空の二人を睨みつける。
と、そこに結界を突き破ってシグナムが乱入してきた。
「ふう・・・何とか誘導成功、だな」
蒔風がなのはたちの隣に着地する。
どうやら結界の上部に立って、シグナムをおびき寄せていたらしい。
「あとは、任せる」
「あと一人を探さなくちゃならないしね」
「うん。まかせて!」
「行こう、なのは!!」
「レイジングハート・エクセリオン・・・」
「バルディッシュ・アサルト・・・」
「「セーーット、アップ!!!」」
そうして新たな相棒を手に、二人の魔法少女が戦いを挑む。
「この結界じゃ逃げらんねえ。それにあいつらのデバイス・・・」
「強化してきているようだな。油断するな」
「だが、我らにはなすべきことがある」
「「「我らが主のために、いかなるものでも打ち倒す!!!」」」
「僕たちは残りの一人、または主を探そう」
「おっけ。オレはこの作戦の関係上、あまりここから離れたくないから・・・」
「僕が外、君が中だな。ここからはどれくらいまで離れられる?」
「ざっと六十メートルくらい。それ以上離れると弱まっちまう」
「わかった。じゃあ行こう」
「ああ。この事件を終わらせような」
「「誰の悲劇も起こさないままに」」
蒔風とクロノが腕を一回組んでその言葉を言い、離れて行った。
各々の戦いが始まる。
そして・・・・
「ここまで大きく管理局が動くと厄介だ・・・少し手を出そうか」
裏で蠢く陰謀、知略。
どうやら素直に解決されてはくれないようだ。
to be continued
後書き
アリス
「今回はなんかいろいろと時間軸違ってましたね?」
ユーノの無限書庫、リーゼたちの登場、市街戦の展開・・・・
これはひとえに異物の混入が原因です。
ア「「奴」とか蒔風ですね」
よく時間旅行とかで昔言われてた言葉「そこらの枝一本折っただけで歴史が変わるかも」というやつです。
特に彼らが何をしたわけでもないけど、何かが少し変わったということですね。
アリス
「次回、戦闘、そして歪み」
ではまた次回
遥か天空(そら)響いてる 祈りは奇跡に
ページ上へ戻る