転生とらぶる
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機動戦艦ナデシコ
1395話
「私は連合軍のミスマル・コウイチロウと言います。……いえ、でしたと表現するのが正しいのでしょう。この世界の皆が知っての通り、現在クリムゾングループ、ネルガルのサワガサキ社長、そして連合軍の一部による反乱が起こっています」
ミスマルの声が周囲に響く。
普段の豪快な話し方ではなく、勢力のトップに立つ者としての話し方。
いつものミスマルを知っているだけに、その話し方には微妙に違和感があるが……まぁ、そのうち慣れるだろう。
この話し方も外向きの時だけだし。
この放送は、ナデシコ世界の全てに流されている。
中には情報統制をしている国家もあったが、そこにはルリと長谷川が協力してハッキングし、強制的にこの放送を流していた。
「反乱軍……いえ、彼等のしている事は、犯罪者によるテロと言っても過言ではありません。よって、これからは私は……そして私達は反乱軍を反乱軍とは呼びません。賊軍。そう呼称させて貰います」
言ったか。……恐らくこの放送を聞いている中でも、賊軍のトップに近い奴等は歯ぎしりをして悔しがっている筈だ。
だとすれば、この放送が終わってすぐに攻撃を行う可能性も決してない訳ではないだろう。
いや、もしかしたらこの放送を止めるつもりで攻撃を開始する可能性もある。
……まぁ、もしそんな事になったとしても、すぐに対応出来る準備は整えているんだが。
「また、クリムゾングループを始めとする賊軍の者達に告げます。賊軍がどのような意図を持ってこのような行動を起こしたのかは分かりません。ですが、既に賊軍に勝ち目はない事をここに宣言しておきます。何故なら、こちらには強力な味方が幾つもいるのだから。例えば、ネルガル。サワガサキ社長がクーデター紛いの事を行い、アカツキ会長を殺そうとした。だが、結局はそのアカツキ会長に逃げられ、現在そのアカツキ会長はこちらに味方をしてくれている。他にも連合軍の中で裏切った者もいるが、こちらに協力してくれている者も多い。そして何より……」
一旦言葉を切るミスマルに、俺は前へと進む。
ミスマルの隣に、アカツキのいる左隣ではなく、右隣に。
「紹介しましょう。彼はアクセル・アルマー。この名前に聞き覚えのある者もいると思いますが、シャドウミラーの代表です」
そう告げ、ミスマルは演説をしていた場所を俺に譲る。
「さて、今紹介して貰った、アクセル・アルマーだ。こうして俺が公の場に出るのは珍しいが、今回は色々と特別な件が多いのでこのような形にさせて貰った」
この映像が木連にも放映されているのが恐らく間違いない以上、草壁達も俺のこの姿を見るのは確実だろう。
どう思うだろうな。
草壁は、火星にまだ古代文明の遺産があると思わせ、それを探させる事によって俺を火星に閉じ込めておきたかったのだろう。……いや、違うか。草壁にとっては、少しでも時間を稼げればいいと思った程度の事だった可能性の方が高いか。
そもそも、シャドウミラーでは転移技術が普通に存在している以上、もし何かあったとしてもフットワークは非常に軽い。
地球のどこそこで戦いが起こったと地球に残っているニヴルヘイムからフォールド通信で連絡が入れば、数十秒後にはニーズヘッグを空間倉庫から取り出して、システムXNでの転移……なんて真似すら可能なのだから。
つまり、そこまで知っている草壁にとっては、多少時間稼ぎが出来ればラッキー程度の思いだった可能性が高い。
「知っての通り、俺達シャドウミラーはこの世界とは違う、異世界の存在だ。そこで俺達は今まで幾つもの戦いを勝ち抜いてきた。それこそ、神と呼ばれている相手と戦った事すらある。そんな俺達の戦力は、今回鎮圧軍に協力する事になった。……当初はこの内乱はこの世界特有の問題であり、シャドウミラーには手出しをしないようにと反乱軍……いや、賊軍は俺達に向かって通達してきた。だが、生憎と俺達は賊軍を1つの勢力とは認めていない。それは、反乱軍ではなく賊軍と呼んでいる事からも分かるだろう。故に、こう告げよう。降伏しろ。そうすれば命だけは助けてやる。もしも降伏もせずにそのまま向かってくるというのであれば、シャドウミラーが……いや、この俺。シャドウミラーの代表でもあるアクセル・アルマーが全力を以て迎え撃とう。俺の愛機ニーズヘッグの……嘲笑する虐殺者の名の下に!」
そこまでを告げ、自分の席へと戻る。
俺と入れ替わりに再び前に出たミスマルの顔が若干引き攣っていたように見えるが……その辺は恐らく気のせいだろう。
「……さて、今の話を聞いて貰った通り、私達はシャドウミラーと協力をしています。その力を知っている者であれば、これ以上の抵抗は無意味だと理解しているでしょう。また、ナデシコという地球屈指の戦力もこちらの手の内にあります。……この話を聞けば、既に勝ち目はないと理解出来る筈。賊軍の者達には冷静な判断を望みます」
ミスマルが言葉を止め、周囲には静寂が満ちる。
いや、ここには別に俺達以外にはミスマルや俺達を放送しているメンバーしかいないんだから、その辺は当然だろうが。
ともあれ、突然黙り込んだミスマルに、この通信を聞いている者達は興味を持っているだろう。
この辺の空気の使い方が上手いのは、何気にミスマルが政治家に向いているという証なのかもしれない。
それを本人が喜ぶかどうかというのは、また別の話だが。
数十秒、沈黙を保った後で、再びミスマルが口を開く。
「さて、今回のこの発表。実はまだ発表する事があります。それは、木星蜥蜴について」
その言葉を皮切りに、ミスマルは木星蜥蜴の正体について語っていく。
100年前に行われた、月の独立運動。そこで行われた内乱により独立派の過激派は月を追い出された事。入植が始まったばかりの火星に逃げ込んだ独立派へと向かって放たれた核ミサイル。そして火星からも逃げ出した独立派の面々が木星へと到着し、そこで古代火星文明の遺産を手に入れて木連を作った事。
「そしてこの戦争が始まる前……木連は地球に対して使者を送ってきました。しかし当時の連合軍上層部は、木連の存在が表沙汰になる事は自分達にとって甚だ都合が悪いとして……その使者を闇に葬りました」
自分の言葉がどれ程の衝撃を持って受け止められるかというのを確認するかのように黙り込んだミスマル。
恐らく、今この話を聞いている者達は、木連という存在に対して同情や哀れみといった感情を抱いているだろう。
同時に、当時の連合軍と連合政府……そしてこの話を公表したミスマルについても。
「当時の連合軍を動かしていたグリューノ総司令が何を考えていたのかというのは、私には分かりません。ですが、それを後悔していたのは事実なのでしょう。知っての通り、グリューノ総司令は今回のクーデターにおいて真っ先にその命を賊軍に狙われましたが、それでも何とか生きて逃げ延びる事には成功しました。……ですが……」
タイミング良くグリューノの姿が映像スクリーンに映し出される。
この辺の操作は多分ルリ辺りがやっているのか?
ともあれ、そこに映し出されたグリューノは、両手両足を失い、顔の半分も火傷で酷く焼け爛れているといった姿だった。
先程のミスマルの話を聞いていた者達であっても、このグリューノの姿を見れば決していい気味だと笑っていたりは出来ないだろう。
そして……俺とグリューノのやり取りが映し出される。
この映像はどうやって撮ったのかは分からないが、この辺も恐らくルリか長谷川辺りが動いたのだろう。
そして映像の中で語られる言葉。
自分の命を以て木連の使者を殺した罪を償うと告げているグリューノ。
また、木連の使者を殺したのはグリューノ本人の意思ではなく部下の暴走だという事も映像の中で語られる。
そして最後にはグリューノが息を引き取ったところでその映像は終わりを告げた。
映像が終わり、数秒。ミスマルが天を仰ぐようにグリューノの冥福を祈り、口を開く。
「見て貰えたでしょう。グリューノ総司令は自らが生き延びる可能性があったにも関わらず、己の命を以て木連に対する謝罪としたのです。……自らの命を以て謝罪とする。言葉にすれば何とも陳腐なものではあるでしょう。ですが、それがどれだけの重さを持つのかは、この映像を見た人達であれば容易に理解出来る。私はそう信じています」
ミスマルのその言葉に、この映像を見ていた者達がどう反応するのか。その辺はかなり興味深かったが、その答えが出るのはそう遠くない話だろう。
特にヤマダモドキの揃っている木連は、良く言えばフットワークが軽い、悪く言えば深く考えもせずに行動に移す者が多い。
そんな連中にとって、自らの命を謝罪の代償に支払うというのがどのような意味を持つのか……それは考えるまでもないだろう。
「では、最後にもう一言だけ」
一旦言葉を切って目を瞑ったミスマルだったが、次の瞬間には今までの態度を一変させ、一つの勢力の代表であるミスマルではなく、軍人としてのミスマルでもなく……ましてや父親としてのミスマルでもなく、ただ一人の男のミスマルとして叫ぶ。
「賊軍の者共よ! 今降伏してくれば上に従って強制的に従わされただけだという扱いにしてやろう。だが、この放送以後……それでもまだ我等討伐軍に対して敵対をするのであれば、以後は本当の意味でお前達を賊軍として扱う!」
怒号……と呼ぶよりは雄叫びと表現した方がいいような声。
だが、その雄叫びの中にはミスマルの気持ちがこれでもかといった具合に篭もっていた。
ミスマル自身、グリューノとの関係が必ずしも良かったという訳ではない。
そもそも穏健派のミスマルと強硬派のグリューノだ。寧ろ敵対していたと表現するのが正しい。
それでも、敵対はあくまでも政治上の理由であって、実際にはお互いを本気で憎んでいた訳ではないという事なのだろう。
いや、勿論政治上の関係で相手に苛立ちを覚えるといった行為は間違いなくあっただろうが。
軍人でも派閥とか政治とかを考えなきゃいけないところに、軍人として上に行った者の面倒臭さを感じる。……いや、軍事国家シャドウミラーの頂点に立つ俺が言うべき事じゃないんだろうけど。
「では、これで討伐軍結成と賊軍への最後通牒、木連へ対してのグリューノ元総司令の謝罪についての発表を終わりたいと思います。皆さん、ご静聴ありがとうございました」
そう告げると同時に放送が切れる。
「……」
放送が切れても、ミスマルはただじっとその場に留まったままだった。
今回の件で色々と後戻り出来なくなったと思っているのか、それとも他にも何か思いがあるのか。
ともあれ、今はそっとしておくべきだろう。
アカツキへと視線を向けると、向こうも俺の方へと視線を向けていた。
一瞬だけお互いに視線を向け合い、どちらともなく頷きを返すと、俺達は黙ってその場を後にする。
「どう思う?」
そして演説を行っていた部屋から少し離れると、不意にアカツキがそう尋ねてくる。
「どう思うって、何がだよ?」
「反乱軍……いや、賊軍さ。シャドウミラーがこっちに付いたとなれば、降伏してくる奴も結構出てくると思うんだけど」
「……どうだろうな。確かに一定の人数は降伏してくると思うけど、あくまでも一定ってところになると思う」
そもそも今の時点で降伏してきたとしても、そのまま無罪放免という訳にはいかない。
賊軍として活動していた期間、更にはそれ以前の間にも何か罪があったのかどうかといった事も調べられる筈だ。
そう考えれば、少しでも後ろ暗いところがある人物は降伏を選ぶ事が出来ないだろうし、後ろ暗いところがない人物にしても元賊軍というレッテルを張られる事になるのは間違いないだろう。
そうなってしまえば、これから先の人生で常に後ろ指をさされて生きていく事になる。
それを許容出来る奴がどれくらいいるのか。
それよりは、一か八かで自分達が勝者になる事を選択する者の方が多いだろう。
あるいは、賊軍を脱走しつつも討伐軍には降伏せず行方を眩ませる……といった手段もある。
まぁ、高度に情報化されたナデシコ世界だ。
もし逃げ出したとしても、賊軍の方には情報が残っている。
何らかの手段で賊軍の情報を消したとしても、それ以前……賊軍になるよりも前の情報を消すのは難しいだろうし、その辺りが成功したとしてもこれからは人目を避けて暮らして行く必要がある。
……それに耐えられるのであれば、もしかしたら何とかなるかもしれないが……それに耐えられる者がどれだけいる事やら。
これからの面倒事を考えながら、アカツキと話しつつ廊下を歩くのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:465
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1200
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