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英雄伝説~光と闇の軌跡~(零篇)

作者:sorano
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第112話

同日、23:30―――



~夜・東クロスベル街道・上空~



マフィア達が待ち受けている中、ロイド達を乗せたガプタールは空を飛行して通り過ぎ、ガプタールに気付いたマフィア達はガプタールに向けて機関銃を放ったが既に去った後であった。

「ヒュウ!やっぱ空だと守りががら空きだぜ!」

「まさかこんな簡単に突破できるなんて……」

「ハハ、ヨアヒムもまさか空を飛んで来るとは思わなかっただろうね。」

「……ですね。」

「クク……悪魔に天使、闇夜の眷属やエルフと来て、止めは竜か………つくづく異種族との縁に恵まれているな、特務支援課は。」

飛行しているガプタールの背に乗っているランディは口笛を吹き、エリィとロイドは微笑み、ティオは静かな笑みを浮かべ、セルゲイは口元に笑みを浮かべていた。

「フフ………それにしてもまさか私達がガプタール様の背に乗って決戦の場へ行く事になるなんて……」

「ええ………父様達の血を引く私達が父様達が歩んだ道と同じ道を歩む………こんな素晴らしい偶然、滅多にないでしょうね………」

「確か狐伯蓮さんも父さん達と一緒にガプタールさんの背に乗って決戦の場へ行った事があるんだよね?」

セティとエリナは微笑み、シャマーラは狐伯蓮に尋ね

「うむ。あの時はユエラの顔が見物(みもの)だったぞ。いつも仏頂面のあの娘が悲鳴を上げながら恐怖の顔をしていたからな………」

尋ねられた狐伯蓮は口元に笑みを浮かべて答え

(あ、あはは………ユエラさんが聞いたら絶対怒りますよ?)

(相変わらずいじわるだな~、狐伯蓮は………)

「あのユエラ姉様が………正直、想像できないのですが。」

狐伯蓮の話を聞いた水那とアトは苦笑し、エリナは驚き

(何でユエラはあんなに怖がるんだろうね~?空を飛ぶ感覚ってすっごい気持ちいいのに!)

(私は空を飛ぶ事はあんまり好きじゃないわよ………私達は大地に住まう木精(ユイチリ)なんだから。)

クレールは首を傾げ、クレアンヌは静かな表情で答え

「そういえばユエラ姉さんは高い所が苦手だって母さんから聞いた事があるな~。」

シャマーラはある事を思い出して呟いた。

「………このまま、まっすぐ進めばよいのだな?」

その時ガプタールの声が聞こえ

「はい。このまま真っ直ぐ行くと分岐点が見えるので、そこを左に曲がって下さい。」

「うむ。」

ガプタールの声を聞いたロイドは頷いて答えた。

「………グルルルル………」

するとその時ツァイトは唸り声を上げ

「ツァイト………?」

「何だ、何かあんのか?」

ツァイトの様子を見たロイドとランディは不思議そうな表情でツァイトを見つめた。

「!後方から車両が接近………!警備隊の新型車両です………!」

「!前方から悪魔の軍勢が来ています!」

すると何かに気付いたティオとエクリアが警告し

「なに………!?」

警告を聞いたセルゲイが驚いたその時、地上を走る4台の新型の装甲車がガプタールに向けてミサイルを数本放ち、ガプタールは回避行動する為にさまざな場所に動いて回避し、さらに装甲車に搭載されてあるガトリングガンの連射攻撃も回避していた。



「振り落とされぬよう、しっかり掴まっていろ……!」

「うおっ……!?」

「きゃあ………!」

ガプタールの警告を聞きながらロイドとエリィは声をあげながら仲間達と共に回避行動をする為に激しい動きをしているガプタールの背に必死に掴まり

「マズイです……このまま行くと悪魔の軍勢ともぶつかります………!」

ティオはガプタールの背に掴まっているティオはどんどんと近づいて来る悪魔の軍勢を見て言い

「チッ、こんな激しい動きをされちゃ、狙いが定まらねぇ!」

「かといって真っ直ぐ飛んでいたら下にいる装甲車から狙い撃ちにされるよ!?」

ランディは舌打ちをし、シャマーラは声をあげた。

「ククク……どうやら早速我等の出番が来たようだな。セリカよ、お前はどっちを相手する。」

その時ハイシェラが不敵な笑みを浮かべた後セリカに尋ね

「………俺が悪魔の軍勢を片付ける。ハイシェラは装甲車の方を頼む。―――ただし、くれぐれも警備隊員達を殺すなよ。」

尋ねられたセリカは悪魔の軍勢を睨みながらハイシェラに指示をし

「うむ、任せておけ。」

指示をされたハイシェラは頷いた。

「へ!?」

「こ、この状況で一体どうやって………」

2人の会話を聞いたロイドは驚き、エリィは信じられない表情で2人を見つめた。するとその時2人は跳躍し、セリカはなんと自分の背に光の翼を具現化し、ハイシェラは闘気を纏いながら、装甲車目掛けて落下した!

「フン!雷神脚!!」

落下したハイシェラは装甲車のちょうど横に落下して闘気を纏った両脚を叩き付けた!すると地面はクレーターとなると同時にすざましい衝撃波が発生し、衝撃波によって装甲車は舞い上がり

「”地の魔神”の底力………思い知るがいい!オォォォォォ…………フンッ!!」

ハイシェラはその場で全身に闘気と魔力を収束した後、解放した!するとハイシェラの周りから溶岩が噴出し

「オォォォォォ……………ハア――――――――ッ!!」

噴出した溶岩を纏いながらハイシェラは再び闘気を溜めながら天へと跳躍し、そして解放した。すると溶岩と解放した闘気によってハイシェラは巨大な竜の姿になり

「塵も残さず消し飛べぇいっ!!憤竜!業火衝―――――――ッ!!」

竜の姿となったハイシェラが装甲車を地面に叩きつけると共に超越した爆発を起こした!爆発によって発生した煙が消えると装甲車は木端微塵になっており、全身ボロボロで身体をピクピクさせている警備隊員達が地面に倒れていた!

「クク、他愛ない。」

それを見たハイシェラは再び魔力で浮遊して飛行して先に進んでいるガプタールに向かって行った。

「サティア………俺に力を!」

一方翼を具現化して滞空していたセリカは剣と翼にすざましい闘気と魔力を込めた!するとセリカの翼と剣は強く光り輝き

「神技!閃光翼!!」

剣と翼に込めたエネルギーを解き放った!セリカが解き放った膨大なエネルギーは悪魔の軍勢を呑みこみ、セリカがエネルギーを放ち終えると悪魔の軍勢は塵も残さず消えていた!



「「………………………」」

「し、信じられない………私達、夢でも見ているの……?」

「おいおいおいおい………!出鱈目にも程があるだろう!?」

「いつ見ても、とんでもない攻撃ですね………」

2人の圧倒的な攻撃を見たロイドとセルゲイは目を見開いて絶句し、エリィは信じられない表情をした後溜息を吐き、ランディは叫び、ティオは疲れた表情で溜息を吐き

「これが”神殺し”の力………!」

「フム………さすがは”世界の禁忌”と恐れられるだけあって、”神”をも超える圧倒的な魔力じゃな。そして”地の魔神”も伝承通り……いや、それ以上の圧倒的な力じゃな。」

セティは驚き、狐伯蓮は真剣な表情で呟いた。そこにセリカとハイシェラがそれぞれガプタールの背に戻って来た。

「よし……これで後顧の憂いも断てただろう。」

「それに邪魔者もいなくなった。後は進むのみだの。」

「え、ええ、そうですね………」

ガプタールの背に戻って来て呟いたセリカとハイシェラの言葉を聞いたロイドは戸惑いながら頷いた。するとその時

「……グルルルル………!」

ツァイトが再び唸りだした。

「ツァイト………!?」

「まさかまだいるのですか………!?」

ツァイトの様子を見たシャマーラは驚き、エリナは厳しい表情で尋ねた。

「!後方から車両が接近中………!また警備隊の新型車両です………!」

「!悪魔の軍勢もまた現れたよ!」

その時、何かに気付いたティオとシャマーラが警告し

「くっ……!」

「チッ、何が何でも通さない気のようだな………」

「それだけ追い詰められているという証拠だろう。」

警告を聞いたロイドとランディは表情を歪め、セルゲイは真剣な表情で呟いた。

「フン、ならば援軍がいなくなるまで滅するのみ!もう一度行くぞ、セリカ!」

「ああ……!」

そしてハイシェラとセリカが再び攻撃に移ろうとしたその時

「―――いえ、ここは私達にお任せ下さい。」

「うむ!セリカ達ばかり目立つのはずるいぞ!」

「フフ、”神殺し”に仕えし者達の底力をお見せしましょう。」

エクリア、レシェンテ、リタが申し出

「え………」

3人の申し出を聞いたロイドが呆けたその時、3人はそれぞれ詠唱を開始し

「「超越せし純粋よ、今ここに集い、我が仇名す愚か者達に滅びの鐘を奏でよっ!ルン=アウエラ!!」」

詠唱を終えたエクリアとレシェンテは最高位に値する純粋魔術を装甲車の前の地面に放った!すると大爆発が起き、爆発の煙が消えると爆発が起こった場所は巨大なクレーターとなっており、そこに装甲車が次々と落下して地面に激突して動かなくなった。

「千の棘をもってその身に絶望を刻み、塵となって無明の闇に消えろ…………砕け!時の魔槍!!」

一方詠唱を終えたリタは正面に見える悪魔の軍勢に無数の魔槍を放ち続け

「―――まだですっ!我と共にありし聖槍よ……天に昇りて煉獄を照らす光の柱と化せ…………走れ!空の聖槍!!」

無数の魔槍を放ち終えると続けて無数の聖槍を放ち続け、悪魔の軍勢を滅した!

「……………………」

「おいおいおいおい………!威力がヤバすぎだろ!?つーか、どう考えても兵器より確実に威力があんだろう………」

「というか気になったんですけど、クレーターだらけになった街道………誰が元通りにするんでしょう?導力バスの進行路の一部もクレーターになっていますし………」

「それを考えたら頭が痛いわね………数日中で元通りになればいいんだけど………」

エクリア達の攻撃を見たロイドは口をパクパクし、ランディは驚き、ティオはジト目で呟き、エリィは疲れた表情で溜息を吐き

「ま、それは全て終わらせてからだな。……見えてきたぞ。」

セルゲイは静かな表情で言った後、目の前に見える遺跡を見て言った。その後ロイド達を乗せたガプタールは古戦場の遺跡の前に降り立った。

同日、24:00――――



~古戦場~



「古戦場………まさかここが………」

「”教団”の残党が潜む拠点(ロッジ)だったなんて………」

ガプタールの背から仲間達と共に降りたロイドとエリィは真剣な表情で呟いた。するとその時

「来たわね………!」

なんとエステル、ヨシュア、ミント、フェミリンスが遺跡方面から走って近づいてきた。

「エステル、ヨシュア、ミント、フェミリンスさん!」

「よう………!お疲れさんだったな!」

エステル達を見たロイドとランディは明るい表情をした。

「そちらこそ………大変だったみたいですね。詳しい話は先程通信でアリオスさんから聞きました。」

「ミント達も、さっきやっとそこの入口を開いたばかりなんだ。」

「あ………」

ミントの言葉を聞いたティオは声をあげた後、開いている扉を仲間達と共に見つめた。

「閉じていた扉が………」

「………仕掛けがあった為、開くのに多少時間がかかりました。ですがこれで、敵の拠点に潜入できます。」

ティオの疑問にフェミリンスは説明して答えた。

「………本当に助かったよ。俺達はこのまま、首謀者を逮捕しに行くけれど……君達の方はどうする?」

ミント達の話を聞いたロイドは口元に笑みを浮かべた後、真剣な表情でエステル達に尋ね

「モチ、手伝わせてもらうわ!そのためにここで待ってたんだし。」

「失踪者も救出する必要があるし、助太刀させてもらうよ。」

「ミントもクロスベル市で戦っているツーヤちゃん達に負けないよう、頑張るね!」

「………力無き民を助けるのが王として……神としての務め。私もエステル達と共に力を貸しましょう。」

「………ありがとう。君達がいたら百人力だ。」

エステル達の答えを聞いて口元に笑みを浮かべて頷いた。するとその時

「グルルルル………!」

ツァイトが遺跡の逆方向を睨んで唸りだした。

「ツァイト………?」

「まさか……!」

ツァイトの行動を見たロイドは不思議そうな表情をし、ある事に気付いたエリィは厳しい表情でツァイトが睨む方向を見つめた。すると次々とマフィア達を乗せた運搬車が現れて、ロイド達に軍用犬達と共に向かい、さらに空からは悪魔や翼竜、魔獣の軍団がロイド達に向かっていた。



「どうやら早速お出ましのようだな………―――セティ!シャマーラ!エリナ!ツァイト!お前達はここからロイド達と別行動で俺と共に目の前の奴等の迎撃だ!行けるな!?」

それを見たセルゲイは静かな表情で呟いた後ショットガンを手に持ち、セティ達に呼びかけ

「「「はいっ!」」」

「ガウッ!」

呼びかけられたセティ達は頷き

「力を貸して下さい―――水那姉さん!」

「アト姉さん―――お願い!」

「今こそお二人の力を貸して下さい―――クレール兄様、クレアンヌ姉様!」

それぞれ水那達を召喚し

「はう~、敵が一杯です……でも、私はセティ達のお姉さんなんですから絶対にセティ達を守ります!」

「アトも頑張るぞ~!絶対にシャマーラ達は守る!」

「へへーん!どれだけ来ようと僕達がいれば大丈夫さ!」

「もう、クレールったら調子に乗り過ぎよ!……でも、そうね。私達がいる限り、エリナ達を殺させないんだから!」

召喚された水那達はそれぞれ武器を構え

「セティ達が残るなら当然、わらわも残ろうぞ。ウィルフレドよりその娘達の事は託されているしな。」

「……我も力を貸そう。我はウィルフレドよりお前達を”無事”届けるという義務がある。」

狐伯蓮、ガプタールもセティ達に続くように戦いの構えをし

「………ここからは私達の力が必要となって来るでしょうね。」

「くかかかかっ!最高の展開だぜ!”あの時”みたいな状況になったな?メヒーシャちゃん♪」

「黙れ!もう”あの時”のような不覚はとらん!死ぬのなら貴様一人で死ね、堕天使!」

「行け、ティオ!お前達の後顧の憂いは我等が喰い止める!」

「タイクツせズに済みソウダぜ!」

「ククク……ラグタスが残るってんなら当然あたいも残るよ!ラグタスはあたい以外の誰にも殺らせないよ!殺っていいのはあたい唯一人!」

さらにルファディエル達が自分から出てきてそれぞれ武器を構え

「セルゲイ、武器を私の前に出してくれないかしら?」

ルファディエルはセルゲイに視線を向けて言い

「あん?一体何をするんだ?」

ルファディエルの言葉を聞いたセルゲイは不思議そうな表情をしてショットガンをルファディエルの前に出した。それを見たルファディエルはショットガンの上に両手を翳した。するとショットガンは光輝き始めた!

「……一体何をしたんだ?」

「一時的にロイドやエリィが持つ銃のように光の加護を宿らせたわ。弾丸は光の魔力弾になっているから弾切れの心配はない上、悪魔に対しても効果はあるわ。――――ただし、二人の銃と違って一時的に光の加護を宿らせただけだから、効果時間は限られているわ。」

「………その効果時間は?」

「そうね………今からだと夜明けぐらいまでかしら。」

「それだけあれば十分だ。わざわざ俺の分まで強化してくれてありがとよ。弾切れの心配がないってのが一番助かるし、あの悪魔共に俺の得物が効果がある事はありがてぇ。」

ルファディエルの説明を聞いたセルゲイは口元に笑みを浮かべて言った。

「―――エステル。俺達はここで目の前の奴等を迎撃する。後ろは気にせず、お前達は前に進め!」

「ハハハハハッ!たえぎってきただの……!」

「”七英雄”の最後の一柱たるわらわや”神殺し”に歯向かえばどうなるか思い知らせてくれる!」

「フフ、主達が残るなら当然私も残ります。」

一方セリカはエステルに言った後ハイシェラ、レシェンテ、リタと共に戦いの構えをした!

「課長………みんな……」

セルゲイ達の行動を見たロイドは驚きの表情で見つめ

「―――行きなさい、ロイド!私達も敵を殲滅次第追って行くわ!」

「……ああ!」

ルファディエルの言葉に力強く頷いた!



「……エステル。」

その時ヨシュアが静かな表情でエステルを見つめ

「うん、わかっている。力を貸して――――パズモ!永恒!テトリ!ニル!カファルー!クーちゃん!」

見つめられたエステルは頷いた後叫んだ!するとエステルの周囲に精霊や狐、天使、竜や大型の獣が現れた!

「これがエステルさんと共にいる異種族―――”六異将”………!」

エステルが召喚した精霊達を見たエリィは驚き

「みんな!みんなはセリカ達と一緒に戦ってあげて!」

エステルは精霊達を見つめて指示をし

「ええ!”守護精霊”の名にかけて、貴女達の背後は絶対に守るわ!」

「当然、”守護天使”たるニルも同じ気持ちよ♪」

「わ、私だって頑張ります!森よ……大地よ……大切な人達を守る為の力を私に……!」

風の精霊の最上位種――――”ルファニー”種のパズモ・メネシスは決意の表情で答え、”主天使”のニル・デュナミスは口元に笑みを浮かべて答え、ユイチリ族の中でも最上位種の”ニル・ユイチリ”種のテトリは答えた後祈り

「ほう………異世界に行ったきり、中間報告をしに帰って来ない大馬鹿者とまさかこんな所で会えるとはな………久しいよな、永恒。少し見ない内に随分尾の数が増えたな?たった2年でそこまで増えるとはかなり濃い経験をしてきたようじゃの……」

狐伯蓮は狐――――”炎狐”の異名で呼ばれている”サエラブ”種の永恒を興味深そうな様子で見つめ

(仙狐様………!ハッ………!エステルと共に行動をしていたお蔭でウィル達と同等……いえ、それ以上の経験をさせてもらっています……!)

見つめられた永恒は驚いた後答え

「フム………あのウィルフレド達との行動も濃い経験だったというのに、それをも超える経験とは…………しかもウィルを”友”と認めているお前が言うとはな……興味深い。ならば見せてもらうぞ、異世界で得たお前の力を。それと今回の件が終われば溜まりに溜まった中間報告もしてもらうからな。」

(承知しました……!)

口元に笑みを浮かべた狐伯蓮の言葉に永恒は頷いた。

「あら?フフ………天使が3人もいるなんてね。ラグタスとメヒーシャは久しぶりね♪」

ルファディエル達に気付いたニルはルファディエル達に微笑み

「………”影の国”の時は世話になりました、ニル様………」

「将軍よりお話は聞いております………”主天使”への”昇格”、おめでとうございます………!」

微笑まれたラグタスとメヒーシャはそれぞれ会釈をして答え

「―――初めまして。第六位”能天使”ルファディエルと申します。まさか”主天使”ほどの高位な存在の方が力を貸して頂けるなんて、光栄です。ニル様の力………期待させて頂きます。」

ルファディエルはニルに会釈をした後微笑みながらニルを見つめ

「フフ、ニルに限らず、これほど多くの猛者達が集まれば勝利は揺るぎませんわ!」

「……確かにそうですね。」

ニルの答えにルファディエルは微笑んだ。

「うわ~!ニルユイチリ族だ!!初めて見た!」

「クレール、失礼よ!ニルユイチリ族は私達ユイチリ族にとって王様と言ってもおかしくない方なんだから!」

テトリを見たクレールははしゃぎ、クレアンヌはクレールを睨んで注意し

「あはは………あ、あの。そんなに畏まってもらわなくてもいいですよ?私は元々普通のユイチリで今までの経験でここまで来ただけの話ですから。」

2人の様子を見たテトリは苦笑しながら答え

「すっごーいっ!僕達もいつか”ニルユイチリ”になれるよう、頑張らないとね、クレアンヌ!」

「もう、クレールったら、何無茶な事を言っているのよ………」

テトリの言葉を聞いて驚いた後笑顔で言ったクレールの言葉にクレアンヌは呆れて溜息を吐いた。

「クー―――――――――ッ!」

「グオオオオオオオオ―――――――ッ!」

一方水竜種の最上位種である”白水竜”のクーとエヴリーヌと同じ”深凌の楔魔”の一柱である獣の魔神カファルーは戦場全体に響き渡るような雄たけびを上げ

「り、”竜”!?それになんだあの巨大な獣は……!」

「竜族の中でも海や湖で生息している竜の一種―――”水竜”の最上位種である”白水竜”のクーさんと”魔神”のカファルーさんでエステルさんと共にいる異種族の中でも最も秀でた力を持ち、数多くの異種族と契約しているエステルさんにとって、切り札とも言える存在です。」

クー達を見たロイドは驚き、驚いているロイドにティオは説明し

「ハハ……竜に加えてこんな化物まで従えているなんて……出鱈目すぎだろ、エステルちゃん……」

ティオの説明を聞いたランディは苦笑していた。



「うふふ………どうやらとても楽しい”お茶会”になっているようね。」

「レン……!」

「どうして君がここに………」

その時パテル=マテルの片手に乗ったレンがロイド達の近くに降り立ち、レンを見たエステルは声をあげ、ヨシュアは驚きの表情で呟いた。そしてレンはパテル=マテルから飛び降りてロイド達を見つめ

「―――行くわよ、ロイドお兄さん、エステル。ここからはレンも一緒に行くわ。」

口元に笑みを浮かべて驚くべき事を言った。

「へっ!?」

「レ、レンちゃん、もしかして一緒に戦ってくれるの!?」

レンの言葉を聞いたロイドは驚き、ミントは驚きの表情で尋ね

「………本当なら手助けするつもりはなかったんだけどね。パパ達も戦っているんだから、”メンフィル皇女”として生きて行く事を決めたレンが、今の状況を黙って見ている訳にはいかないし………レンは知る権利がある。”教団”が何を考えていたのかを…………」

「レン……」

「そうですね………わたしも改めてあの人を問い詰めたいです。なぜ、あんな実験をしたのか………どうしてこの地に落ち延びて”グノーシス”を完成させたのか………そしてキーアの正体と、彼女に何をするつもりなのか………」

ミントの疑問に答えたレンの話を聞いたエステルは真剣な表情でレンを見つめ、ティオは頷いて答え

「そうね………」

「締め上げることはどの道確定みてぇだな。」

ティオの言葉にエリィとランディは頷いた。

「”パテル=マテル”は今から戦闘を始める囮班に参加させるわ。――――”パテル=マテル”!!これより”神殺し”達に協力し、襲い掛かって来る敵達を無力化しなさい!」

「―――――!!」

そしてレンはパテル=マテルに指示をし

「――――”英雄王”リウイ・マーシルンと”闇の聖女”ペテレーネの次女にして、”姫君の中の姫君(プリンセスオブプリンセス)”プリネ・カリン・マーシルンの妹、”殲滅天使”レン・H(ヘイワーズ)・マーシルン。これよりメンフィル皇家を代表して、皇家に仕えしエクリア・フェミリンスと共にゼムリア大陸最悪の犯罪組織―――”D∴G教団”司祭ヨアヒム・ギュンターの拘束もしくは討伐に参加するわ。」

真剣な表情でロイド達を見つめて言い

「………ありがとう。君もいたら本当に心強いよ。」

レンの言葉にロイドは静かな笑みを浮かべて頷き

「えへへ………何だか”封印区画”や”リベル=アーク”の時を思い出すね。」

ミントは嬉しそうな表情で呟き

「ハハ、確かにそうだね……さまざまな人達の協力によってここまで来れたんだ………絶対にみんなの期待に応えよう。」

ミントの言葉にヨシュアは苦笑した後真剣な表情でロイド達に言い

「ああ!」

「うん!」

ヨシュアの言葉にロイドとエステルは同時に力強く頷いた。



「―――ロイド、エリィ、ティオ、ランディ………着任して4ヵ月あまり……お前らもそれなりに成長した。無事、この件にケリを付けたら晴れて一人前として認めてやる。だから……絶対に無事に戻って来い!お前らに邪魔がいかないよう、命をかけてでもここは抑えといてやる!」

2人が頷き終わるとセルゲイはロイド達を見回した後、決意の表情でロイド達に言い

「はい……!」

「わかりました!」

「……了解です……!」

「イエス・サー!」

セルゲイの言葉にロイド達は力強く頷いた。そしてロイド達とセルゲイ達はそれぞれ背中を向け

「総員、迎撃開始だ!目の前の奴等を絶対に後ろに通すな!襲い掛かって来る奴等は全て無力化しろ!」

「飛行できる者達は空を飛ぶ悪魔達の対処を優先的にしなさい!」

セルゲイとルファディエルは号令をかけた!

「おおっ!!」

2人の号令にセティ達は力強く頷き

「―――ルファディエル。”第二のクロスベルの真の守護者”と呼ばれているお前の実力、今ここで見せてもらうぞ。」

号令をかけたセルゲイは静かな笑みを浮かべて肩を並べて武器を構えているルファディエルに言い

「フフ、私も見せてもらうわよ。―――あの2人を率いた貴方の実力を。」

対するルファディエルも静かな笑みを浮かべてセルゲイに言った。

「みんな……行くぞ!」

2人の会話が終わるとロイドも号令をかけ

「「ええ!」」

「「はい……!」」

「おう!」

「「うん!」」

「ああ!」

「わかりましたわ!」

ロイドの号令にエリィ、レン、ティオ、エクリア、ランディ、エステル、ミント、ヨシュア、フェミリンスは頷いた後ロイドと共に遺跡内に向かい、セルゲイ達は戦闘を開始した!



こうしてロイド達はセルゲイ達にマフィアや悪魔の軍団の相手を任せ……エステル、ヨシュア、ミント、フェミリンス、レン、エクリアと共に古戦場の遺跡にして”D∴G教団”の”拠点(ロッジ)”―――”太陽の砦”の潜入を開始した……………!












 
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