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英雄伝説~菫の軌跡~(零篇)

作者:sorano
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第72話

~IBC~



「みんな、一気に行くぞ!!」

戦闘開始早々ロイドはクラフト―――鼓舞で全員の闘志を高めた。

「…………………」

「……………」

一方警備隊員の一人は銃口をティオに向け、もう一人の警備隊員はアーツを放つためにオーブメントの駆動を開始したが

「ヴァリアブルトリガー!!」

「させない………ヤアッ!!」

「「!?」」

レンとエリィがそれぞれ行動を妨害するクラフトを放ってダメージを与えると共にそれぞれの行動を中断させた。

「えいっ!とうっ!」

「ふんっ!」

そこにロイドとランディがそれぞれ警備隊員に詰め寄って追撃し

「やあっ!ダークマター!!」

「邪よ、退け―――――ホーリーセイバー!!」

ティオがアーツで警備隊員達を一か所に固めると法剣に聖なる光を纏わせたルフィナが一閃をして吹っ飛ばした。



「おおっ………!」

「やるじゃねえか!」

吹っ飛ばされた警備隊員達を見たIBCの警備員は驚き、武器や防具の改造を行っているジャンクショップの店主は感心していた。

「よし………!」

「油断すんな!すぐ次が来るぞ!」

「まだ爆弾は起動前です………!」

「中に運び込んで解体してしまってください!」

「任せとけ!」

「運び込むぞ!」

「ひええっ………!」

そしてエリィの指示に頷いた警備員達はそれぞれ協力して爆弾をIBCの中に運び込んだ。するとその時、新手の警備隊員達が突撃してきた。

「来たわね……!」

「喰い止めるわよ!」

それを見たレンは厳しい表情で呟き、ルフィナの号令を合図にロイド達は戦闘を再開した。



「……………」

「!そこだっ!」

スタンハルバードで襲い掛かって来た警備隊員の一撃を回避したロイドはすかさず反撃して警備隊員の態勢を崩し

「逃がさねぇぜ!」

ロイドと戦術リンクを結んでいるランディが間髪入れずに追撃を叩き込んだ。

「「………………」」

「ぐっ!?」

「チッ!?」

その時銃を持つ警備隊員達はロイドとランディに貫通する電撃のエネルギーを放つクラフト―――ロングスタンガンを放ってダメージを与えたが

「クスクス、逃がさないわよ……!洸閃牙!!」

「「「!?」」」

敵陣の真ん中へと移動して放ったレンのクラフト―――洸閃牙によってレンの元へと引き寄せられた後強烈な斬撃を受けるとスタンハルバードを持つ警備隊員と共に怯んだ。

「レンちゃん、下がって!」

「!」

「アークス駆動―――エアリアル!!」

そこにレンに警告をしたルフィナはレンが警備隊員達から後退すると同時に広範囲を攻撃するアーツを放って追撃し

「アークス駆動―――ハイドロカノン!!」

止めにティオが水流を発生させるアーツで纏めてふっ飛ばした!

「今助けるわ!それっ!!」

そしてエリィはクラフト―――ホーリーバレットでロイドとランディのダメージを回復した。



「よし、これで―――」

ふっ飛ばされた警備隊員達が戦闘不能に陥ったと判断したロイドは自分達もビル内に撤退する為に仲間達に指示をしようとしたが

「第二波、来ます!」

「くっ………」

ティオの警告を聞くと走って近づいて来る新手の警備隊員達を見ると唇を噛みしめて戦闘を再開した。

「ほーらよっ!!」

戦闘開始早々ランディはスタングレネードでダメージを与えると共に状態異常”暗闇”にするクラフト―――クラッシュボムで警備隊員達の目を眩ませると同時に怯ませ

「行け―――インフィニティスパロー!!」

「光の剣よ、貫いちゃえ♪熾洸剣!!」

その隙を逃さずルフィナはクラフト―――インフィニティスパローで、レンは実体なき巨大な光の剣を具現化させる剣技―――熾洸剣でそれぞれ警備隊員達全員にダメージを与えた。

「エニグマ駆動―――ダークマター!!」

「デミガンナー起動――――アブソリュートゼロ!!」

そこに戦術オーブメントの駆動を終えたエリィがアーツで警備隊員達を一か所に固めた後エリィと戦術リンクを結んでいる事によってエリィの行動がわかっていたティオが絶対零度の魔法弾を一か所に固められた警備隊員達に纏めて命中させて凍結させた。

「オォォォォォ………ブレイブラッシュ!!」

凍結した事によって体の動きが封じ込められた隙を見逃さないロイドはトンファーで衝撃波をも発生させる凄まじい猛連撃を叩き込み

「ハァァァァァ……パワースマッシュ!!」

ランディが止めに強烈な一撃を放つクラフトを叩き込んで警備隊員達を戦闘不能にさせると共にふっ飛ばした!



「くっ、中に入ろうにもこう矢継早に来られたら……!」

「ゲートを閉める時間を何とか稼がないと………!」

戦闘を終わらせたロイドは唸り、エリィは厳しい表情で目の前を警戒していた。

「フフ………頑張りますね。”(イン)”殿の報告から判断して今回は大人しく引っ込んでるしかなさそうでしたが………存外面白い物が見られそうです。」

一方ロイド達の様子を高い建物の屋上から観戦していたツァオは不敵な笑みを浮かべて呟いた。

「で、ですがツァオ様。あのままではいずれ……」

「ここで倒れてしまうのであれば彼らも所詮、その程度の器だったという事―――………ほら、次が来ましたよ。」

若干焦った様子のラウの指摘に対して不敵な笑みを浮かべて答えたツァオはロイド達の所に向かう新たな警備隊員達へと視線を向けた。そして警備隊員達がロイド達に接近したその時!

「ほいっと!」

なんと警備隊員達の背後からゼノが強襲して警備隊員達の目の前に現れ

「もひとつオマケや!」

更に銃撃を叩き込んで警備隊員達を怯ませた。

「うおぉぉぉぉ……吹き飛べぇっ!!」

そして止めとばかりに跳躍して警備隊員達を飛び越えたレオニダスがマシンガントレットを豪快に振るって警備隊員達を薙ぎ払った!



「あ………」

「貴方達は………!」

「”西風の旅団”の連隊長――――”罠使い(トラップマスター)”と”破壊獣(ベヒモス)”………!」

ゼノとレオニダスの登場にエリィは呆け、ロイドとルフィナは目を見開き

「いや~、ようやく見つけたで。警備隊員達の一部の動きが突然変わったからもしかしてと思って追って来たけど、ドンピシャやったようやな。」

「―――”黒の競売会(シュバルツオークション)”以来だな、”特務支援課”。」

ゼノは軽い調子でロイド達に話しかけ、レオニダスは静かな口調で呟いてロイド達を見回した。

「うふふ、二人ともちょうどいい時に来てくれたわね♪」

「地獄に仏とはこの事ですね………」

レンは二人にウインクをし、ティオは安堵の溜息を吐き

「ったく、”黒の競売会(シュバルツオークション)”の時といい、マジで救援に来るタイミングを狙っているんじゃねぇのか?―――!おい、”罠使い(トラップマスター)”。予備のブレードライフルは今持っているか?」

ランディは呆れた表情で溜息を吐いた後ゼノの得物であるブレードライフルを見て何かを閃くと真剣な表情でゼノに訊ねた。



「ランディ?一体何を………」

「あん?そんな事を聞いてどうするつもりや?」

「………お前の”本来の得物”である”ベルゼルガー”はどうした。」

ランディの行動にエリィが不思議そうな表情をしている中ゼノは眉を顰めて訊ね返し、レオニダスは静かな口調で問いかけた。

「事情があって、今手元にねぇんだよ!もし予備があったら貸してくれ!正直今の状況だとスタンハルバードじゃ厳しいんだよ!」

「いやまあ、予備は持っているけど、まさかとは思うがタダで貸して貰おうなんて寝ぼけた事を考えてへんやろうな?」

「”猟兵”にとって自分の得物は命を預ける”相棒”。予備とはいえ、猟兵の得物を貸してもらうにはそれなりの”対価”が必要な事くらいは理解していて、頼んでいるのか?」

ランディの話を聞いたゼノは疲れた表情で答えた後問いかけ、レオニダスもゼノに続くように問いかけた。

「グッ…………」

ある意味正論と言ってもおかしくない二人の問いかけを聞いたランディは唸った。



「――――500万ミラ。」

「へ………」

するとその時レンが静かな口調で呟き、それを聞いたゼノは呆け

「ゼノお兄さんが持っている予備のブレードライフルをレンタルする”対価”――――レンタル料をレンが出すわ。レンタル期間は今起こっている事態が落ち着くまで………つまり今回の騒動の”元凶”を制圧するまでよ。」

「クク、さすが嬢ちゃん。理解が早くて助かるわ。ただ予備とはいえ、そっちにも結構金をかけてんねんからもう一声欲しい所やな?」

レンの話を聞いたゼノは口元に笑みを浮かべて問いかけたが

「うふふ、ゼノお兄さんったら欲張りね♪それじゃあレンタル料はさっきの倍の1000万ミラで、そして万が一壊してしまった場合の賠償金は5000万ミラでどうかしら?ちなみにレンタル料の1000万ミラは今回の騒動が終わった3日以内に支払うわ。」

「おおきに♪つー訳やから、俺の予備を貸してやるから俺と嬢ちゃんに感謝しぃや。」

笑顔を浮かべたレンが自分自身の得物の予備のレンタル料を倍にする事を口にするとすぐに承諾してランディに予備のブレードライフルを渡し、その様子を見守っていたロイド達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。

「へいへい、そのくらいの事はわかっているっつーの………悪ィな、小嬢。」

ゼノからブレードライフルを受け取ったランディは疲れた表情で答えた後苦笑しながらレンに視線を向け

「うふふ、エリィお姉さんが競売会で着る服のお金を出してくれた時と同じようなものだから、気にしなくていいわよ♪」

「色々な意味でその件と比べるのは間違っていると思うのですが。」

「500万ミラなんて莫大な金額のレンタル料を躊躇いもなく倍につり上げるなんて、レンちゃんの金銭感覚って一体どうなっているのかしら………」

「それに関しては私達も常々思っているわ……………」

笑顔で答えたレンの話を聞いたティオはジト目で指摘し、エリィとルフィナは疲れた表情で溜息を吐いた。



「ハハ………―――!次が来たぞ……!」

一方苦笑していたロイドが接近してくる警備隊員達に気づいて仲間達に警告したその時!

「さあ……始めるとするか………うおおおおおおおおおおっ!!」

ランディがゼノから借りたブレードライフルで怒涛の銃撃を放ちながら突撃し

「喰らえ――――ベルゼルガー!!」

怒涛の銃撃で怯んでいる警備隊員達に一瞬で近づいて斬撃を放った!すると、警備隊員達は全員、全身から血を流しながら地面に倒れた!

「悪いな………急所は外してあるから、それで勘弁してくれ………」

大型ライフルで戦場を狩る赤き奥義――――ベルセルガーを放ち終えたランディは静かに呟いた。



「………!!」

「グノーシスで強化された警備隊員達を一瞬で……」

「す、凄い………」

ランディのSクラフト―――ベルゼルガーを見たロイド達はそれぞれ驚き

「いやいや、現役時代の”闘神の息子”は”あの程度”とちゃうで?」

「”闘神の息子”という異名通り”赤い星座”の団長である”闘神”バルデル・オルランドの後継者としての実力は”あの程度”ではない。」

「うふふ、と言う事は現役時代のランディお兄さんだったら”執行者”――――それもレーヴェと同等かそれ以上だったかもしれないわね♪」

「父親の”闘神”はともかく、猟兵時代のランディさんはさすがに彼程ではないと思うのだけど………少なくても”痩せ狼”クラスだったのでしょうね。」

ゼノとレオニダスはランディの強さについて指摘し、意味ありげな笑みを浮かべるレンの推測に答えたルフィナは真剣な表情でランディを見つめていた。



「ボーっとすんな!次が来やがるぞ!」

一方ランディは自分達に接近してくる新手の警備隊員達に気づくとロイド達に警告し

「!ああ!」

警告されたロイドは頷いて仲間達と共に武器を構え直して戦闘を再開した!
 
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