英雄伝説~菫の軌跡~(零篇)
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第70話
~IBC~
「あら、ロイドお兄さん。お疲れさま。」
「そちらこそお疲れ。……と言っても君の場合は冗談抜きで全然疲れていないだろうけどな……ハハ……」
「むう、ロイドお兄さんはレンを何だと思っているのよ。レンだって体力は無限じゃないんだから、レンだって疲れたりするわよ。ハア……警備隊と本格的な戦いになる前にジョーカーお兄さん達がレン達の場所に気づいてくれるといいのだけど。」
苦笑して自分を見つめているロイドの言葉を聞いたレンは頬を膨らませた後疲れた表情で溜息を吐いた。
「ミシェラムで助けてくれた執事の人達か……でも、あの人達はミシェラムにある君の別荘にいるから、さすがにクロスベル市の状況に気づいて助けに来るのは無理なんじゃないか?」
「あら、ジョーカーお兄さん達には今朝ミシェラムを離れてクロスベル近郊の山道や街道に潜伏するように指示をしておいた上、警備隊が支援課に襲撃する直前に連絡しておいたから、大丈夫よ?」
「い、いつの間に………もしかして”西風の旅団”の二人もか?」
レンの話を聞いて表情を引き攣らせたロイドはある事を思い出して訊ねた。
「ええ。ジョーカーお兄さん達もそうだけど、”西風”の二人とも合流できれば警察本部からの応援やタングラム門の警備隊と合流できるまで持ちこたえる事ができるはずよ。」
「”西風の旅団”の二人はわかるけど、あの執事の人達はそんなに強いのか?確かにミシェラムでもマフィア達を相手に攪乱していたようだけど………」
「うふふ、みんな、いつかレンの助けになる為にそれぞれ協力して武術の腕も磨いていたから例え相手が”グノーシス”で強化したマフィアや警備隊相手であろうと互角かそれ以上に戦えるわ♪」
「そんなに強いのか……ちなみにその執事の人達は何人いるんだ?」
レンの説明を聞いて驚いたロイドはある事が気になり、レンに訊ねた。
「ミシェラムに潜伏している人数だけだったら、たった30人よ。」
「30人っ!?しかも”ミシェラムに潜伏している人数だけ”って……まさか、君に従っている人達が他にもいるのか?」
「うふふ、当然他にもたくさんいるわ。他の人達はそれぞれレンの代わりに動いてもらったり、色んな仕事をやってもらっているの。ちなみに数は少ないけど、レンのスパイとして二大国の諜報機関のエージェントとして働いている人達や権力者達の所で使用人として働いている人達もいるわよ。」
「ブッ!?ま、まさかとは思うけど”ルバーチェ”や”黒月”……いや、それどころかクロスベル警察や警備隊にもレンのスパイがいるのか……?」
レンの口から出た驚愕の事実を聞いた瞬間驚きのあまり噴いたロイドは大量の冷や汗をかきながら表情を引き攣らせて訊ねた。
「クスクス、クロスベルには一切手を伸ばしていないからレンのスパイはクロスベルの組織にはいないわよ。」
「そ、そうか………というかどうして君は二大国に対してスパイを送り込むような危険な事をしているんだ?」
「全て”ブライト家”――――”レンが手に入れた新しい家族を守る為”よ。」
真剣な表情をしているロイドの疑問にレンは静かな表情で答えた。
「その為だけに国家の諜報機関にスパイを送るなんてどう考えてもやり過ぎだろ………」
「あら、レンの今の祖国―――リベール王国は二大国に挟まれた小国の上かつて帝国に領土を狙われて戦争を仕掛けられたという過去があるのだから、二大国の動きには注意すべきじゃないかしら?」
「『百日戦役』か…………」
「うふふ、クロスベルだって他人事じゃないでしょう?―――いえ、むしろクロスベルの方がリベールより不味い状況でしょうね。」
「洒落になっていないぞ………まあ、その話に関してもまずは今の状況を乗り越えてからの話だな。」
意味ありげな笑みを浮かべたレンに問いかけられたロイドは疲れた表情で溜息を吐いた後気を取り直した。
「そうね。そして恐らく今回の件が”レンが特務支援課に出向している間のレンが関わる最後の大事件”になるでしょうね。」
「へ…………それってどういう意味だ?」
「あら、忘れたのかしら?元々レンの特務支援課の出向期間は2,3ヵ月よ。」
「あ………………」
レンの指摘を聞いたロイドは呆けた声を出した後複雑そうな表情で黙り込んだ。
「うふふ、もしかしてレンが支援課から出て行く事が寂しいのかしら?」
ロイドの様子を見たレンはからかいの表情で問いかけたが
「ハハ、そうだな………正直言って寂しいよ。短い間とはいえ、レンも支援課の一員としてずっと一緒に生活してきたからな。」
「…………ふふっ、そう言う事に対しても正直に答えるのがロイドお兄さんの良い所でもあり、悪い所でもあるわね。」
ロイドの本音を知ると一瞬目を丸くして呆けた後静かな笑みを浮かべてロイドを見つめた後話を続けた。
「ガイお兄さんに支援課が一人前に近づけるように手伝ってくれって頼まれた当初は正直不満はあったけど、今は支援課に来てよかったと思うわ。」
「そうか………それにしても兄貴も俺達の事を心配し過ぎだよな。わざわざ他人に頼んでまで、俺達が少しでも早く一人前に近づけるようにしているんだから………」
「うふふ、たった一人の血の繋がった家族で、しかも今まで連絡一つ寄越さなかったのだから、その”お詫び”代わりかもしれないわよ?」
「悪いと思っているなら、そんな回りくどい事をせずに直接俺の前に現れて自分の生存を知らせてくれよな…………支援課の出向期間が終わったらレンはどうするんだ?遊撃士に戻るのか?」
レンの推測に呆れた表情で溜息を吐いたロイドは気を取り直してレンに今後を訊ねた。
「いえ、支援課の出向期間が終わったらエレボニアの士官学院に編入する事になっているわ。」
「へ………何でまたそんな事に。」
「オリビエお兄さんに頼まれたのよ。『帝国の”新たな風”となる若者達が様々な才能に溢れる君と共にいる事によって刺激されてそれぞれの才能を伸ばしたり自分達に秘められている才能に気づき、そして自分達と同じ立場でありながら既に”一人前の社会人”としての経験もある君から色々学んで欲しいんだ』ってね。」
「オリヴァルト殿下に……!?その『帝国の”新たな風”となる若者達』とレンの士官学院の編入がどう関係するんだ?」
意外な人物の名前を聞いたロイドは驚いた後不思議そうな表情でレンに訊ねた。
「――――特科クラス”Ⅶ組”。今年度に設立された特別クラスでね。そのクラスの特徴は身分に関係なく様々な生徒が集められているわ。」
「”身分に関係なく”って……まさか貴族と平民が一緒なのか!?」
「うふふ、中々鋭いわね。ちなみにそのクラスに所属している生徒の中にはフィーもいるわよ?」
「ええっ!?でも彼女は猟兵なのにどうして士官学院の生徒に………」
レンの話を聞き、かつて”影の国”で出会った人物の今の現状を知ったロイドは困惑の表情をした。
「”西風の旅団”は団長の死後、猟兵団を解散して散り散りになったそうよ。――――誰もフィーを引き取る事なくね。ちなみにフィーは”西風の旅団”の動きを調べていた帝国でもトップクラスのA級正遊撃士にして今は遊撃士を休業してレンが編入する士官学院の教官を務めている人に引き取られて、その後様々な事情によって士官学院に入学したそうよ。」
「”影の国”で別れてからフィーにそんな事があったのか…………その”Ⅶ組”だったか?一体どういう意図で身分に関係なく様々な立場の生徒が集められたんだ?」
「表向きの理由はARCUSの適性が高い者達ばかりを集め、ARCUSの実戦運用を目的としたクラスだけど………オリビエお兄さんがそのクラスを設立した真の理由は帝国で現在起きている実情――――貴族派と革命派の対立を知らしめる事で現実に様々な”壁”が存在するのを知ってもらって、いつか必ず自分達の前に現れる”壁”から目を背けず、自ら考えて主体的に行動する―――そんな資質が育てる事よ。」
「……………ハハ、何だか俺達”特務支援課”と似ているクラスだな。」
レンの説明を聞いて一瞬呆けたロイドは苦笑しながら答えた。
「うふふ、”特務支援課”の設立時期と”Ⅶ組”の設立時期を考えれば”Ⅶ組”の方が”特務支援課”の2番煎じよ♪―――まあ、両方とも遊撃士の2番煎じだから”同じ穴の狢”だけどね♪」
「頼むからそこについては少しはオブラートに包んでくれ…………あれ?遊撃士に似ているという事はそのクラスも俺達みたいな事をしているのか?」
「ええ。”特別実習”という名目で、1ヵ月に数日間の間隔で帝国の各地を見て回って遊撃士みたいにその場所の関係者が用意した依頼――――つまり”課題”をこなしているわ。まあ、”Ⅶ組”は”社会人”のロイドお兄さん達と違って、まだ”学生”だから”報酬”はお金じゃないけどね。」
「いや、俺達が”支援要請”を達成した時に貰っているお金も正確に言えば”報酬”じゃなくて”捜査費用”―――”経費”なんだが。」
レンの説明を聞いたロイドは疲れた表情で指摘した。
「うふふ、今はそんな細かい事は別にいいじゃない♪―――ま、そう言う訳で今回の件が落ち着けばレンは支援課への出向を終えて士官学院に編入するわ。オリビエお兄さんからも夏至祭―――毎年七月に帝都で行われる大きなお祭りなのだけど、せめてその一月前くらいには編入して欲しいって頼まれているし。」
「そうか…………―――レン。短い間だったけど、本当にありがとう。兄貴の件も含めて君にも色々な意図があって”特務支援課”に来たのだろうけど………俺もそうだけど支援課のみんなは君と過ごした時間はかけがえのない時間だったよ。」
「ふふっ、お礼を言うのはまだ早いわよ?まだ今回の件も全然終わっていないんだから。」
「ハハ、そうだな。」
レンに指摘されたロイドは苦笑した。
「―――それじゃあ、レンは念のために装備と補給の確認をもう一度してくるわ。」
「わかった。」
そしてレンはロイドに背を向けて去りかけたが立ち止まり
「―――お兄さん達はレンにとってエステル達と同じくらい大切な”仲間”よ。もしいつかお兄さん達だけで乗り越えるのが難しい事態に陥った時が来ればレンも駆けつけて、レンが持つあらゆる手段を用いてでも一緒に乗り越えてあげるわ。レンとユウナの”壁”を取り除いてくれたお礼をする為に………そして特務支援課の”仲間”としてね。」
「レン……………」
「それじゃあ、また後でね。」
ロイドに心の中に秘めていた本音を伝えた後エレベーターに向かってエレベーターに乗り、下へと降りた。
「ハハ………まさかレンにあんな義理堅い部分もあるなんて、正直驚いたな………」
「ロイド………」
レンが去った後レンの本音を知ったロイドが静かな笑みを浮かべているとエリィが近づいてきた。
「エリィ、どうしたんだ?」
「うん……ちょっとこれからの事を思うと不安になって貴方と話したくてね………貴方を探してたの。」
「そっか。………改めて言うのも何だけど大変な事になったよな。市内にいる人達………無事でいるといいんだけど。」
「そうね…………………」
「……エリィ。マクダエル市長なら大丈夫だ。警備隊や悪魔を操る黒幕にも市長を害するメリットはないさ。何とかこの事態を打破して市長たちを解放しよう。」
マクダエル市長の身を心配して黙り込んでいるエリィにロイドは気遣いの言葉をかけた。
「ロイド……うん、ありがとう。そうよね、おじいさまは何度も紛争を経験されている………この程度の危機くらい何とか切り抜けられるはずよね。」
「ああ………あの人なら絶対に大丈夫さ!」
「……ふふっ………………あーあ、何で貴方はそんな風に私のことがわかっちゃうのかしら。」
ロイドの励ましに微笑んだエリィは溜息を吐いて呟き
「え。」
エリィの言葉を聞いたロイドは呆けた。
「………考えてみれば不公平よね。私はもう………色々なものを貴方に曝け出してしまった。なのに貴方の方は…………」
「え、えっとエリィ………?」
そしてジト目のエリィに見つめられたロイドは戸惑い、エリィは黙り込んだ後静かな口調である事を尋ねた。
「―――ねえ、ロイド。お兄さんの背中、少しは近づいてきた?」
「あ………」
「たぶん貴方は………お兄さんの背中をずっと追い続けて来たのよね。貴方がよく言っている”壁”という言葉………あれはひょっとしてお兄さん自身の事を指してもいるんじゃないかしら?」
「………ああ、多分そうだと思う。…………………」
エリィに尋ねられたロイドは頷いた後黙り込み、近くの手すりに近づいて、手すりにもたれかかって話し始めた。
「―――昔からさ、兄貴は俺のヒーローなんだ。どんな逆境にもめげずに何でもやり遂げる凄いヤツ。………だけど3年前………兄貴の背中がなくなって途方にくれてしまって………多分、俺は逃げたんだと思う。」
「え………」
「だって俺は………兄貴みたいになれる自信が無かったから。兄貴みたいに色んなものを守れる自信が無かったから………だから………知らない町へ逃げ出したんだ。」
「………でも、貴方はクロスベルに戻って来た。それは、どうして?」
「はは、やっぱり………この街が好きだったからかな。兄貴や、セシル姉や一緒に過ごした友人たち………他の町で暮らしていてもやっぱりそれは俺の一部で、忘れることはできなかったから………だから俺は無理して警察学校のうちに捜査官資格を取ったんだと思う。少しでも兄貴に追いつけないと………兄貴の代わりになれないとクロスベルに戻ってくる資格はないと思ったから………」
「で、でもそれで本当に捜査官資格を取るんだもの。お兄さんに負けないくらい素質はあったのでしょう?」
「いや……白状するとそれもズルしたようなものさ。なにせ規格外ではあるけど捜査官としては一流の人間をずっと見てきたから………兄貴だったらどうするだろう、兄貴だったら絶対に諦めない………そう自分に言い聞かせて俺は何とかやって来れたと思う。でも……それは俺が、俺自身として強くなれたわけじゃない。」
「…………………………」
ロイドの話を聞いたエリィは真剣な表情で黙り込み
「………最近になってやっと気付けた気がするんだ。兄貴の背中を追い続けるだけじゃ本当の意味で強くはなれないってね。はは、それに気付けるのにどれだけかかってるんだよって話なんだけど…………」
「…………ロイド。」
ロイドが苦笑していると、エリィがロイドを背中から優しく抱きしめた。
「エ、エリィ………?」
「………ねえ、ロイド。私はガイさんを……貴方のお兄さんを知らない。でも、一つ言える事があるわ。今まで私達を引っ張っていってくれたのは他ならぬ貴方自身だってこと。」
「え………」
「いつであって貴方は………私を―――私達を導いてくれた。この灰色の街で迷うだけだった私や、ティオちゃんや、多分ランディやレンちゃんも………優しくて、ひたむきで、肝心なところではニブいけど………でもやっぱり、大切な時には側にいてくれて一緒に答えを探してくれる………そんな貴方がいてくれたから私達はここまで辿り着けた。ガイさんでも、他の誰でもなく貴方だから出来たことよ。」
「……あ………」
「だから私は………この街で貴方に出会えた幸運を空の女神に感謝しているわ。ふふっ、幼い頃に日曜学校で出会っていればもっと良かった………そんな益体もないことを考えてしまうくらいに。」
「エリィ………」
「自信を持って。ロイド・バニングス。お兄さん達に憧れている所も自分自身であると足掻く所もすべてが貴方だから………そんな貴方が私達は………ううん―――私は好き………いえ、愛しているから。だから………貴方は貴方であるだけでいい。(うっ……勢いに任せて言っちゃった……私の気持ち………ロイド………貴方は私の事をどう思っているの……?……お願い、答えて…………!)」
「………エリィ………………」
エリィの心に秘められた想いを知ったロイドは振り向いてエリィを見つめ
「………ぁ……………」
見つめられたエリィは頬を赤らめてロイドを見つめた。
「最初はさ………ぼんやりとした憧れだったんだ。」
「え………」
「その子は可憐で、凛としてそれでいて包容力もあって……出会った時から、色んな意味で綺麗な女性だなって思った。これでも最初は、カッコ付けて平気なフリをして話していたけど………白状すると………ずっとドキドキしていたんだ。」
「ロ、ロイド………」
ロイドの自分に対する思っていた事を知ったエリィは頬を赤らめてロイドを見つめ
「さすがに一ヵ月もすれば、住む世界が違うお嬢様なんて風には思わなくなったけど………それでもずっと………その子の同僚であるということは俺にとっての密かな誇りだった。その子の相談を受けたり、ささやかだけど力になれたのは俺にとって何よりも嬉しかった。」
「…………………………」
「そして2ヵ月以上経って、楽しい事や苦しい事を全部、一緒に乗り越えてきて………今も出会った時のように……いや、それ以上にドキドキしている。」
「………ロイド…………」
「―――好きだよ、エリィ。仲間として………家族としてだけじゃなく。一人の女の子として、君が。」
「嬉しい………!…………ん………!」
ロイドの告白を聞くと、何の躊躇いもなく自分の唇をロイドの唇に重ねた。
(エリィ………)
エリィの口づけに幸せを感じていたその時、アナウンスが入った。
―――ビル内に残っている皆様にお知らせいたします。非常時につき、これより一部フロアの照明を落とさせていただきます。また、保安上の理由からエントランス以外の非常口は全て閉鎖させていただきます。どうかご理解の元、火元などにはくれぐれもお気をつけくださるようお願い申し上げます。
アナウンスが流れている間2人はずっと口付けをし続け、アナウンスが終わると2人は離れ
「はは……」
「ふふっ………」
2人は互いの顔を見つめて頬を赤らめて微笑んだ。
「えっと……エリィ。順序が逆になったけど……その……これからは恋人同士としてよろしくお願いします。」
「はい、喜んで………!……フフ……ロイドと恋人同士になれたのは嬉しいけど、きっと私はこれから色々と苦労するんだろうなぁ……」
ロイドの言葉に嬉しそうな表情で頷いたエリィは微笑んだ後、苦笑した。
「ハハ……苦労するのは俺の方だと思うんだけど…………何せエリィはあのマクダエル市長の孫娘だし。」
「フウ……私が苦労すると言ったのはそういう意味じゃないわ。……私が苦労するって言ってるのはロイドの女性関係よ。」
「へ……………」
ジト目で自分を見つめて呟いたエリィの言葉を聞いたロイドは呆け
「………私の知っている限りでも貴方に好意を抱いている女性は何人かいるんだから。他の女性ばかりに構って、私を蔑ろにしたら許さないからね。………私が貴女の一番の恋人なんだから。」
「いやいやいや!エリィがいるのに、他の女性と付き合うなんてどう考えても浮気だろ!?そんなエリィの気持ちを裏切るような事をするつもりはないよ!」
エリィの話を聞いたロイドは慌てながら答えた。
「本当にそうなればいいのだけどね。」
(な、何で全然信用されていないんだ……?)
ジト目で自分を見つめながら呟いたエリィの視線にロイドは心の中で溜息を吐いた。
「……私はベルの所に戻るわね。………その………さっきの続きは全部解決した時にでも……」
「え。」
そして顔を真っ赤にしているエリィの言葉を聞いたロイドは呆け
「ん………そ、それじゃ私は戻っているから……」
呆けているロイドの唇にエリィは軽く口付けをした後、真っ赤になった顔でロイドから去って行った。
「(さっきの続きって………キス以上に一体何があるんだ………?――――!?ま、まさか………!)――――じゃなくて!」
エリィが去った後不思議そうな表情をしていたロイドだったが、ある事に気付いて顔を赤らめたがすぐに状況を思い出して我に返った。
「(俺は俺自身であるだけでいいか………少し前なら、そんな風に言われても逆に迷った気がするけど………でも今は……不思議と納得できる気がする。)――――ありがとう、エリィ。
その後ロイドは消耗品等の補給をする為に1階に降りた―――――
後書き
今回の話で既に察したと思いますが菫の軌跡は予告通り閃篇もやりますが碧篇もやります!なお、碧篇の開始の時期は断章開始からで、レンの登場&パーティーインはロイドが離れ離れになった支援課のメンバーを集めている最中の時期で遅くてもエリィ再加入までには仲間になりますwwちなみにレンが仲間になった際にはオリジナルキャラであるジョーカー達も正式加入し、更に空篇で登場し、エステル達の仲間になったあるテイルズキャラも正式加入しますのでロイド達の戦力が一気に上がりますwwあ、ちなみにそのテイルズキャラはルーク達アビス勢の中の誰かじゃありません。ルーク達は碧篇ラストダンジョン突入時にエステル達と共に正式加入する予定ですので。
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