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孤立無援

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8部分:第八章


第八章

「そうなっても仕方ないか」
「ないだろうな。ただな」
「ただ、か」
「ああ、とにかく今は生きないとな」
 そうしなければいけないとだ。バルボンはマニエルに返した。
「少しでもな」
「希望を見てなんだな」
「人間ってのは希望があるから生きられるんだよ」
 一つの真理をだ。バルボンは言った。
「さっきはマジで死ぬことを覚悟したけれどな」
「けれどそれでもなんだな」
 その死を覚悟した一人のだ。ジョーンズも述べた。
「今はこうしてか」
「生きようぜ。何とかな」
「わかったさ。まあ人間色々思うさ」
 ジョーンズは少しだ。考えてからだ。
 それからだ。こうも言ったのだった。
「じゃあ今は生きようって思うな」
「ああ、そうしような」
 バルボンも応えてだ。そしてだった。
 四人は洞穴の中を進んで行く。その中はというと。
 とにかく長かった。存外だ。それでだ。
 ジョーンズは己の腕時計を見てだ。こう言ったのだった。
「今朝の六時だぜ」
「もうそうなるのかよ」
「ああ、十時間は歩いてるな」
 こうだ。ジョーンズは時計を見ながら仲間達にまた言った。
「道理で疲れた筈だな」
「じゃあ少し休むか?」
「そうするか?」
 マニエルとバルボンがジョーンズの言葉に応える。しかしだ。
 後ろからベトコンが迫って来ると思うとどうしても足を止められずだ。それでだ。
 前に進んでいく。恐怖が彼等を前にやっていた。その洞窟の中は暗く足元は不安定で岩にコケがある。そして天井も蝙蝠がいることはわかるがはっきりとは見えない。
 その洞窟の中を進みながらだ。ここではバーグマンが言った。
「こんな洞穴の中でも何かいるんだな」
「そりゃ何かいるだろ」
「蝙蝠でも何でもな」
 仲間達がこう彼に返す。
「他には虫とかもいるぜ」
「あと蛭でも何でもな」
「あまり気持ちのいい生き物はいなんだな」
 バーグマンは仲間達の言葉を受けてこう言った。
「やっぱり洞穴なんだな」
「アフリカなら奥までいけば何かあるぜ」
「お宝がな」
「いいな、そういうラストならな」
 バーグマンは仲間の返事にこうも返した。
「まあ、ここはベトナムだからな」
「そんな夢はないぜ」
「これは現実だからな。冒険小説じゃないんだ」
「そんなハッピーエンドはないだろうな」
「だろうな。精々生きられるかどうかだな」
 バーグマンはまた返した。そしてだ。
 少し疲れを感じたのでだ。今度は仲間達にこんなことを言った。
「じゃあ。とりあえず歩きながらだけれどな」
「ああ、食わないとな」
「とりあえず何か食わないともちそうにないな」
「それぞれ持ってるもの食おうぜ」
 言いながらだ。バーグマンはだ。
 軍服のポケットからドライフルーツを出してだ。それを食べた。そして言うことは。
「美味いぜ」
「ああ、美味いか」
「まだドライフルーツいけるんだな」
「何でもいけるうちに食っとかないとな」
 こう言ってだ。他の面々もだ。
 歩きながらそれぞれ食った。そうしてだった。
 四人はそのまま進んでいく。歩きながらだ。
 それでも食うと結構気持ちはリラックスしてきた。空腹よりは何か腹の中に入れている方がよかった。それでエネルギーも無事に補給してだった。
 まだ進む。そのまま何時間か進んでだ。
 
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