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孤立無援

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7部分:第七章


第七章

「やっぱりあいつ等戦争が終わったら凄くなりそうだぜ」
「だよな。じゃあやっぱりか」
「俺達はなんだな」
「下手をすればな」
 そうなるとだ。ジョーンズはまた言った。
「いや、下手をしなくてもな」
「死ぬか。明日にでも」
「そろそろ食い物と銃弾がやばいからな」
「だからな」
「ああ、死ぬぜ」
 まさにそうなるとだ。ジョーンズはここでも言う。
「俺もそう思えてきたよ」
「確かにやばいな」
 そしてだ。マニエルもこう言った。
「この状況はやっぱりな」
「脱出もできないからな」
 バルボンもここで言った。
「だから本当にやばそうだな」
「どうする?食い物も銃弾も実際な」
 バルボンがまた言ってきた。
「どっちも明日でなくなりそうだぜ」
「じゃあどうするか、か」
「明日な」
「突撃して派手に散るか?」
 バーグマンは案外潔い感じだった。
「そうするか?」
「まあそれもいいけれどな」
「苦しまずに死ねるしな」
 マニエルとジョーンズがバーグマンのその考えに賛成した。しかしだ。
 バルボンはここでだ。こう三人に言ってきた。
「いや、ここはな」
「ここは?」
「ここはって何だ?」
「この洞穴って相当奥が深いだろ」
 彼が言うのはだ。このことだった。
「そうだろ。御前等糞しに行っても果てまで行けてないだろ」
「ああ、ちょっとな」
「確めてないな」
「だからな。ひょっとしたらな」
 どうかとだ。彼は仲間達に行っていく。
「そこから何処かに抜けていて逃げられるかも知れないからな」
「そこから逃げるか」
「そうするってんだな」
「ああ、そうしないか?」
 彼はこう提案したのだった。
「本当にひょっとしたらな」
「生きられるからか」
「だからこそなんだな」
「行ってみようぜ。先にな」
 この洞窟のだ。そこにだというのだ。
「そうしてみるか」
「よし、それじゃあ早速だな」
 バルボンの話を聞いてだ。最初に応えたのはバーグマンだった。
 彼は自分の夕食のパンを食べながらだ。そして言った。
「この洞穴の先を進むか」
「よし、それじゃあな」
「行くか」
 そしてだ。マニエルとジョーンズも応えた。こうしてだ。
 四人はすぐにだ。夕食を食いだ。洞穴の奥を進んだ。思い立てば即座にだった。
 その暗い中を進みながらだ。バーグマンがこんなことをだ。三人に言った。
「ベトコンの連中は追って来るだろうな」
「朝になればな」
 そうするだろうとだ。その彼にバルボンが答える。
「そうしてくるだろうな。俺達がいないと見たらな」
「じゃああれだな」
 バーグマンはバルボンの話を受けてだ。こう言った。
「今のうちにな。進んでおくか」
「ああ、その方がいいな」
 バルボンはここでは冷静に言った。
「だから今こうして発ったのは正解だよ」
「そうなんだな」
「本当に何処かに抜けていたらいいな」
 バルボンはバーグマンに応えながらだ。切実に言った。
「まあ。果てに大蛇がいてもおかしくないけれどな」
「その場合は俺達は全員その大蛇の餌だな」
 バルボンのそのだ。今は残念ながらジョークにはあまり思えない言葉にだ。マニエルが軽く突っ込みを入れた。
 
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