普通だった少年の憑依&転移転生物語
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【ハリー・ポッター】編
153 グリンゴッツ破り
SIDE ロナルド・ランスロー・ウィーズリー
新入生の歓迎パーティーが最高の気分で終わり、監督生であるパーシーにグリフィンドール寮へと連れられる。シェーマス・フィネガン、ディーン・トーマス、ネビル──ネビル・ロングボトムも同室だったが、皆してパジャマに着替えたその直ぐにベッドに倒れこんで、一も二もしない内に寝息を発て始める。
「こいつは…」
ネビルのベッドのカーテンを閉めてやる。パジャマには着替えたのに、カーテンを閉めるを忘れるあたり、ネビルらしいと云えばネビルらしいのかもしれない。
……ちなみにスキャバーズ──〝見てくれはずんぐりむっくりのネズミだが、〝魂〟は明かに成人している男〟は、その昔ダイアゴン横丁で購入した──〝検知不可能拡大呪文〟が掛かっているケースの中で未だに眠っている。……どう考えても寝すぎである。
閑話休題。
(さて)
「……“サイレント”」
俺もカーテンを閉め──眠りこけている皆からいつ鼾が聞こえてくるか判らないので〝耳〟を塞ぐ。……〝封印〟を解いた今、幾つか考えたい事もあった。
(まずはアニーを〝必要の部屋〟に連れてってお互いに魔法の訓練だな…。……それと、ヴォルデモートの〝分霊箱〟も出来るだけ回収して置かないと…)
〝必要の部屋〟、それは〝秘密の部屋〟と同じようにホグワーツに在る隠し部屋の一つで──別名は〝在ったり無かったり部屋〟とも呼ばれる。……〝必要の部屋〟に何があるのかと云うと──〝必要の部屋〟のその名の通り、〝自分が必要としているものなら何でも在る部屋〟だ。
……そこでに潜在能力を引き出すスキル…“勿体ない資質”でアニーと一緒に潜在能力を引き出し、〝時間〟を有効的に使いながら魔法の訓練をすれば、2~3年の内にそれなりに強い魔法使いになれるはず。
(……シホの時みたいに“修練の門”を使うのアリだな…。……後は、オリバンダーさんのところの〝杖〟を買うためにもお金を稼がないとな…)
そんな事を考えていると眠気が襲ってきたので、俺はその眠気に身を委ねた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
【ホグワーツ魔法魔術学校】に入学して早くも一週間近くが経過した。
その一週間は、ピーブスの対処用──ホグワーツ一の迷惑ゴーストの対処用に作った、〝霊避けの符〟を20枚セット1ガリオンで販売してボロ儲けしているうちに瞬く間に過ぎ去った。……既に50ガリオン──〝杖代〟は稼げてしまった。
……パーシーは兎も角として、グリフィンドール生な俺に良い感情を懐いていないだろうスリザリン生ですらも、その〝霊退散符〟を買っていった辺り、ピーブスがどれだけ皆に迷惑を掛けていたかが窺える。
閑話休題。
もちろんの事ながら、ただただ金稼ぎに腐心していただけでもなく、肝心要のアニーも一緒に魔法の訓練も行った。前にも述べていた通り、“勿体ない資質”でアニーと一緒に潜在能力を引き出しつつ効率的に魔法の訓練をした結果、お互いに5年生レベルまでの魔法は、ある程度なら使い熟せる様になった。
〝開心術〟と〝守護霊の呪文(パトローナス・チャーム)〟を重点的に練習してそれらを習得したので、あとは他の呪文を散的に習得していくだけに。
……〝必要の部屋〟さまさまである。
また閑話休題。
「やって来ました、ベラトリックス・レストレンジの金庫へ」
そんな俺の現在地は、俺が説明口調で口にした様に、グリンゴッツの──ベラトリックス・レストレンジの金庫の中である。
……正確に云えば、〝〝俺──ロナルド・ランスロー・ウィーズリーがアニー・ポッターと共に存在する〟世界線のベラトリックス・レストレンジの金庫〟の中で──侵入方法は、最早お馴染みの“腑罪証明”による力業。
(……あんまり“腑罪証明”に頼りすぎるとダメになりそうだが…)
今更窮まりないことを内心で呟きながら、瞑目。……そして〝闇の魔術の気配〟──〝イヤな感じ〟を探る。……若しくは〝魂が宿っている物体〟でも可。
(……見付けた)
探していた〝イヤな感じ〟は直ぐに察知出来た。……やはりと云うべきか、〝この世界線〟でもヴォルデモートはベラトリックス・レストレンジに〝分霊箱〟の一つを渡していたらしい。
(……これ、探して下さいって言ってる様なものだよな…)
〝イヤな感じ〟のした方向──金庫の奥の壇の上に上がり、そこに、これ見よがしに〝これキーアイテムですよー〟と置いてある輝かしいカップ──ヴォルデモートの〝分霊箱〟が一つである“ヘルガ・ハッフルパフのカップ”を見ながら思う。
(……そこかかしこの財宝に紛れ込ませて置けば良かったものを…)
「取り敢えず〝時〟がくるまでは〝倉庫〟の肥やしにでもなっていろ」
〝双子の呪い〟を発動させない様に──出来るだけ外の財宝に触れないようにしたかったので、〝カップ〟を〝念動力〟で動かし、〝倉庫〟にぶちこんでおく。
「“ヘルガ・ハッフルパフのカップ”、ゲットだぜ」
取り敢えずそう諧謔的に言っておく。
今すぐにでもホグワーツに帰って“大嘘憑き(オールフィクション)”やらで破壊しても良いのだが、大元の魂であるヴォルデモートに気付かれる可能性もあったので保留。
……具体的にはアニーがその内ダンブルドアと敢行するであろう〝分霊箱壊しの旅〟に出るまでは。
「……フェ──そういやまだ11歳だったな」
〝匂い〟が消えていない俺が魔法を使えばどう考えても面倒になる。ただでさえ、今のグリンゴッツは“賢者の石”の盗難騒ぎでてんやわんやなのだ。
その後はその足のまま──今と同じ要領で、“マールヴォロ・ゴーントの指輪”“ロウェナ・レイブンクローの髪飾り”と“サラザール・スリザリンのロケット”を入手。
“マールヴォロ・ゴーントの指輪”と“ロウェナ・レイブンクローの髪飾り”は今やった〝イヤな感じ探知〟で回収。
“サラザール・スリザリンのロケット”はマンダンガス・フレッチャーに盗まれ、ドローレス・アンブリッジに賄賂として接収される前に購入した。……マンダンガス・フレッチャーからはかなり吹っ掛けられたが、必要経費として割りきる。
……購入の際“己が栄光の為でなく(フォー・サムワンズ・グロウリー)”での変身も忘れていないのがミソだ。
さらにその後は“腑罪証明”でホグワーツへと──同じ世界線同じ場所の1秒後に転移した。
……トイレの個室に。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ベラトリックス・レストレンジの金庫へと〝グリンゴッツ破り〟をして──その他の〝現在で回収可能〝分霊箱〟〟を回収しまったその日から翌日。
俺はアニーに誘われてハグリッドの小屋の前に来ていた。
「おお、よく来たな入れ入れ」
ホグワーツの森番である2メートルは超えていそうな巨漢──ルビウス・ハグリッドに促され、彼の小屋に入る。……順番はアニー、俺──ハーマイオニーの順。
「私もお呼ばれして良かったの?」
「構わんよ。お前さんハーマイオニーだったな? 呪文が得意とアニーから聞いちょる。……寧ろ、お前さんらが興味を引きそうなものなんざ、何も無いところだからな、俺が気にするくれぇだ」
ハグリッドの小屋は、ハグリッドの役職通り──〝THE森番の小屋〟みたいな佇まいで、小屋の中はそこかかしこに干し肉やら鳥籠やらがぶら下がっていて、部屋の隅にはハグリッドの巨体に身合った巨大なベッドが。
その上には大きい黒いボアハウンドが横たわっていてこちらを見ている。ハグリッドはそんな俺の視線に気付いたらしく「ファングだ。ああ見えて臆病」と語り、大きな机の上に3つの皿を並べてはロックケーキを置いていく。
……ちなみにファングには襲い掛かられてはいない。ドライグを宿して以来、俺の近くでペット等が大人しくなるのは常である。ハルケギニアでも使い魔に恐がられていた。……一も二も無く襲い掛かってきてくれたアインクラッドのMobが懐かしい。
閑話休題。
「ほれ、これでも食って寛いでくれや。……そうだ紅茶も出さなきゃだ」
そう暖炉に向かうハグリッドを横目にロックケーキを出された3つの皿の前に腰を掛ける。俺、アニー、ハーマイオニーは一斉にかぶり付く──が、そのロックケーキはレンガみたいに硬かった。
2分ほど3人でロックケーキに悪戦苦闘しながら歓談していると、紅茶が出てくる。
「……ゴメン、ハグリッド。……硬かったんだ──“変化せよ(フェラベルト)”」
「その手が有ったか──“変化せよ(フェラベルト)”」
「ロン、ナイスアイデアよ──“変化せよ(フェラベルト)”」
〝1…2…3〟とロックケーキを杖で叩いた後、杖を一振りしてハグリッドから受け取ったカップのソーサーをトンカチに変えてロックケーキを砕く。
そんな俺に見習い、アニーとハーマイオニーもカップのソーサーに呪文を掛ける。ハグリッドはバツの悪そうに、「済まねぇ」と一言だけ謝った。
……ケーキを出してくれたハグリッドには悪いが、硬すぎたのだ。
(……美味い)
「で、そろそろホグワーツには馴染んできたか、三人とも」
一口サイズにまで砕いたロックケーキを口にして、甘めの紅茶で軽くふやかしなが味わっていると、ハグリッドがそう切り出してくる。
「大分馴れてきたよ、ハグリッド」
「〝日々是好日〟──過不足は無い」
「私もホグワーツでは快適に過ごしているわ。……ところでロン、その〝日々是好日〟──それって〝禅語〟ってやつかしら」
「ああ、よく知ってるな。……昔ラジオか何かで聞いてな。良い言葉だと思って記憶に残っていたんだ」
ハーマイオニーはさすがに≪本の虫≫と云われるだけある。……〝禅語〟を知っているとは思わなかったが。
……アニーからの「〝日々是好日〟──どこぞの忍者か」──なんて呟きは聞かなかった事に。
「私、〝まだ〟ロンには〝知恵〟では勝てないと思うけど〝知識〟じゃ負けてないと思うの。……色々な本を読んだから…」
そう俺に向かって〝貴方は私のライバルよ〟──と言外に宣うハーマイオニーを俺、アニー、ハグリッドの三人は生暖かく見守るのだった。
SIDE END
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