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Three Roses

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第四話 新王の即位その八

「しかもです」
「我が国の宿敵であるアントワープ家とも対立している」
「それも長年に渡って」
 それこそだ、この国とどちらがより対立しているかわからない程だ。つまり両国は同じ敵を抱え続けているのだ。
「我々は宗派は違いますが」
「利害は一致していますね」
「それが為にです」
「手を結べますね」
「むしろ手を結ばねば」
「アントワープ家、そしてあの国が治める王国と戦う為に」
「是非共です」
 まさにというのだ。
「手を結ぶべきなので」
「では」
「はい、王もです」
「ロートリンゲン家と婚姻を結ぶ」
「そうしましょう」
 こう王に言いだ、そして。
 王もだ、大公に対して頷いて応えた。
「わかりました」
「では」
「そしてその姫君との間にですね」
「出来ればです」
「子をですか」
「お妃様とのお子がこそです」
 まさにというのだ。
「最も大事なので」
「そうですね、正室との子が」
「そしてです」
「やはり側室も迎え」
「正室の方とのお子が最もよいですが」
 それでもというのだ。
「やはりお子は必要なので」
「側室もですか」
「必要です、どうかお子をもうけて下さい」
「それでは」
 王は大公の言葉に頷いた、そして実際に大公が進める婚姻の話を認めた。そのうえで側室を迎える用意もしていた。
 しかし王の顔色や暮らしを見てだ、大公は側近達に漏らした。
「無事に長生きされて欲しいが」
「しかしですね」
「それは」
「難しいですか」
「あの方は」
「お身体を大事にしてもらい」
 大公は難しい顔のまま話す。
「身体にいい食事、それに東西からよき薬を取り寄せ飲んでもらっているが」
「それでもですね」
「あの方はですね」
「お身体は弱いままで」
「このままでは」
「そうだ、長生きされぬかも知れない」
 どうしてもというのだ。
「あの方は」
「お妃を迎えますが」
「ロートリンゲン家から」
「マイラ様と同じくあの家からですね」
「迎えられますね」
「何とかお子をもうけて頂きたい」
 大公のこの声は切実なものだった。これ以上はないまでに。
 しかしだ、大公はまた言った。
「だが」
「それもですか」
「難しいというのですね」
「ではですね」
「お子がもうけられなかった場合は」
「私は出来ればだ」
 こう言うのだった。 
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