手の平に書く文字
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第三章
それで暁美が中日ファンになったことはともかくとしてだ。アンチ巨人に目覚めたことは歓迎した。そして暁美はさらにだった。
写真を出した。その写真もだった。
「あっ、落合さんの写真じゃない」
「それに谷繁選手も」
「私的には山田監督が気に入ったけれど」
今の中日だけでなくだ。過去の中日まで学んでいた。
「それでも今も好き」
「ううん、本格的に目覚めたのね」
「そこまで勉強したのね」
「野球はドラゴンズ」
暁美は中日の帽子を被ったまま述べる。
「巨人は後は億年連続最下位になるべき」
「巨人については同意するわ」
皆こう言う。何はともあれだった。
暁美は中日ファンになった。このことは自然に話題に、クラスの中で中日の帽子を被った為に自然にそうなりだ。そうしてだった。
橋口は余計に暁美を見た。それを感じながら暁美はまたクラスメイト達に話す。
「もう一押し」
「で、今度は何するの?」
「まだ勉強してたの」
「後は」
暁美は意を決した顔で言った。
「告白」
「暁美からするの」
「そうするのね」
「女は度胸」
意外とだ。暁美はそうした考えだった。そうしてだ。
そのうえでだ。クラスメイト達に話すのだった。
「だからそうする」
「言うわね。じゃあ告白の方法もなのね」
「そういうのも勉強してなの」
「それで橋口君にね」
「告白するのね」
「したわ。けれど」
それでもだとだ。暁美はだ。
今度は何か怯えた様子でだ。女の子達に述べた。
「怖い」
「告白するのが怖い」
「そうなのね」
「そう、怖い」
こう言うのである。
「何かどうなるかって思って」
「気持ちはわかるわ」
「そうよね。こういうのを言うのってね」
「何ていうかその。勇気?」
この言葉が出て来た。
「勇気が必要だからね」
「どうしても怖いっていうかね」
「足が竦むっていうか」
「言うべきだけれど」
「それが一番怖いの」
俯いてだ。暁美も言う。
「どうしても」
「けれど告白しないとね」
「どうしようもないからね」
「ここまできたら」
「そう」
その通りだとだ。暁美は答える。彼女もわかっているのだ。
だがわかっていてもだった。今はだ。
「どうしても踏み出せなくて」
「じゃあ勉強する?告白の仕方も」
「それもする?」
「どうすればいいか」
「多分。それしかないから」
暁美はここでもだった。勉強すると決めてだ。そうしてだ。
実際に雑誌やネットで勉強し続けてだ。そのうえで数日後友人達に話した。
「やり方がわかったわ。告白の」
「あっ、わかったの」
「告白の仕方勉強して」
「それでわかったのね」
「そう。まずは下駄箱にお手紙を入れて」
古典的な方法をだ。暁美はまず述べた。
ページ上へ戻る