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第二章
「そうして」
「そう、頑張ってね」
「それじゃあね」
「だったら」
クラスメイト達は確かな声で暁美に告げる。
「絶対によ」
「絶対に橋口君ゲットしなさいよ」
「何があってもね」
「そのつもりだから」
暁美も小さく答えて言う。
それからだった。暁美は服装だけでなくだ。アクセサリーも凝ってだった。
「ああ、リボンも着けるのね」
「そう」
見ればだ。暁美は紅いリボンをだ。そのロングヘアに着けていた。尚且つだ。
頭には白いカチューシャだ。メイクはナチュラクメイクにしている。
しかしそれでもだ。メイクのせいでかなり奇麗に見える。特に唇と目元がだ。
そのメイクも見てだ。クラスメイト達は言うのだった。
「いい感じじゃない?」
「ナチュラルだけれど際立たせてね」
「勉強したのね」
「色々な雑誌見てサイトも検索して」
当然サイトを見てもいる。
「そうして橋口君みたいな人には」
「彼の性格とかも調べたの?」
「そっちもなの」
「興味があるから」
好きな相手には興味がある、これは自明の理だった。
「そうしたの」
「ああ、そっちは楽になの」
「楽にできたのね」
「そう。できたから」
暁美はぽつりとした口調で述べる。
「そっちは楽に」
「で、後は橋口君の好みに合わせてなの」
「それでそうしたの」
「ナチュラクメイクにリボン」
「それとカチューシャなの」
「完璧」
すっと微笑んでだ。暁美は述べた。
「多分これで橋口君も私を見る筈」
「ああ、実際こっち見てるわよ」
「ちらっちらってね」
「まんざらでもない感じじゃない」
「成功してるわよ」
「第一段階成功」
微笑んだままだ。暁美は述べた。そうしてだった。
暁美はさらにだった。別居うに努力をしたのだった。
こんなことをだ。クラスメイト達に話した。
「野球だけれど」
「あれっ、暁美って野球観たの」
「そうだったの」
「橋口君が好きだから」
ここでも彼だった。
「それで観はじめたの」
「野球も観はじめたのね」
「そっちも」
「中日ドラゴンズ」
橋口の贔屓の球団だった。その彼の。
「いいチーム」
「俺竜ねえ。癖強いわね」
「そのチームを観るようにしたのね」
「観たらこれで面白い」
何とだ。ここで暁美は目覚めてしまったのだ。それでだ。
何処からか中日の帽子を取り出して被ってだ。こんなことも言った。
「打倒巨人」
「まあ巨人は私も嫌いだしね」
「あっ、私も」
「私もよ」
他の女の子達もだった。誰もが巨人を嫌っていた。
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