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英雄伝説~光と闇の軌跡~(零篇)

作者:sorano
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第22話

~夕方・ウルスラ病院・外~



「ふふ、お疲れ様でした。これでみんなも安心できるわ。本当に貴方達のお蔭ね。」

「いや~、そんな♪」

「はは、でも実際、大したことはしていないよ。本当に魔獣が入り込んだか証明したっていうだけだからね。」

セシルの言葉を聞いたランディは嬉しそうな表情をし、ロイドは苦笑した後答えた。

「ううん、それが無かったらきちんとした対策も取れずにそのままだったところだもの。貴方達だったら、いずれアリオスさんやルファディエルに負けないくらい、いい仕事ができると思うわ。お姉ちゃんが保証してあげる♪」

「フフ………中々見る目があるじゃない、セシル。」

微笑みながら言ったセシルの言葉を聞いたルファディエルは微笑み

「セシル姉………」

「か、感激ッス………!」

「ありがとうございます。とても、励みになります。」

「………頑張ります。」

ロイドは驚き、ランディは嬉しそうな表情でセシルを見つめ、エリィは微笑み、ティオは静かな表情で言った。

「ふふ………ロイド、ルファディエル。お互い休みが取れたら改めてゆっくり会いましょう。お墓参りも一緒に行きたいしね。」

「………うん、そうだね。」

「ええ。近い内にいつか、行きましょうね。」

セシルの言葉を聞いたロイドとルファディエルはそれぞれ頷いた。

「後は、そうねぇ。エリィちゃんとティオちゃん、ルファディエルの誰かと付き合う事になったらぜひ報告してちょうだいね?目一杯お祝いしちゃうから♪」

「いや、だから………どうしてそんな話になるのさ。」

「フフ、もしロイドとそんな関係になったら、私の場合は貴女にからかわれそうだけどね。」

そしてセシルの話を聞いたロイドは慌て、ルファディエルは微笑んでいた。

「なんだったらランディ君とでもいいけれど………その時は連絡してね?そういったジャンルを読んでバッチリ鍛えておくから!」

(かかかっ!甘いな………ロイドの場合は全員を攻略してハーレムを作るんだぜぇ!)

「どんなジャンルだよ……(何、人聞き悪い事言っているんだ、ギレゼル………)」

真剣な表情で言ったセシルの言葉を聞いたギレゼルは陽気に笑い、ロイドは疲れた表情でギレゼルに念話を送りながら溜息を吐き

「いや~!セシルさんが喜んでくれるなら俺の方は構わないッスよ!」

「いや、構おうよ!?」

ランディの冗談か本気かわからない言葉を聞いたロイドは大声でランディに突っ込んだ。

「ふふ、それじゃあ私はここで失礼しちゃおうかな。みんな、気を付けて帰ってね。」

「―――うん。」

「お世話になりました。」

そしてセシルは病院の中へ入って行った。

「はあ、いいなぁ………」

「暖かくって包容力があって頼りがいもあって……ふふ、とっても素敵な人ね。」

「はは………そう言ってもらえると嬉しいよ。ルファ姉同様、世話になってきた人だからさ。」

ランディとエリィのセシルに対する感想を聞いたロイドは優しげな微笑みを浮かべ

「………それで、ロイドさん。セシルさんとは実際にはどういう関係なんですか?」

ティオは興味深そうな様子でロイドに尋ねた。

「へ……」

ティオの質問を聞いたロイドは驚いてティオを見つめ

「そうね………ちょっとだけ気になるわね。あなた、ルファディエルさんと接しているのと同じくらい弟君って雰囲気だったし。」

エリィは微笑んだ後、口元に笑みを浮かべてロイドを見つめ

「な、なんだそりゃ………」

「フフ、姉としてはセシルの方が上だけどね。」

見つめられたロイドは戸惑い、ルファディエルは微笑んでいた。

「ロイド、てめえ………!ルファディエル姐さんがいるにも関わらずあんな素敵なお姉さんとベタベタ甘々な関係ってか!?そうだよな!?そうに違いない!なんせ、お風呂を一緒にした仲だものな!うらやましい!身体を交換してください!」

(クク………嫉妬はみっともないよ、ランディ。)

ランディは悔しそうな表情でロイドを睨んで言い、その様子を見ていたエルンストは口元に笑みを浮かべていた。



「出来ないから。それに言っておくけどセシル姉、恋人がいるからな。」

「ガーン!!」

「えっ、そうなの?」

「………………」

そしてロイドの話を聞いたランディはショックを受け、エリィは意外そうな表情をし、ティオは驚きの表情でセシルが入って行った病院棟を見つめていた。

「クッ………あんな素敵なお姉さんとイチャイチャできるうらやまけしからん男はどこのどいつだ!?」

「あのなあ…………ただ、セシル姉、恋人の詳しい事に関しては教えてくれないんだよな…………話を聞いている感じ、リベールに住んでいる裕福な人みたいなんだけど………」

悔しそうな表情で言ったランディの言葉を聞いたロイドは呆れた後、考え込みながら答えた。

「あら………あれだけ親しいのに教えてくれないんだ………」

「………………」

「おのれ………!まさか金でセシルさんの心を騙しているのか!?」

ロイドの説明を聞いたエリィは意外そうな表情で呟き、ティオは真剣な表情で考え込み、ランディは悔しそうな表情で言った。

「セシル姉に限ってそれはないって。」

「ええ。あの娘はかなりの天然だけど人を見る目はあるわ。」

そしてロイドとルファディエルが答えたその時

「あの………ちょっと用事ができたので、待っていて下さい。すぐに終わらせてきますので。」

「え?ティ、ティオ!」

ティオはロイド達の返事も聞かずに走り出して病院の中に入って行った。



~ウルスラ病院・受付~



「――――セシルさん!」

「ティオちゃん?」

病院の中に入ったティオはエレベーターを待っているセシルを見つけて呼び止め、走って近づいた。

「どうしたの?忘れ物かしら。」

「いえ、セシルさんに聞きたいことがありまして………」

「私に?何かしら。」

「………先程ロイドさんからセシルさんに付き合っている男性がいると聞きましたが。」

「ええ。いるけどそれがどうかしたのかしら?」

ティオに尋ねられたセシルは意外そうな表情で答えた後、尋ねた。

「……………………その男性って、まさかあの人ですか?」

「??一体誰の事を言っているのか、わからないのだけど………」

そしてティオの質問を聞いたセシルは不思議そうな表情をしたが

「――――前メンフィル皇帝にして現メンフィル大使、”覇王”リウイ・マーシルン。………そして貴女はリウイ陛下の側室の一人であったティナ・パリエ………その人が生まれ変わった人なのでしょう?」

「!!………………………」

真剣な表情のティオが自分を見つめて言った言葉を聞いて眼を見開いて驚いた後、真剣な表情で黙ってティオを見つめ

「そっか。そう言えばティオちゃんは”影の国”で”過去の私”と一緒にいて、”過去の私”自身は誰に生まれ変わったかみんなに教えていたものね………」

納得した様子で頷いた後、ティオに微笑んだ。

「!じゃあやっぱり、貴女は………!」

(………どうやら既に自分が”影の国”で出会ったイーリュン教の聖職者の生まれ変わりであることを自覚しているようだな………)

セシルに微笑まれたティオは驚きの表情でセシルを見つめ、ラグタスは冷静な様子でセシルを見つめ

「………屋上で話しましょうか。」

見つめられたセシルは苦笑しながらティオを扉が開いたエレベーターに乗るように促した。



その後セシルとティオの2人はエレベーターで3階に上がり、屋上に向かった。

~夕方・ウルスラ病院・屋上~



「”久しぶり”………でいいんですか?”ティナ”さん。」

屋上に到着したティオは真剣な表情でセシルを見つめて尋ね

「う~ん………”私”は一応”初めまして”になるかな?”私”は”ティナ・パリエ”ではなく、”セシル・パリエ・ノイエス”なのだから。」

尋ねられたセシルは考え込んだ後、目を閉じて集中し、エステルやプリネのように髪や瞳の色を変えて、目を開いてティオに微笑んだ。

「!!その髪と瞳の色はティナさんと同じ………!………エステルさん達のようにセシルさんも生まれ変わる前の方の髪や瞳を変えられるようになったんですか…………そう言えばさっき治癒魔術は最近使えるような事を言っていましたけど……もしかして”影の国”の件が終わってからですか?」

かつて”影の国”で出会ったリウイの側室の一人である人物――――ティナと同じ髪と瞳の色の姿を見たティオは驚いた後、真剣な表情で尋ねた。

「ええ。”過去の私”が”影の国”を脱出して現世に戻った瞬間、”今の私”の記憶から”過去の私”の記憶が全て甦ってね………その影響で治癒魔術も使えるようになったんだけど………フフ、あの時は驚いたわよ。まさか私が生まれ変わった人だったなんて………」

尋ねられたセシルは髪や瞳の色を元に戻して答えた後、苦笑した。

「………まあ、それは仕方ないかと。リタさんやナベリウスさんから転生の(ことわり)を教えて貰っていなければ、普通は理解できない事ですし。………………あれ?そう言えばさっき”セシル・パリエ・ノイエス”って言ってましたけど………」

「ええ。リウイさんには第一側室にしてもらって、メンフィル皇家からは”パリエ”の名を頂いたの。………フフ、王族のシルフィさんや元からリウイさんの側室でいるペテレーネさん達を差し置いて、私が第一側室だなんて、恐れ多いのだけどね。」

「…………やっぱりティナさんの影響でリウイ陛下を好きになったんですか?”影の国”でもティナさん、生まれ変わった自分が自分の記憶を思い出した時、リウイ陛下の元へ行くような事を言ってましたし。」

苦笑しているセシルをティオは見つめながら尋ねた。

「フフ、いくらなんでもそれだけの理由で好きにならないわ。こう見えても以前は婚約者がいた身ですから。」

「…………………………ガイさんですか…………」

そして微笑みながら答えたセシルの言葉を聞いたティオは複雑そうな表情で呟いた。

「あら?ティオちゃん、ガイさんの事を知っているの?……………そういえば生前のガイさんが言っていたレミフェリアへ両親の元へ連れて行った女の子って………もしかしてティオちゃん?」

「………はい…………」

「そう………フフ、”縁”というのは不思議ね………もしかしたら”ガイ・バニングス”という人物の知り合い同士という共通点を持っていたから”影の国”に”過去の私”とティオちゃんも巻き込まれたかもしれないわね。」

「…………………」

微笑みながら言ったセシルの言葉を聞いたティオは複雑そうな表情で黙り込んだ。

「話を戻すわね?私があの人を……リウイさんを好きになった理由はね…………一言で言えば一目惚れね。」

「一目惚れ………ですか?」

「ええ……”過去の私”の記憶が戻った後休暇を使って、メンフィル大使館に行って名乗ったらリウイさん達の元に通してくれてね………その時に対面したのだけど………あの人を見た瞬間、心が鷲掴みされて………リウイさんと接してリウイさんの事を知れば、知るほど夢中に好きになって…………その後あの人に抱かれた時に思ったの………”幸せ”だって………それにね……抱いてくれた後、言ってくれたのよ。…………側室にならないかってね。」

ティオの言葉に頷いたセシルは懐かしそうな表情で答えた後、頬を赤らめて幸せそうな表情で答えた。

「その申し出を受けて、今に到る………という訳ですか。(人を前にして堂々と”抱かれた”なんて言葉を口にするなんて、大胆な人ですね………)ちなみにイリーナ皇妃はその事は………」

「勿論、イリーナさんも知っているし、祝福もしてくれたわ。………これも”過去の私”のお蔭ね。そうでないと正妃であるイリーナさんに認めて貰うのに苦労したでしょう?………イリーナさんはとても嫉妬深い方だし。」

「………まあ、あれはどう考えてもあんなに綺麗でスタイルが良くて、優しいイリーナ皇妃がいながら、次々と複数の女性達に手を出しているリウイ陛下が悪いと思いますが。”影の国”の時だって出会ったばかりのシルフィエッタ姫を短期間で惚れさせて自分の女にしちゃいましたし。…………………まあ、それはともかく………とりあえず、おめでとうございます。女タラシとはいえ、男性としての魅力を全て持っているあの人が相手なら超お買い得ですから、将来も安定している上、捨てられる事は有り得ない事が約束されていますしね。」

「フフ、ありがとう。」

静かな笑みを浮かべて言ったティオの言葉を聞いたセシルは微笑んだ。

「………あれ?でも、それならどうしてメンフィル大使館やメンフィル帝国の城に住まずにここで看護師をしているのですか?」

そしてある事に気付いたティオは疑問に思った事を尋ねた。

「ロイドが私達から巣立つ所を見るまでクロスベルを離れる気はないわ。一人前の大人になって、可愛いお嫁さんを迎えたその時があの子が私達――――私とガイさんから巣立つ時だもの。フフ、リウイさんにはその時が来るまで待っていてほしいという私の我儘を聞いて貰って、申し訳ないのだけどね………でも、これだけは譲れないわ。」

「そうだったんですか………………あ。それなら何故、”癒しの聖女”をウルスラ病院に呼んで、シズクさんの眼を治せないんですか?”癒しの聖女”はティナさん――――セシルさんにとって娘なのですから、その関係で呼べるのでは……?それに”パリエ”の名を貰っているという事は”癒しの聖女”もセシルさんの事、ご存知なのですよね?」

「ええ。勿論、私の事はティアも知っているわ………最も通信で話した事しかないから、直接会って話した事はないけどね。あの娘はとても忙しい娘だし………それにあの娘は多くの傷ついた人達を癒すために世界中を周っているし………母親の我儘で娘の仕事を邪魔するわけにはいかないでしょう?」

「…………なるほど。」

セシルの説明を聞いたティオが納得した様子で頷いたその時、ティオのエニグマが鳴りはじめ、その事に気付いたティオはエニグマの通信ボタンを押して耳に当てた。

「―――はい、特務支援課、ティオ・プラトーです。」

「ティオか?まだ、用事は終わらないのか?」

「ロイドさん。………いえ、今ちょうど終わった所なのですぐに向かいます。」

「そうか。俺達は今バス停で次のバスを待っているからできるだけ急いでこっちに向かってくれないか?」

「………了解です。すぐに向かいます。」

ロイドとの通信を終えたティオはエニグマの位置を元に戻した。

「………聞きたい事も聞けたので私はこれで失礼します。………これからもよろしくお願いします。」

「ええ。あ、もしよかったらロイドと恋人になることも考えてね?とっても可愛い男の子なんだから♪」

「…………一応、考えてはおきます………―――ラグタス。」

そしてセシルに微笑まれたティオは呆れた表情で溜息を吐いた後、ラグタスを召喚し

「ラグタス。手間を取らせて申し訳ないのですが、病院の外にあるバス停まで私を乗せて飛んで行ってもらえませんか?」

「わかった。」

「………それでは今日はこれで失礼します。」

「またね、ティオちゃん。」

ラグタスの肩に乗せてもらい、ティオを肩に乗せたラグタスはセシルに見送られながら飛行してバス停に向かった。



~ウルスラ病院・外~



「ティ、ティオ!?」

「おー、これはまた驚きの登場だな………」

上から降りて来た肩に乗せたラグタスに気付いたロイドは驚き、ランディは感心した様子でラグタスを見つめていた。

「………お待たせしました。ご苦労様です、ラグタス。」

ラグタスから降りたティオは自分の身体に戻し

「用事って結局何だったの?」

エリィはティオに尋ねた。

「………知り合いに挨拶をするのを忘れていまして。その人との話がはずんで、予定より遅くなりました。………すみません。」

「そういう事ならいいさ。………けど、知り合いって誰なんだ?俺とルファ姉みたいにここで働いている人の知り合いなのか?」

「ええ。機会があればロイドさんがセシルさんを紹介したみたいに私も紹介します。」

(ティオすけの知り合いもナースで美人でありますように………!)

「あのな………」

ティオの説明を聞き、必死の表情で小声で呟いたランディの言葉を聞いたロイドが呆れたその時、バスが近づいてバス停に停まり、ロイド達はバスに乗った。



~ウルスラ間道~



「………………」

「綺麗な夕焼けね………」

「はい………何だか目に痛いくらいです。」

バスの窓から外の景色をロイドとエリィ、ティオはそれぞれ見つめていた。

「は~、しかし導力車ってのはずいぶんと楽チンだよなぁ。支援課(ウチ)でも専用の車が使えりゃ良かったんだが。」

「まあ、無理だろうな。他の捜査課では車が使われているみたいだけど。」

ランディが呟いた言葉を聞いたロイドは溜息を吐いた後答え

「………確か捜査一課では、捜査員一人一人に専用車が用意されているはずです。」

「そ、そうなのか!?」

「それはさすがに優遇しすぎだと思うけど……」

「やれやれ………こういう時に日陰者は辛いねぇ。」

補足するように説明したティオの話を聞いたロイドは驚き、エリィとランディは疲れた表情で溜息を吐いた。

「………今後市外で活動する事を考えたら車は必要かもしれないわね………なんなら私が支援課に車を1台、用意してあげましょうか?」

一方ルファディエルは考え込んだ後ロイド達を見回して尋ね

「へっ………!?」

「おお、マジっすか!?さすがはルファディエル姐さん!」

「可能なら是非お願いしたい所ですね。」

「さ、さすがにそれはいくらルファディエルさんでも無理だと思うのですが………」

ルファディエルの話を聞いたロイドは驚き、ランディは驚いた後嬉しそうな表情をし、ティオは静かな表情で頷き、エリィは苦笑しながら言ったが

「あら、そんなの簡単よ。上層部の公にされたら困る情報はいくつか手に入れているから、その事を黙る事を交換条件に車を用意してもらうのもいいし、市民の為に駆け回っている支援課だけ他の捜査課と違って車を用意されていないという事実をマスコミに話したら、すぐに用意してくれると思うわよ?」

ルファディエルは笑顔でとんでもない事を答え、それを聞いたロイド達全員は冷や汗をたらし

「そ、そこまでしてまで車は欲しくありませんよ。」

(ルファディエル様らしい策だな………)

エリィは表情を引き攣らせながら答え、それを聞いていたメヒーシャは静かに目を伏せ

「………ルファディエルさんの恐ろしさを改めて思い知った瞬間ですね………」

(フッ………奴の恐ろしさの真髄はこんなものではないぞ………)

ティオは疲れた表情で溜息を吐き、ラグタスは口元に笑みを浮かべ

「何を言う!そこがルファディエル姐さんの素敵な所だろう!?」

ランディは真剣な表情でロイド達を見回して言い

「頼むからこれ以上胃が痛くなるような事は止めてくれ!………というかどうやって上層部の弱みを知ったんだよ………」

ロイドは疲れた表情で言った後、呆れた表情でルファディエルを見つめて呟いたその時

「あら、知りたい?」

ルファディエルは笑顔で尋ねて来た。

「い、いえ、結構です。」

「知ったら最後、わたし達も色々と戻れなくなる気がしますし………」

「いや~………そこはさすがに遠慮しまッス。それはルファディエル姐さんだけの特権だし………」

ルファディエルの笑顔から何か嫌な予感を感じ取り、冷や汗をかいたエリィ達はそれぞれ断り

「ハア…………今日の疲れが今全て、来たような気がする……………」

ロイドは疲れた表情で溜息を吐いた。そしてバスはクロスベル市に向かって行った。すると

「……………………」

東クロスベル街道でも現れた白い狼が草村から現れ、去って行くバスを見つめた後、どこかに去って行った。



その夜……………支援課に戻ったロイド達はその日の分の調書を纏め始めた。新たに判明した事実や証言、さらに不審点や現時点での推測をなどをわかりやすくまとめているうちに………いつの間にか日付が変わり、心身共に疲れきったロイド達はそれぞれの部屋に戻って休んだ…………






 
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