世界をめぐる、銀白の翼
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
FF7 ~自称・元ソルジャー~
「ここは・・・どこだ?」
蒔風が立っているのは荒野の丘の上。
遠くには町が見える。
足元を見ると黄色い花がちらほらと咲いていて、何かが突き立てられていた跡がある。
蒔風が調べてみようと花の方に近づくと、コツンと何かが爪先に当たった。
「ん?これは・・・」
しゃがみ込んでみると、落ちていたそれは一つの小包だった。
箱側面に何か書いてある。
読んでみると
「『ストライフ・デリバリーサービス』?宅配業者が落としてったのか?」
こんな丘の上。それも、突き出した場所なのでこの先は飛び降りるしかない場所に宅配業者とは奇妙なものだと首をかしげる蒔風。
だがここから飛び降りていくような、そんな運転の仕方をしたのならこういうこともあるのか?と考えながら、その小包を拾い上げた。
まああそこだろうな、と見た先には街があった。
とりあえず行ってみることにして、蒔風は歩き出した。
--------------------------------------------
ピン、ポーン
崩壊したミッドガル周辺にできた新たな街、エッジ。蒔風がたどり着いたのは、そこにある飲食店兼、宅配業の事務所である「セブンスヘブン」だ。
どうしたもんかと5分ほど考えるが、とりあえずドアのチャイムを鳴らしてみた。
「はーーい」
それに応じて、奥から女性の声がした。
そして扉を開けて出てきたのは、この店の運営をしているティファ・ロックハート。
歳は20近くか。
そのティファが扉をあけると、そこには拾った荷物を持って立つ蒔風が。
「どなたでしょうか?」
「えっと・・この荷物拾ったんだけど・・・ああ、そゆこと」
「えっと・・・・どうしました?」
「ああ、なんでも」
彼女と顔を合わせると、蒔風の頭に情報が流れてきた。
どうやらここは、この世界の最主要人物の住まいらしい。
とはいえ、なんとなくそんな感じがする程度の情報だ。
そんな感覚に近いだけの物なので、まだ詳しいことはわからない。
とりあえず中に通してもらい、ティファに荷物を渡すと
「クラウドーー!!お届け物だよーーーー!!!あ、そこに座っててくださいね」
と誰かを呼びに階段を上って行ってしまった。
どうやら宅配業の事務所は二階になっているようだ。
手頃な席に蒔風が座ると、ティファが一人の男性とともに降りてきた。
ツンツン頭の、クールというのが似合っているような男だ。
「ほら、この人が」
「ああ・・・すまないな。しかし、これをどこで拾ったんだ?」
男がその手に握る携帯電話を差し出してくる。
どうやら水に浸かってしまったもののようで、もう使えないらしい。
「ん?いや、荒野の丘の上の黄色い花の咲いてるとこにあったよ?」
「・・・・そうか・・・」
「・・・なあ、ちょっと・・・名前聞かせてもらっていいかい?」
「なんでだ」
「いや、何となくさ」
「・・・クラウド・ストライフだ」
「ん・・・おぉ~~う。オッケオッケ。わかったぜ」
「なにがだ?」
クラウド、という男の名を聞くと、蒔風の頭に情報がいくつか流れてくる。
無論、彼の詳しい個人情報は流れてこないが、この世界に関する情報は多少なりとも手に入った。
「オレの名前は・・・(えっと、この世界だと名字逆だから・・・)シュン・マイカゼだな」
「興味ないな」
「そっちがそうでも、そうはいかないんだよな。話を」
「知らないな」
「聞いてってのに・・・・」
例のごとく蒔風が説明を始めようとするのだが、クラウドがフイッと首を逸らして、二階に行ってしまおうとする。
カクリと首を倒してあらら、と苦笑いをする蒔風。
すみません!!とティファが勢いよく誤ってから、お礼言わないとだめでしょ!、と追いかけて
「お前の命が狙われている、と言ったら?」
二階に頭半分が隠れたクラウドに向かって、そうつぶやいた。
思わず、クラウドの足が止まる。
「・・・どういうことだ」
「興味を持ってもらって助かるぜよ。では、ザ・説明ターイム、と行きますか」
---------------------------------------------------------------
説明には10分と掛からない。
話し終えて、蒔風が締めの一言を述べる。
「ま、とにかくクラウドの命を狙ってくる奴がいる、ってことだな」
「信じられない・・・・」
「だよなぁ。クラウドは?」
「・・・その「違う世界の力」を見せてもらいたい。それからだな」
「んじゃ、とりあえず・・・獄炎!!」
スタッ、とイスから降りてドヤ顔で手の平に炎を躍らせる蒔風。
それ自体には驚かないクライドだが、蒔風は説明を続ける。
「確かこの世界で魔法を扱う際はマテリア、ってのが必要なんだっけ?でも、見ての通りオレはマテリア持ってないぞ」
マテリアとは、この星の体内を巡るエネルギーであるライフストリームの結晶である。
ライフストリームとは、あらゆる生物が死によって星の中心に還るときに、持っていた知識やエネルギーが蓄えられ、世界全体が栄え再び新しい命を生み出す源となる力の流れのことだ。
その結晶であるマテリアを使用することで、この世界では魔法を使えるのだ。
「・・・確かに、マテリアはない。が・・・・」
「まだ何か?」
「それくらいの能力なら、持っているやつがいてもおかしくない」
「あら・・・・」
「でも・・・世界を壊して新しい世界を作るって・・・まるで・・・」
「まるで・・・どうしたんだ?」
「・・・セフィロス」
「だれだ?」
「かつての・・・英雄だ」
この星を破滅に導かんとする者、セフィロス。
かつてセフィロスは神羅カンパニーという一大企業の私兵部隊、その中でも最強のソルジャーだった。
神羅カンパニーとは、ミッドガルにあった、この星全体に影響をもっていた大企業。
ライフストリームを魔晄エネルギーに変えて発展していったため、生活は豊かになったが、星の力を使っているために反乱分子も多かったのだ。
今はもう神羅カンパニーは潰れ、少数のメンバーによる復興がなされているだけだ。
そしてその神羅が治安維持のために所有していた私兵部隊の中でもエリートたちが「ソルジャー」である。
セフィロスはその中でも「英雄」と言われた男だ。
しかし、彼は自身の出生を知り、世界を憎むようになる。
彼はある実験によって生み出されたのだ。
ジェノバと呼ばれる古代に宇宙から飛来した生命体の遺伝子を埋め込まれて誕生したセフィロス。
ある任務の途中でそれを知った彼は、ジェノバを自らの「母」と呼び、それをかつて葬り去った人類に憎悪を抱き星を滅ぼそうとした。
また、前に現れた時には、この星を自分のものとし、かつてジェノバが宇宙をさまよったように、新たなる地を求める、と言っていたそうだ。
それらはクラウドたちが阻止したのだが・・・・
「たしかに・・・「奴」の考えと似ているな」
「まさか「奴」って・・・」
「違う」
蒔風がティファの推測をさえぎる。
「「奴」はセフィロスじゃない」
あまりにもバッサリと断言する蒔風にクラウドが疑問の声を投げかける。
「お前は・・・「奴」が何者なのか知ってるのか?」
「・・・・「奴」は様々な物を利用してくる。何をしてくるかわからないからな」
クラウドの追及に、蒔風が強引に話題を変える。
だからクラウドはそれ以上言及することをやめた。
彼自身にも、あまり突っ込んで聞かれたくないことはある。
「「奴」が利用する物は?」
「「記憶」だ。その地に刻まれた記憶から現象としてそいつを引っ張り出してくる。さっきの話だと、多分セフィロスを・・・」
「無理だ。セフィロスの記憶はどこにもない」
クラウドが否定する。
「セフィロスは消滅するとき、ライフストリームとなることを拒んだ。あらゆる場所を探しても、セフィロスの記憶はないんだ」
『私は・・・思い出にはならないさ』
そう言って彼は消えた。
ライフストリームになることを拒んだのだ。
だから、セフィロスという「記憶」はどこにもない。
「ライフストリーム・・・この世界じゃあそういう形になるのか。そういうことなら、この世界じゃ無理かもな・・・」
と、そう蒔風が納得していると、勢いのいい音が扉からしてきた。
ガラガラ、ドシャン!!という、突っ込んできて倒れこんだ音がしたのだ。
扉から倒れ込んできたのは、一人の男。
「なんだ?・・・おい、どうした」
「近づくな!」
クラウドが男に近寄る。
だが、蒔風がそれを止めた。
男の体はユラユラとした影に侵食されていて、首まで漆黒に包まれていたのだ。
「た・・・助け・・・」
だが男が呻き、唯一自由の効く首を回した。
その顔を見てクラウドは驚くが、それよりも先に男が叫んだ。
「助けて!兄さん!!」
「な!?ガタージュ!?おまえ何故」
「う、ぐ、ああ!!!あああぁぁぁぁ・・・・・」
だが、聞き出す前にガタージュと呼ばれた男が後ろから何かにいきなり引っ張られたように扉から飛び出していった。
その腕をつかもうとするクラウドだが、虚しく空を切る。
すぐさま蒔風とクラウドが外に飛び出し、その先を目で追った。
「おい、あいつ誰だ!」
「ガタージュは・・・セフィロスの思念体だ」
「なに!?」
カダージュ
セフィロスの思念体である、少年のような外見と口調の男だ。
かつてセフィロスを復活させようとし、クラウドを狙った。
そして戦いのさなか、その体を利用され、セフィロス復活の礎となった。
しかし、復活したセフィロスはクラウドに倒され、カダージュはセフィロスの呪縛から解かれ、ライフストリームの中に還って行ったのだが・・・
「そのはずなんだ、が・・・まさか!!」
「あの野郎、セフィロスを呼び出せないから、ライフストリームからガタージュ引っ張り出してセフィロスを復活させようと!!ってか、兄さんって言ってたけど?」
「・・・行くぞ。方角はわかった」
「おい、ちょっと待ってくれ!!わかったから!聞かねえから待てって!!」
クラウドがバイクに跨がり走り出す。
蒔風もバイクを出してそのあとを追う。
向かう先は崩壊したミッドガル。
再び彼の地が戦場となる。
to be continued
後書き
・時系列設定
映像作品アドベントチルドレン後になります。
・この世界
FFシリーズからは「Ⅶ」しか出ません!
ごめんなさい!というかクラウド出したいがためですし!!
アリス
「次回、レッツゴー、崩壊のミッドガル!!タダでは行けないぜ!?」
ではまた次回
思い出の中で・・・ジッとしといてくれ
・・・私は、思い出にはならないさ
ページ上へ戻る