転生とらぶる
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機動戦艦ナデシコ
1364話
俺の口から出た言葉に、草壁だけではなく白鳥と月臣の表情までもが驚愕に目を見開く。
まぁ、この世界に異世界なんて存在、概念の類はあっても実際に存在するとは思ってなかったんだろうから無理もないだろうが。
驚愕の表情を浮かべたまま、俺の方へとじっと視線を向けていた中、最初に動いたのは半ば予想通りではあったが月臣だった。
「貴様っ! 異世界からの侵略者か!」
そう告げ、俺の方へと鋭い視線を向ける。
……侵略者、か。その言葉は微妙に間違っていないんだよな。
実際、木連が勢力下に置いていた火星を俺達が占領している訳だし。
ただ、俺達の場合は火星の生き残りからの要望もあっての事だから、純粋な侵略という訳ではない。
火星の生き残りは俺達の保護下に入るのを寧ろ望んでいたし、そう考えれば俺達の行動は侵略と呼ぶよりは救済活動と言えなくもない……か?
「さて、どうだろうな。俺達が侵略者かどうかは、後の歴史家が決めるだろ」
もっとも、シャドウミラーの構成員の寿命を考えれば、全員が後世の歴史家の言葉に直接文句を言いに行く可能性もあるが。
「詭弁を!」
「月臣、控えろ」
月臣が更に何かを言い掛けようとしたのを、草壁が鋭く叫んで止める。
それに若干不満そうな表情を浮かべながら、それでも月臣はそれ以上言葉を発さずに後ろへと下がる。
「申し訳ありません、アクセル代表。月臣は有能な人物ではありますが、色々と熱くなりやすい性格なのです」
「だろうな」
これまで何度か俺に突っかかってきたのを思えば、正義感は強いんだがそれが独善に近い……とまではいかないが、半ば暴走している感じか。
……もっとも、この件をエザリアが利用しないとは限らないし、それによってどんな譲歩を木連がする事になるのかは分からないが。
「ともあれ、今言ったように俺達シャドウミラーは世界の狭間に建国された国だ。そして世界の狭間にあるという地理的な関係上、幾つもの世界と接触して、その世界と友好的な関係を持っている」
「つまり、それで今回はこの世界にやって来たと?」
「ああ。このナデシコ世界にな」
「……ナデシコ世界?」
「俺達が付けた、この世界の名前だ。基本的には俺達が接触した世界には名前をつけている。それで、この世界を俺達はナデシコ世界と名付けた」
世界の名前は連合軍との会談の時にも多少問題になったが、今までこうしてやってきた以上、それを変えるつもりはないんだよな。
「……なるほど、ナデシコ世界ですか」
うん? てっきり何かクレームを言ってくるのかと思ったら違ったらしい。
グリューノ達とは若干違うか。
「ああ。で、話を戻すと、そっちが知っているのかどうかは分からないが、ナデシコ世界での俺達シャドウミラーの本拠地は、火星だ」
その件を知っていたのかどうかは分からない。だがそれでも、火星を俺達が本拠地としていると告げた草壁の表情は間違いなく硬くなった。
この辺、多少疑問がある。
例えば、木連にとって火星はそんなに大事なのかと。
連合軍と違い、無人機のチューリップからの転移によって地球に侵攻している木連にとって、補給地という意味合いでの火星は決して必須の場所ではない。
なのに、何故こうも火星を重要視している?
実際俺達が火星を奪還している今も、火星には多くの無人機がまだ残っている。
火星が居住可能なまでにテラフォーミングされているから?
いやいや、それだって俺達が火星を占拠する前は木連の無人兵器が火星を占拠していたんだから、そのまま兵力を火星に置いておく必要はない。
ただでさえ木連は地球に比べて国力が小さいんだから、その兵力を無駄な場所に配置する必要はない筈だ。
チューリップがあるから戦力の移動には苦労しないのだろうが……それでもやはり疑問が残る。
そこまでして火星に執着する理由は何だ?
可能性として一番高いのは、やはり火星古代文明に関する何かだろう。
その遺産を基にして木連という国を作っている以上、木連にとって火星古代文明の遺産があるとすればどうしても放っては置けない筈だ。
……ネルガルの研究所にも火星古代文明の遺産があったんだし、何より木連がその遺産と思われる生産プラントを利用している。
だとすれば、火星にまだ使用可能な遺産が残っていても不思議ではない、か。
「火星……ですか。正直、それは我々木連としては容易に認める事は出来ませんな」
難しい表情を浮かべている草壁。
ここで引く事が出来ないというのは、やはりそういう事なのだろう。
「認められないというのは結構。木連の意見として聞いておこう。だが、それをこちらが聞くかどうかというのは、また別問題だな」
「そうですな。こちらとしてもシャドウミラーと敵対関係にはなりたくありませんから。その辺りはこれから交渉をしていきたいと思います」
まあ、当然の選択か。
ともあれ、向こうが強硬手段で来ればこちらとしてもそれなりに対処しやすかったんだが……残念だ。
「分かった。交渉に関しては、こちらからはエザリアを出す」
その言葉と共にエザリアが笑みを浮かべて口を開く。
「エザリア・ジュールです。シャドウミラーの政治班の代表を務めています」
「何と!? か弱き女の身で政治家だというのですか。……なんともはや」
これはちょっとわざとらしいと言わざるを得ないな。
そもそも、ここにいるシャドウミラーの人員は俺以外はエザリア、あやか、千鶴と全員が女だ。
そうである以上、向こうもこの3人がどんな人物なのかというのは予想していただろうに。
それとも俺の秘書だと思っていたとか? もしくは護衛という可能性もあるか。
……まぁ、政治家をやっていると言っただけでこれだけ驚いたんだから、そこに護衛が入ってくるという可能性はちょっと考えられないと思うが。
にしても、草壁もエザリアを前にして若干様子が違っているのは事実。
だとすれば、木連の男は女に慣れていないという俺の予想は結構当たっているのかもしれないな。
その理由として考えられるのは……まぁ、単純に女が少ないとか。
そもそも、木連というのは月の独立運動強硬派の子孫だ。
で、強硬派という派閥にいるとなると、どうしても女よりも男の方が多くなるだろう。
勿論女が皆無ということはないだろうが。
……いや、でも女が少ないという事は、自然と100年前に比べれば木連の人間が少なくなっている筈だよな? その辺はどうなってるんだ?
実は普通に女は多いけど、ただ単純に木連の男は女に弱いってだけなのか?
この辺、具体的にどうなのかは分からないが、これから木連と付き合っていく事になるのなら、調べておいた方がいいか。
シャドウミラーにいる中で最も女が多いのはエルフ達だから、こっちに顔見せしてみるってのはありか? それとも、アイドル的な意味でシェリルにコンサートでもやって貰うというのもいいかもしれない。
「ええ、シャドウミラーは女性の社会進出率が高いですから」
笑みを浮かべているエザリアだったが、今の草壁の台詞に若干不愉快になっているというのは俺にも理解出来た。
それはあやかや千鶴も同様であり、若干ではあるが草壁を見る目が鋭くなっている。
草壁としては、嘘か本気かはともかく、女が公的な立場にいるというのに驚いたんだろうが、エザリア達にとってみれば馬鹿にされたように感じたのだろう。
フェミニストぶりも、行き過ぎれば相手を不愉快にするという事の証だろう。
そんな風に自分に向けられる視線の鋭さを感じ取ったのか、草壁は自然と会話を変えていく。
「ところで、こう聞くのもなんですが……本当に貴方達シャドウミラーが異世界の国であるという証明は出来ますか? 私達が言うのもなんですが、どうしても他の者達にその辺を証明するには言葉だけで……とは、なかなか」
だろうな。それこそこの中にエルフ達がいるのであればともかく、今ここにいるのは全員が外見上は普通の人間でしかない。
だとすれば、向こうにとって俺達はあくまでも異世界人を騙っている詐欺師という扱いにもなりかねない。……シロガネの転移能力や、木連の無人機を圧倒したこちらの無人機はどうなんだとか、突っ込み所は色々とあるが。
「ま、簡単に俺達が異世界の存在だと示すには……やっぱりこれだろうな」
パチンッと指を鳴らした瞬間、俺の影が影槍となって伸びていき……やがて草壁達と俺達の丁度中間の辺りで動きを止める。
「なっ!? こ、これは一体!?」
いきなり俺の影から伸びた影槍に、ただ唖然とした表情で呟く白鳥。
月臣は反射的に手を懐の中へと入れ、草壁も目を見開いて目の前にある影槍へと驚愕の視線を向けていた。
先端は尖らせてないが、普通に打撲武器としては使えるだろう影槍へ。
本当は炎獣を出そうかとも思ったんだが、木連は小惑星とかを基地にしている分、火の扱いについてはうるさそうだしな。
「操影術の影槍……そうだな、簡単に言えば魔法だ」
「魔法!?」
さすがに異世界の存在はともかく、魔法というのは予想外だったのか、草壁にしては珍しく大きな声を上げる。
「そうだ。俺達が接触している世界の中には、魔法が存在する世界もある。その世界の住人から魔法を習えば、見ての通り他の世界の住人でも魔法を使う事は可能だ」
「……ちなみに、何らかの制限のようなものはあるのですかな?」
「特にないな。この魔法は使うという意味では誰でも一定程度なら使えるようになる。勿論スポーツとかと同じで、歴然とした才能の差というのがあるから、どこまで上手くなるかというのは、人に寄るが」
「魔法……魔法、ですか。……それを私達が習うことは可能ですか?」
真剣な瞳を俺の方へと向けてくる草壁だが、魔法についての有用性をこの短時間で察知したのか。
いやまぁ、魔法という未知の技術を見れば、それに興味を引かれてもおかしくないが。
「俺達と木連がどんな関係を築くかというのは、それこそエザリアとの交渉に関わってくるだろうな。……ただ、大前提として俺達シャドウミラーと関係を持ちたいというのであれば、現状は色々と良くないってのは分かって貰えると思う」
「それは……」
草壁の視線が向けられたのは、最初に宣言した通り会談の様子をじっと見ているだけで、何も口に出してはいないヨシサダの姿。
「悪の地球と和平を結べ、と?」
「最初はそのつもりで使者を送ったんだろう? 結局その使者は闇から闇に葬られたみたいだが」
「だからこそ、我々は正義を示す為にも悪の地球とそう簡単に和平を結ぶという事はしたくないし、出来ないのです。特に世論では地球討つべしという声が大多数ですからな。正直、アクセル代表達とはともかく、そちらの地球人を迎え入れたという事が木連内部に広がれば、間違いなく大きな騒ぎになるでしょう」
「……地球とは絶対に和平が出来ないと?」
「少なくても、今のままでは到底無理でしょうな。地球の全面降伏といった形であれば、こちらとしても受け入れる事は出来るでしょうが」
頑なだな。
それが草壁とのやり取りで感じた事だった。
向こうにとって、地球とはどうあっても簡単に和平を結ぶことは出来ないと、そう態度で示しているかのような印象。
「何でそこまで地球を倒す事に拘る?」
「それが、私の……私達の信念だからです」
信念、ね。
一本芯を持っているという意味ではいいのだろうが、自分の信念に酔っていないか?
いや、それをここで指摘しても絶対に認めはしないだろう。
「その場合は、最悪地球と俺達シャドウミラーという二つを相手に戦う事になるぞ? お前達木連がどう認識しているのかは分からないが、俺達シャドウミラーは既に火星をお前達の手から解放しつつある」
「……知っています。こちらでも火星の情報を得る手段はありますから」
どうやらチューリップを使った通信システムがあるというのは、俺が予想していた通りなのだろう。
その辺は後々調べる必要があるだろうな。
「アクセル代表。ちなみに……ちなみにですが、シャドウミラーにとって木連と取引をするとすれば、どのような取引の希望がありますか?」
地球と組ませるのは出来るだけ避けたいといったところか。
個人的に木連に対する希望というのは、言うまでもなくカトンボ、ヤンマ、チューリップの生産プラントが一番多い。
特にファブニールの運用を考えれば、ヤンマのプラント入手は絶対条件と考えてもいい。
……もっとも、だからと言ってそれを物欲しそうに口にするというのは向こうにイニシアチブを与える事になる以上、そう易々と頷く訳にはいかないが。
「その辺は、俺じゃなくてエザリアとの交渉で決めてくれ。政治に関しては基本的に任せているからな」
「……分かりました。出来ればその交渉を含め、もう暫くこの宙域に留まって欲しいのですが」
「ああ。取りあえず暫くはここに待機する予定だ」
こうして、最初の会談は無事に終了するのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1188
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