転生とらぶる
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機動戦艦ナデシコ
1363話
シロガネを降りてすぐに起きた揉め事は何とか収まる。
もし何かあったら、恐らくこの軍港は消滅していただろうな。
何と言ってもエザリアがいる場所で揉め事を起こしたんだから。
もしエザリアに危害が加えられたら、シロガネの格納庫からヒュッケバインMk-Ⅲが出撃してきた気がする。
……いやまぁ、エザリア自身も強いんだから、月臣程度の相手であればどうとでも出来るんだろうが。
「へぇ……軍港って割りにはかなり施設が整っているな」
会談の場所まで案内されながら、周囲を見回す。
木連としても軍港の中を見られるのは面白くないだろうが、そもそもこの軍港に俺達を誘導したのが木連なのだから、見られて困る物は撤去済だろう。
実際、カトンボやヤンマ、チューリップの類もどこにも見えないしな。
そんな中で俺が感心したのは、この軍港に入った時にも見た光景だ。
即ち、小型のバッタが労働力の代わりをしているという点。
シロガネから見た時も感心したが、こうして実際に軍港の中を進めば俺の予想以上にバッタが木連の労働力として使われている事に気が付く。
「ええ。知っての通り我々は人的資源がそれ程多くはありません。勿論正義と熱血を愛する心がある以上、多少の数の問題など問題としませんが、それでも限界はありますからね。我々の労働力としては心強い戦力ですよ」
俺がシャドウミラーの代表だと知ったからか、白鳥が俺に向ける口調は丁寧なものになっている。
その近くを歩いている月臣の方はまだ若干不満そうではあるが、それでも俺が月臣の動きを止めた一連のやり取りでお互いの力量差は理解したのだろう。
それに、俺よりも憎むべき存在として悪の地球人であるヨシサダもいるのを考えれば、俺だけに敵意を向ける訳にもいかないといったところか。
「あら、可愛い。……アクセル君、この子達をお土産として貰えないかしら?」
通路を通った小型のバッタを見て、千鶴が俺にそう尋ねてくる。
だが、さすがにそれは許可されないだろう。
「バッタは木連にとっても重要な戦力だって話だし、無理じゃないか?」
だろう? と白鳥に視線で尋ねるが、戻ってきたのは予想外の言葉だった。
「どうでしょう。私達もシャドウミラーの皆さんとは友好的な関係を築きたいと思っていますし、小型虫型戦闘機はこちらにも多くあります。もしかしたら許可が下りるかもしれませんよ」
ほう、予想外に好感触。
……というか、単純に白鳥が女に甘いだけだったりするのか?
何か、普通にそんな気がしてきた。
月臣の方も、何故か言葉を発さない割りにはチラチラとエザリア、あやか、千鶴へと視線を向けている。
いや、勿論本人は隠しているつもりなんだろうが、傍から見れば結構分かるもんなんだよな。
この2人の傾向から考えると、木連の軍人は女慣れをしていない可能性は高い。
……こんなところでもヤマダモドキを発揮している辺り、実はヤマダって木連のスパイだったりするんじゃないか?
「本当? 楽しみにしているわ」
慈母の如き笑みを浮かべた千鶴に、白鳥と月臣の2人は揃って顔を赤くする。
うん、少なくてもこの2人が女慣れしていないのは確実だな。
「さ、さぁ。そろそろ会議室に到着します。出来れば派手に歓迎をしたかったのですが、何分今は戦時中で色々と忙しいので……」
白鳥の視線が一瞬だけだがヨシサダに向けられたのは間違いない。
まあ、戦時中でその戦っている相手が連合軍なんだから、ヨシサダの存在にも色々と思うところはあるのだろう。
ヨシサダはいわゆる穏健派に近い存在ではあるが、それでも木連の軍人にしてみれば敵国の将官である事に間違いはないのだが。
「気にしないでちょうだい。私達も熱烈に歓迎して貰えるとは思っていなかったから。寧ろ、歓迎されると色々と裏を疑いたくなってしまうわ」
エザリアの言葉に、白鳥の頬が赤く染まる。
……女に免疫がないだろう白鳥だけに、エザリアのような美人に微笑まれればすぐに引っ掛かるのか?
そう言えばヤマダもメグミにあっさりと引っ掛かってたな。
言うべきか? エザリアには白鳥とそう年齢の変わらない子供がいると。
でも、エザリアは独身だ。そういう意味では口説いても問題がない訳ではあるんだが……その場合、間違いなくイザークが爆発しそうだな。
そんな風に考えている間にも軍港の中を進んでいき、やがて白鳥の足が止まる。
「ここが会議室となっています」
そう告げた白鳥をよそに月臣が扉をノックすると、中から言葉が返ってくる。
『入れ』
「は!」
月臣が扉を開け、中へと入っていく。
それに続くように白鳥が俺達を促し、中へと入る。
すると、そこに待っていたのは40代程に見える男だった。
年齢的には中年と呼ぶのが相応しいのかもしれないが、纏っている雰囲気というか、覇気というか、そういうのは白鳥や月臣に決して負けてはいない。
閣下と呼ばれているだけの事はあるか。
「初めまして、シャドウミラーの方々。私は木連突撃宇宙軍優人部隊隊長、草壁春樹中将です」
へぇ。中将か。また、随分とお偉いさんが出て来た。
軍の中で中将と言えば、基本的には元帥、大将の下、上から3つ目の階級だ。
勿論その世界によって階級とかは色々と違うから、大将と元帥の間、中将と大将の間に何らかの階級がある可能性はあるが、それでも木連という組織の中で上位に位置する人物であるのは間違いないだろう。
そういう意味では、ヨシサダも少将なんだが……中将と少将だと、随分と階級に差があるように感じてしまうのはなんでだろうな。
差し出してきた草壁の手に握り返しながら口を開く。
「シャドウミラー代表、アクセル・アルマーだ」
俺の口から出た言葉は予想外だったのか、草壁の顔が驚愕に歪みそうになり……それを意思の力で押し潰す。
どうやら俺がシャドウミラーの代表だというのは知られてなかったらしい。
軍港に降りてからその事を口にしたのだと考えれば、仕方がないのかもしれないが。
バッタとかを使った通信方法とかがあれば、それでも知っていてもおかしくはないと思ったんだけどな。
「シャドウミラーの代表、ですか。まさか1つの国の代表がこうして未知の勢力と接するのに直接乗り込んでくるとは……随分と剛胆ですな」
「まあな。これがシャドウミラー流のやり方だからな」
そう告げた瞬間、一瞬だけエザリアが俺の方へと視線を向けてくる。
勝手にシャドウミラーの流儀を決めないでと言いたげだが、実際システムXNで未知の世界に行く時は俺が行くんだから、その辺は決して間違ってはいないだろう。
「ですが、危険では? 私達木連はそんな真似をしませんが、中にはこれ幸いとアクセル代表を捕らえて、自分達に従わせるような存在もいるのでは? ……それとも、ここに悪の地球人がいるという事は、そういう事なのですかな?」
ここでも出たのか、悪の地球人。
木連の祖先がかつて受けた仕打ちを思えば、そう言いたくなるのも分からないではないが……
と、ふと顔を上げて周囲を見回した俺が見たのは、何かのアニメのキャラクターが入った額縁。
うん? これ、何かで見覚えがあるな。
そう考えて記憶を辿り……やがてそれが何だったのかを思い出す。
確かこれって、ヤマダやテンカワが好きだったゲキガンガーとかいうアニメに出てくるキャラじゃなかったか?
何だってこんな場所にアニメのキャラが飾られてるんだ?
一瞬不思議に思ったが、そう言えばゲキガンガーは木連で特別なものだと言っていたのを思い出し、それを口にするよりも先にヨシサダが口を開く。
「ムネタケ・ヨシサダ少将と申します。今回はシャドウミラーと木連の会談の見届け人として派遣されてきました」
「……そうか。君が連合軍の……」
そう呟く草壁の瞳に浮かんだのは、非常に複雑な色。
憎しみの類もあれば、どこか哀れみの色もあり、それが混じったような色。
……哀れみ? 何でだ?
一瞬疑問に思ったが、今はそれを聞く時ではないだろう。
「今、見届け人と言っていたが、連合軍としては私達木連に対してどのような立場で望むのかを聞いてもよいかな?」
既に草壁の目の中から複雑な感情の色は消え、木連の中将としての立場からヨシサダへと尋ねる。
「私個人としては、木連に対して行った行動について謝罪した方がいいと思っています。ですが、連合軍の将校としては上に命じられた行動……この場合はシャドウミラーと木連の会談を見届けるだけですな」
「……ほう。悪の地球人としては、随分と謙虚ですな」
「はっはっは。悪だと言われても否定出来ないのは事実ですが、地球全てが貴方達に対して悪意を持っている訳ではありませんよ。いえ、寧ろ地球の殆どの人達は木連について何も知らないのですから。だからこそ、木星蜥蜴と呼んで木連の方を悪の侵略者だと思っている者も多いのです」
ヨシサダがそう告げた瞬間、草壁の後ろに待機していた月臣が我慢出来ないと憤りを露わにして叫ぶ。
「何だと貴様ぁっ!」
「月臣、控えろ」
即座に草壁が鋭く叫び、それを聞いた月臣はすぐに我に返る。
「申し訳ありません、草壁中将」
「お前の気持ちも分かるが、今は悪の地球人ではなく、シャドウミラーとの会談の場だ。……申し訳ない。この月臣という男は使命感や正義感が非常に強い男でね。それだけに、連合軍が我々木連に対して行った事には強い憤りを覚えている。何しろ、使者を殺され……その上で、存在すら抹消されたのだから。もし連合軍の軍人がそのような目に遭えば、連合軍としてはどうするかな?」
「それはまぁ、怒るでしょうな。……ともあれ、何度も言いますが今回の私はあくまでも会談の見届け人ですので」
「……そうか。今はそれでもいい。私も悪の地球人の中に良心的な軍人がいるというのは嬉しい誤算だったよ」
それは、本当に草壁にとっては若干の驚きだったのだろう。しみじみとした呟きを口にした後、草壁は改めて俺の方へと視線を向けてくる。
「さて、アクセル代表。少し話が逸れてしまいましたが……幾つか質問をよろしいですかな?」
「ああ、構わない」
まぁ、向こうが聞いてくるというのは大体分かる。
そう、例えば……
「私達はシャドウミラーという国の存在を今まで全く知りませんでした。勿論地球の情報を全て知っている訳ではない以上、見逃していた可能性もないとは言えません。ですが、貴方達シャドウミラーが乗ってきた戦艦は、正直なところ連合軍の戦艦とは比べものにならない程高性能に見えます。そして何より我々と全く違う次元跳躍という手段を持っているような存在を、幾らなんでも私達が知らないというのは有り得ない。特に100年前にシャドウミラーという国があれば、少なからず私達に伝わっていても構わない筈」
やっぱりな。
まぁ、幾ら何でも木連にとってシャドウミラーという存在は規格外に過ぎたのだろう。
そんな国があったのであれば、当然草壁が言ったように100年前に名前くらい知っていてもよかったのではないかと。
……100年もあれば、普通に新しい国とか組織とかが出来てもおかしくないと思うんだけどな。
草壁の言葉に、白鳥と月臣の2人も頷いて俺の方へと視線を向けてくる。
さて、どうするか。
いや、そもそもここで誤魔化す必要はない以上、正直に話しても構わないだろう。
「だろうな。俺達の国を木連が知らなかったのは無理もない。そういう意味では、連合軍や連合政府だって俺達の事を知らなかったんだからな」
「……それは、どういう?」
訝しげな草壁。
まぁ、木連という名前通り木星に本拠地を持っている草壁達が知らないのは、100歩譲って知らないとしても、まさか連合軍や連合政府が知らないというのは有り得ないという事だったのだろう。
言葉を促す草壁に対し、俺は勿体ぶった様子で口を開く。
「本来は存在しない、それでいて確かに存在しているシャドウミラーという存在。それは一体どんな国だと思う?」
草壁を含めて木連がヤマダモドキと呼べる性格であれば、もしかしたら正解を引き当てる可能性は十分にある。あるんだが……さて、どうだろうな。
草壁がじっと俺の方へと視線を向ける。
白鳥が慕っているだけあって、能力的には十分なのだろう。
能力も、木連中将という立場であれば間違いなく高いだろうし。
ただ、こうして短い間だけ会話をした限りでは、どうにも何か違和感……いや、違和感とすら呼べないような、小さな何かがある。
念動力に反応している訳ではなく、本当に何かが……そんな風に考えていると、不意にこちらに近づいてきている気配に気が付く。
うん? 何とか気配を隠そうとしているようだが、それでもシャドウミラーのメンバーにとっては丸分かりだ。
実際、エザリアを含めて全員がその気配の主には気が付いている。
「シャドウミラーというのは……ここ100年で出来た国、という以外にあるのですかな?」
そんな草壁の言葉で我に返り、口を開く。
「惜しいが外れだ。俺達シャドウミラーという国が出来たのは近年だが、最大の違いは……国のある場所だ。世界と世界の間にある、次元の狭間とでも呼ぶべき場所。俺達の国シャドウミラーは、いわゆる異世界の存在だ」
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1188
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