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Three Roses

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第三話 幸福と孤独その八

「だからな」
「はい、ではその様に」
「手を打っていこう」
 教育係、そして将来の側近達のというのだ。そうしたことも話してだった。
 王は娘達のことも考えていた、その考えは的確であると言えた。
 だがそのオズバルト公、彼の最初の授業を受けた後でだ。
 マイラは次の授業を受け持った司教にだ、苦い顔で言った。
「立派な方ですが」
「それでもですね」
「旧教徒には思えません」
「はい、オズバルト公は旧教の方ですが」
「それでもですね」
「新教にも近く」
「父上の側近としてですね」
 マイラはその曇った顔で司教に話した、二人だけの部屋の中で。その部屋は質素で何もない、ただ机と椅子に書があるだけだ。
「新教徒との融和ですか」
「それに務めておられる方です」
「間違った方なのですね」
 既に固まった価値観に基づいてだ、マイラは言った。
「お考えが」
「その通りです」
「そうした方の教育を受ければ」
「はい」
 まさにとだ、司教も言う。
「よくありません」
「では父上に言って」
「いえ、あの方の学識は見事です」
 司教はマイラが王の不興を買い将来に影響を及ぼしてしまうのを避ける為にこう言った。
「ですから」
「教えを受けることはですか」
「いいです、信仰だけをです」
「気にしないことですか」
「あの方の言われることは私にお話下さい」
 司教はマイラにこうも言った。
「そしてあの方の間違っていることは」
「司教が指摘して頂けるのですね」
「そうです」
 その通りという返事だった。
「そうさせて頂けます」
「では司教の言われることは」
「私は神の御教えを忠実に受けています」
「だからですね」
「私の言葉は神、主のお言葉と思われて下さい」
「それでは」
「はい、公は間違っているところもあります」
 このことをだ、マイラに言ったのだった。
「そのことをご理解下さい」
「そうした方もおられるのですね」
「そうなのです」
「そうですか、ではあの方の言われることを聞きますが」
 しかしとだ、マイラは司教の言葉を受けて彼に応えた。
「それでもです」
「間違っていることは私が指摘致します」
「そのことは覚えません」
「忘れて下さい」
 司教はまた言った。
「是非」
「そうさせて頂きます」
「その様に、では今日も」
「はい、お願いします」
 教えをとだ、そしてだった。
 マイラはこの日も司教の教えを受けた、マイラは既に固まっていた。だが王も大公もこのことには気付いていなかった。
 それはマリー達もだった、子供である彼女達は。
 ただ無邪気に遊ぶだけだった、学問も。
 書を読みだ、マリーは共に学ぶマリアとセーラに言った。
「二人共この本はね」
「ええ、とてもいい本だっていうのね」
「そう思うわ」
 こうマリアに言うのだった、穏やかな笑顔で。 
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