ハイスクールD×D~舞い踊りし剣舞姫~
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第二十三話
瞬戟・閃光用いて、俺は言い争いをしている二人の間に立つ。
「「っ!?」」
二人は驚愕の表情を浮かべている、まあそれも仕方ないだろう。
なぜならばいつの間にか、目の前に見知らぬ男が立っているのだ。しかも自身は警戒心を解いてはいない。にもかかわらずだ。
「貴方……何者?」
最初に質問してきたのは女性の方だ。
「今回の若手同士の会合で特別枠で参加する、元素精霊界代表の兵藤一誠だ」
「っ、そう貴方が……」
「お、おうおう!てめぇが元素精霊界の使いだと?ただの人間じゃねぇか。んなのが代表とはな……」
「口を慎んだほうがいいわよ、ゼファードル」
「んだと、処女の癖によ!?」
この二人は俺の事などお構いなしにまた喧嘩しようとしていた。なので
「お前ら……もう少し周りの迷惑も考えろ」
俺は少しだけ彼らに殺気を放った。
「っ……」
「…………な、なぁ…………」
二人共また驚きの表情でしかも俺を見たまま、硬直してしまう。
悟ったんだろうな。俺が本気を出せば、この場にいる全員制圧出来るという事に。
まあ、これ以上はさすがに気の毒なので殺気を解き、双方に笑顔を向ける。
「まあ、これから会合がありますし。無益な争いは止めましょうか。それに女の子に対して無闇矢鱈に武器を振りかざすのは俺の趣味でもないですし」
まあ、例外はいるが。例を出せば、某竜の王国のお姫様とかな。あのお姫様、とんでもない戦闘狂で、会う度に「さあ、イッセー!あの時の決着をつけるぞ!!」とか言って無理やり精霊魔装を顕現させて斬り付けてくるしな。
その後、準備が出来たので呼びに来たという使いの人が来るまで何となく全員口を開けなくなってしまった。
俺のせい?
「あんたのせいでしょ」
クレアに心を読まれた。
着いた場所は丸型のテーブルに椅子がいくつか並んでいる。数を数えてみるに恐らくあの場にいた若手悪魔の皆の席なのだろう。
席が一つ多いのは……多分、俺、だろうな。
それぞれ席に着き始めたので、俺も席に座る。
最初はそれぞれの自己紹介のようで最初に俺が割って入った時の美少女が立ち上がる。
「私の名前はシーグヴァイラ・アガレス。大公、アガレス家の次期当主です」
アガレス……中々に大きい家だったんだな。ま、若手悪魔での会合に呼ばれているから家の七光りではないきちんと実力があるという事だろう。
努力したんだろうな。女性という事で舐められるのは実力者の中ではあれだし。
かくいう俺も、男性で唯一の精霊契約者という事で変な目で見られた事も多かったし。
「ごきげんよう、私は、リアス・グレモリー。グレモリー家の次期当主です」
「私は、ソーナ・シトリー。シトリー家の次期当主です」
グレモリー先輩とソーナ会長が続けて挨拶する。主達が席に着き、眷属はその主の後方で待機している感じだ。
俺たちもそんな感じで俺が席に座りヴァーリ達は後ろで待機している。
「俺はサイラオーグ・バアル。大王、バアル家の次期当主だ」
正に“威風堂々”といった感じで自己紹介するサイオラーグ。その瞳には覚悟のような物が見えていたが……どうやら何か目的があるようだ。その目的を少しでも手伝えたらと思う。
「僕はディオドラ・アスタロト。アスタロト家の次期当主です。皆さん、よろしく」
「ふん、俺はゼファードル・グラシャラボラス。グラシャラボラス次期当主候補だ」
というか、グラシャラボラスはあんなのが次期当主候補とかでいいのか?
「グラシャラボラス家は先日、お家騒動があったらしくてな。次期当主とされていた者が、不慮の事故死を遂げたばかりだ。先程のゼファードルは新たな次期当主の候補と言う事になる」
と思っていたら小さな声でサイオラーグが補足説明をしてくれる。
なるほどね。それ位の理由がないとあんなのが次期当主になんかなれねぇよな。
というか、俺が気になっているのはゼファードルの前に自己紹介した、ディオドラって奴だ。
あいつ、一瞬だけこっち……正確にはルビアの隣であうあうとせわしなくそわそわしているアーシアを見つめていた。
アーシアに何かあんのか?
「……ッセー。イッセー」
「ん?」
考え事をしていたら隣に座っているサイオラーグに名前を呼ばれる。
「次はお前だ。一応、お前だってこの場に座っているんだからな」
「あ、ああ。そうだな」
いけない。考え事をしていてそんなの頭になかったわ。
俺は立ち上がり、皆の顔を一人ひとり確認する。
「元素精霊界からの代表でこの会合に参加しました、兵藤一誠です。正直俺や他の皆……特にヴァーリを呼んだ理由は何となく察するが……まあ、皆さんの邪魔にはなりませんので、覚えてもらわなくて結構です」
俺はそう言って席に座る。
まあ、こんなもんだろう。あんまり関わりたくはないし。
その後はあまり関係ない話なので割愛する。
まあ、長々な話は正直眠たくなるので聞き流していただけだけどな。
今は禍の団の話をしているみたいだ。
サイオラーグは自身も禍の団討伐に参加するのかと問うがサーゼクスさんはそれを否定する。
サイオラーグは純粋な悪魔。純粋な悪魔をこれ以上減らしたくはないというサーゼクスさんなりの配慮だろう。
それからそれぞれの夢を語り合うようになっている。
「俺の夢は魔王になること……ただ、それだけです」
最初にそれに答えたのはサイラオーグさんだった。迷い無く、サーゼクスさんを正面から見据えながら堂々と言い切った彼は正直この夢を諦めることなく達成するだろうという確信めいた何かが俺の中にあった。
「ほお、大王家から魔王が出るとしたら前代未聞だな」
って事は、もしその夢を実現したら、掛け値無しの偉業という事になるな。頑張れよ、サイオラーグ。
俺は心の中でそっと応援した。
「私はグレモリーの次期当主として、これから先どんな困難が立ち塞がろうと、“誇り”だけは決して失わない様に生き、そしてレーティングゲームの各大会で優勝する事が近い将来の目標です」
二番手はグレモリー先輩。家と誇りを大事にする彼女らしい目標だった。
(まあ、情愛が深いだけじゃこの先、生きていけないとも思うけどな)
彼女は俺たちが彼女達と関わる前、一度レーティングゲームをしたらしい。相手はフェニックスの三男。
実力もかけ離れた相手だというのに、彼女は諦めず、最後は兵士である神名流星がフェニックスを倒したらしい。
だけど、俺はゲームを観戦していたグレイフィアさんから聞いている。
正直、見ていられない程の酷さだったようだと。
まともに戦えていたのは木場と塔城だけ。女王である姫島先輩は油断して負けてるし、グレモリー先輩は挑発に乗って仲間がやられそうになったらすぐさま降参しそうになったらしい。
神名は能力に任せてがむしゃらにフェニックス三男坊に攻撃を繰り返しただけらしいし。
今まではそれでいけたかもしれんが、これからはそんなのでは生きていけないだろう。
まあ、その辺はアザゼルさんが考えてるだろうし、俺が考えることでもないか。
その後、ディオドラ、シーグヴァイラさん、ゼファードルの順で夢を語っていく。
そして最後にシトリー先輩の夢を語る番になった。
「私の夢は冥界にレーティングゲームの学校を建てる事です」
へぇ、学校か……ソーナ会長は学校を建てたいんだ。先生になりたいのかな。会長は駒王学園を愛しているしな。俺の後ろでうんうんとエリスやリンスレット、クレアやルビア、アーシアやヴァーリ、というか全員が頷いている。
俺自身も感心していたのだが、上の方に座っている上層部の爺達は眉根を寄せていた。
「レーティングゲームを学ぶところならば、既にある筈だが?」
確認するように爺共はソーナ会長に訊く。それを淡々とソーナ会長は答える。
「それは上級悪魔と一部の特権階級の悪魔のみしか行く事が許されない学校の事です。私が建てたいのは下級悪魔、転生悪魔、家柄や階級も関係なく差別も無く自由に学べる学び舎です」
確かに冥界は実力主義も存在しているな。才能や能力を重んじる悪魔も少なくは無い。下の位の悪魔達もゲームを知り実力も上がれば……
『ハハハハハハハハハハハハハハッ!』
突然、爺共の笑い声がこの会場を支配する。意味が解らん。何で笑いだす?笑う要素が何処に有った?
「それは無理だ!」
「これは傑作だ!」
「成程!夢見る乙女と言う訳ですな!」
「若いというのは良い!しかし、シトリー家の次期当主ともあろう者がそのような夢を語るとは。此処がデビュー前の顔合わせの場で良かったというものだ」
おい、サーゼクスさん。人の夢を語らせて爺達に笑わす為に言ったのかと睨みつける様に一番上の段にいるサーゼクスさんに視線を送るとサーゼクスさんが俺の視線に気づく。俺の言いたい事が解ったのか首を横に振った。
なるほど、サーゼクスさんに別に他意はないと。
「私は、本気です」
「ソーナ・シトリー殿。下級悪魔、転生悪魔は上級悪魔たる主に仕え、才能を見出されるのが常。その様な養成施設を作っては伝統や誇りを重んじる旧家の顔を潰す事となりますぞ?」
「さよう。悪魔の世界が変革の時期に入っているのは我々も認めている。だが、変えていいものと悪いものの区別くらいはつけてもらいたい」
「たかが下級悪魔に教育など、悪い冗談としか思えんな」
シトリー先輩の言葉に耳も貸さず、どんどんシトリー先輩の夢を笑う上層部の糞爺共。
「そもそもシトリー殿はね」
と、さらに何か言おうとした爺の頭の上になにやら魔方陣が
「……ぁぁぁぁぁああああああああっ!!!???」
「ぐえっ!?」
あ、何かが爺の上に落ちた。
「いったた……ったく、竜王様はもうちょっと開ける場所を考えて欲しい物です……ん?」
その子は立ち上がり、周りの状況を確認する。
「えぇっと……私、何かの会合中にお邪魔した感じですか?」
「な、何者だ!?貴様は!?」
「もしや、禍の団では!?」
爺の一人がそう言うないなや、全員が臨戦態勢に入る。
というか、今の声……。
「い、イッセー……今の声って……」
「ああ、だろうな」
クレアの言いたい事がわかっていたのでそれを肯定する。
「いや、待ってくださいまし!?何で彼女がこちらに来ているんですの?」
「それもそうだ。彼女はドラクニアの王女。そう易々と来られる筈が」
「まあ、聞いてみれば早いんじゃね?……おぉい、レオノーラ」
「ん?おお、イッセーか。すまんな、急な訪問で」
と、その少女……ドラクニア竜公国王女、レオノーラ・ランカスターは一瞬で俺たちの隣までやってきた。
「なっ!?」
サイオラーグや他の若手悪魔は驚愕した。それもそうだろう、一瞬でやってきたのだから。
「済まない。本当は連絡をしようと思ったのだが、君主様にサプライズでいってはどうかと言われてな」
「あの竜王様は……」
俺は呆れながら、この状況どうしようと考えを巡らせた。
後書き
という訳で、レオノーラさん参戦!
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