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真田十勇士

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巻ノ四十五 故郷に戻りその七

「信頼出来る方じゃ」
「ですか、では」
「あの方、そして徳川家とはな」
「これからはですな」
「密になっていくべきじゃ」
「左様ですな」
「そして御主はな」
 また幸村に言うのだった。
「その婚姻は大事にせよ」
「畏まりました」
「ではこれからあらためてな」
「この上田を」
「治めていこうぞ」
「さすれば」
 戻って来た兄とこう話してだった、そのうえで。
 幸村は兄とその妻を家に迎え入れた。それは昌幸も同じだった。
 親兄弟が揃いだ、そしてだった。
 上田を以前の様に治めだしたその時にだ、幸村はまた父に呼ばれ言われた。
「遂にじゃ」
「それがしのですか」
「うむ、上田に来る」
「そうですか」
「既に準備は出来ておる」
 式のそれがというのだ。
「晴れ場じゃ、よいな」
「服もですか」
「代々の服を出す」
 真田家のそれをというのだ。
「それを着てな」
「そのうえで」
「妻を迎えるのじゃ」
「その服はわしも着た」
 二人と共に場にいる信之も言って来た。
「婚礼の時にな」
「上田から送ってもらい」
「そしてその服を着てじゃ」
 婚礼の場に赴いたというのだ。
「だからな」
「それがしもですな」
「その服を着てじゃ」
 そのうえでというのだ。
「よいな」
「まさに代々の服ですな」
「婚礼のな」
「それをそれがしが着て」
「式を挙げよ」 
 信之は弟に優しい声で言った。
「我等の様にな」
「さすれば」
 幸村は己の婚礼の用意も進めることになった、彼はこれまで以上に忙しくなった。それで屋敷にも多くの者が出入りする様になった。
 十勇士達もだ、幸村のそれを手伝いながら言う。
「いや、何か」
「もうてんてこ舞いですな」
「近頃は」
「毎日が祭りの様ですな」
「うむ、忙しいわ」
 実際にとだ、幸村も言う。
「婚礼の用意もあってな」
「服が来ましたし」
「その服を着てですな」
「そのうえで式に出て」
「婚姻ですな」
「妻を迎える」
 幸村はまた答えた。
「その様にな」
「我等もお手伝いしていますが」
「それだけでは手が足りず」
「人が屋敷に出入りして」
「何かと忙しいですな」
「うむ、それでじゃが」
 幸村は十勇士達にまた言った。 
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