英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルート
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第88話(終章終了)
~ジュライロッジ・最奥~
「な、何アレ~~!?」
「何かの”核”のようだが……」
「少なくてもあの”核”は私達にとっては”敵”にあたる存在なのでしょうね………」
「ええ……一体何なのでしょうか?」
「まさか……”黒真珠”か!?」
「いえ、アレすらも比べものにならない”負”の霊圧を纏っています……!」
突如現れた謎の球体を見たミリアムは声をあげ、パントとシグルーン、ルイーズはそれぞれ考え込み、球体の正体を察して声を上げたアドルの言葉を聞いたフィーナはすぐに否定した。
「エイドス様はあの謎の球体がわたくし達の目の前に現れる事を予想しておられたようでしたが……」
「確か……”封印”が解けたと言っていたな。」
一方エイドスが目の前の謎の球体の正体を知っている事を察したシャロンとレーヴェはエイドスに視線を向けた。
「―――”ユリス”。かつて私が多くの仲間達やゼムリアに住む多くの人々の協力によってようやく封じ込める事ができた”大いなる魔”にして大地に破滅をもたらし、全てを”無”に帰す事を目的とする”万物の敵”にして”世界の災厄”です……!」
「せ、”世界の災厄”!?」
「す、全てを”無”にって……そんな事になったら世界はどうなっちゃうの~!?」
「そんな存在、エイドスより前の私達の時代にも存在しなかったの~!?」
「ええっ!?それは本当なの、クレハ!?」
「ええ……!私も初めて聞いたわ……!」
「!!ヨアヒムが言っていた”鉄血宰相”が自身の野望の為に求めていた”世界の災厄”とはアレの事だったのね!?」
エイドスの答えを聞いたエステルやミント、ノイは驚き、ナユタに視線を向けられたクレハは厳しい表情で答え、ヨアヒムの話を思い出したサラ教官は厳しい表情で声を上げ
「で、ですが何故このタイミングで封印が解けたのでしょう……?」
「状況を考えると間違いなくヨアヒムの仕業だ!恐らくヨアヒムは死に際に最後の力を振り絞って、封印を解いたんだろう……!」
「”最後の力”――――”真のグノーシス”で得た””D(デミウルゴス)”の力の一部ですか……!」
「そう言う事かよ……!」
「チッ、滅されてなおあがくのか、あの亡霊は……!」
「フウ、死に際の最後の悪あがきとか、マリアベル・クロイスと同じじゃない。ま、”教団”の”真の黒幕”の手下らしいと言えばらしいけど。」
ティオの疑問に答えたロイドとツーヤの答えを聞いたランディは厳しい表情をし、ユーシスは舌打ちをして目の前の存在―――ユリスを睨み、レンは呆れた表情で溜息を吐いた。
「そんな存在、後世に伝えられていて当然の存在なのに……私達も今初めて聞いたね……」
「多分やけど、”大崩壊”あたりでアレについて書かれてある文献とかが失われたんやろうな。」
「今は”ユリス”とやらを何とかする事が先決よ!エイドス様、以前目の前の存在―――”ユリス”を封印したと仰いましたが、再度封印する事はできないのですか!?」
「というか封印なんてしても今みたいにまた封印が解かれる時とかあるんだから、いっそ今ここで消せばいいんじゃん。何で封印なんて中途半端な事をしたの?」
不安そうな表情で呟いたリースの疑問にケビンは真剣な表情で答え、ルフィナとエヴリーヌはエイドスに問いかけた。
「……私達も滅したかったのですが、私や夫を始めとした”聖痕”の使い手達や”眷属”達の全力を持ってしても実体は何とか滅する事ができたのですが、”意思”は消し切れなかった為”意思”のみを封印したのです。」
「そ、そんな……!?」
「”女神”であるエイドス殿でも倒し切れぬ相手ですか……!」
「しかも”空の女神”どころか初代の”聖痕”の持ち主全員に加えてツァイト達―――”眷属”も協力して滅し切れなかったなんて、相当ヤバイ相手だね。」
「それじゃあどうやって無力化すれば……」
エイドスの話を聞いたエリィは表情を青褪めさせ、ラウラとワジは厳しい表情をし、ノエルは不安そうな表情で呟いた。
「クッ……(何か……何か方法はあるはずだ……!)―――――!!」
唇を噛みしめてユリスを無力化する方法を考えていたリィンはある事に気付いて目を見開き
「―――エイドスさん。エイドスさん―――”女神”一柱で倒し切れなかった相手でも、複数の神々が協力したら”ユリス”を滅する事もできるのではないでしょうか?」
「に、兄様……?一体何を……?」
「―――なるほどね。確かに一柱の神で滅し切れなかった相手でも、複数の神々の協力があればわからないわね。」
「ええ……!それなら可能性はあるわ……!」
「しかも運よく”空の女神”と同じか、それ以上の霊圧を持つ”神”と思われる存在が複数いるわね。」
「はい……!こんなにも多くの神々が協力すればきっと……!」
「”空の女神”エイドスお姉さんとその母神のフィーナお姉さん、先祖のクレハお姉さん、”正義の大女神”の魂をその身に宿し”神殺し”の力の一部を宿したエステル、”姫神”のフェミリンスお姉さん、”慈悲の大女神”のアイドスお姉さん。むしろこんなにも多くの神々の協力によって葬れない相手なんていないわよ♪」
リィンの提案にエリゼが戸惑っている中、すぐに察したセリーヌは静かな表情で呟き、エマは明るい表情で頷き、クロチルダは真剣な表情でフィーナ、クレハ、フェミリンス、アイドスを順番に見回し、クロチルダの言葉にエリスは明るい表情で頷き、レンは微笑みを浮かべてウインクをした。
「確かにそれなら……!しかも”ユリス”の復活はまだ不完全で、かつて私や私の仲間達が共にユリスの実体を倒した時の状態です!」
「―――ならば完全に復活する前に滅すればいいという事ですわね。―――――エステル。」
「ええ、わかっているわ!―――サティアさん、力を貸して!ハアッ!!」
「頑張って、ママ、フェミリンスさん!」
エイドスの答えを聞いたフェミリンスは静かな表情で呟いた後エステルに視線を向け、視線を向けられたエステルは自身に秘められる力を解放して膨大な霊圧を纏うと共に髪の色と瞳の色をセリカやアイドスそっくりに変化させ、ミントは応援の言葉を二人に送った。
「ロイド、キーアの力も使って!キーアに残っている僅かな”零の至宝”の力も役に立つと思うから……!」
「ああ……!」
「ナユタ、”アレ”をするから手伝って!」
「わかった!」
「頑張って、ナユタ、クレハ様!」
「手伝って下さい、アドルさん!」
「ああ!」
「お二人ともお気をつけて……!」
「―――私も手伝いましょう。”軍神”の力の一部を宿したこの神剣も効果はあるでしょう。」
「!!リィンさん!リィンさんの太刀は古神―――”慈悲の大女神”であるアイドス様が宿った事で、”古神”の力が集束した神剣!リィンさんの神剣も間違いなく効果があります!」
「わかった!神気―――合一!!」
キーアの言葉にロイドは力強く頷いた後攻撃の構えをし、ロイド達に続くようにユリスに対する攻撃の準備をするクレハとナユタ、フィーナとアドルにノイとエレナはそれぞれ応援の言葉を送り、リアンヌが取りだした神剣を見てある事を思いついたプリネに視線を向けられたリィンは自身が持つ神剣を構えた後自身に秘められる”力”を解放し
「ケビンさん、リースさん、ワジさん!”聖痕”を持つケビンさんとワジさん、”聖痕”の加護を持つリースさんの力も貸してください!」
「わかりました……!」
「ja(ヤー)!」
「我らが主神たる”空の女神”が私達の力を望むのならば、幾らでもお貸しします……!」
「フフ、御本人がいる前で言うのもおかしな話だけど女神の御加護を……!」
エイドスの言葉にケビンとワジ、リースはそれぞれ力強く頷いた後それぞれ攻撃の構えをし、それを見たルフィナは苦笑した後祈りを捧げた。そしてそれぞれ攻撃の準備を終えたメンバーは次々とユリスに超越した力を乗せた攻撃を叩き込みはじめた!
「星よ……!星を守る勇者に創世の加護を!」
「レア……ユニカ……みんな……イースよ……魔の根源を断つ勇者に勝利の祝福を……!」
「星よ、僕に星を守る力を僕達に!」
「イースのみんな、僕達に力を!」
クレハとフィーナがそれぞれ全身から膨大な神気をさらけ出して祈りを捧げると共にナユタとアドルはそれぞれが持つ神剣を天高くへと掲げさせてそれぞれの神剣に秘められる力を解放し
「「今こそ希望の力を星を救った勇者に!」」
「「煌めけ(輝け)!星の力(イースの希望)!!」」
クレハとフィーナの祈りによって巨大化した光の剣をナユタとアドルはそれぞれ振り下ろした!
「「極光剣―――――――――――ッ!!」」
「「天翔!光翼剣――――――――――――ッ!!」」
「―――――!!??」
4人が放った神技によりユリスは声にもならない唸り声を上げた!
「「『我が深淵にて煌く蒼の刻印よ……………』」」
ユリスにボウガンを向けたケビンはリースと共に互いの身体を合わせ、背中に蒼き”聖痕”を顕して詠唱をし
「「『天に上りて煉獄を照らす光の柱と化せ………』守護騎士第五位(第五位の従騎士)、”千の護手”(リース・アルジェント)が命ずる………”聖痕砲”メギデルス――――発射!!」」
詠唱を終えるとボウガンから矢を解き放ち、解き放たれた矢は莫大なエネルギーとなり、ユリスを貫いた!
「―――――!!??」
エネルギーに貫かれた事によって球体に穴を開けられ、悲鳴を上げた。
「これで全て終わらせる!おおおおおおおおおおっ!!」
「頑張って、ロイド………!」
「我が深淵にて煌く蒼金の刻印よ……………大いなる神の腕となりて我が右手に集え!」
ロイドが莫大な闘気を溜め込み始めるとキーアはその場で全身から神秘的な光を放ちながら強く祈りを捧げてロイドに膨大な神気を纏わせ、背中に金色の”聖痕”を顕させたワジは右手に膨大な神気や聖気を纏った悪魔のような巨大な手を纏わせ
「「ゼロ!エクシード――――――――――――――ッ!!」」
「おおおおおおおおおおおおおおおっ!呑みこめっ!アカシックブレイカー!!」
「!!!???」
ロイドとワジはそれぞれ同時に強烈な一撃を叩きつけ、それをまともに受けたユリスは大きく後ろへと吹っ飛ばされた!
「”慈悲の大女神アイドス”の名の元に今こそ顕れよ!全ての罪と穢れを裁く星芒の光よ!」
「ゼムリアの大地に祝福を与える七耀達よ、大地に仇名す災厄を汝らの裁きの焔にて焼き払えっ!そして大地を護る者達に汝らの祝福をっ!!」
「――――フェミリンス!サティアさん!力を貸して!!」
「ええ!神々の力、その身に刻み込んでさしあげなさい!」
「たぁっ!!」
アイドスとエイドスはそれぞれ全身から膨大な神気をさらけ出しながら詠唱を続け、空高くへと跳躍したエステルにフェミリンスは加護を付与してエステルの背に3対の巨大な光の翼を具現化させた!
「全ての罪を!穢れを!裁き、浄化せよ!そして傷つきし者達に祝福を!―――――聖なる慈悲の光!!」
「七耀の焔、その身に刻みなさい!―――――イリスの焔!!」
そして詠唱を終えたアイドスは莫大な神気が込められた聖なる光のエネルギーを、エイドスも莫大な神気が込められた虹色の炎のエネルギーを解き放ち
「浄化と!」
「裁きの!」
「「神槍よ、今顕れよ!!」」
フェミリンスの加護と自身の中に眠る”正義の大女神アストライア”の力を付与した事によって棒を巨大な槍に変化させたエステルは神槍を力一杯投擲した!
「「神技!ニーベルン・ヴァレスティ!!」」
「―――――――!!??」
神々であるアイドスとエイドスの神技、そして二柱の神々の力を付与したエステルの神技を受ければ普通に考えれば既に消滅していてもおかしくなかったが、それらを受けてもなおユリスは弱々しい瘴気を放ちながら存在していた。
「復活が不完全であるにも関わらずあれらの神技を受けてもなお、耐えるのか……!」
「間違いなく”神”を越えた存在ですね……」
「ですがあの様子では後一撃を加えれば恐らくは……!」
未だ健在のユリスを見たパントは厳しい表情で声をあげ、ルイーズは不安そうな表情で呟き、シグルーンは真剣な表情で推測を口にし
「リィン君、シルフィアさん!」
「最後の一撃を頼む!」
エステルとロイドはリィンとリアンヌに視線を向けて声を上げた。
「はい!――――サンドロッド卿、お願いします!」
「任されましょう!」
互いに視線を交わして頷いたリィンとリアンヌがそれぞれ攻撃の体勢に入ると同時にそれぞれが所有しているARCUSで”戦術リンク”を結んだ。すると二人が所有するARCUSから強烈な光が放ち始めた!
「おおおおぉぉぉぉ……!」
「ハァァァァァァァ……!」
そして二人は神々しい光の軌跡を地面に残しながら斜め十字に斬撃を叩き込んだ後更に追撃を同時に叩き込み、一端ユリスから距離を取り
「これで……!」
「終わりですっ!」
二人は再び同時に神々しい光の軌跡を地面に残しながらユリスに詰め寄り、それぞれのSクラフト―――『無想覇斬』と『グランドクロス』を同時に叩き込んだ!
「「神技!聖覇十文字斬!!」」
それぞれの大技を同時に叩き込んだ二人が駆け抜けると光の十字架がユリスに刻み込まれると共に無数の光の刃が発生し、最後には二人が地面に残した神々しい光の軌跡から無数の光の柱が発生し、柱は合体して極太の光の柱と化し、約800アージュの高さを越えて”ジュライロッジ”の天井を貫いて最後は星をも貫く程の柱へと化した!
「―――――――――!!!???」
リィンとリアンヌが放った本来は”騎神”が協力して放つ事ができる究極の協力技――――極・相ノ太刀・聖覇十文字斬をその身に受けたユリスは断末魔を上げながら塵も残さず消滅した!
「あ…………」
「き、消えたの……?」
ユリスの消滅を見届けたエリスとアリサは呆け
「――――ええ。ユリスの気配は完全に消滅しました。皆さん、ユリス討伐のご協力、本当にありがとうございました……!」
エイドスは明るい表情で答えを口にした。
「やったぁぁぁっ!!」
「一時はどうなる事かと思ったけど……無事に解決できて本当によかったね。」
「ああ……!」
「ま、逆にあんな超反則的なメンツが敵わない相手なんていないと思うけど。」
「もう、フィーちゃんったら……」
「フフ、ですがこれで名実共にお兄様は”英雄”になりましたわね。」
「そうね……」
「それにしても最後はシュバルツァーと”鋼の聖女”の合わせ技とはな。」
「かつて”獅子戦役”を終結させた”獅子心皇帝”が駆る”灰”の”起動者”と”獅子心皇帝”と共に”獅子戦役”を終結させた”槍の聖女”でもあるアリアンロードで決着をつけるなんて、面白い偶然ね。」
「うふふ、これでリィンお兄さんが”獅子心皇帝”の生まれ変わりだったら、とっても面白い事になるでしょうね♪」
「洒落にならない事を言わないで下さいよ、レンさん……」
「もし本当にそうだったら、”面白い”で済まされなくてエレボニアにまた混乱が起きるでしょうが……」
「まあ、エステル達という例がいるから本当にありえるかもしれないもんね、キャハッ♪」
「うふふ、それに混乱でしたら既にアルフィン殿下がリィン様に嫁ぐ時点で起こりますわ♪」
「シャロン、貴女ね……」
「ううっ、いつ姫様を義姉様と呼ぶ羽目になってしまうのでしょう……?何となくですがその日がすぐ来るような気がしますし。」
「う”っ。な、何でそこで俺を見るんだよ。」
エイドスの答えを聞いたミリアムは喜びの声をあげ、エリオットの言葉にマキアスは頷き、フィーの言葉を聞いたエマは苦笑し、セレーネの言葉にエリゼは微笑みながら頷き、レーヴェとクロチルダの会話の後に小悪魔な笑みを浮かべて答えたレンの言葉を聞いたツーヤとプリネは疲れた表情で指摘し、エヴリーヌと共に笑顔になっているシャロンにアリサはジト目で見つめ、疲れた表情で呟いた後ジト目で見つめて来るエリスの視線に気付いたリィンは冷や汗をかき
「フフ、私達の任務もようやくこれで終わりですわね。」
「ああ。お蔭でクレイン達にもいい土産話ができるな。」
「はい。フフ、クラリーネは間違いなく羨ましがるでしょうね。」
「………………」
シグルーンとパント、ルイーズはそれぞれ微笑み、リアンヌは静かな笑みを浮かべてリィン達を見つめていた。
「これでようやく終わりなんだな……」
「いや……むしろエレボニアはこれでようやく”新たな始まり”だな。」
「内戦で荒れ果てたエレボニア各地の復興、メンフィル・クロスベルとの戦争回避の為の”戦争回避条約”の実行等エレボニアにはまだまだ問題が残っている。それらを乗り越えなければならないとな。」
「ま、取りあえずはひと段落したんだからいいじゃない。――――リィン。」
ガイウスの言葉を聞いたユーシスとラウラはそれぞれ静かな表情で答え、サラ教官は苦笑しながら答えた後リィンに視線を向けた。
「はい。――――”紅き翼”並びにその協力者一同、撤収準備。囚われた人達を護衛しつつ、カイエン公達の身柄を確保しながら地上に戻ろう………!」
こうして……リィン達”紅き翼”や彼らに協力する多くの”協力者”達の活躍によってエレボニアの内戦はようやく終結した……!
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