英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルート
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第83話
~ジュライロッジ・最奥~
「へ…………」
「こ、この声って……!」
「まさか……」
背後から聞こえて来た女性の声を聞いたマキアスは呆け、エリオットとセレーネは信じられない表情をしてリィン達共に背後へと振り向くとそこにはロイド達―――”特務支援課”、エステルを始めとしたエレボニアを含めた様々な国家で活躍した”ブライト家”の面々、そしてエイドスを始めとした”空の女神”の一族に加えてケビン達―――”星杯騎士団”の面々がそれぞれ武器を構えていた!
「エリィ、ティオ!まずは魔人化させられた彼の動きを止めてくれ!」
「ミントも手伝ってあげて!」
「わかったわ!ティオちゃん、お願い!」
「お任せ下さい!」
「うん!」
ロイドとエステルの指示に頷いたエリィとティオ、そしてミントはそれぞれ同時に詠唱をし
「「コールドゲヘナ!!」」
「ガアッ!?」
エリィとティオはコンビクラフトによって発生した膨大な氷のエネルギーを放って魔人化したクロウの全身を凍結させてクロウの動きを鈍くし
「時よ、”真竜”の名の元に凍結せよ――――タイムストップ!!」
「――――――」
更に詠唱を終えたミントの魔術によってクロウの動きが完全に止まった!
「クロウの動きが……!」
「ほええ~っ!?何かまるで、ビデオの停止状態になっているかのように止まっているよ~!?」
「クロウを纏っていた”風”が止まった……?」
「あ、ありえない……クロウ自身もそうだけどクロウの周囲の時空間が完全に停止しているわ!」
「あんな”奇蹟”のような秘術、できるとすれば”零の至宝”ぐらいよ!?しかもあんな短い詠唱で易々と発動させる上反動もないなんて……!」
「あれが”刻”を司る”真竜”のみが扱える秘術――――”時空魔法”……!」
動きが止まったクロウを見たリィンとミリアムは驚き、ガイウスは呆け、セリーヌとクロチルダ、エマは信じられない表情をしていた。
「今だ!ランディ、行くぞ!」
「合点承知だぁっ!」
「ヨシュア、行くわよ!」
「了解!」
「どうする、ノエル?」
「うん、一気に行こう!」
「エレナ、準備はいいかい!?」
「はい!行きましょう、アドルさん!」
「ノイ、クレハ、行くよっ!」
「うん!」
「わかったわ!」
その時ロイド達はそれぞれ一気にクロウへと突撃し
「みんなに”因果”の加護を―――――アカシックフォース!!」
キーアは詠唱をした後付与した味方の攻撃を一度だけ爆発的な威力へと上昇させる効果を持つ”因果”属性のロストアーツ―――アカシックフォースを発動してロイド達を強化した。
「「バーニング―――レイジ!!」」
「「奥義!太極無双撃!!」」
「「ブルー――――ブレイカー!!」」
「「ブレイブラッシュ!!」」
「「「スターノヴァ――――――――――――ッ!!」」」
「ガアアアアアアア――――――ッ!?」
ロイド達がそれぞれ叩き込んだ協力技を次々と受けてしまったクロウは大ダメージを受けて怯み
「我が深淵にて煌めく蒼の刻印よ…………天に昇りて昏き闇を照らす希望の光の柱と化せ…………」
「そは忌むべき俸命にして偽印の使徒!深遠の淵へ帰れ!招かれざる者よ!」
「姉様、お願いします!」
「ええ、任せて!」
背後に蒼き”聖痕”を顕したケビンや足元に巨大な魔法陣を展開したフェミリンスが詠唱を開始すると同時にリースとルフィナは互いに視線を交わして頷いた後同時に詠唱を開始した。
「「天の眷属たる女神の僕よ、昏き大地に平和をもたらさんがため、今こそ来たれ!其は光にして騎士、七耀の守護者なり、今こそ我らに七耀の勝利を!」」
リースとルフィナが詠唱を終えると何と上空に戦乙女が現れ
「「七耀の勝利の剣――――!!」」
「照らせ!空の神槍!!」
「セラフィックローサイト!!」
そして二人が叫ぶと戦乙女は持っている剣を振るって虹色の斬撃波を解き放ち、ケビンは無数の神槍を解き放った後巨大な蒼き光の柱を発生させ、フェミリンスはクロウの頭上から巨大な光の柱を降り注がせた後光の大爆発を起こした!
「オオオオォォォォォォオオオオ――――――ッ!!??」
リース達の強力な攻撃を受けた事によってクロウは苦しみだすと共に激しい赤紫色の光を放ち始めた!
「お母様!」
「ええ、わかっているわ!」
それを見たエイドスとフィーナは同時に祈りを始め
「「イースよ……魔に墜ちし哀れなる迷い子に御慈悲を……七耀(慈悲)の光よ、昏き瘴気を払い、迷い子に道を指し示せ。卑しき闇よ、退け――――!」」
二人が祈りを終えるとクロウは虹色の光に包みこまれた後人間の姿へと戻った!
「なああああああああっ!?」
「ク、クロウが……!」
「元に戻った……」
元の人間に戻ったクロウを見たヨアヒムは驚愕し、アリサは信じられない表情をし、フィーは呆けた。
「おぉぉぉぉぉぉ……!」
「しま――――」
するとその時ロイドがヨアヒムへと詰めより
「タイガー―――チャージ!!」
「グアアアアアアアア――――ッ!?」
虎の闘気を纏って突撃してヨアヒムを吹っ飛ばした!そしてエイドス達は倒れているクロウを守るかのように位置でそれぞれの武器を構え、それを見たリィン達はエイドス達に駆け寄った。
「フフ、お久しぶりですね、皆さん。ユミルで別れて以来ですね。」
「”空の女神”――――エイドス様……!」
「ええっ!?あ、あの方が女神様……!?」
自分達に駆け寄ってきたリィン達にエイドスは微笑み、明るい表情でエイドスを見つめるセレーネの言葉を聞いたエリスは驚き
「ほええええええ~~!?しかも”特務支援課”に”ブレイサーロード”達に加えて、”星杯騎士団”までいるじゃん!”い、一体何がどうなっているの~!?」
「フフ、事情はよくわからないが我らにとって最高の援軍が駆け付けてくれたようだな……」
ロイド達を見たミリアムが混乱している中、ラウラは静かな笑みを浮かべてロイド達を見つめ
「エ、エステルさん!?それにアドルさん達やナユタさん達までロイドさん達と一緒に……」
「やっほ~!久しぶりね、プリネ!」
「どうやらギリギリ間に合ったみたいだね。」
「フッ、まさかこの絶妙なタイミングで現れるとはな……―――さすがは”世界の光”と称された”ブライト家”と言った所か。」
自分達の登場に驚いているプリネにエステルとヨシュアは微笑み、レーヴェは静かな笑みを浮かべてエステル達を見つめていた。
「うふふ、しかもロイドお兄さん達まで一緒になってレン達を出し抜いて美味しい所をかっさらうなんてやるじゃない♪」
「あ、あのなあ……」
「別に狙ってもいねーし、こんな緊迫した状況でそんな事をするような余裕はないっつーの。」
(……まあ、ヨアヒムの話の途中から既にわたし達も到着していた事は否定しませんが。)
(エイドスがリィン達の所に行くタイミングを待つって言わなかったら、すぐに行っていたんだけどねー。)
(ティ、ティオちゃん!それにキーアちゃんも!)
(アハハ……ある意味”女神のみぞ知る”、だよね……)
(何せその”女神”がそうするように僕達に言ったしねぇ?)
小悪魔な笑みを浮かべているレンの言葉を聞いたロイドは脱力し、ランディは疲れた表情で指摘し、ジト目で呟いたティオと苦笑しているキーアの小声を聞いたエリィは冷や汗をかき、苦笑するノエルの小声にワジは静かな笑みを浮かべて答えた。
「フフ、久しいですね、”特務支援課”。”星見の塔”以来ですね。」
「へ………なあっ!?」
「”鋼の聖女”―――いえ、”槍の聖女”リアンヌ・サンドロッド卿……!?」
「オイオイオイ……!何でアンタが”Ⅶ組”の連中と一緒にいるんだよ!?」
リアンヌに微笑まれたロイドは呆けたがすぐにかつて自分達が戦った強敵の中でも最も苦戦した強敵――――”蛇の使徒”の第七柱”鋼の聖女”アリアンロードである事に気付くとエリィと共に驚きの表情で声をあげ、ランディは疲れた表情で声をあげ
「色々と事情がありまして、一時的に彼らに力を貸しているのですよ。」
「ええっ!?あ、貴女がですか!?」
「へえ?まさか”鋼の聖女”を味方にするなんて、向こうの方もとんでもない反則的存在な助っ人がいたようだね♪ま、僕達の助っ人達と比べればまだ見劣りするだろうけどね♪」
「というかあの存在自体が滅茶苦茶非常識かつ規格外なメンツを超えるか同等の存在の人達なんてこの世に存在しないと思うのですが。」
リアンヌの説明を聞いたノエルが驚いている中ワジは静かな笑みを浮かべ、ティオはジト目で呟いた。
「――御子殿も、遥か未来でもご壮健で何よりです。」
「えへへ……みんなのお蔭でキーアは今も元気だよ♪」
そしてリアンヌに視線を向けられたキーアは微笑んだ。
「え、えっと……どうしてエイドスさんやロイドさん達がこちらに?」
ロイド達の様子を冷や汗をかいて見守っていたリィンはエイドスに視線を向けて尋ね
「フフ、詳しい説明は今は省きますが”D∴G教団”の存在は私も許せませんでしたので、レクターという人との取引をした際に皆さんの援軍として私達が駆け付ける事に関してエレボニアは文句を言わない事を約束してもらったのですよ。」
「ハアッ!?」
「ほええええええええっ!?一体どんな取引をしたの、レクターは~!?」
「うふふ、何はともあれ”形勢逆転”ですわね♪」
「―――人質を取り返した以上、もはやそちらが望む取引をする必要はなくなった。」
「後は貴方をこの場で滅すればいいだけです。」
「キャハッ♪エヴリーヌ達に嬲り殺される覚悟はできた?」
「貴方だけは楽には死なせません……!」
エイドスの答えを聞いたサラ教官は驚き、ミリアムは信じられない表情で声を上げ、シャロンは意味ありげな笑みを浮かべてヨアヒムを見つめて仲間達と共に武器を構えて、パントとルイーズは静かな表情で答え、エヴリーヌは凶悪な笑みを浮かべ、ツーヤは怒りの表情でヨアヒムを見つめた。
「お、おのれ……!まさか忌々しき”特務支援課”に”遊撃士協会”、それに”七耀教会”の狗共まで現れるとは……!そして……貴様が七耀教会が創りだしたまやかしの存在である”空の女神”を名乗る愚か者か――――!」
「やれやれ……こんだけごっつい霊圧を放っている上、常に七耀脈からの加護を受けているのを見てもなお”空の女神”を否定するとはな……」
「もはや呆れを通り越して感心に値するわね。」
「というか現実逃避をしているだけだと思う。」
エイドスを睨みつけるヨアヒムの言葉を聞いたケビンとルフィナ、リースはそれぞれ呆れた表情をしていた。
「うふふ、ヨアヒム・ギュンター。そんなに”空の女神”を否定したいのだったら、是非”真のグノーシス”によって”大いなるD”とやらの力を得ている貴方がそこの”空の女神”を名乗っている女性の”記憶”を読み取ってよ♪そうすればわかるでしょう♪」
「レ、レンちゃ~ん……」
「ここで更に追撃とか、容赦なさすぎだろ。」
「まあ、あんな外道に容赦をする必要はありませんが。」
意味ありげな笑みを浮かべてヨアヒムに問いかけるレンの言葉を聞いてすぐに何が起こるか察していたミントは冷や汗をかき、苦笑しているランディの言葉を聞いたフェミリンスは静かな表情で答えた。
「!!??ば、馬鹿な………その女が本物の空の女神――――エイドス・クリスティン・ブライトであり、空の女神の両親や先祖までいるだと!?」
「ええっ!?”空の女神”の両親に先祖!?」
「し、しかも”ブライト”って……!」
「そ、そう言えば……以前エステルさんはエイドスさんの事を遠い親戚だと仰っていましたけど……」
驚愕の表情でエイドス達を見つめるヨアヒムの言葉を聞いたアリサは驚き、マキアスとエマは信じられない表情でエステル達を見つめた。
エステル様のご説明によると何でもエイドス様はエステル様達―――”ブライト家”の遠い親類に当たるとの事です。
「まさか……本当にエイドスさんはエステルさん―――”ブライト家”の縁者なんですか!?」
クラウスのある言葉を思い出したリィンは信じられない表情でエイドスに問いかけ
「ええ。―――”光”。この名は当時混迷に満ちたゼムリア大陸を救った事で人々から”空の女神”の称号と共に送られた大切な”家名”であり、エステルさんやエステルさんのお父上は私の血を受け継ぐ”子孫”になります。ちなみにそちらにいる赤毛の男性は私のお父様――――この時代にまで伝わっている”赤髪の冒険家の冒険日誌”の主人公―――アドル・クリスティンでもあり、白翼の女性は私のお母様―――フィーナ・クリスティンです。ちなみに騎士装束を纏った金髪の女性はお父様のもう一人の妻であるエレナお母様で、水色の髪の少年と白髪の少女は私とフィーナお母様にとって先祖にあたるナユタお祖父様とクレハお祖母様です。」
エイドスは順番にアドル達に視線を向けた後微リィン達に微笑みながら答えた。するとその時
「ええええええええええええ―――――っ!?」
リィン達はそれぞれ驚愕の表情で声を上げた!
「エステルさん達が”空の女神”の一族……」
「し、しかもあの”赤髪の冒険家の冒険日誌”が実話で”空の女神”の父親だなんて……!」
「という事はあのおとぎ話は実話だったの!?」
「……まさかエステル殿やカシウス卿が”空の女神”の血を引いているとは……」
「ア、アハハ……”ブライト家”は”化物”どころか”神様”の一家なんだから、誰も勝てる訳ないよ~。」
「「…………………」」
我に返ったガイウスは呆け、エリオットとアリサ、ラウラは信じられない表情をし、ミリアムは表情を引き攣らせ、リィンとサラ教官は口をパクパクさせ
「そ、それに”空の女神”のご両親どころか先祖までいらっしゃっているって、一体どうなっているのですか……!?」
「どう考えても”先祖”扱いされているその二人は年寄りには見えないけど、もしかして異種族?」
セレーネは驚きの表情でナユタ達を見つめ、フィーは目を丸くした。
「うっ!?エ、エイドスさん……!」
「はうっ!?私達の事を年寄り扱いしないでって、何度言えばわかるのよ!?」
「というかこんな時にもふざけるなんて、何を考えているの~!?」
「もう、この娘は……ううっ、未来の私とレアは育て方を一体どこで、いつ間違える事になるのかしら……」
「う、う~ん……どう考えてもフィーナとレアのせいにはならないと思うんだけどな……」
「そうですよね……親と子の性格が似ていない親子もいるという話はわりとよく聞きますけど、さすがにエイドスさんのような”規格外”な性格にはそう簡単にならないと思いますし……」
一方ナユタと共にショックを受けたクレハはノイと共にエイドスを睨み、フィーナは疲れた表情で頭を抱え込み、困った表情をしているアドルの言葉にエレナは苦笑しながら頷いた。
「ね、姉様はあまり驚いていらっしゃらないようですが、もしかしてエステルさんや女神様とのご関係もご存知だったのですか……?」
「ええ。ちなみにその事がメンフィルの秘匿情報の中で一番驚いた事よ。」
「というか驚かない方がおかしいだろう……」
「お前達”ブライト家”はどこまで非常識かつ規格外になれば気が済むのだ!?」
エリスの疑問に苦笑しながら答えたエリゼの言葉を聞いたマキアスは疲れた表情をし、ユーシスは顔に青筋を立ててエステル達を睨んで声を上げた。
「くふっ♪みんな、面白いくらい驚いているよね♪」
「というか驚かなかったら、逆にその事にあたし達が驚きますよ……」
「そうよね……特に今まで”空の女神”を崇めて来たゼムリア大陸出身の人々にとっては驚愕の事実だものね。」
「フッ、だが自身が”空の女神”の子孫である事に何とも思っていないエステル・ブライトの”器”を知れば更に驚くだろうな。」
口元に笑みを浮かべているエヴリーヌにツーヤは疲れた表情で指摘し、プリネは苦笑し、レーヴェは静かな笑みを浮かべてリィン達を見つめ
「うふふ、あちらの方々にとってはエステル様達は重要人物なのでしょうね♪」
「そりゃ彼女達は自分達が崇めていた”空の女神”の血を引いている一族なのだから、重要でないはずがないでしょう。」
からかいの表情でケビン達を見つめるシャロンの言葉を聞いたクロチルダは苦笑しながら答えた。
「エ、エイドスさん……さすがにこの状況でもいつものペースを持ち出すなんて、普通に考えてありえなさすぎやろ……」
「お願いしますから、こんな時くらいはマリアベル・クロイスと対峙した時のような”空の女神”としての威厳を見せてくださいよ……」
「ハア……”空の女神”の”本性”を知ったらアイン以外の教会の人々はみんな驚くか、卒倒する事になるのでしょうね……」
一方ケビンとリース、ルフィナはそれぞれ疲れた表情で頭を抱え込んでいた。
「え、え~と……この状況、どう収集すればいいんでしょう?」
「誰も収集できないと思うよ~。」
「ハ、ハハ……」
「いや~、まさかエステルちゃんの先祖判明イベントまで俺達の時と全く一緒になるとはな~。」
「あれからまだ1年も経っていないのに、なんだか懐かしく感じるわよね……」
「というか本来なら決戦の空気なのにそれを戦う前に粉々にぶち壊すとか、さすがはエステルさんの先祖ですね。」
「ちょっと、ティオちゃん!?貴女までそー言う事を言うの!?」
「ま、まあまあ。落ち着いてよ、ママ。」
「というか貴女もエイドス同様雰囲気を壊しているのですから、人の事は言えませんわよ……」
「ああもう!”空の女神”といい、”ブレイサーロード”といい、アンタ達”ブライト家”は状況を考えてから発言する事ができないの!?」
「いや、さすがに僕達までエイドスさんやエステルと一緒にされると困るんだけど……」
リィン達の反応とヨアヒムを見比べて困った表情をしているノエルの言葉と無邪気な笑顔を浮かべて呟いたキーアの意見を聞いたロイドは冷や汗をかいて苦笑し、ランディとエリィは懐かしそうな表情をし、ジト目で呟いたティオを睨むエステルをミントがなだめている中、フェミリンスは頭を抱えて呆れた表情で指摘し、呆れた表情で声を上げたセリーヌの言葉を聞いたヨシュアは疲れた表情で指摘した。
「フフ、殿下達からエステル殿達の話も聞いた事がありますが、話に聞いていた以上に賑やかな方々ですね、”ブライト家”の方々は。」
「そうですね。まさに”光”という家名通り、どんな状況も明るい状況にしますね。」
「ああ。そして彼女達の”光”は光、闇の種族関係なく与えられるもの。リウイ陛下達が彼女達を”友”と認め、かの”姫神”が彼女達と共に歩む事を決めた理由もわかる気がするよ。」
「ふふっ、世界は広い証拠ですね……一人の少女の”光”によって”神”どころか”神殺し”すらをも救ったのですから。」
シグルーンやルイーズ、パントとリアンヌはそれぞれ微笑ましそうにエステル達を見守っていた。
「クスクス、ねえ、どんな気分?必死に否定していた空の女神が目の前に存在していて、しかも死んでもなお執念でこの世に留まって苦労して完成させた”真のグノーシス”で空の女神が実在している事を証明してしまった事に♪」
「き、貴様――――――――ッ!認めるか………空の女神が存在するなんて僕は絶対に認めるものか――――ッ!」
そして小悪魔な笑みを浮かべているレンに問いかけられたヨアヒムは怒りの表情で声を上げてエイドスを睨んだが
「―――戯言はそこまでにしなさい。」
「…………ッ!?」
全身に膨大な霊圧や神気を纏ったエイドスに睨まれるとエイドスの迫力に圧されてしまい、息を呑んで黙り込んだ。
「貴方達”D∴G教団”の誕生に私が信頼して”幻の至宝”を託した”クロイス家”が関わっていた事や貴方達が今まで犯して来た数々の許されざる罪も全て聞きました。”人”は必ず間違いを犯し、それを糧として成長します。人が犯す”間違い”の中には多くの罪なき人々が傷つき、犠牲となる戦争等もありますが……それもまた人々の成長に必要な”糧”。ですが貴方達”D∴G教団”が犯した数々の”間違い”は決して許されるものではなく、成長に必要な”糧”ではありません!―――”D∴G教団”司祭、ヨアヒム・ギュンター。魂を冒涜した罪は重い。”人の領分”を越えた外道に訪れるのは”死”ではなく、”滅”!其はイースと七耀の下に滅する!」
そしてエイドスは”空の神槍ウル”を異空間から出した後、槍をヨアヒムに向けて怒りの表情で叫ぶと同時に全身から莫大な神気や魔力を解放した!
「エ、エイドスさん……?」
「さ、さっきとはまるで別人だぞ!?」
「あれがエイドスの”神としての顔”という事でしょうね……!」
エイドスの変貌にリィンは戸惑い、マキアスは信じられない表情をし、セリーヌは真剣な表情でエイドスを見つめた。
「認めない………認めない…………が存在するなんて……僕達………なんて絶対に認めない……」
するとその時ヨアヒムは顔を俯けてブツブツと呟き出し
「…………?」
「何をブツブツ言っているのよ!?こっちは準備ができているんだから、さっさとかかって来なさい!」
ヨアヒムの様子を見たリィンは眉を顰め、サラ教官はヨアヒムを睨んだ。
「!みんな、構えろ!間違いなくヨアヒムは―――」」
一方ヨアヒムの行動に見覚えがあるロイドがリィン達に警告しようとしたその時
「ヒハハ……!”空の女神”が本当に存在していたとしても、ここで”空の女神”を消せばいいだけじゃないか!」
ヨアヒムは凶悪な笑みを浮かべた後懐から錠剤が入った瓶を取り出し、リィン達に見せた!
「!!」
「なっ!?」
「あ、あれってまさか……!」
「恐らく”新型のグノーシス”ですわ……!」
瓶に入っている赤紫色の錠剤を見たエリゼは目を見開き、リィンとアリサは驚き、シャロンは真剣な表情で声を上げた。
「クク、その通り!」
シャロンの言葉に答えたヨアヒムはなんと瓶に入っている錠剤を全て呑んだ!
「チッ……!」
「なんてことを……!」
「先輩達を化物にした薬をあんなにたくさん呑んだら、一体どうなるんだ!?」
「ま、どんな化物になっても、これだけたくさん味方がいれば大丈夫じゃないかな~。」
それを見たサラ教官は舌打ちをし、エマは信じられない表情をし、マキアスは不安そうな表情をし、ミリアムは意味ありげな笑みを浮かべてヨアヒムを見つめていた。するとヨアヒムは身体を震わせ
「視える……視えるぞ………!キーア様しか識らない真なる”D”…………失われた真の力の源が……!ヒャハハハハハッ!!」
ヨアヒムは口元に笑みを浮かべて呟いた後、膨大な瘴気を纏って凶悪な笑みを浮かべて笑った!するとヨアヒムの身体は変貌し、巨大化した紅の超越した存在へと変わり果てた!
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