衛宮士郎の新たなる道
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第27話 問題だらけの英霊召喚
前書き
第一章の最終話です。やっとか。
私の更新速度の遅さが原因なんですけどね。
現時刻は昼頃。
と言っても日本では無く、此処は大国アメリカ合衆国の某州某所の会議室だ。
「言うまでも無く、我が国は世界を牽引するリーダー国と言っても過言では無い」
「そんな我らが、同盟国の高々一つのTERAに居る数名に怯えるなどあってはならん事だ!」
「この様では民衆には示しも付けられん上に、近年では他国に舐められてきている始末・・・」
「今こそ我らの矜持を取り戻すべきだ・・・!」
と、強硬派達が強気な姿勢を見せるが、弱気な意見――――と言うよりも現実的な発言者である慎重派もちゃんといる。
「しかしあのTERAのKAWAKAMIもMOMOYOも人の身で戦略兵器に届き得る火力を持ち、柔軟に動ける小回りさがあるのだぞ?」
「元最強は未だ健在で、その孫も災害認定されている。こんな問題だらけの現状で、覇を唱えるなど無謀の極みだ」
「強気な発言も結構だが、リスクとリターンが如何見ても釣り合わない。もっと考えて欲しいものだ。彼らと矛を交えた後、責任を取るのはそちらだけでは済まされんのだからな」
それに対して声を荒げながら反論する。
そんな怒号飛び交う無駄会議の場で、先程から発言していない者達――――この極秘の会議を開いた主催者たちが口を開く。
「どちらの意見も尤もな主張ですね。そこで我々がその問題を片付ける策と用意を提案しに来たのですよ」
「何だ、その策とは?」
「もしかしてその用意とは、後ろに控えている者達と何か関係があるのかね?」
「その通りです。まず彼らは私の抱えている魔術師達で、川神一族に対する策として英霊召喚する事を提案します」
「何だと!?」
主催者の言葉に、強硬派と慎重派の双方がどよめく。
此処に居る者達は皆、多かれ少なかれ世界の裏社会に潜む住人達――――魔術師や神秘の事を知っている者達だ。
その者達が驚く英霊の召喚の為の術式は、半世紀以上前に魔術協会が解体されたと同時に失われたものだからだ。
今までも川神院対策の会議の場で、何度か英霊を召喚と共に兵器として使うのは如何かなどの意見も出たが、術式や依代などの問題で棄却されてきたのだ。
それら過去の事を理解した上での主催者の発言は、到底驚かずにはいられなかった。
「英霊召喚の術式は失われたはずだ!」
「まさか手に入れたと言うのですか!?」
「様々な制約や限定的条件下ではありますが、可能です」
この言葉にまたも一同がどよめく。
「して、その条件とは?」
「まず我が国が、『アメリカ合衆国』と正式決定した年以降の英霊しか呼び出せません」
「近代だと!?」
「英霊は神秘の塊だ。神秘はどれだけの年月を重ねたかによって、さまざまな効果に影響を及ぼすモノだ」
「いくら英霊を呼び出せたとしても、近代では話にならぬ」
「そうですな・・・・・・せめて信仰心が世界レベルに在る程の、知名度を誇る英霊でなければなりませんな」
この言葉に誰もが難しい顔をする。
そんな彼らに主催者が、触媒用のとある偉人の伝記書を取り出した。
「私はこの英霊の召喚を推したいのですが・・・如何でしょうか?」
『おお、あの人物が居たか・・・!』
ほぼ同時に声をそろえる様に納得する者達が出た。しかし・・・。
「知名度に文句はありませんが、戦闘など出来るのか怪しいモノですぞ?」
「――――確かに。殴り合い程度なら出来るだろうが、従軍経験も無いのだ。話にならんぞ?」
「寧ろいざとなれば、我々を盾にする可能性もあるのでは?」
どの英霊を召喚するか知らないが、散々な言われようである。
しかしそれでも主催者の表情は崩れない。
「その当たりも如何かご心配なく、他に複数の英霊達で霊器を補強して概念を強化する算段です」
「なるほどな、これならイケそうじゃないか!」
主催者の策に、頷く強硬派の面々。
しかし慎重派の面々はそうでは無い。
「待て。英霊の召喚は禁じられてはいないだろうが、それで川神院にぶつける或いは画策しようものなら九鬼財閥やマスターピースが黙っていない筈だ」
「そうだ。策はいいとしても・・・・・・そう言えば用意とは何の事だ?」
そこで、最初の話に出てきた重要なキーワードに反応を示す慎重派の1人。
これにも主催者は待ってましたと言わんばかりに、魔術師達とは別に控えさせていた者達を登場させる様に前へ出す。
「彼らはあの『コズモルイン』のメンバーです」
『なっ!?』
コズモルイン。
構成人数、規模、本拠地の全てが謎の最上位の殺し屋組織。
この組織に目を付けられた者は死が確定されたとも言われるほどだ。
そのコズモルインメンバーは全員仮面をしている者ばかりで、彼らについて驚いている所に間髪入れずにもう1人紹介する。
「そして彼が世界最強の傭兵である――――」
「軍神、ラミー・ルイルエンドか!?」
『・・・・・・・・・・・・』
黒と紫を基調としたゴツい鎧を着こんだ軍神と呼ばれた傭兵に注目が集まると、この会議にて、何度目かのどよめきが広がる。
軍神、ラミー・ルイルエンド。
数年前に彗星の如くに突如として現れてから、たった1人で圧倒的不利と言われた側に雇われて、その紛争にて雇い主側に圧倒的勝利を齎した性別年齢全てが鎧と仮面に覆い隠された最強無敵の傭兵だ。
雇い主の意向では他の傭兵とも足並みを揃えなければならない事があるかもしれないが、基本誰とも組まない一匹狼。
その戦闘力は何でもあり常識外れの川神一族に匹敵、或いは超えているのではないかと噂されるほどだが、国籍自体も不明なのであくまでも有名なのは裏社会の間のみ。
それ故、国籍や所属もハッキリしている者達の中で世界最強に今名前が挙がっているのが、九鬼財閥の従者部隊序列永久欠番、殺戮執事ことヒューム・ヘルシングとなっている。
だが恐らく、裏社会の住人達や世界最強の称号に何ら興味を示さない者達も合わせれば全盛期ならば兎も角、長期戦が苦手になったほどに衰えた殺戮執事ですら引きずり落とされる可能性もあるだろう。
閑話休題。
その魔人が如何して此処に居るのかと――――どうやって雇ったのかと驚いていた。
慎重派は兎も角、強硬派は軍神と言われたこの傭兵を何度も自らの手元に置こうと交渉を図ってきたが、一度たりとも実現する事は無かったのだ。
「コズモルインにしろ、一体どのような手でその魔人を雇い入れたのだ!?」
「すみませんが契約反故になってしまいますので、それは言えないのです」
主催者がラミー・ルイルエンドをチラ見しても、当人は我関せずと言わんばかりに微動だにしない。
その様子に、強硬派むぅと唸りながら追及を止めた。
「ともあれ、理解していただけたでしょうか?九鬼財閥やマスターピースの動いた場合の防御策として、彼らに働いてもらいます。慎重派の皆さんもご納得していただけましたでしょうか?」
「それなら、まぁ・・・」
「悪くはありませんね」
主催者の成果に、慎重派の者達は渋々ながら理解を示した。
強硬派には問うまでも無い。
これで両派閥の了承を得た事に成るので、他にも軽い説明をした後に英霊召喚を早速始めた。
魔術師達が魔法陣に向けて詠唱していく。
その光景に多くの者が息をのむ。又は多少の興奮を感じていた。
しかし、コズモルインの者達はまるで他人事のような目で見つめ、ラミー・ルイルエンドに至っては1人静かに誰にも聞かれない声量で侮蔑の言葉を呟いた。
『・・・・・・茶番だ』
それはこの召喚だけでは無い。
自分がこの場にいる事も含めての言葉だった。
ラミー曰くの茶番がもうすぐ終わろうとしている。
魔術師達が最後の詠唱を呟いた。
直後――――。
魔法陣からは召喚成功の発光では無く、一瞬にして会議室を隙間なく埋める程の何かの煙が発生した。
「なんっ・・・・・・」
「こっ・・・・・・」
「けむっ・・・・」
その煙を吸い込んだ瞬間、会議室いた者達が悉く倒れて行った。
しかし全員気絶している会議室には、コズモルインメンバーとラミー・ルイルエンドの姿がいつの間にか消えていた。
後に彼ら全員何故この会議室に集まっているのか、覚えている者は誰1人としていなかった。
主催者とお抱えの魔術師達も含めてだった。
勿論英霊召喚の術式の情報までも綺麗サッパリにだ。
-Interlude-
ほぼ同時刻。
深夜二時頃、士郎にスカサハ、和成と利信、それに雷画と嵐臥の計6人は衛宮邸の地下に居た。
「師匠。此処、旅行前よりだいぶ広くなった感じがするんですが・・・」
「うむ。お前たちがいなかったのもあって、暇を持て余していたので少し拡張させようとしたらつい興が乗って、予定よりもかなり広くなってしまったな」
「師匠・・・」
「やりすぎじゃろ・・・」
スカサハの茶目っ気に、士郎と雷画が呆れるように溜息を吐いた。
そこに和成がある事に気付く。
壁側にある人形が数体立てかけられていた。
「スカサハ殿。あの人間に酷似した等身大の人形は何ですか?」
「あー。アレは士郎の記憶を勝手に覗いてみた時に、稀代の人形師が作っていたモノをまねたものだな。英霊を召喚した場合、現界維持まで魔力を持っていかれるだろうから、あの人形に納めればいい。そうすれば宝具解放時以外で魔力の消費を抑えられるだろう?――――オリジナルでは無いとはいえ、中々の出来栄えと自画自賛したいな!」
「師匠・・・・・・」
「せめて、士郎坊の許可取ってからしてくださいな。スカサハ殿・・・」
全く罪悪感なく淡々と説明するスカサハに、先ほど以上に溜息をつく士郎。
そして嵐臥も呆れていた。
「そんな事より召喚の準備は完了しているのだ。とっととやらんか」
「そんな事って・・・・・・もういいです。――――ですけど師匠。英霊に近づけない制約は大丈夫なんですか?」
「その事なら一応のある程度の解呪に成功している。少なくともこの衛宮邸内と藤村邸内では大丈夫だ。近づこうが近づかれようが強制的に離れる事は無い」
「では、外ではまだ?」
「私の方から近づくのはまだのぉ。全く、面倒な制約じゃ」
誰に当たる訳でもなく、スカサハは1人毒づいた。
その事には誰も突っ込まない。
此処で突っ込んだ質問をすれば、火の粉どころか大火を受けるのを理解していたからだ。
そこで利信はスカサハに声を掛けたくないのと時刻も迫っているので、士郎にある聖遺物を渡した。
「これはどんな縁があるんですか?」
「知らん」
「は?」
「俺は趣味で、勘当された家にちょくちょく嫌がらせしに不法侵入するんだけどよ。今回も侵入するだけなら楽だったんだが、罠を仕掛けられていたようで聖遺物らしき物を盗み出すのを苦労したぜ!それでな――――」
利信の常識から逸脱した話に誰も彼もが頭を押さえた。
スカサハ以外は。
「ふむふむ。それで?」
「ええ、これがもう、楽しくって!桂の館は今頃半壊状態ですよ!!それから――――」
スカサハは不機嫌な顔一転させて、すこぶる楽しそうに利信の非常識な話に聞き入っていた。
そんな頭痛薬を煽りたくなる様な光景から目を逸らし、雷画は士郎に問う。
「如何する、士郎?今回はやめておくか?」
「どんないわくつきか判りませんからね。確実性を期すためにも今回は見送ると言うのも選択肢かと・・・」
雷画と和成の2人に問われた士郎だが、数秒黙ってから答えを出す。
「・・・・・・・・・いや、やるよ」
「正気ですか、若!厳選したわけでもない様なモノですよ?」
「正直、そんな悠長な事を言ってられない事態だと思う。あのバーサーカーが俺で対処できなかったらと思うとゾッとするし、他にも怪しい奴らが俺の周りにうろついて来ている。今見送ったら守りたいモノも守れなくなる気がするんだ」
「若・・・」
「士郎坊・・・」
士郎の覚悟じみた判断に、感嘆の吐息を漏らす。
であるならばと、雷画としては士郎の意思をくみ取らないと言う選択肢はない。
「では始めるとしようかのう」
「ああ。――――素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。祖には我が大師シュバインオーグ。降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」
士郎が英霊召喚の詠唱を紡いでいく。
その時、士郎達が知覚出来ない英霊の座から詠唱と聖遺物に引かれていく高潔な霊器があった。
その霊器はなんと、周囲をただ漂っていた別の霊器と衝突、高潔な概念霊器は意識が賦活する前にある欠損してしまった。
だがその欠損を抱えたまま、召喚の地である衛宮邸の地下空間にいってしまう。
そして――――。
「――――抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!」
魔法陣からこの地下空間全体を包み込む逆巻の風と稲光が放たれた。
『・・・・・・っ』
全員目は見開いたままだが、召喚者以外の者には風圧により僅かに体をぐらつかせる。
それに耐えきると、魔法陣の中心から微かな声を聞き取った。
「・・・?・・・どう・・・・・・考・・・・・・か・・・」
何を呟いているかまでは聞き取れないが、召喚自体は成功した様だ。
視界を覆っていた煙が晴れて行き、英霊の姿が現れていく。
鉤爪の様な金色の手に、白いマントを腰からはためかせ、腰に刀剣を携えている。
何より目を引くのは、ただ赤いのではなく神聖さを感じさせる橙色の焔を彷彿させる長髪だ。
それを後ろで止めて、軽く髪をまとめている様だ。
お互いに顔をちゃんと認識できる位に視界が晴れてから、少年姿の英霊が問いかけて来る。
「――――問おう。汝が、余のマスターか?」
一見女性を思わせる声音であり、この地下空間を余すことなく響かせていくような程よく通る声だ。
そして否応でも判るのは、人の上に立つことが約束されているかのような存在感も感じさせられたものだった。
その少年の存在感に少し圧倒されるも、士郎は応え返す。
「・・・ああ。俺が君のマスターだ」
(余・・・と言う事は王族か・・・・・・・・・ん?)
何故だか少年は難しい顔をしていた。
「如何したんだ?もしかして俺がマスターだと不服だったか?」
士郎の疑問に、当人を気に入っているスカサハ以外の4人はムッとする。
だが少年姿の英霊は、難しい顔のまま否定する。
「いや、そうでは無い。このまま契約を完了させていいモノかと迷っていてな・・・」
「何か不備でもあるのか?」
「うむ。それがな・・・・・・余と言う言葉を自然に出したからには、余は人の上に立ちし者だと言う事位は予想出来るのだが如何ともな・・・」
「?」
『??』
何とも歯切れの悪い事を言う少年英霊。
士郎は業を煮やしたわけではないが、言ってみてくれと促す。
「むぅ・・・・・・実はな。――――余は、余自身の真名を全く思い出せんのだ」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?』
少年英霊のまさかの言葉に、スカサハすらも含めて信じられないような顔をする。
そんな一同の顔を見渡して溜息をつく。
「信じられない、信じたくないのは余も同じだ。しかし事実なのだから仕方がない。それに大変すまないが、もう一つ言わなけれなならない事がある」
「もう一つ?」
「これこそ真に信じがたい事だろうが、自分の真名が思い出せないから必然的に宝具も使えんのだ」
『なっにぃいいいいい!!?』
『・・・・・・』
藤村組の4人が驚愕する中、スカサハと士郎は自分の真名を思い出せないと言う少年英霊の言葉を聞いた時に予測できていたので、驚いてはいなかった。
その面々に申し訳なさそうにする少年英霊は、ハッとある事に気付く。
「そう言えば、マスター・・・・・・いや、契約完了していないからマスターと呼んでいいのか怪しいな。――――兎も角、お主は余の縁がある聖遺物を用意しているのだから、当然余の真名を知っているのだろう!!」
単純ではあるが名案を思いついたと言わんばかりの勢いだ・・・・・・が。
「すまない」
「ん?」
「何の聖遺物か判らないまま召喚に臨んだから、君の真名について全く身に覚えがないんだ」
「なんと・・・」
真名を思い出せ少年の英霊と、召喚される英霊が分からないまま分の悪い賭けに走った異世界の魔術使い。
お互いの間に気まずい空気が流れる。
その後ろでは、藤村組の3人が騒いでいた。
「如何いう事だ利信、説明しろ!!」
「これ、俺のせいすかッ!!?」
「当たり前だろ、何とかしろ」
「無茶言うなっ!」
「・・・・・・・・・アレは何じゃ?」
騒いでいる3人をよそに、雷画が注視するのは全員が集まり終える前に利信がシャレで書いた魔法陣だった。
その上に、何故かスカサハ作の人形も置いてある始末。
さらに、書く時に近くに無造作に置いたであろう利信が尊敬する、とある偉人の伝記書が魔法陣の光に反応していた。
そして何故か魔法陣の中心から士郎にパスが繋がりかけていた。
「な、何だ、マスター!余だけで飽き足らず、もう一体召喚すると言うのか!?」
「いや、そんな訳」
「覚悟を決めろ、士郎。もう手遅れだ」
『へ?』
少年英霊と士郎が間抜けな声を漏らしたのと同時に、先程の様に逆巻の風と稲光が地下空間を包み込んだ。
それらの圧力に耐えた一同。
そこに、何故か召喚されたであろう未だ煙で見えない英霊の声が聞こえて来る。
「むぅ!?これが私だと?・・・・・・いや、だが、私は私と認識できるのだ!!知性と人格に問題が無いのであれば些細な事だ!うむ!ノープログレムだ!!!」
『・・・・・・・・・』
あまりの大声に戸惑う一同。
この中心から聞こえてくる声は一体何なんだと疑問しか浮かばずにいる。
そして戸惑うのも無理はない。
この大声はたった今召喚された英霊の独り言である。
それに気づける筈も無い一同は、疑問が頭の中で浮かび続けるだけだった。
そんな中、遂に煙が晴れていく。
「なっ」
その英霊は、はち切れんばかりの肉体を有していた。
「な、なっ」
その英霊は、両肩には一昔前の電球が付いていた。
「な、ななっ」
その英霊の胸には、どこぞのロボットアニメの様な砲門が付けられていた。
「な、ななな、なっ」
その英霊は、某有名なアメリカンヒーローの様なコスチュームに身を包んでいた。
しかし、これらの全てが霞むようなインパクトがあった。それが――――。
「髪の色は兎も角、肌の色は実に日本人らしいな。いや、失敬。契約を完了させるのがまだだったね。―――――問おう。少年が、私のマスターかね?」
『・・・・・・・・・(パクパクパクパク)』
「何じゃとーーーーーー!?」
「何だとーーーーーーー!?」
「何だそりゃーーーー!?」
「何と・・・・・・!?」
顔が、よく言えばホワイトタイガー。悪く言えばマーライオンのそれだった。
そしてスカサハのみが興味深そうに。
「変わり種のキメラかのぉ?」
と、呟いたのだ。
後書き
ラミーの鎧姿は、ロックマンエグゼシリーズに出て来たダークマンを想像して頂ければよいかと。
英霊をモーさんから変えると言いましたが、一体だけとは言っていません。
ページ上へ戻る