オズのボタン=ブライト
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第三幕その六
「まさかね」
「ふむ、それならな」
王様は皆の言葉を聞いて言いました。
「掴みは成功じゃな」
「そうなるのね」
ガラスの猫が王様に応えました。
「驚いてくれたなら」
「それならな」
「じゃあこのままね」
「一気にいこうぞ」
「あの、何か」
カルロスはにこにことお話しているオズマや王様達を見てきょとんとしたお顔になって言いました。
「僕達皆さんのペースに入ってません?」
「その通りじゃよ」
明るく返す王様でした。
「実際に皆をわし等の中に入れてな」
「そして、ですか」
「そのうえでじゃ」
さらに言う王様でした。
「皆に楽しんでもらいたいのじゃ」
「そうですか」
「遊んでな」
「遊びですね」
「皆で遊んでじゃ」
そのうえでというのだ。
「楽しもうぞ」
「王様の大好きな遊びで、ですね」
「遊びは本当に最高じゃ」
こうも言った王様でした。
「ではこれからな」
「はい、宮殿の中で」
「遊ぶとしよう」
こう言ってでした、そのうえで。
実際にボタンも入れて六人は宮殿の中に入りました。するとです。
皆は王様のお部屋に案内されてでした、そこで賑やかに遊びはじめました。その賑やかな遊びの中においてでした。
カルロスはつぎはぎ娘と一緒に踊りつつです、こうしたことを言いました。
「思ったよりも」
「どうかしたの?」
「いや、簡単にオズマ姫や皆と会えて」
「意外っていうのね」
「そうなんだ、ましてやね」
「こうしてね」
ジョージも踊っています、他の子達もそうしています。
「皆とすぐに遊べるなんて」
「確かに王様達のペースだけれど」
神宝も言います。
「今回はすぐこうなってるね」
「エメラルドの都まで行くのかしらって思っていたら」
「それがね」
ナターシャと恵梨香はオズマ姫と一緒に踊っています。
「リンキティンク王の宮殿でなんて」
「思わなかったわ」
「そうね、けれどね」
ここでこう皆に言ったオズマでした。
「それもオズの国なのよ」
「何が起こるかわらない」
「何時何かがですね」
「それがオズの国ですよね」
「外の世界以上に」
「偶然はこの世界を支配するとても重要な存在の一つだけれど」
偶然というこれ以上はないまでに世の中と関わりの深いそれでいて非常に気まぐれな存在のことにも言うのでした。
「オズの国ではね」
「特に、ですね」
「外の世界以上にですね」
「偶然が働く」
「だからです」
「何時何が起こるかわからないんですね」
「そう、オズの国は偶然が特に働く世界なのよ」
こう五人にお話するのでした。
「もっとも今回は私が鏡を観てね」
「それで、ですね」
「ここまで来てくれて」
「それでそのうえで」
「私達を待ってくれていて」
「一緒に楽しんでくれてるんですね」
「そういうことよ」
まさにというのです。
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