Three Roses
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二話 幼きよき日々その十三
「お使い下さい」
「それでは」
「彼等もです」
「私の後ろ盾になるのですね」
「そうです」
まさにというのだ。
「マイラ様は彼等も得てです」
「三つの後ろ盾ですか」
「これで万全です」
「今度も」
「マイラ様を王位にという者はいませんが」
「王位ですか」
「王になられたいですか」
マイラにだ、司教はこのことも問うた。
「そう思われていますか」
「正直にお答えして宜しいでしょうか」
マイラは一旦こう前置きをした。
「そうさせて頂いて」
「はい」
司教はその彼女に厳かな顔と声で答えた。
「私は神と主、そしてマイラ様の為に生きていますので」
「では」
「お答え下さいますか」
「わかりました」
マイラは司教の言葉に頷いた、そしてだった。
その彼にだ、こう答えたのだった。
「そう考えています」
「そうですか」
「今国には新教徒が増えていますが」
「異端だけでなくですね」
「これは間違っています」
強い目での言葉だった。
「ですから」
「それを正す為にも」
「はい、私は王となり」
そしてというのだ。
「この国を正したいです」
「だからこそですね」
「私は王にないたいです」
「そうですね、それではです」
「はい、その私にですね」
「この度のご婚姻は大きな意味を持ちます」
「後ろ盾を得たという」
「それは必ず役に立ちます」
こう約束するのだった、自身の主に。
「ご期待下さい」
「ロートリンゲン家、法皇庁」
「そして異端審問官達も」
「全てがですね」
「マイラ様に加われば」
それでというのだ。
「恐れるものはありません」
「では」
「必ず機会は来ます」
司教はマイラに囁く様にして言った。
「そしてその時は」
「はい、私がですね」
「この国を正しい方向に戻されるのです」
「わかりました」
確かな声でだ、マイラは司教のその言葉に頷いた。そのうえで今は書を読み旧教の教えを心に刻み込むのだった。
第二話 完
2016・3・20
ページ上へ戻る