Three Roses
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第二話 幼きよき日々その十二
「帝国や王国の様になる」
「審問官達が力を持ち」
「民を害する」
「我が国のあの様にですね」
「なってしまいますね」
「そうだ、それはさせてはならない」
王の考えは断固としたものだった。
「この国を汚させはしない」
「ああした国々の様に」
「そうはさせない」
「では、ですね」
「あの者達への対策もですね」
「していくとしよう」
王はこの考えも言った、そしてだった。
そのうえでだ、大公と家臣達にこうも言った。
「後々の為にな」
「はい、それでは」
大公が応えた、そして。
ふとだ、窓の外を見た。すると。
中庭でマリーとマリア、それにだった。
セーラもいる、三人は今も薔薇達を見ている。その彼女達を窓から見下ろしてだった。
王は自然と笑みになってだ、こう言ったのだった。
「あの娘達が大人になってもな」
「国が平和である様に」
「今のうちにですね」
「手を打つ」
「そうしていかれますね」
「そうしていこう」
こう言うのだった、彼女達を温かい目で見て。
そしてだ、マリー達もだった。庭で薔薇達を見て話していた。王はその彼女達を守る為にもと思うのだった。
しかしだ、マイラは。
この日も司教と共にいた、そして書を読んで学んでいた。その彼女に。
司教は微笑んでだ、こう言った。
「おめでとうございます」
「はい、婚姻のことですね」
「そうです」
こうマイラに言うのだった。
「これで、です」
「私はロートリンゲン家の後ろ盾が手に入ったのですね」
「そして法皇庁からも」
そこからもというのだ。
「助けが入ります」
「そうなのですね」
「そしてですが」
司教はマイラにさらに話した。
「もう一つあります」
「と、いいますと」
「マイラ様は異端についてどう思われますか」
急にだ、司教はその顔を険しくさせた。
そしてだ、こうマイラに問うたのだ。
「あの者達について」
「許してはなりませんね」
マイラは司教に教えられたことをそのまま答えた。
「断じて」
「そうですね、ですから」
「それで、ですね」
「そうです、絶対にです」
「異端を許してはならないなら」
「審問官達もです」
その彼等をというのだ。
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