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=戦闘訓練編= イショウセレクト
前書き
削岩磨輪里
削岩's毛…黄色と黒のしましま。頑張れば回る。
削岩's目…曇りのないパッチリアイ。
削岩's全身…発育はちょっぴり悪く、細身で小柄。
削岩's頭脳…難しい漢字は沢山知ってるが国語力は追い付いていない。
削岩's肌…生まれつきのきれいな小麦色。
あれからクラスメートと自己紹介をし合ったり、デクくんがコペルニクス的転回をしたり、常闇と仲良くなっていつの間にか葉隠と3人トリオになったり色々とあった。そりゃもう騙り切れないほどに色々とあった。………え?語るの字が違う?そらそうでしょう。だって体力測定終わってからまだ数日だよ?そんなに色々と起きてる訳ないじゃん。
とはいえ何も変化がない訳でもない。例えば本人曰く「ハデに転んだ」らしい砥爪がボロボロの姿で学校に現れるという事件があった。顔にはバンソーコー、腕には湿布など、極めつけは頭に巻かれた包帯だ。転んだというより交通事故にあったと言われた方がしっくりくる。
「転んだっておま、頭に包帯巻いてますけどぉ!?」
「転んで切った。よくあることだ。俺はうっかりさんだからな」
「絶対嘘だと言いたいけど体力測定の時を思い出すと一概に否定できねえのが辛いな!ドジキャラかっ!」
体力測定中幾度となくコントロールを誤って自爆寸前の行動をしていた彼にうっかりさんだからと言われてしまうと微妙に否定しづらい部分がある。ただ相澤先生はコントロールとかその辺はデクくん同様厳しく、とっととコントロールしろと注意していたが。
休み明けでそれなので暴れ馬の『個性』を使いこなすための特訓でもしてたんだろう、と俺は勝手に当たりを付けた。実際問題自分の個性をコントロールできていないのは危険だし、砥爪ほど強力な力なら尚更だ。人命救助が大切になるヒーローが『個性』を暴発させて市民や味方に被害を出すなど笑い話にもならない。
が、珍しいことにここでかっちゃんこと爆豪がジロリと超悪い目つきで砥爪を睨んだ。
「転んで頭は打つかもしれねぇが、その爪のケガは何だよ。テメェの爪は転んだぐらいで折れねぇだろうが」
「………まぁ、確かに俺の爪は獣の爪に近い硬さだが、折れるときは折れるさ」
「すまし顔で大ボラ吹いてんじゃねえよ端役が……」
結局爆豪はそれだけ言って不機嫌そうに顔をそらした。この二人、なんか因縁でもあるんだろうか。デクくんあたりにそれとなく探りを入れていたが、お茶を濁された。なお、休み時間にクラスメイト数名に保健室に連行された砥爪はリカバリーガールに相当怒られたそうだ。
他にも、顔を見せていなかった「付母神つくも」ちゃんがインフルから回復して教室にやってきたりした。付母神ちゃんは……なんというか、その、可愛いけど女の子型ロボットだった。厳密にはアンドロイドかもしれないが、顔立ちやスタイルは間違いなく人間なのに近未来的な耳のトンガリパーツや関節パーツがモロに人工物だった。
『3日も遅れて学校に来るなんてあの、その、とても失礼なことかなーなんて思っちゃったりもするんですけど……やっぱり挨拶は大事かなと思って……つ、付母神つくもって言います!』
「ロボっ子キタコレ!」
「引っ込み思案系かよ……より取り見取りすぎてたまらねぇぜ雄英……!!」
「ミスター峰田よだれ垂らしてキッタナーい……」
当の本人は体について、そういう『個性』だと言って控えめに笑っていた。派手な外見をしているものの、本人はマリンブルーの鮮やかな髪を除けばとても大人しいというか、控えめな性格だった。
上鳴が興味本位で「ロケットパンチとかできんの?」って聞いたら『え、皆は出来ないんですか?』と素で返していたあたり、多分相当な天然さんである。
なお、俺の隣の席になったので他の二人の非原作キャラに比べると親しい感じになってきている。
「ロケットパンチ以外には何が使えるのさ?」
『ええと………眼からレーザー吐いたり爪がミサイルになって飛んで行ったりします。へ、変ですか?』
「いや、さすがロボットだなって思ったけど全然変じゃないよ!むしろヒーローとしての『個性』が色々とバリバリ大放出だね!」
『で、ですよねっ!頭や動体を分離させて空飛んだりしても全然変じゃないよねっ!』
(………どうしよう、つくもちゃんの笑顔がまぶしすぎて否定の言葉を言い出せない)
「ええー!首とれるの!?めっちゃ変!!」
『そ、そんなー!』
「うららかさんザックリ行き過ぎぃ!?」
とりあえず、彼女は高い戦闘能力に反してメンタル的な撃たれ弱さにちょっと難があるようだった。
あとこれは純粋な疑問なんだけど………ロボットってインフルエンザにかかるものなのか?ウイルス的な意味でかかってんの?ロボットエンザにかかってロックマン10始まっちゃうんだろうか?
「どうして敵は発生するんだろう?」
ついに俺もエックスと同じ戦いに疑問を抱く境地に……という訳ではなく個人的には「そこは敵じゃね?」というツッコミを期待していたが、何故かそこで轟と常闇が反応した。
「抑制された反社会意識、秩序によって否定される我欲から発生する体制への反発心。ヒーロー飽和時代による犯罪者弾圧体勢の、いわばツケだな」
「光強ければまた闇も深し……世俗から抜け出せぬ現世の住民の宿命だ」
お前らそれはネタなのか、それとも素なのか?……素だな、この二人は。今更ネタでしたと言い出せない雰囲気だったため俺も必死で真面目な顔して二人に合わせるほかなかった。
「なんか一部男子が変なノリになってる……」
「男の子ってああいうノリで格好つけるの好きよね~」
やだ、葉隠とか削岩あたりの生暖かい視線が辛くて死にたい。
= 轟焦凍の好感度が上がった! =
とまぁいろんな変化があったが詳しい話は後に回して、今日からオールマイトの授業が始まる。
「恰好から入るってのも大切だぜ少年少女!!自覚するのだ!!今日から自分はヒーローなんだと!!」
「おお、流石は雄英。コスチュームの機能はバッチリ注文通りみたいだな。腰のスロットに籠手に……なぬ、ダメ元で頼んだ大型十手まで!!」
「んんん~~~マイペースゥゥ!!しかし早速機能チェックして戦いに備えちゃうところは嫌いじゃないよ、水落石少年っ!!」
みんなが個性豊かな衣装を身に纏う中、俺もヒーロースーツを確認していた。ぶっちゃけ俺は個性が戦闘に使えなさすぎるので、ギミックを豊富にして道具に頼ることにしたのだ。考えてみればプロヒーローの『スナイプ』だって銃を使っているんだし、他にもマシンで空を飛ぶ『エアジェット』など、文明の利器的な道具を使うヒーローはいるものだ。
しかしまぁ、流石に軍人のようにバリバリの現行武装みたいなものを担ぎ出すヒーローはいない。前にも言った気がするが、戦争で使われるようなリアルな武器は日常生活を送る市民の皆様に対して大変ウケが悪く、逆に威圧感や圧迫感を与える。だからヒーロースーツの選考時点で没られるギリギリを俺は攻めたのだが、内心で十手は無理かなと思っていた。
が、しょっぱなから武器チェックをし始めた俺にバリバリ肉体派の切島は顔を顰める。拳一つで勝負せんかい!な彼からすれば、さっそく武器を使おうとしている姿がどうにも許せないらしい。
「ンだよ武器頼みか?男らしくねえぞ水落石!!」
「生憎と俺には武器になるほど強い個性がないからねー……ヒーローとしては道具頼みってのは邪道かもしれんが、しゃーないのよ。それに相澤先生も捕縛用のロープ持ってたろ?」
「でもよー、なんつーの?先生のは個性との相乗効果だけど、完全道具頼みのヒーローってちょっと頼りなくねぇか?武器がないと戦えねぇじゃんか」
「スマートじゃないよね♪」
唐突な青山はともかくとして、確かにそれは一理ある。個性が目立たないから武器で固めましたなんてヒーローは人気が出ないだろう。そして人気の出ないヒーローは活躍の場が与えられないとなる訳だ。
だがそれでも………俺には俺なりの考えがあってのことだ。
「俺が格好悪く道具だらけで戦っても、それで助けられる人がいるんならよくね?」
「……………!!」
何故か周囲がにわかにざわつく。なんだ、俺なんか変なこと言ったか?イタ車より日本車の方がいい的な思想なんだが。
よくわからんけど、切島もフリーズしているので意味が伝わらなかったのかもしれんと思い、ちゃんと説明する。
「道具ってのは元々人間がそれまで出来なかったことを出来るようになるために作ったモンでしょ。この道具で人助けが出来れば、それは俺が無理して丸腰装備で駆け回るよりも助かる人が増えるよな。だから、俺はゴテゴテで見映えが悪くたって武器が欲しいし、ヒーローとして間違ったことしてねぇって胸張って言える……それじゃダメか?」
俺が注文したテーザーワイヤーガンや十手、腰のベルトに仕込んだグレネード類、そして周囲と比べれば少々過剰なプロテクター。こいつらが弱い俺を補強してくれれば、生身の俺より格段にやれることが多くなる。勿論生身も想定して多少は格闘技も試してるけど、とにかく大事なのは人を守ることだ。
未来のデクくんだけじゃない。俺だってヒーロー目指してるんだから、辛い思いしてる奴を助けるためにこういう所で変な意地を張りたくないのだ。
と、話を静観していたオールマイトが口を開いた。
「確かにヒーローは人気商売だが、人気を求め過ぎて思考が凝り固まれば本末転倒!水落石少年のように格好よさより堅実さを取るヒーローも意外と少なくないんだぜ!無論武器の程度にもよるが、先生は全然アリだと思う!」
「オールマイト先生……」
「中には知名度の低さを逆手にとって自分の情報を隠匿し、平均的なヒーローより高い検挙率を維持する職人肌もいる……それは決して情けないことではないさ!!」
流石というか、オールマイトの言葉はその一つ一つに力強い説得力がある気がする。長年ヒーロー世界を支えてきたスーパーヒーローのお墨付きをいただいたとなれば、正直俺も満更でもないので少し照れてしまう。
「……水落石!俺はオメェを誤解してたぜ。オメェも心の底はアツい奴なんだな!コイツは友情と謝罪の握手だ!」
「お、おう……」
なにか思う所があったのか、切島は感銘を受けた顔で俺の腕をガッシリ掴んだ。奥の方では更に感銘を受けている飯田がとても個性的すぎて文章に表しきれない手の動きをしている。周囲の視線も妙に暖かいものになって何となく気まずいが、結果オーライということにしておこう。
(まぁ、イザと言う時の事ってのも割と心に刺さったフレーズではあるけどな)
ヒーローは一芸だけでは務まらない、とは相澤先生の言。道具がないと弱いだけ、では確かにお話にならない。タフネスなしに務まるヒーローなど少数だろう。とにかく話の終わって解放された俺は、そんな課題を抱えつつも自然と顔見知りの方へ移動していた。そう、常闇と葉隠だ。
「災難だったな」
「いや、別に……それより常闇のコスチュームは黒マントなんだな。熱くねーの?」
「通気性は問題ない。それに、多少熱かろうとこちらの方が『黒影』が過ごしやすいのでな……」
『居心地イーゾ!!』
「ははっ、そらぁ何よりだ!」
(なんかペットみたいで可愛い……)
マントの隙間から常闇の個性、『黒影』が顔を覗かせた。葉隠以下数名の周囲の人物も似たようなことを考えている。顔は少々厳ついが、喋り方はなんとも愛嬌のある奴だ。
こいつは個性なのに本人から独立した意識を持っているという超珍しい個性でもある。光に弱く闇では暴走とピーキーではあるが、戦いでは頼りになるスタンドみたいなものである。
……ちなみにガチ暴走するとシャレにならない強さなので、その辺の対策として俺はヒーロースーツにスタングレネードを、そして日常生活では常に多目的懐中電灯を持ち歩いている。まぁ、それは単なるサバイバルアイテムの一つなんだけどね。
「ねね、ところで私のヒーローコスについては何かないの?」
常闇の衣装には触れながらも自分がスルーされているのが嫌なのか、葉隠が割って入ってきた。……衣装がどうって、あんたステルス確保のために殆ど服着てないじゃな……。
「えっと………す、素敵な手袋だな!」
「ホント!?これスッゴイ悩んだ奴なんだ~!なーんだ寝てるだけじゃなくて見るとこ見てんだ!」
両手をぶんぶん振り回して喜びの舞いを踊っていると思われる葉隠を見つめながら、俺は何か釈然としない気持ちを覚えた。なんというか、親に嘘をついて褒められる時の内心で「違うんだ」って叫んでる感じ。
「常闇、お前葉隠の衣装どう思う」
「いま、本人がお前に褒められて喜んでいる。真実とは己の胸の内にあればよい……」
「そ、そうね」
喜んでいる姿は顔見えないけどまぁ可愛いし、可愛いってことは正義なんじゃないかなぁと適当に思う。ともかくこれ以上彼女が絡みづらいボケを振って来ないことを切に願う。
「……ところで手袋以外はどうよ!?」
(あ、オワタ)
げに儚きは人の望みなりけり。
後書き
後半はほぼ書き直し前とおんなじです。これでA組オリキャラは全員出しましたね。
砥爪君は過去設定重めなせいで災難に巻き込まれています。ケガの原因もそのうち物語で出せるといいな。恐らく明かされるときは水落石も事件に巻き込まれるときですけど。喜べ水落石君、きみはどうあがいてもEXハードだ。
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