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歌集「春雪花」

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 月影の

  見えぬ闇夜の

   鳥の音の

 侘しく響く

    初夏の風かな



 外を見れば暗い闇夜…月明かりもなく、外へ出て眺めても山波さえ全く見えない…。

 そんな闇に紛れ、何処からか鳥の鳴き声が響いてくる…。

 連れ合いを求めているのか…どこか寂しげに聞こえるその鳴き声は、初夏の風に乗って…どこまでも響いているように思えた…。

 私の心のように…寂しさに堪えられないと、鳴いているようにさえ思えた…。



 見渡せど

  花も紅葉も

   なかりせば

 歩みし道も

    虚しけるかな



 ふと見渡した時、桜も紅葉もないような風景ならば…きっと歩むことさえ嫌になってしまうだろう…。

 私の人生…それこそ、桜も紅葉も何もない…ただただ歩くだけの細々とした道があるだけ…。


 何とも虚しいものだ…。



 
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