英雄伝説~光と闇の軌跡~(3rd篇)
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第80話
~女神の王宮~
「ハアッ!!」
アドルとの戦闘を開始したユニカは先制攻撃代わりに大剣を振るって、炎の衝撃波をアドルに放ち
「ソニックウェイヴ!!」
アドルも剣から衝撃波を放って相殺し、そして
「そこだっ!!」
クラフト―――ソニックスライドで斬りかかった!
「!!」
攻撃に気づいたユニカは一端後退して回避し
「ハア、セイッ、そこだっ!!」
「ヤアッ!!」
「なっ!?グッ!」
アドルのクラフト―――回転乱舞に対し、大剣に風を纏わせて豪快に振るって一撃でアドルの攻撃を無効化すると共にアドルを吹っ飛ばした!
「そこです!!」
そしてユニカは大剣に雷を纏わせてアドルに向かって叩き付けた!
「!!」
攻撃に気づいたアドルはギリギリで回避した。すると叩き付けられた場所から雷の柱が発生した!
「まだです!!」
さらにユニカは大剣を旋風のように回転させてアドルに追撃し
「ハッ!ハァァァァァァ………!!」
追撃をされたアドルは攻撃を回避した後クラフト―――ブレードラッシュを放って、すざましい速さの剣撃を放った!
「ヤァァァァァァァ…………!!」
アドルの攻撃に対しユニカは大剣を苦も無く次々と振るって相殺し
「パワー……スマッシュ!!」
「セェェイッ!!」
「クッ!?」
連続攻撃から強烈な一撃を与えるクラフトに連携したアドルの攻撃を華奢な身体に秘められているとはとても思えない強烈な力で崩して、アドルにダメージを与え
「ヤアッ!!」
「うわっ!?」
アドルの足元に大剣にすざましい雷を纏わせて叩き付けて、アドルを吹っ飛ばすと同時にダメージを与えた!
「紅蓮の炎よ………行きなさい!!」
さらにユニカは大剣にすざましい炎を纏わせてため込んだ後大剣から炎の鳥の形をした衝撃波を放った!
「!!」
吹っ飛ばされ、受け身をとって着地したアドルは攻撃に気づいて回避をし
「フォトンブレード!!」
「キャアッ!?」
「…………」
剣を光の長剣と化させて振り下ろして、ユニカにダメージを与えて怯ませた後ユニカの周りに剣で五芒星を描き
「させない!!」
アドルの行動に気づいたユニカは大剣で自分の周囲に魔法陣を描き
「星方陣!!」
「ハアッ!!」
「グッ!?」
アドルと同時にに衝撃波を発生させてアドルが放った衝撃波を呑みこむと同時にアドルにダメージを与えた!
「ビートダウン!!」
一方ダメージを受けたアドルは再びすざましい速さの剣撃を放った!
「ハァァァァァァ………!!」
しかしまたしてもユニカは大剣を次々と振るってアドルの攻撃を相殺し
「これで………どうだっ!!」
「ヤアッ!!」
連続攻撃からクラフト―――オーラフェンサーに連携して、闘気を纏った剣で薙ぎ払って来たアドルの攻撃に対し正面から武器で受け止めてアドルと鍔迫り合いの状態になった!
「クッ………!」
「絶対に負けません……!」
鍔迫り合いの状態をしばらく続けて2人だったがユニカが徐々にアドルを押し始めていた。
「………っ!やるな………!力勝負では正直勝てる気がしないよ………!」
「お父さん譲りのこの力だけが私の取り柄です。私はみんなと違って魔法の才能はありませんでしたが………この力だけは誰にも負けません!この力でレア様とフィーナ様をお守りすると2人に約束したんですから!」
表情を歪めながら言ったアドルの言葉を聞いたユニカは静かな口調で言った後、決意の表情で叫び
「そういう貴方こそ、フィーナ様を愛しておきながらその程度ですか……!貴方のフィーナ様を思うその気持ちはその程度なのですか!?」
アドルを睨んで問いかけ、さらに力を入れてアドルを押し始めた!
「……違う!僕はフィーナと出会った時に決めた!絶対に何があってもフィーナを守ると!!ハァァァァァァ………!!」
対するアドルは決意の表情で叫んだ後、全身にすざましい闘気を纏わせてなんと押されていた状態を戻し、今度は逆にユニカを押し始めた!
「嘘………!?私が力勝負で負けるなんて………!」
押され始めたユニカは目を見開いて驚き、力が緩んだその時!
「そこだっ!!」
「しまっ!?……キャアッ!!」
その隙を逃さなかったアドルが力押しでユニカの態勢を崩し
「アヴェンジャー!!」
「うっ!?」
続けてクラフトを放ってユニカにダメ―ジを与えた!
「ダブルライジング!!」
さらにアドルは追撃する為にクラフトを放ったが攻撃に気づいたユニカは攻撃が命中するギリギリで後ろに跳んで回避した。
「フフ………私が力勝負で負けるなんて………認めます、貴方のフィーナ様を思う気持ちが本物である事を。でもそう簡単に負けませんよ………!」
攻撃を回避したユニカは微笑んだ後、再びアドルに挑んだ!剣と盾を自在に操って攻撃を受け流して技を繰り出して戦うアドル、豪快な一撃を次々と繰り出し、自分に来る攻撃をも呑みこんで反撃を繰り出すユニカ。その戦闘はまさに柔と剛がぶつかり合うすざましい戦いで、2人はお互い傷つきながらも互角の戦いを続けていた。
「お願い………早く終わって………大好きな2人が互いに争って傷ついていく姿を私は見たくない………!」
2人の戦いを辛そうな表情で見守っていたフィーナが強く祈ったその時
「ハア――――ッ!クッ!?」
「ヤア――――ッ!キャッ!?」
2人は同時に駈け出して強烈な一撃を放ち、互いの攻撃がぶつかり合った際に発生した衝撃によって吹っ飛ばされた!
「「ハア、ハア…………」」
そして2人はそれぞれ疲労を隠せない様子で息を切らせた後
(次で決める(ます)………!)
互いに決意の表情になった後、それぞれ武器を構え直し
「「ハァァァァァァ………!!」」
アドルはクレリアソードを両手に持ち変え、残る闘気を全て注ぎ込み、ユニカも両手に握る紅蓮の大剣に自分に残る闘気を全て注ぎ込んだ!そして闘気を注ぎ終わった2人は同時に駆け出し
「ハアッ!!」
「ヤアッ!!」
同時に武器を振るって駆け抜けた!駆け抜けた2人は互いに背中を向けて立っていたが
「クッ……!?」
「アドルさん!?」
表情を歪めたアドルが態勢を崩し、それを見たフィーナが驚いたその時
「フフ………私の負けです…………」
ユニカは微笑みながら地面に倒れ
「まだ倒れる訳には……いかない………!ハア、ハア………!」
態勢を崩して前に倒れかけたアドルは剣を地面に突き立てて倒れるのを防ぎ、息を切らせていた。
「あ……………」
その様子を見たフィーナが呆けたその時、3人は転移した。
~絆の城・屋上~
「アドルさん!フィーナさん!」
「………どうやら終わったようだな………」
転移して来たアドルとフィーナに気づいたヨシュアは驚き、レーヴェは静かに呟いた。
「……っ………アドルさん、ユニカ!2人とも大丈夫ですか!?」
そして転移して来たフィーナは息を切らせて剣を杖代わりにして支え、立っているアドルと仰向けに倒れているユニカに駆け寄った。
「フフ……フィーナ様は相変わらずとっても優しいですね………」
「ハハ………それでこそのフィーナだからね…………」
駆け寄られたユニカは苦笑しながらアドルに視線を向け、視線を向けられたアドルはユニカの言葉に頷くかのように苦笑していた。
「2人とも今、回復します!だから今はじっとしていて下さい!」
そしてフィーナが2人に言った後、治癒魔術を使おうとしたが
「私には必要ありません、フィーナ様。だって”試練”を終えた私は消えるんですから……」
「あ…………」
身体全体が光を放ち始めたユニカに言われ、悲しそうな表情をしてユニカを見つめた。
「………フィーナ様。消える前にこれだけは言わせてください。………私、フィーナ様とレア様に出会えてとっても幸せでした!」
「ユニカ………ええ………勿論私やレアも貴女と出会えて、本当によかった………!貴女は私とレアにとっていつまでも大切な妹よ………」
ユニカに微笑まれたフィーナは涙を流しながらユニカに微笑んだ。
「えへへ…………そうだ、アドルさん。」
フィーナの言葉を聞いたユニカは無邪気に笑った後アドルの名を呼んだ。
「何だい?」
「これを持って行って下さい。」
そしてユニカはアドルに先ほどまで使っていた自分の武器―――”紅蓮の大剣”をアドルに手渡した。
「もう、私には必要のない物です………フィーナ様を守る為に何かの形で役立てると思います。フィーナ様のお役に立てるのなら、私やお父さんも本望です。」
「………ありがとう。君のフィーナを守りたいという思い………確かに受け取ったよ。」
ユニカの説明を聞いたアドルは静かに頷いた。
「……ならば俺の剣も持って行け。」
「兄さん!?」
一方その様子を見守っていたトールはアドルに近づいて白く光輝く剣をアドルに手渡し、その様子を見ていたユーゴは驚いた。
「………その剣には”イース”の皆の思いが詰まっている………フィーナを守る為に役立つのなら、その剣も本望だろう。必ずフィーナをレアの元に返してやってくれ。」
「………わかった。約束する。」
トールの話を聞いたアドルは真剣な表情で頷いた。
「………ユーゴ君。試練が終わったからフィーナ様達に”封印石”を渡してあげて。」
「ああ、あの”影の王”から受け取った石か。言われなくてもわかっているよ。」
「へっ!?」
一方ユニカに言われたユーゴは頷いた後、杖を掲げた。2人の会話に驚いたケビンの目の前に”封印石”が2つ現れた!
「んなっ!?」
「封印石……!」
「……まさかユニカ………貴女達の!?」
目の前に現れた封印石を見たケビンとリースは驚き、フィーナは信じられない表情でユニカに尋ねた。
「フフ、残念ながら違います。その封印石の中にいる人達の中の一人は次の”試練”の”守護者”と戦う際に必要になってくる人です。」
「………次の守護者は少々イレギュラーな事が起こった。”影の王”はお前達にそのイレギュラーによって倒れられては困るから、その者と傍にいる者をお前達のように後から巻き込み、その封印石の中に封印した。」
「イレギュラーやて?」
「いったい何が起こったのですか?」
ユニカとトールの話を聞いたケビンは首を傾げ、リースは尋ねた。
「………次の”守護者”は僕達のような再現された存在ではなく、お前達と同じ”本物”にして”魔王ダーム”以上の存在だ。”影の王”はお前達の仲間の一人を取り込んだ際、そいつも取り込んでしまったんだ。」
「ほ、”本物”やて!?」
「なっ!?魔王ダームを超える存在なんて一体どんな相手だ………?」
ユーゴの話を聞いたケビンは驚き、同じように驚いたアドルは考え込んだ。
「………その存在をよく知っている人達は貴方達の仲間の中にいます。詳しくはその人たちに聞いてください。」
ユニカが真剣な表情でアドル達に言うと、ユニカ達の身体は強い光を放ち始めた。
「………お別れね、ユニカ………」
ユニカ達の様子を見たフィーナは悲しそうな表情で見つめた。
「はい………フィーナ様、最後は笑顔でお別れしましょう?私、フィーナ様の笑顔が一番大好きなんです!」
「全くフィーナ様に向かってずうずうしい奴だな………」
「フッ………」
フィーナの言葉に辛そうな表情で頷いた後笑顔になって言ったユニカの言葉を聞いたユーゴは呆れ、トールは静かな笑みを浮かべていた。
「ユニカ………フフ、そうね………さようなら、ユニカ、ユーゴ、トール…………私とレアはいつまでも貴方達の幸せを願っています………」
一方フィーナは驚いた後、優しい微笑みを浮かべてユニカ達を見つめた。
「さようなら、フィーナ様………!」
「………フィーナ様にイースの加護を………」
「………レアと共に強く生きろ、フィーナ………」
そしてユニカ達はそれぞれフィーナに別れの言葉をかけた後、光と共に消滅した。
「…………………」
「………大丈夫かい、フィーナ……?」
ユニカ達が消えた場所を見つめているフィーナにアドルは心配そうな表情で尋ねたが
「………はい。ケビンさん、これで私達の”試練”は終わりです。後のことはよろしくお願いします。」
フィーナは笑顔をアドルに向けて返事をした後、ケビンに向き直って言った。
「………ええ。任せといてください。さっきの人達の言葉も気になるし……周遊道の石碑を調べた後、この中にいる人達を解放しましょう。」
その後ケビン達は周遊道に転位し探索をすると、文字盤が光っている石碑が追加され、『”影の王”が告げる………これより先は宿命の城 。滅びし森の姫と妖精の血を引く魔の娘をともない文字盤に手を触れるがいい。』という文章を見つけた。
「!!この”滅びし森の姫”と”妖精の血を引く魔の娘”って………まさか……シルフィエッタ姫とセオビットさんか?」
「………多分そう。………となると次の”守護者”はもしかしたらシルフィエッタ姫の話にあった”イグナート”かもしれない………」
石碑を読んだ後驚きの表情のケビンに尋ねられたリースは真剣な表情で答えた。
「…………リウイ陛下の話ではその魔人は”破戒の魔人”と今の時代にまで伝えられていたそうですからね………”神殺し”であるセリカさんのように伝承にまである存在………恐らく今までの相手とは比べものにならないぐらいの相手なのでしょうね………探索のメンバーはよく考えた方がいいと思います。」
「………どちらにせよシルフィエッタ姫達を連れてくる為にメンバーを編成し直さなあかんし、後は封印石も解放せなあかんから一端拠点に戻ろうか。」
そしてヨシュアの話を聞いたケビンは考え込んだ後提案し、庭園に転移し、そして封印石を解放した。
~隠者の庭園~
「それにしても次に現れる封印石の中の人達って一体誰なんだろう?」
「そうだね。リベル=アークのメンバーは全員いるし………もしかしてリウイ陛下やセリカさん達の知り合いかもしれないよ。」
封印石が解放された際にできる光を見つめながらエステルは首を傾げ、エステルの言葉に頷いたヨシュアはリウイやセリカに視線を向け
「………まあ、確かに俺達の知る者でまだ現れていない者達はいるが………その中に次の”守護者”と戦う際に必要と思われるほどの強さを持つ者は思い当たらないのだがな………」
「………俺も同じだ。」
(まあ、今の状況なら遥か昔の戦友達が現れてもおかしくないが、我が覚えている限りではその中にはそれほどの腕を持つ者等心当たりはないな。)
視線を向けられたリウイやセリカはそれぞれ静かに答え、ハイシェラも頷いた。
「………母様……その………大丈夫?多分、私達の”試練”で待ち受けている”守護者”は………」
一方セオビットは心配そうな表情でシルフィエッタを見つめた。
「……そうね…………正直不安だけど………それでも進まないと私達は元の世界に帰還できないしね………それに………いつかは終わらすべきだったのよ、あの男との因縁は。……セオビット。貴女の方こそ、大丈夫?かつては貴女が慕っていた”父”でしょう?」
見つめられたシルフィエッタは表情を青ざめさせていたが、やがて決意の表情になり、セオビットに尋ね返した。
「私はいいのよ。初めからあいつにただの”駒”扱いされていたのは知っていたから、愛想なんてとっくになくなっているわ。………それに今の私の”父”はリウイ様だし………私は決めたのよ。父様―――メンフィルと共に生きていく事を。」
「………そう………」
セオビットの決意を知ったシルフィエッタは微笑んだ。その時、2つの光は降りてきて、そこからある人物達が現れようとした!
「ぐ、軍服!?」
「………どうやら自分達と同じ存在のようだな……」
「ええ………少なくとも我々が知る国の紋章ではありませんね。という事は………」
現れようとした人物達の服装を見たエステルは驚き、ミュラーは真剣な表情で呟き、ユリアは頷いた後リウイ達に視線を向け
「あれ?あの紋章って………」
マリーニャは現れようとする人物達が装着している肩当てに付いている外套の同じ紋章を見て首を傾げ
「まさか………メルキア帝国………!」
「メルキアの私達の知り合いと言えばマウア様達ですけど………あの方達とは出会った事がありませんよね?」
エクリアは驚きの表情で呟き、シュリは戸惑っていた。
そして光が収まるとそこには白銀の鎧をその身に纏い、大剣を鞘に納めて腰に刺し、強い意志を秘めた瞳を持つ金髪の青年と美しい黒髪を腰までなびかせ、腰には剣らしき武器を収めた鞘を付けている女性が地面に膝をついた状態で現れた………!
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