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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!

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第二十四話 お食事中の邪魔は厳禁なのです。

 
前書き
 アレーナの提示した改革案の方は、未だ水面下での動き。大っぴらに動かせば、門閥貴族たちから睨まれます。 

 
帝国歴483年10月1日――。

帝都オーディン ランディール邸
■ アレーナ・フォン・ランディール
 私も今年18歳。今まで貴族のお嬢様らしくプラプラしていたけれど、そろそろ本格的に動かないとね!!でもね、まだ軍属には早いかな~と思うのよね。早くイルーナたちが准将とかにならないかな。
なんでかっていうと、一応ランディール侯爵家にも私設艦隊はあるのよね。で、マインホフおじいさまのお考えでは、女性士官が登用されて佐官が増えて、トップが将官に手がかかってきたら、一気に私を中将として艦隊を指揮させようって考えていらっしゃるって。
 
 この間嬉しそうに言ってた。別に私は構わないんだけれどね。
 女性士官学校の方は、軌道に乗ってきたわ。もう私なしでも大丈夫って感じだけれどね、やっぱり愛着があるのよね~。だから時々授業参観にきてます、という体で私も半分生徒として勉強したりしているの。メックリンガー、ルッツ、レンネンカンプ、ワーレン、そしてミュッケンベルガーは転属してしまったけれど、女性士官の必要性はしっかり頭に叩き込んでおいたからまぁ大丈夫でしょう。それに、卒業した先輩方が若手士官として教えにきているからね、いい感じです。

 マインホフおじいさまは相変わらず校長先生です。そして、メックリンガーたちの代わりに、なんとあの女ったらしのロイエンタール少佐とその親友のミッターマイヤー少佐、ビッテンフェルト少佐がやってきたの!!!
 ええええええええええ????!!!!って感じでしょ?
 そうよね?でもね、どういう風の吹き回しかそうなったのよね。
 ま~案の定女の子たちはキャアキャアと悲鳴を上げてます。俄然やる気を出してます。九割九部がたロイエンタールなので、ミッターとビッテンが可哀想です。あぁ、でも、ミッターはエヴァ一筋だからいいのか。

 ロイエンタールはきっと夜のベッドの相手に困らないなんて思ってるかもしれないけれど、どっこいそうはいかないんだな。この私がいる限りは、絶対にそうはさせない!!!
 あ~でもロイエンタールの方は併任って形なのよね。元々軍務省監察局にいて、また近いうちに転属の予定なんだって。ちぇ~。

 この間ヴァリエも交えて、電子戦略会議、開きました。ヴァリエの私とティアナサイドへの接し方と、フィオーナとの接し方であからさまに態度が違うのがちょっとイラッとするけれど、まぁいいわ。素直だものね。

 そのヴァリエが指摘してくれたんで、あっと思ったんだけれど、今年って時期的に言うとアルレスハイム星系会戦のある年なのよね。まだその情報がないってことは起こってないのかな。アルレスハイム星系会戦といえば、あのカイザーリング爺様の艦隊ね。サイオキシン麻薬の蔓延していた艦隊。
サイオキシン麻薬かぁ・・・・。OVA見ても結局よくわからなかったのよね。いったいどこが本家本元なのか、どういう製法で作られているのか・・・。OVAじゃクロイツナハドライの事件があったからこそ、私もその存在を知っているわけだしさ。
 私の情報網でちょっと探ってみたら、この世界においても、水面下では色々と流通しているようだし。ラインハルトを助けるのも使命だけれど、サイオキシン麻薬根絶も大きな仕事の一つよね。
よし、その方面も検討してみようかな。



 イゼルローン要塞――。

「閣下、これが当艦の訓練工程表になります」
「ほう・・・・」

 イルーナ・フォン・ヴァンクラフトの所属する巡航艦艦隊の部隊長のアルフェルト・ローマイヤー准将が書類を受け取った。彼はそれを繰りながら、

「なかなかハードなスケジュールではないか?」
「戦時下においては、特に戦闘行動中においては一瞬たりとも油断はできません。それを想定しての事です。むろん、緩急はつけます。時には手綱を緩めませんと士気にかかわりますから」
「平時と言えども、訓練は絶やさずか、よろしい。許可しよう」

 准将は自分のデスクから印鑑を取り出して、決済印に押し、上層部への仰決済箱に入れた。

「後はこちらでやっておく」
「ご迷惑をおかけします」
「なに、貴官のような優秀な人材が育てば、わが艦隊にとって、ひいては帝国にとって喜ばしいことだからな。それにしても・・・・」

 今年38歳になるローマイヤー准将はイルーナをしみじみとみた。

「何か?」
「気分を害してしまったら申し訳ないが、女性である貴官が20歳で中佐とはな。帝国も柔軟になった物だとつい思ったのだ」
「・・・・・・・」
「私が貴官の年のころは、まだ少尉だった。上官に追い回され、自分の事で精一杯だった。だが、貴官は違うな。常に自らの事ではなく周囲を配慮している。将来の艦隊司令官になっても不思議ではないな」
「出過ぎた望みです。中佐でさえ、過分な地位であると思っています」

 イルーナは苦笑して見せた。まさか自分が前世では将官として組織のトップに立っていたとは言えるはずもない。

「いや、今後は帝国も貴族出身の将官ではなく、男女を問わず能力重視の登用になるだろう。それには長い時間がかかるだろうがな」

 おっしゃるとおり、とイルーナは思った。女性士官学校が誕生して数年たつが、まだまだその影響力を帝国軍全体に広めるには時間がかかる。女性の中で実質今一番の筆頭はまだ一介の中佐に過ぎない自分なのだから。

(これでは大将に昇進するまでに、あと何年かかるやら・・・・)

 そう思ってみて、イルーナは苦笑いした。これでは出世にはやる原作のラインハルトと同じではないか。

(駄目ね、焦っては。ラインハルトに説教できる立場ではないわ。今は人材確保、そして長期的な制度の下積みに専念しましょう)

* * * * *

 イルーナ・フォン・ヴァンクラフトがそのような思いを胸に抱いていたころ、一つの事件があった。第五次イゼルローン要塞攻防戦の陰に隠れてしまったが、帝国歴483年9月13日、多少原作OVAと時期が異なるものの、アルレスハイム星系での会戦が行われ、指揮官だったカイザーリング中将の艦隊が一方的に同盟軍にたたかれ、壊滅したのである。
第五次イゼルローン要塞の同盟軍撃退をなしえていただけに、この敗北は帝国の権威を失墜させるとして極秘にされていたが、イゼルローン要塞駐留部隊はそれを知っていた。

 何故なら、敗北したカイザーリング艦隊の残存部隊が、補給を受けにイゼルローン要塞に寄港したからである。どの艦も損傷がひどかった。ある艦は黒煙を吹き上げており、ある艦はまるで射撃演習場の的の様にハチの巣になっており、また、ある艦は前部艦首が吹き飛ばされて、大きくねじくれたような形になってしまっている等、いかに帝国軍が無様にやられたのかを目の当たりにすることができた。

「これは、ひどいな」

 軍港に入ってくる艦隊を艦の艦橋から眺めながらラインハルトは顔をしかめた。彼らのヘーシュリッヒ・エンチェンは訓練から帰還して軍港に係留されていたが、そこにこのカイザーリング艦隊が入り込んできたというわけだ。

「ええ、よほどのことがなければ、こうまで一方的には叩かれません」

 キルヒアイスの言葉に、ラインハルトはうなずいた。

「指揮官が無能だったのか、あるいは反乱軍の奴らが上手だったのか。いずれにしてもいったい何万人の将兵が犠牲になったのか、それを思うと情けないな」
「はい」
「俺が聞いたところによれば、今回のアルレスハイム星系での会戦は戦略的にも何の価値もない戦いだったそうだ。アルレスハイム星系及びその周辺には、特にこれと言って惑星資源もなく、また、基地などを建設できるような戦略的に意義のある拠点でもない」

 ラインハルトは艦長椅子に座って背をもたせ掛け、足を組んだ。

「どういう動機かは知らない。帝国軍上層部が、先のイゼルローン要塞の攻防戦の撃退勝利に酔ったのか。あるいは哨戒艦隊を蹴散らして橋頭堡でも築こうと思ったのか。いずれにしても一個艦隊を派遣して、逆に同盟軍に敗北したというわけだ。無用の出兵というわけだったな」
「情けない事です。上層部の気まぐれで兵が死んでいくことこそ、もっとも忌むべきことなのですが・・・・」
「その通りだ」

 ラインハルトはうなずいた。

「俺にはまだ力がない。見識も浅い。イルーナ姉上やアレーナ姉上に言われて辛抱はしているが、正直居ても立っても居られない気持ちにはなる。俺にもっと力があれば、こんな無用な出兵などさせず、反乱軍の奴らを撃退して再起不能にして見せるのに。いや、むしろ帝国と反乱軍との間に恒久的に戦果を交えない方法を考えてやるのに」
「それは、どういうお考えですか?」

 ラインハルトはそっとあたりを見まわした。

「キルヒアイス、お前、帝国の政治体制と同盟の政治体制、どっちがいいと思う?」
「!!・・・・それは!!」
「心配するな。遮音装置によって、俺たちの会話は聞こえないし、それに今艦橋にいるのは俺たち二人だけだ。盗聴もない」
「・・・・ならばいいのですが。そうですね、わたくしにはどちらも同じような気がいたします。どちらにも長所はあり、どちらにも短所はあるかと、思いますが」
「その通りだ。建前を言えば、まず帝国の方は皇帝の意志が迅速にいきわたり、物事を決定しやすいということだ。そして民主主義とやらを掲げる自由惑星同盟と称する反乱軍の方は、民衆がすべての物事を決定し、民衆の監視のもと、民衆から選ばれた代表者がそれを執行する。民意が反映しやすいというやつだ」

 キルヒアイスはうなずくが、ここでラインハルトの口元には皮肉さと冷笑さが浮かび上がった。

「だが、実際には違う。今のゴールデンバウム王朝の皇帝は貴族共の傀儡に成り下がっている始末だ。自分では何一つ出来ず、睨まれた皇帝は暗殺されるか幽閉される。フン」
「ラインハルト様!」
「わかっている。そして、同盟とやらも同じようなものだ。汚職が進み、民意は離れ、それぞれが自らの利権を争っている。まったくバカバカしいが、もっとバカバカしいことがある。意志決定は、最高評議会とやらによって決定されているという。密室の議会という表現がぴったりくるな。それは帝国と50歩100歩だ。そしてそれを選ぶ権利は市民に与えられているとはいえ、今の同盟の投票率は半分を下回っているそうではないか」
「ラインハルト様、そんな情報をどこで――」
「驚いたような眼をしているが、キルヒアイス、お前だって、ひそかに端末から情報を調べ上げているだろうが」

 ラインハルトはニヤリと笑って見せた。

「・・・ラインハルト様には、ごまかしはききませんね。ということは、ラインハルト様も――」
「あぁ。もちろん匿名だ。バレる様な真似はしない。話を元に戻すが、今の同盟の現状はそう言うことだ。これでは、民主主義とやらの皮をかぶった全体主義国家と言われても仕方がないとは思わないか」
「そう思います。市民によって建国されたはずの同盟が、市民の意志を反映していないとは、皮肉なものですね」
「その通りだ。だが、帝国とてそれは同じだ。いや、むしろもっとひどい。キルヒアイス、先日俺たちは輸送艦隊の護衛で辺境惑星に赴いたことがあったな」
「ええ、とても忘れられる光景ではありませんでした」

 ラインハルトが中佐になり、巡航艦の艦長になってほどなく、彼のヘーシュリッヒ・エンチェンは輸送艦隊の護衛艦の一隻としてアムリッツア星域に近い辺境惑星に赴いたことがあった。輸送艦隊は鉱物資源を運び出し、帝都とイゼルローン回廊との中間にある工業惑星地帯に運ぶのだ。
 そこで様々な惑星に立ち寄ったのだが、どの惑星もひどいものだった。鉱山惑星や工業惑星は活気はあるものの、治安は乱れ、人々はすさみ、荒れていた。弱者はいじめられ、強者ばかりがのさばり、親を亡くした子供が孤児となって物乞いをしている姿など、目をそむけたくなる光景ばかりがあった。

 かといって、農業惑星は貴族たちの農奴として生活を送っている人々、あるいは同盟の捕虜等が住んでおり、地球歴の1600年代の中世的生活を送っている光景が見られた。同盟の捕虜に至っては人間らしい扱いも受けず、骨と皮ばかりになって、死ぬまで働かされているという光景が見られた。時には死骸が野ざらしにされたまま、鳥についばまれる場面にも出くわしたりしたのだった。

 帝都オーディンでは電子機器の普及は当たり前だというのに。このことに二人は衝撃を受けていた。輸送艦隊の護衛そのものは海賊などの襲撃も受けずに無事終わったため、二人は武勲を建てる機会はなかったが、こうした辺境惑星の現状を目の当たりにできたということだけでもだいぶ大きな勉強になったのだ。

「俺たちにもっと力があれば、ああした光景は絶対作らせないのだが」

 ラインハルトは悔しそうにこぶしを打ち付けた。

「だが、おかげで大きな勉強にはなったな。軍隊内部にいるだけではああした現状は見られない、いや、むしろそれを覆い隠そうとする隠ぺい体質に染まる危険もある」
「おっしゃる通りです。わたくしたちは、ああした民を一日でも早く救わなくてはなりませんね。」
「つまるところ・・・」

 ラインハルトは立ち上がった。

「帝国の体制も、同盟の体制も、最大多数の幸福を作り上げるには向いていないということだ。そこでだ、キルヒアイス・・・・」

 ラインハルトは再び周りを見まわし、誰もいないことを確認すると、そっと耳打ちした。

「俺は帝国同盟双方を滅ぼし、新銀河帝国を作り上げる。当初は俺が改革を進めるが、下地ができ次第、そこに立憲体制を敷こうと考えている」
「立憲体制を、ですか?確かイルーナ様やアレーナ様に教わった記憶が、ございますが」
「あぁ、イルーナ姉上やアレーナ姉上に教わっただろう。昔の明治時代の日本やイギリスとやらが敷いていた体制だ。特に日本は明治時代に移行してわずか数十年で近代列強に並ぶ軍力と国力を手に入れている。俺はそこに目を付けた。早急な改革は議会政治ではできない。ある程度下地が定まったら、立憲体制に移行すればいい」
「なるほど・・・」
「絶対君主など必要はない。まして血統等どうでもいい。象徴程度で有ればいいのだ」

 キルヒアイスはそれを聞きながら、ラインハルト様はいったいどこでそんな情報を仕入れたのだろうと不思議がり、かつ彼の先見性に感心していた。

「では、理想を実現するためにも、今は武勲を御建てになるべきですね」
「あぁ。早く武勲を建てる機会が巡ってこないものかな」

 ラインハルトは腕を撫し、ふと気が付いたように、そろそろ俺たちも食事をしにいくか、とキルヒアイスに声をかけた。

* * * * *
イゼルローン要塞尉官食堂――

「はぁ~~・・・・」

 食堂の喧騒に紛れて、ティアナは深い溜息を吐いた。二人は昼になったので、要塞の尉官専用の食堂にきて昼食をとっていたのだ。

「せっかくイルーナ教官と一緒の艦だったのに、昇進したとたん別れ別れになるなんて、しかも要塞憲兵事務官だなんて書類整理ばっかり。退屈極まりないわ!!」
「そう言わないの。皆が皆望む部署に着くとは限らないって教官もおっしゃっていたじゃないの」

 と、フィオーナ。

「それに私たちがいなくても、レイン・フェリルさんが今度の教官の巡航艦の副長だし、心配する必要はないわよ」
「心配してないわよ。私たちがいてもいなくても立派にやっていける人なんだから。まぁ、せめてもの慰めはこうしてフィオと同じ部署にいられるってことくらいか」

 左手で頬杖をついたティアナが吐息交じりにトレイの上のミートボールを右手に持ったフォークでつついた。今日のメニューは2個のロールパン、水っぽいスープ、トマトサラダ、あまり分厚くないステーキに、付け合わせのブロッコリー、ポテト、ミートボールという組み合わせだった。

「それにしても、軍隊では階級があるとはいえ、食事に差をつけるのはどうかと思うわ」
「同感ね。基本の食事は一緒にして、後はオプションとして給料の額から天引きすることで
差をつけるとかね」
「それよ、私たちの前世の時もそうだったじゃない。あ~私が上に上がったら絶対食糧事情改革してやるんだから!!」

 フィオーナは面白そうに笑ったが、急に笑みをひっこめた。

「でも、食糧事情はあまりいいと言えないそうよ。ここはまだましじゃない。自給自足ができるんだから、でも他の基地や艦隊ではそうはいかないっていう噂を聞くわ」
「私たちの士官学校が懐かしいわ~」
「本当ね」

 フィオーナが言った時、不意に唸り声がし、怒声が飛んできた。

「そいつを取り押さえろ!!人殺しだ!!」

 思わず立ち上がった二人の目に、食堂入り口近くで胸元を血に染めた大柄の男が血走った眼でふらつきながら立っているのが見えた。男は涎を垂らしながらまるで狂気にとりつかれているように、早足に歩き、テーブルをひっくり返していく。

「なに、あれ!?」
「突っ立ってる場合じゃないわ、止めないと!」

 ティアナが疾走し、男の前に立ちふさがった。

「おとなしくしなさい!!」

 男は獣のような唸り声を上げて、ティアナにとびかかっていったが、鋭い回し蹴りと顎に強烈なアッパーカットを食らい、地響き立てて地面に仰向けに寝転がった。

「ティアナ大丈夫?」

 駆け寄ろうとしたフィオーナにティアナはこともなげに戻ってきながら、

「ざっとこんなもんでしょ」

 それにしても本当に容赦ないわね、と思ったフィオーナがふと顔を上げ、とっさにテーブルをつかんで、投げ飛ばしていた。ティアナの横をかすめとんだテーブルは、背後を襲おうとしていた男の顔面をしたたかに強打し、叩き付けた。

「お見事」

 拍手喝采の中、ティアナがぽんとフィオーナの肩を叩く。やだ、私ったらと顔を赤らめたフィオーナの前にようやく駆けつけてきた憲兵隊が男を縛り上げていた。

「苦労を掛けたな」

 二人の前に大柄の、岩を削ったような風貌の男が現れた。制服からすると、佐官のようだった。

「取り押さえようとしたが、すんでのところで逃げられてしまった。危うく犠牲者を増やすところだった。感謝する」
「いえ、そんな・・・」

 敬礼したフィオーナたちだったが、目の前の男にどこか見覚えのある気がしていた。

(この声、この風貌・・・どこかで・・・・あっ!?)
「失礼ですが、貴官のご尊名は?」

 こういう時のティアナは一応敬語を話す。

「ケンプだ。軍務省監察局監察課所属カール・グスタフ・ケンプ中佐だ」

 目の前のケンプ中佐は精悍な笑みを浮かべた。
 
 

 
後書き
 若干20歳にして中佐・・・。普通は絶対に無理。でも、そんなことができたのは、女性登用の風潮と、マインホフ元帥ら改革派(アレーナ推し派)のゴリ押しがあったからこそなのです。 
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