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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルート

作者:sorano
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外伝~”G”の鼓動~

~エレボニア西部・某所~



「ふ、ふざけるな―――――ッ!!ユーディット達に続いてログナー侯までもが”四大名門”の誇りを捨てるとは……!誇り高き”帝国貴族”の恥さらし共が!!」

報告を聞いたカイエン公爵は怒りの表情で声をあげ

「か、閣下……その……大変申し上げにくい事ですが先程申し上げた報告以外にもまだ報告が残っているのですが……」

「今度は何だ!?」

「そ、それが………今回の一件を知った貴族の方々の一部から貴族連合に援助する資金がなくなった為、しばらく援助を中断させてもらうという申し出があったとの事です……」

「何だと!?資金等無くなっても、平民共から絞り取ればいいだけの話ではないか!何故それをしない!?」

「…………………」

兵士の報告を聞いたカイエン公爵は怒鳴ったが兵士は表情を青褪めさせて何も答えなかった。



「……――――!まさか我らが敗北すると思って、我らと手を切ったというのか!?」

少しの間考えてある事に気付いたカイエン公爵は怒りの表情で兵士に問いかけ

「お、恐れながら私如きでは高貴な方々の考えはわかりません……」

問いかけられた兵士は表情を青褪めさせて身体を震わせながら答えた。



「おのれぇぇぇ――――ッ!!どいつもこいつも真なるエレボニアの皇の血筋である私を侮辱しおってからに……!―――ならばこの私に逆らえばどうなるか、思い知らせるべきだな。―――全軍に通達。これより貴族連合に所属している貴族の家族を確保せよ。勿論出資を中断した貴族や貴族連合から脱退した貴族達もだ!奥方、子供、親……誰でも構わん!」

「なっ!?まさか人質にし、援助を強制するおつもりですか……!?恐れながらさすがにそれは卑劣過ぎるやり方かと思われますし、ウォレス准将も反対するかと思われます……!」

カイエン公爵の口から出た信じられない命令に驚いた兵士は反論したが

「黙れ!貴様らは”主宰”である私の命令に黙って従えばよいのだ!それに蛮族上がり如きの意見に耳を貸す必要はない!」

「し、しかし……」

「――――それとも反逆罪で今この場で死にたいのか!?」

「………!ぎょ、御意……ッ!今すぐ全軍に通達致します……!」

有無を言わせないカイエン公爵の睨みによって身体を竦ませた後、慌てた様子でその場から走り去った。



「問題は戦力だ……!軍資金はあっても肝心の戦力が足りん……!どうすればいい……!」

兵がその場から去った後カイエン公爵は焦りの表情で考え込んでいた。

「フフッ、考案中の所を失礼をして申し訳ありませんが、少々よろしいでしょうか?」

するとその時ヨアヒムが突然カイエン公爵の前に現れた!

「!?何者だ貴様は!?」

「私の名はヨアヒム・ギュンター。公爵閣下のお悩みを解決する為に参上いたしました―――――」

そしてヨアヒムは不敵な笑みを浮かべてカイエン公爵にある提案をした。



同じ頃クロウとクロチルダはIBC総裁にして”クロスベル独立国”のクロスベル大統領であるディーター・クロイス大統領からある要請をされていた。



~同時刻・クロスベル市・オルキスタワー~



「オルディーネで国防軍と共に”月の僧院”の守備をしろだと?一体何の為にあんな遺跡を守る必要があるんだ?」

「……”月の僧院”と”星見の塔”、そしてクロスベル市の中央広場に設置されてある”鐘楼”の共鳴によって絶対不可侵の結界が展開されているのよ。もし”星見の塔”と”月の僧院”がクロスベル独立国の抵抗勢力――――”特務支援課”や”六銃士”の手に落ちれば、結界は維持できなくなるのよ。」

眉を顰めているクロウにクロチルダは事情を説明し

「ええ、その通りですわ。”星見の塔”は”結社最強”と称えられている”鋼の聖女”が守りについていますが……”月の僧院”は”執行者”一人だけですので、少々不安が残るのです。そこであの”神機”とも互角か、それ以上の戦力を持つ”騎神”を所有する貴方に”月の僧院”の守護を担当して欲しいのです。”特務支援課”が全員揃った以上………近日中にクロスベルを覆う結界を無力化する為に”星見の塔”と”月の僧院”に攻め入る事は目に見えていますわ。」

ディーター大統領の娘であり、クロイス家の”魔導”を受け継いだマリアベル・クロイスはクロウを見つめて静かな表情で話を続けた。



「……で?何で”部外者”の俺がわざわざ守らなければならないんだ?こういう時こそ”風の剣聖”や”赤い星座”の出番じゃねえのか?」

「アリオス君は君と共に”月の僧院”の護りについてもらう予定だ。」

「”赤い星座”は……ミシェラムで仲間達を見殺しにして、自分だけ逃げ帰った貴方と共に戦いたくないという理由で断られましたわ。」

「何だと!?まさかあいつらが殺されたのが俺のせいだと言うつもりか!?」

ディーター大統領の後に答えたマリアベルの話を聞いたクロウは怒りの表情で問いかけた。



「全てとは言いませんが、貴方にも責任の一端があるのは事実ですわ。”切り札”である”騎神”があるにも関わらず、それを使わなかったのですから。」

「あれは……ッ!」

マリアベルの指摘に反論しようとしたクロウだったが、ミシェラムで”騎神”を呼ばなかった理由が自分の力不足であった為反論できず、唇を噛みしめた。

「……最悪”月の僧院”が守れなくても”星見の塔”には”結社最強”と称えられている”鋼の聖女”と彼女が鍛え上げた”鉄機隊”が護りについているから、”星見の塔”は盤石の護りと言っても過言ではないわ。それだけでは信用できないのかしら?」

一方クロチルダは厳しい表情で問いかけたが

「ええ、申し訳ありませんが信用できませんわ。何せもう一人の”結社最強”を投入しておきながら、メンフィルの介入によってその人物を含めた”執行者”を殺された事で内戦から手を引いた貴方方という例があるのですから。ロイドさん達には”戦妃”や”風の剣聖”をも簡単にあしらう程の使い手である”嵐の剣神”が力を貸している上、あのロイドさん達がキーアさんを助ける為やクロスベルを奪還する為に殺しを実行するというメンフィルや”六銃士”のように目的の為ならば手段を選ばなくなったのですから、こちらとしても他人事ではありませんもの。」

「……ッ……!」

自分を見つめて嘲笑するマリアベルの言葉に反論できないクロチルダは悔しそうな表情で唇を噛みしめた。

「エレボニアから撤退し、クロスベルに落ち延びて来た君達の世話をしてあげているんだ。その恩くらいは返してくれたまえ。」

「…………ッ……!」

「……わかりました。行くわよ、クロウ。」

クロウが怒りの表情で唇を噛みしめてディーター大統領を睨んでいる中クロチルダは軽く会釈をした後クロウと共に部屋から退出した。



「…………ごめんなさい、クロウ。こんな事になったのもメンフィルの行動を予測しきれずに軽はずみな事をしてしまった私の落ち度よ。」

部屋から退出するとクロチルダは申し訳なさそうな表情でクロウに謝罪した。

「……今の状況になったのはお前だけの責任じゃねぇだろうが。カイエン公はヴァリマールの力を欲しがっていたから、どの道お前が”黒兎”に指示しなくてもカイエン公が”黒兎”に指示をしてエリス嬢ちゃんを誘拐させて、ユミルを襲撃してリィンをパンダグリュエルに”招待”しただろうから結果は変わらねぇよ。」

「…………そうね。それと”月の僧院”の件だけど本気で護る必要はないから、ミシェラム同様適当に戦って頃合いを見計らって撤退していいわよ。」

「何?結界はいいのか?」

「ええ。結界が解かれる事も”計画通り”だから気にする必要はないわ。」

「…………ああ。(ミシェラムの時のように簡単に勝てると思ったら大間違いだぜ、エリゼ嬢ちゃん……!)」

クロチルダの言葉に頷いたクロウはミシェラムでのエリゼとの一騎打ちを思い出して決意の表情になった後、クロチルダと共にその場から去った。



一方解放されたルーレに立ち寄り、一時の休息を取り終え、カレイジャスに戻ったリィンはジョルジュに呼び出され、工科大学に向かい、そこで機甲兵を設計し、更にはオルディーネの武器を設計したエレボニア帝国の導力工学の第一人者であるG・シュミット博士と邂逅し、ヴァリマールの武器についての手立てを得ることができた。



その後ジョルジュと共に工科大学を辞して、全員と合流し……整備を終えたカレイジャスに乗り込んでルーレ市を後にしたリィンはヴァリマールの武器に必要な材料――――”ゼムリアストーン”を調達の為に、セリーヌの提案―――エレボニア東部各地にある上位属性が働いている謎の遺跡―――”精霊窟”の”試練”を受け、ゼムリアストーンの結晶を回収する事になった。



そして仲間達と共に協力して全ての”精霊窟”の”試練”を超えて東部にある全ての”精霊窟”のゼムリアストーンの結晶を回収したリィン達はシュミット博士をカレイジャスに迎え、いずれ来るクロウとの対決に備え、ヴァリマール用の”太刀”の製作を開始した。



リィン達が”太刀”の製作を開始したその頃、ロイド達はクロスベルを覆う”結界”を解除する為に二手に分かれて”月の僧院”と”星見の塔”を同時攻略をする事にし、クロウやアリオス率いる国防軍が待ち構えている”月の僧院”にはセリカ達が担当する事になり、”メルカバ”で”月の僧院”へと続く”マインツ山道”に下ろしてもらったセリカ達は”月の僧院”へと急行した。 
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